普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

朝日ジャーナルの「日本破壊計画」

2011-03-31 12:07:13 | 外交・安全保障
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 本屋で「日本破壊計画」と言うおどろおどろしい表紙の朝日ジャーナルを見ました。
 未曽有の東北・関東大災害の真っ最中にこんなタイトルで売り出す無神経さ!!!
 驚いて中身を見ましたが何が言いたいのかさっぱり判りません。
 ネットで見ますと、同誌の発行元の朝日新聞 がその意図を説明していました。
 「怒りの復活」と銘打たれた復刊号は、格差や貧困に象徴される、日本型社会システムの破綻をテーマに、評論家の柄谷行人氏や作家の高村薫氏、ジャーナリストの斎藤貴男氏が論考を寄せる。
 また、「新人類の旗手たち」に登場した秋元康、辻元清美、中森明夫の3氏が「同窓会」と題して対談する。

 この他には湯浅誠さんや堀江貴文さんを含めて、金子勝さん、山口二郎さんを除いては評論家として余り知らない人を並べています。
ざっと見るとこの雑誌の言いたいのは、日本破壊計画の犯人は小泉さん、それを助けているのは菅さん、そして民主党議員懺悔録・民主党は「脱皮」すると称する反菅さんの立場の原口一博・中村哲治・川内博史さんの鼎談を見ると、民主党はマニフェストの原点に戻れと言いたいようです。
それで同誌寄稿者の中で一番の論客(マスコミの露出度の一番多い)の金子さんの主張を纏めてみました。 (正確にはこのような雑誌を買うのは勿体ないので金子さんのブログ の中で雑誌の書いてあると記憶にある部分を取り上げています。)
小泉「構造改革」路線がとられている間の日本の1人当たりGDPが急速に落ち込みました。小泉政権誕生直前の2000年には3位でした。しかし、小泉政権とともに落ち込み、小泉政権が終わった翌年の2007年には19位、08年には23位にまで急落下しました。
現実は小泉さんの改革のころから新興国、特に膨大な人口と極端に安い賃金の中国の台頭→圧倒的に安い中国製品の流入→同製品を作っていた日本企業の縮小・破綻と日本企業の競争力低下→低賃金の非正規社員の増加→貧困化が進んだのです。
金子さんは自分の主張に都合の悪い事実を書こうとしません。
そして、小泉「構造改革」が創り出した格差と貧困と書いていますが、小泉さんの総てが悪いことではありません。

・民主党はマニフェストを掲げて政権を獲得しました。戦後初めての本格的な政権交代と言ってよいでしょう。ところが、2010年を通して政権交代への期待が失望に変わっていきました。実際、民主党政権がマニフェストを次々と後退させ、党内抗争ばかりが目立つようになりました。
・菅政権の外交安保政策は、「東アジア共同体構想」から遠ざかり「日米同盟」重視へますます傾いています。
・自公政権時代の普天間基地の辺野古移設案への逆戻りも、米国主導のTPP(環太平洋連携協定)推進を打ち出したのもその一つです。
・内政でも、八ツ場ダム中止は「コンクリートから人へ」という政策の象徴でしたが、馬淵澄夫国交相は、一切の予断を持たずに再検証する」としました。ダム建設見直しの見直しです。
・環境エネルギー政策でもひどい後退は続いています。国連気候変動枠組み条約第16回締結国会議)で、日本政府は米国と中国が参加しないかぎり、京都議定書の延長に絶対反対の立場をとり、顰蹙を買いました。
・期待が大きかった分だけ、人々を覆っている民主党への失望感は巨大な喪失感へとつながっています。

[私の意見]
金子さんへ

・金子さんはマニフェストの後退と言いますが、マニフェスト自身の批判がありません。
特に経済学者の彼なら、民主党の経済政策の半分以上が中小企業救済策ばかり、日本経済をどのように持って行こう書いてない公約を経済学者の眼から見れば一考の値もないと思うはずですが、この点も前に書いたように自分の主張に都合の悪いことは触れようとはしません。
・「東アジア共同体構想」、「日米同盟の見直し」の基本にある日本の安全保障の在り方に就いてもマニフエストに何も書いてありませんし、金子さんも触れていません。
・「コンクリートから人へ」で公共工事を廃止した経済への悪影響に就いても触れていません。
・「温室効果ガス25%」削減、社会保障政策の強化もいずれも良いことですが、金がなければ何も出来ません。
 私は民主党のマニフェストは野党としては通っても、政権党としては瑕疵だらけ、穴ダラケの公約だと書いて来ました。
 然も民主党政権発足時の前から前述のような問題で不況が続いていたときに、国民受けの良い、現実には達成難しい公約を掲げてもなにもできないのは当然です。
 私どものような無責任な人と違って、自分の意見を通さねば飯の食い上げになる評論家や学者としては、自説にこだわるのは当然ですが、自分の意見とは違った拙い現実でも取り上げ無ければ人を惑わすことになると言う責任も感じるべきです。
朝日新聞へ
「怒りの復活」でこの種の特集を出すのは良いですが、その怒りはまず自分自身に向けるべきです。
 頼り無い民主党政権を産んだのは、安陪さんや麻生さん時代に猛烈な反自民キャンペーンををした朝日を中心とするマスコミにも大きな責任があります。
 もし朝日が自分の産んだ、または産まそうとして民主党を支援するのなら、選挙前から政権党になるかも知れない民主党の公約の拙い所を正すように論陣を張るべきだったと思いますが、そうしたのでしょうか?
 もし民主党に批判染みた記事や社説を書けば目の敵にしている自民党に利すると思って書かなかったのとすれば、朝日にも責任があると思います。
 「怒り」方向を自民党や菅政権に向ける前に、頼り無い民主党政権を産むのに一役勝った自社の方にも向けなければ、朝日新聞本体自体が朝日ジャーナルのような衰退の方向へ向かわせることになるように気がします。


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