普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

混迷する経済へ前向きの提案を(2)

2011-11-17 15:48:40 | 菅内閣
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 前々回の表記のエントリーで「ダイアモンド・オンライン」の早稲田大学の遠藤教授の「どこにでもある素材や部品を使って、どこにもない製品を開発する」と言う提案を紹介しましたが、今回はその第2弾としての神戸大学大学院経営学研究科の加登 豊教授の 円高対応のための処方箋・製品も進出地域も世界市場をまるごと「日本化」せよと言う記事を見ましたのでその概要を紹介します。 (括弧内は私の意見、特記していないところはほぼ賛成の箇所です。)
・大切な経営資源である人を浪費し開発担当者を疲弊させている
 ガラパゴス化した日本の小さい市場での小さなパイを取り合うと言う激しい開発競争のために、大切な経営資源である人の浪費であるばかりでなく、開発担当者を疲弊させている。
・海外企業の魅力ある製品やサービスが着実に日本市場に定着しつつある
日本の人口がほ減り続け内需がへるなかで、世界人口は確実に増加している。このような傾向を見れば、大きな市場である世界市場を目指す製品開発を行うことが当然の選択肢となる。
一方、海外企業の魅力ある製品やサービスが、着実に日本市場に定着しつつある事実を直視しなければならない。PCのCPU、 OS、iPhoneやウォン安による韓国製のスマートフォン、薄型テレビなどがそうだ。 (OS:日本で開発されたトロンは米国の圧力で潰されました。韓国の薄型テレビ:日本の技術の防衛の観点で考えるべきだと思います。)
一方、日本企業から生産委託を受けている中国企業は、優れた製品を製造できる能力を着実に身につけている。このような状況が長く続けば、大企業以上に利益率の低い中小企業は耐えきれなくなる。
 日本企業の競争力は静かに、しかし確実に衰えている。
・日本在来種由来の製品で世界市場を席巻する
 日本の進むべき道は、日本市場で培ってきた優れた技術を活かした製品を、世界市場に展開して高収益を達成することである。このような活動を「世界市場の日本化」と呼ぶことにしよう。
 製品開発にあたっては、市場ごとの対応など必要としない、あるいは、最小限の修正で対応可能となるという条件を絶対とする必要がある。どこでも生存できる強い生命力を有する日本在来種由来の製品を目指す必要がある。
 日本固有種である製品を基礎に置き、日本製品の良さを世界に訴えるような製品開発である。
 日本企業がかつて国際競争力を有していた、加工組立型の製品からの派生製品で有望な候補を見いだすことは、技術立国であるわが国の技術者に望ましい開発の方向性を示せば、決して難しいことではない。 (これに関する技術防衛の対策も考える必要があると思います。)
 また、これまで国際競争力で相対的に劣るとされてきたプロセス産業のなかにも、有望な分野が存在する。発酵技術、薬品やサプリメントには不可欠な剤形技術、印刷技術や製本技術などはほんの一例にすぎない。日本在来種由来の製品で、世界市場を席巻する。これは挑戦しがいのある仕事である。
 きめ細やかな配慮が行き届いた製品、コスト・パフォーマンスにすぐれた製品、本物中の本物を志向した製品、環境対応の進んだ製品……。これまで国内市場のみを対象とした製品であっても、上記のような特徴をもつ製品が世界市場で受け入れられないはずはない。海外市場の特性などといった枝葉末節にこだわるのではなく、世界標準製品によって世界市場を日本製品で埋め尽くすことで世界市場を日本化する。現在の国内売上の数十倍を達成できる製品を生み出すという高い目標と、その必達への高いコミットメントに基づく製品開発、それがいまの日本企業には必要なのである。
・小さく群れず大きく群れよ進出効果は飛躍的に増大する
海外進出の進め方

・移転は、生産工場という物的設備だけにとどまらず、現地採用でなく作業者を含めてのフルパッケージでの移転だ。 (著者が言う受け入れ国の米国で言えば失業率9%で悩んでいるのに、労働者全員が日本人と言うのは通らない理屈だと思います。)
・その移転先として有望なのは、空洞化が深刻なアメリカだ。
・操業を停止している工場を買い取る。
・マザー工場も現地で立ち上げる。 (現地のニーズを掴むには良いと思いますが、新製品開発には自社や国の研究機関との連携のためには、同じ地域に或るのが良いとされて来ましたが、何処までのマザー工場なのでしょう。)
・企業を一定地に集積し、ジャパンタウンを作る (前にも書いたようにこれが出来れば仕事も効率化すると思いますが、著者自身も後で言うように物凄く難しいでしょう。)
・製造工場の海外移転は空洞化ではなく「お国替え」と考える
 空洞化の議論では、工場を有する企業は存続するという暗黙の前提がある。事態は予想以上に深刻である。円高対応の海外進出は、実は企業の存亡をかけた課題である。
 工場がなくなるより、企業そのものが消滅することによる空洞化のほうがより深刻だ。
 高い利益率をめざす、価格決定権を握る、世界市場を日本化する、そして、大きく群れて海外に転地する。いずれも、現在の日本企業にとってはとてつもなく高いハードルである。しかし、これらすべてを乗り越えることが、日本企業の持続的競争力を獲得するための必要条件なのである。

 全体として著者は企業のことを優先に考えているようですが、私たちが考えねばならないのは、その提案が日本に取って有利か否かです
 従業員までそっくり消えた地域の経済の影響を考えると、そして受け入れ国の事情を考えると、やはり今までのように経営者、技術者と中核の労働者に限られるような気がします。
 著者が考えているらしい、きめ細やかな配慮が行き届いた製品、コスト・パフォーマンスにすぐれた製品、本物中の本物を志向した製品、環境対応の進んだ製品で、高い利益率をめざす、価格決定権を握る、世界市場を日本化するためには、前回の著者の言うように世界を「あっと言わせるような」余程独創的で、優れた製品でないと難しいと思いますが、挑戦する価値はあるのかも知れません。

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