普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

非正規従業員の削減と自民党

2008-12-11 16:17:40 | 麻生内閣

請負・派遣1200人削減 大分キヤノン 
・キヤノンのカメラ生産子会社、大分キヤノンが製造現場で働く1千人超について、請負会社などとの契約を解除することがわかった。
 厚生労働省関係者によると、年内にも実施され、多くの人が職を失うことになる見込みだ。
・大分キヤノンが解除を検討しているのは、ライン生産などに従事する請負会社8社(従業員計1131人)との請負契約や、派遣会社13社(計46人)との派遣契約。請負・派遣会社の従業員とも、契約解除が直ちに解雇につながるわけではない。
・一方、大分キヤノンはホームページで、自社で直接雇用する期間従業員を募集しているが、人数について親会社のキヤノンは「決まっていない」としている。

(実際はハローワークには大分キャノン・グループから150人の求人が出ている)
 
 また今回の人員削減計画についも、親会社のキヤノンは「請負会社に対して減産することは伝えたが、それにともなう請負社員の雇用については把握していない」、その数字についても「こちらで出した数字ではないので把握していない」と話している。

可哀相な請負社員の立場
 これに対して、大分キヤノンの請負会社の日研総業で働く10数人が組合(組合員のほぼ半数が10日付で雇用契約を解除)を結成し次のような申し入れを大分キャノンにしたそうだ。
下記の件について請け負い会社と協議してもらたたい
・新たな「期間社員」採用の理由の開示
・期間工への派遣・請負社員の優先的採用
・解雇された人達の当面の住居としての寮の確保
これに対して大分キャノンはその申し入れ書の受領を拒否したが最終的には受領したようだ。
 昔の激しい労働争議を見聞きした私に取って、この申し入れ書は穏当そのもので、如何にキャノン側から言えば非正規従業員が弱い立場にあることが判る。

大企業に有利な派遣労働法
 一方キャノン側から言えば、そのようなことを言いたいなら、自分の所属する請け負い会社に言えと言うのも筋が通っているが、請負会社とキャノンの力関係から言えば、キャノン側の言いなりになるのだ。
 つまり派遣労働法が如何に大企業に都合良くできているかが判る。
 所謂法すれすれの「派遣切り」の問題が起こっていも、政府としては悪質な会社名の公表しか出来なのだから。
政府におんぶに抱っこの大企業
 それに対して政府は従来からの訓練など離職者対策に加えて、乏しい予算内から 
契約切れ労働者に社宅無償貸与、企業助成金を創設
し、契約が終わった非正規労働者を社宅から退去させずに無償で貸与する企業に助成金を支給する制度の創設を決め、労働者1人あたり月6万円を3か月から半年間支給する案を軸に調整している。
 大分キャノンの問題は経団連会長の御手洗冨士夫さんのお膝元で起こった今の日本を洗わす象徴的な問題で、しかも麻生さんが当人に経団連として雇用確保に努めるように要請した後だけに世間の注目を引いている。
  その他年度内に約3万人の非正規従業員のリストラや新卒者の内定取消しなど、厳しい報道がされない日はない。
 これからは当然のように企業の倫理観とか社会に対する責任の問題が浮かび上がるが、今日は政治の問題について書いて見たい。

[世間と隔絶した政治の動き]
自民党内に「圧力団体」林立、構造改革を旗印に政権と距離  

・麻生内閣の支持率急落を受け、麻生政権の「圧力団体」となるようなグループが相次いで動きを強めている。
 構造改革路線の堅持を旗印にしているが、参加者には政権から距離を置くことで生き残ろうとする思惑ものぞく。
と報道されている。

 その内の一つの「郵政民営化を堅持し推進する集い」で呼び掛け人の一人として久しぶりの小泉さんの演説に大きな拍手が起きたそうだ。
 この会合の目的は、政府が保有している日本郵政の株式と、日本郵政が保有しているゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の両株式の、市場への売却を当面3年間凍結させると言う野党提出の提案に対して、麻生さんが今の株価が下がっているときに同株を市場に出すのは可笑しいと発言したことへの牽制だ。
 然し与党としてはこの法案の反対を決定していること、麻生さんの発言も当然なことで、何を今更党内で会合を持つのか判らない。
 本音はマスコミが指摘するように、麻生さんの支持率が下がった不利な情勢の中で、自分だけは何とか生き残りたい気持ちの現れと言われても仕方がないものだ。

 それにしても何故今更小泉さんの登場か判らない。
 未曽有の金融・経済の危機の対応を除いて麻生内閣を悩ませている、雇用問題は派遣労働法の制定、社会福祉、医療制度の問題は関連の予算の大幅な削減と言う小泉政治の負の部門が今現れている。
 年金問題にしても、社保庁のトップにたった一人の民間人の登用でお茶を濁していたのが安倍さんから麻生さんまでの内閣の足元を脅かしているのだ。
 読売はただ、党内では「支持率の高かった小泉政権の成功体験をもう一度、ということだろうが、景気悪化の中、歳出削減を重視する小泉改革は色あせている」という声がある。と指摘している。
 前記の日本そして麻生内閣の抱えている当面の大きな問題を考えると小泉さんを頂くグループの動きは、世の中から隔絶した動きに見えて仕方がない。

[自民党へ]
 然し、同グループの主張する、天下り是正などの公務員制度改革や中央省庁の無駄遣いの排除、もう一つの若手グループの第2次補正予算案の国会への早期提出は正論だし、国民の納得を得られるものだ。
前にも書いたが、
 自民党内のこれらの動きは党にとっての良い意味での危機感の現れだ。
 だからこそ党員の人達は自分のことばかり考えて、厳しい現実に直面している国民から浮き上がらないように、彼らの意見は直接麻生さんに伝えて、党内基盤の弱い麻生さんの尻を叩き、麻生さんを支えて行くべきだ。
 元々自民党はそれぞれの政策は少し違っても、皆似た様な考えを持った人達の集まりの筈だ。
 今更、麻生さんを降ろしたら、マスコミは大喜び、次期選挙の大敗は約束されたようなものだ。
 幾ら麻生丸が泥船でもその船長を選んだのは自民党の人達だから皆心を合わせて戦うしか行く道はない。


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4 コメント

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経団連と自民党 (ろっし)
2008-12-11 22:25:01
 「経団連と自民党」の象徴は、「竹中氏と小泉氏」。ともに去ります。

 企業にもよりけりですが、あまりにも防護ラインが早すぎるかと。内部留保が、キャノン、トヨタは、多いはずです。

 経団連の会長は、商売上手。キャノンに対するイメージが悪くなるように思います。

 最後のメッセージは、森元首相が、言いそうな発言ですね。少し、中川(秀)氏の政治活動が不憫に思います。何か会に出ると、すぐ、反麻生と書かれますから。本人も嫌になるくらい否定しています。

 後は、渡辺氏の処分ですかね、どうなることやら。
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行財政改革 (破れ傘)
2008-12-12 02:08:02
>小泉さんを頂くグループの動きは、世の中から隔絶した動きに見えて仕方がない。

そうでしょうか。基本的には改革の必要性を認識している人が相当数いると思いますよ。構造改革こそが日本の生き残る道である事は、普通に考えれば当然導きだされる結論だという気がします。

産業は空洞化し、資本が海外に出て行くばかりで、資本が入ってくる政策は国民に人気がない、となれば日本が浮揚する条件があまりにも限られてくるように思います。付け焼刃的な景気浮揚策に財源を投入しても、結局どこへいったか分からず霧消してしまうだけのことになるような予感がします。

だとするなら、成功するかどうかも分からない一時的な景気対策よりも、時代遅れになった日本の行財政構造を根本的に変えることに注力すべきでしょう。その改革を実施することは、既得権益を守りたい人には厳しい政策であっても、日本の建て直しのためには案外早道なのではないかと思います。というか、これしか選択の余地はないと思います。

政府には、当面の問題には相応の対応をしながらも基本的には構造改革路線を踏襲してもらいたいと願っています。最近、麻生総理はは中川秀直氏に歩みよっているというニュースが流れましたが、麻生総理も行財政改革に関し少しは関心を持ち出したようで、いい傾向だと思っています。
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Unknown (マスコミ関係者)
2008-12-12 09:53:12
いつも興味深く拝読させて頂いています。概ね、筆者の方の意見には賛同させていただくケースが多いのですが、今回は反論を少々。
 小泉氏の批判について。改革のすべてが成功したとも思えませんし、負の遺産を否定する訳でもありません。小泉氏は昨今の小泉・竹中改革批判に対し、弁解も反論もしていません。今回の登壇も、政治生命をかけて取り組んだ郵政民営化を堅守するためのものであり、それすら批判されるのは気の毒ではないかと思います。
 派遣労働法に対する批判がありました。同法にはご指摘の要素があることは否定できません。しかし、恐らく、トヨタやキャノンの派遣切りは第一段階。来年当たりは下請けの中小企業、サービス業などの他業種に不況の波が押し寄せ、リストラ、企業倒産が相次ぐことでしょう。もはや、派遣社員、契約社員だけでなく、正社員がどんどん職を失う時代が到来します。「派遣社員がかわいそうだ」と言ってるうちはまだいいですが、家庭を持つ正社員が職を失えば、扶養家族が路頭に迷い、社会におけるインパクトは派遣社員の比ではありません。こういう時代は小泉氏が招いた訳ではありません。今は深刻な不況下なのです。半年も経てば、派遣労働法の議論は急速に萎むのではないかと思います。
 第2に、小泉氏が総理に就任した2001年。国民は主に赤字財政の再建、金融機関の不良債権処理を求め、彼を支持したのではなかったでしょうか。赤字国債の発行が一時30兆円を超えると、マスコミや野党はこぞって彼を叩きました。財政再建は時代の要請でした。社会保障費の2200億円抑制、公共事業2兆円削減などはそうした時代のニーズから出てきた政策です。結果としてすべてが正しかったとは言いません。しかし、それを彼ばかりに責任を押しつけるのは酷ではないでしょうか。
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Unknown (山本大成)
2008-12-13 12:25:28
 私がよく理解できないでいるのは、派遣社員の雇用元は人材派遣会社であって派遣先にはなく、第一義的に追求されねばならないのは、派遣先企業との契約をそのままにしておいた派遣会社の責任ではないかと感じています。
 派遣社員はそれを承知で、派遣先への正社員への道を選ばずにその立場に甘んじていたわけで、少なくとも派遣先企業に苦情を持ち込むのが筋違いだと思われて成りません。
 派遣先企業は景気悪化時のリスクを考えずに済みましたので、企業経営の重荷となる固定費でもある人件費ではなく経費で人が使えることで大きな雇用を確保できたわけであり、派遣制度がなければパートや社員の残業により元々これほど多くの雇用を生み出してもいなかったように思います。

 大企業は大企業でこの経済状況の中、激しい生き残りをかけているわけで(世界規模の戦いはスケールが違います)、マスコミの大企業への批判は必ずしも的を得ていないと感じています。
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