普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

民主党は何故公務員制度改革に失敗したか

2011-08-19 11:40:31 | 民主党
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 民主党代表選へ向けて小沢さんは民主党マニフェストへの回帰を主張しています。
 これに就いては自民党やマスコミからばら蒔きの4Kなど批判されています。
 私は鳩山さんが言うのならともかく、小沢さんほどの人がまさか本気で言っているのでなく、菅さんなど彼の政敵攻撃のために判って言っているとしか思えません。
 然しここでは、彼の発言をそのまま取って、マニフェストの原点である民主党政策集INDEX2009の中から公務員制度改革に関する公約と現実を拾って見ました。
[完全な失敗に終わった民主党政権の公務員制度改革]
・天下りの根絶
 中央省庁による国家公務員の再就職あっせんを禁止するとともに、天下りの背景となっている早期退職勧奨を廃止します。また国家公務員の定年を段階的に65歳まで延長することによって、年金受給年齢まで働ける環境を整えます。

 *早期退職勧奨を廃止のため人事の停滞、ピラミット状の組織から台型の組織になり、公務員経費削減どころか増大、止むなく今までの天下りを出向と名前を替えて存続
 *それを批判した経産省の古賀茂明さんには公約の精神に反して早期退職勧奨
もう目茶苦茶です。
・地方分権推進と国家公務員総人件費の削減   大胆な地方分権等の結果、国家公務員の定数も大幅に減少すること等により、国家公務員総人件費を2割以上削減することが可能になります。
 *地方分権による国家公務員を地方に派遣、財政難に苦しむ地方からはその経費を例えば地方交付金などの経費を政府に要求、結局は政府からの負担金の名前が変わるだけで、政府からの支出は変わらないと言う余りにも見え透いた公約は法案作成の検討するできぬまま。
 前提となる地方分権さえも安部・麻生時代から後退または、停滞
・公務員制度の抜本改革
 公務員の自律的な労使関係を実現するため、職務の特性にかんがみて特に異なる取扱いが必要となる場合を除き、公務員の労働基本権を回復します。その結果、労働条件は民間と同様、交渉で決められるようになります。

*民主党を支持する連合系の公務員労働組合連絡会と給与削減の合意にこぎつけたが政府側がもくろんだ「一律10%削減」さえ実現できなかった。
 今回は震災と言う非常事態で何とか少しは前進したように見えるが、労連系の国公労連とは話かついていないのでどうなったのか?
 基本的には民主党支持母体の労働組合と厳しい人員や給与の削減などの交渉が出来るのかと言う基本的な問題は未解決のまま。

 以上考えて見ると、政治主導の行政改革の名で国会議員が、官僚の意見も碌に訊かず、俺達が国民の代表だとして、自分から手を出してやり始め官僚の士気を落としてしまったなど考え併せると、公務員制度改革はほぼ完全に失敗に終わったようです。
 この問題に限ってもマニフェストの原点回帰より、見直しが優先されるべきだと思います。
[私の提案]
 私は民主党政権発足時から以下のような民間企業並みの合理化の促進を提案してきました。
・省庁、関係機関の徹底的な組織とシステムの合理化
・そのための民間企業並みの会計制度の見直し
・それによる官僚の原価意識の浸透
・それによる官僚の自主管理、改善活動の推進
・能率協会など第三者機関による査察と助言
・合理化の進んだ関係機関へは情報漏洩や談合防止などの枠をはめた上での出向天下りを認める
民間企業並みの会計制度の見直し
「公務員の人件費総額」で検索すると27兆円から民主党の参議院議員の松岡滿壽男さんが調べたという60兆円までとばらばら
 しかもその対象者の定義もばらばら
 私の想像では、給与、福利厚生費、各種保険などの補助、公務員を管理するための費用などどれだけ入っているかも不明
・固定資産も不明
・お馴染みの一般会計歳出歳入の内訳の円グラフを見ても、国債費、社会保障、公共事業、文教・科学、防衛、地方交付金、その他と書いてあるだけで、国民には公務員の人件費の総額も固定資産の記述ゼロ。
 これで公務員制度改革も不要固定資産処理の意欲も公務員に起こるわけがありません。
[石原都知事の意見]
 たまたま「ダイヤモンド・オンライン」で石原都知事のインタビュー記事が出ていました。
 話の中心は私のエントリーの内容とずれていますが、重なっている部分もあると思いまいすのでご参考にして下さい。
・「経済界も知らない会計制度の危機 このままでは国家財政が破綻する
 国家会計を単式簿記でやっている国など、先進国では日本だけ。発生主義を基に複式簿記でやらなければ、まともな財務諸表など出てこないし、どこにまだ財源があるのかどうかも国民にはわからない。経済界の重鎮ですら、「日本が単式簿記だなんて、そんなバカなことがあるのか」と驚いていました。
・「財務諸表を作らせれば国も嘘をつけない 外部監査を入れて役所の合理化も徹底せよ
 今の日本では、役人が役人を守るための会計制度になってしまっています。そういう状況で政治家が事業仕分けをやっても、ムダの削減などできません。発生主義を基に、複式簿記で会計をやっていれば、ちゃんと財務諸表が出てくるから、国も嘘をつき切れない。もっと合理的な制度に変えるべきです。
 役所に対しても、外部監査を入れ、人員も給料も減らして徹底的に合理化すべきです。東京都はそれをちゃんとやったから、財政が再建されて貯金も増えています。
 日本の戦後の成功は官僚のお陰ですが、同時に失敗も官僚の責任です。終戦直後から高度経済成長期までは、立派な官僚がたくさんいたが、今は見当たりません。彼らは、過去の成功にあぐらをかいてしまって、発想力がなくなった。この変化の時代に継続性や一貫性を売り物にしても、新しい取り組みをできるわけがありません。
 ただし政治家にとっては、経験や知識を豊富に持っている役人を有効活用することも、重要になります。たとえば、震災対応が後手に回って批難されている民主党については、役人をうまく使いこなせないから能率が上がらないのです。
 役人にそっぽを向かれている政府では、素人の集まりに過ぎません

 少し先走った意見ですが、政権交代論者の私としては多分二年後の総選挙では、自民党の一党支配にならぬように、一度下野して学習経験を活かして公約の見直し、再起を図って貰いたいものです。(なお石原さんは前記の記事で、2党体制でなくて3党体制による政権交代を言っていました。)
 小沢さんの言うように野党並みのマニフェスト回帰など言っていたら、次の政権奪回は遥かに遠のくと思います。

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