普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

川柳くろがね吟社紹介「老木が枯木じゃないと咳払い」

2020-02-09 12:04:47 | 川柳
川柳くろがね」1月号より
前月号鑑賞 小川清隆 選評
川柳くろがね吟社紹介「老木が枯木じゃないと咳払い」   坂梨 和江
 「ボタンかけ違えたままで50年」「かけ違いとポタンの穴も知っている」かけ違いとわかっていてもそまま我慢を通すことが多い。たった一度の人生、悔いのないように生きよう。君子は豹変す。嫌な相手と添いとげることはない。主人と同じ墓には入りたくない、という人が多い。ならば生きているうちに別れるべし。そういう相手と我慢して一緒にいることは美徳ではない。拷問みたいなものだ、と他人事なら言える。

「三面鏡違う私の影をみる」       桶川 聖柳
 三つの顔がある三面鏡、それぞれはみんなあなた自身、当然三つの顔はみな違う。人間には自分にはわからない多面性があるもの。他人に指摘されて気づくことが多い、その多面の自分を愛すことがよい。

「直線も長いけど回り道ゆかい」     松井 昌子
 月がとっても青いから遠まわりして帰ろう。何の変哲もない一本道を歩くより、時には殻を脱ぎ捨てて道草、時にはあともどりするもよし。楽しいものを見つけたら立ち止まるもよし。趣味を持って行きていくのも楽しい、多ければ多いほど楽しみも多い、浮気も。

「まだ響く鈴を少うし振ってみる}    河野 成子
 神社で鈴を振ることは、自分が来たことを、神さまにお知らせすること(熊除けの鈴も然り能へのご挨拶)。お参りをする時は、自分は何の誰かをはっきり告げること。心の中で申し上げては、神さまに通じることはない。しつかり鈴振って、大さな声で呼びかけると、神さまも聞いてくれる筈。

「鉄の華」 同人詠草
         宗像 桜木 山彦
笑い声聴いて開いた黄水仙
口止めのネジがお酒ですぐ弛む
カマキリも人もお産は命がけ
クワガタものこのこ出てるこの異変
蜂の巣の六角型にエコがある
         中間 志岐 けい子
石仏をひとつずつ撫で旅半ば
満月を見る暇はないスマホ族
脳回路少しゆるんで人気者
どこまでも繋がっている人の縁
愛犬の仰せのままに行く散歩
         直方 吉丸 玲子
譲られた席は硬くて暖かい
初恋かかぽすをぎゅっと絞り切る
うっかりと初めは思うもの忘れ
青空がいいな初めて見るおそら
新しい老化と出合う朝がくる
         宗像 土肥 あづま
ぎりぎりにならぬとやらぬのは今も
まっいいか低空飛行の日々なれど
難しい顔して心優しくて
ああ無情足音さえも歳を取り
去る者を追ったりしない自動ドア
         大阪 神谷 幸恵
母の忌に草餅母を受けついで
関心はあるが一歩がふみ出せぬ
右から左錆びてくる音見のがさぬ
水求め水を恐れて手を合わす
留袖たたみやっと自分の顔になる



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