普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

橋下さんと地方分権の限界を知るべき

2012-04-16 12:18:05 | 地方分権と再生
・実現不能の反原発の対案・原発停止に伴う大阪府内企業への手当ては?・地方分権の限界・橋下さんの限界・軽薄なテレビ報道・有権者の考えねばならぬこと
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 再稼働の必要性を認めた民主党政権の打倒を宣言した橋下氏の発言は、政府・民主党に波紋を広げているそうです。
・橋下さんの主張に賛成する部分
 福島第一の事故原因も判らずそれに基づいた安全基準もできていない
 普通のプラントでの安全基準を作るには、通常は企業の建設、運転、保全部門の三者で事故原因を追求しその対策である技術基準を作るのが普通のやり方です。
 福島第一の場合は東電も現場の人達も事故処理に追われて、事故原因の追求どころでないので 、第三者の経験者が寄って調査するのは致し方ないと思いますが、政府の事故調は現場の運転では素人ばかり、然も「昨年の7月8日、都内で2回目の会合を開き、「事故原因等調査チーム」は事故後の対応に主眼を置き、原発のベント作業などの対処や意思決定の実態解明に乗り出す。次回会合は9月27日を予定している。」 (つまりそれまでは事故原因の調査は行わない)としたのに、政府からもマスコミからも何の批判も出て居ませんでした。
 私の想像では原発は悪と言う観念と、事故後の政府の対応のまずさの批判に囚われて、他の原発を今後どうするかという政府としては当然考えねばならぬことは全く頭に無かったと思います。
・橋下さん・大阪市の提案の内おかしいところ
a.需要が供給能力を超える場合のみ必要最小限の原発の運転→橋下さんが良く言う「現場を知らない」人の素人じみた実行不能の提案
b.実行不可能な再生エネルギーの大規模使用の提案、多分具体的には何も考えてない提案。それ位政府で考えろと言うのか(参照:無責任な大阪市の関電全原発廃止提案
c.原発停止に伴う大阪府内の企業への影響を何も言っていない
 昨夜のテレビでも電力不足に対応して、大手企業の非常用電源の手配と、それでも追いつかぬ困惑、中小企業の完全なお手上げの放送がありました。府下の企業からも同じことが橋下さんの耳にも入って来ている筈と思うのですが。
 また橋下さんの発信力があれば、原発停止の影響の大きさを考えれば、これくらいのことは辛抱してくれと企業に訴えている筈ですが、元経済産業省にいた堺屋さんや古賀さんは何も言わないのですかね。
d.原発から100キロ程度の府県との安全協定締結
 これに就いては、政府内でも「とても広すぎて対応できない。これを認めたら原発は1基も再稼働できない」と言っているそうです。
 詰まり橋下さんの考えていること、政府が心配しているのは、その範囲の府県とその中の地方自治体の了解を得ることです。
 大飯原発の場合は今までは福井県と大飯町長の了解を得ること、原発設置に伴う事実上の迷惑金としての補助金を支出するだけで良かったのですが、
 原発の補償金の直接の恩恵を受けない地方自治体に取っては、住民の安全を護ればよいので、停電が無い範囲で原発などない方が良いに決まっています。
 これによる事実上の原発停止→火力に移行→燃料費の高騰→電力料金の高騰になれば電力会社の合理化が進んでないと批判。
 今まで問題を抱えていたために休止していた火力発電所に故障が起これば電力会社の対応批判。
 なんとも気楽なものですね。
 然し地もとの企業が電力不安と電力料金の高騰で海外に出たら、その企業に留まるようにお願い→企業は拒否→地方としてはお手上げ
 これらのことは、既に報道されていることです。
 これに対して橋下さんはどう考えているのでしょう?
・地方分権の限界
 地方自治体の人達は原発問題の日本全体に影響を与える影響は、総て政府の責任だとして、地方の事情を優先で考えていては日本は成り立って行きません。
 勿論政府は地方の問題にも充分な関心を払うのは当然ですが、地方も国全体のことを考えるべきです。
 地方分権は、基本的に地方自治体の人達も国全体のことを考えてくれていると言う、いわば性善説に似た考えが基本にあって始めて成立することです。
 そして話しは少し逸れますが、外国人参政権反対論者の「外国人が日本人と同じ考えで、地方政治に関与する筈がない」と言う反対の根拠になっています。そして地方の反対に立ち往生気味の政権与党の民主党員たちの中の外国人参政権付与推進している人達はこの問題をどう考えているのでしょう。
 地方自治体も、地方分権のリーダー的存在の橋下さんも、地方の意見が総て正しいと、ごり押ししたら地方分権の動きが停滞してしまうと思います。
 橋下さんは消費税は総て地方自治体が自由に使えるようにしろと言って居ますが、経済力の弱い県はどうするのでしょう。
やはり国が県の面積か人口数か、主な産業の構成か判りませんが、国が何らかの基準の元で補助金を出す、そして頑張ったお蔭で財政に余裕が出た県に対しての補助金をどうするかなど、金の面からだけでも国のある程度の関与は絶対に必要になると思います。
 地方分権に欠かせない金の問題や、原発、基地問題などの地方自治体の関与など総合てきに考えると、金科玉条のように言われていた地方分権にもやはり限界があると思います。
・橋下さんの限界
 限界があると言えば橋下さんやその率いる維新の会にも限界があると思います。
 地方分権の推進・地方交付税廃止・公務員制度改革・教育改革などは今までの主張でそれなりの細かい事まで考えているでしょうが、年金を掛け捨て制と積み立て制の併用・政府が国民に現金を給付するベーシックインカム制度・首相公選制の導入・参議院を廃止。代わりに首長が議員を兼務できる、国と地方の協議の場の議院を設けるなど政界、マスコミ、ネット上でも批判続出です。
 公平に考えても彼は大阪府・市の仕事で精一杯で、少なくとも今までの所では、全国レベルの政策作成能力に欠けると言われても仕方がないと思います。
 私は民主党政権がそのマニフエストのために、現在の惨状になっていることを上げて、3回に亙って橋下さんだけでなく日本のためにも、大阪府・市が彼の思うとうりになるまで集中すべきと書いて来ましたが、今朝の報道までは橋下さんは原発推進の民主党政権打倒を目指すと言い、それに対してもたついている民主党政権も情けないと思います。
・軽薄なマスコミ報道
a.小泉さんの郵政改革の旗印で、反対者追放、刺客派遣の奇手に載せられて、選挙中に一方的に小泉さん陣営の報道ばかりして大勝させ、郵政改革を実現しました。そして現在はそれに反対して追放された亀井さんの言う通りになりました。
b.そしてマスコミ、特にテレビの安倍さん・麻生さんに対する反自民キャンペーンのために民主党政権を誕生させました。
 そしてそのマニフェストのために現在の惨状を呈しています。
 その責任は、勿論民主党自身ですが、政権交代するかも知れない最大野党のマニフエストの解説・批判もせぬまま反自民を煽った、マスコミ特にテレビにもあります。
・私たち有権者が考えねばならないこと
今の橋下さんは小泉さんによく似たやり方をしています。
 そしてその公約である船中八策も、民主党のマニフェスト以上に実現性の乏しい項目がいくつもあります。
 現実は今の選挙制度では維新の会が橋下さんの言う程議席は取れないかも知れませんが、私たちは郵政選挙の時の小泉さんの奇手に載せられたマスコミに煽られ、安倍さん、麻生さんの時はマスコミの反自民キャンペーンに煽られ、民主党のマニフェストを碌に検討もせず、またはそれに載せられて投票した愚を次の選挙で繰り返さないようにすべきだと思います。

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1 コメント

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Unknown (道産子爺)
2012-04-17 07:17:09
 地方分権について、十分ではないと叫ばれておりますが、現状を見ていると、違うのではないかと判らなくなるばかりです。
「沖縄の基地問題」「東日本大震災の瓦礫の広域処理問題」「原発が定期検査後の再稼動不可の状態」等を見ていると、これらは全て、現在地方の持っている権力の強さは十分あるのではと感じます。
 国に権力力が集中しているのであれば、上記のことなどは国益優先を大儀名分にとっくに解決しているのではと思います。それが出来ていないのは地方の「力」が十分働いているからではありませんか。

 結局のところ地方分権も尽きるところは「金」の問題なのかなと思えてなりません。

 それと同時に地方自治体の首長の持つ権限の大きさは、当然その自治体の範囲に限られますが強大なものであることを認識する必要はあると思います。

 庶民と言われる普通の国民の多くは、日々黙々(愚痴をいいながらも)と現在の生活を守ることが精一杯で生きているのではと考えます。
 
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