11日の毎日新聞では年金問題と民主党の対応について解説記事を書いていました。 (青字は記事の概要、黒字は私の意見です。)
日本が変わる:年金問題(その1)機構「凍結」で宙に浮く内定1078人◇「進むも戻るも混乱」と 年金問題(その2)民主「両刃の剣」です。
・麻生内閣は、社会保険庁を解体、2010年1月に非公務員組織として日本年金機構を発足させ、社保庁の業務を移行する方針だった。政府は民間人も採用することにし、すでに管理職候補約300人を含む1078人に内定通知を出している。
・年金機構設立に反対する民主党が、社保庁と国税庁を統合して「歳入庁」を創設すると公約している。
・想定される社保庁の組織改革は3通りある。第一に秋の臨時国会で年金機構凍結法案を成立させ、社保庁の暫定的な存続を認めたうえで将来、歳入庁に編入する案。第二は将来の歳入庁創設のステップとして、麻生内閣の方針通り10年1月に年金機構を発足させる案。第三は年金機構の発足時期を定めた政令を改正し、同年3月まで判断を先送りする案だ。
民主党側の筋論から言えば第一案か第三の先送り案しかないと思います。
・暫定的にせよ社保庁を残した場合、民間からの内定者を含めて全員を公務員にしなければならないし、管理職候補用のポストが空かない。厚労省内部では「内定切り」になった場合の金銭賠償も検討されている。
公務員経費2割削減の公約した民主党としてはその増員などは取れない政策です。
但し内定者に臨時職員として下記の年金の照合に使うこともあるかも知れませんが、何人それに乗ってくるのでしょう?
・年金問題に取り組んできた民主党の長妻昭政調会長代理は、社保庁の組織改革を考えることにしている。
・民主党は政権に就きながら年金記録の解決を遅らせた場合、国民の批判は民主党に向かう。年金問題は、民主党にとって追い風にも逆風にもなり得る「両刃の剣」だ。
・民主党は記録問題の解明を国家プロジェクトと位置づけ、2000億円をかけて2年間で集中的に取り組む方針だ。ただし、実態の把握は容易ではない。中でも最大の難問は、旧式の紙台帳に手書きで残された8億5000万件もの記録すべてを、コンピューター内のオンライン記録と突き合わせる照合作業だ。
・厚労省は、全件照合を完了するには7000人を投入しても10年かかると見積もる。もしその作業を2年でやるんなら、3万5000人が必要になると言う。
・高すぎる目標で自縄自縛に陥ることを恐れた民主党の一部幹部は「全件照合は無理かもしれない」と別の「出口」を模索するサインを社保庁に送っている。
もし照合が遅れた場合にその批判に対しては国会の多数を占める立場を利用して頰被りするしかないでしょう。
「労組優遇で処分者も救済」社保庁存廃、袋小路に」
・社会保険庁の組織改革を巡り、民主党は民間人内定者の扱いとは別に、もう一つのリスクを抱える。仮に「歳入庁」創設に向けて社保庁を当面存続させた場合、社保庁労組を救済したとの批判を招く可能性があるためだ。
・年金機構には、不祥事まみれの社保庁を解体・非公務員化し、「民間発想」に体質改善させる狙いがあった。社保庁の職員のうち年金記録ののぞき見などで懲戒処分を受けたことのある職員約850人について、政府は年金機構に移さず、他省庁などに受け入れ先がない場合、「分限処分」にする方針だった。
・850人の多くは、民主党支持の自治労傘下労組に加入している。社保庁存続ならほぼ全員の首がつながる。
・社保庁幹部は「民主党は内定者を取るか、労組の利益優先と批判されても処分歴のある職員を取るか、という選択になる」と指摘する。年金機構設立を認めれば「官僚に屈した」と言われかねず、民主党幹部も「どっちを選んでも自民党には批判される」と頭を抱える。
確かに新進気鋭、やる気満々の内定者を切って、悪名高い社保庁職員を残すなど常識では考えられないことですが、党勢拡大のためには何でもありの小沢さんが実質的に支配する民主党が、支持団体の自治労に属する職員の首を切ることは考えられないので、どちらかと言えば内定者を切ることになるのでしょうか?
・年金機構移行が本音の厚労省は、民主党に水面下で複数の「打開策」を提示。「将来、年金機構から記録業務を切り離し、保険料徴収部門を国税庁に統合する」とした上で、機構の職員を公務員身分に改めて歳入庁に移す(2)歳入庁を特殊法人化--などだ。
・一方で歳入庁構想には財務省が強く抵抗している。社保庁改革を中ぶらりんの状態に置く構えのようだ。
官庁内で小馬鹿にされているのは厚労省、国交省、農水省と今余り問題になっていませんが文科省で、そして各省から一目置かれているのは財務省です。
だから同省が厚労省しかも悪名の高い社保庁職員を入れて、財務省内部の士気やモラルの低下を恐れて反対するのは当然です。
・民主党内では先送り論も浮上している。日本年金機構法は、設立時期を「10年4月1日までの間の政令で定める日」とし、政令で「10年1月1日」になっている。法改正なしに3カ月間結論を延ばすことは可能だ。民主党幹部は「結論は新内閣で責任者が決まってからだ」と漏らす。
・民主党へ
年金機構の内定者の取り扱いのほか、私が先に取り上げた八つ場ダム建設の入札停止、補正予算案の執行停止とその一部の復活など、緊急の課題が山積みのようです。
鳩山内閣発足、いきなりの大きな行政改革などやることばかりでしょうが、前記のような緊急の課題を先送りばかりしていては、内閣支持率と言うお祝儀相場の低下を招くばかりで済まないことになると思います。
ここは鳩山さんの敏速適格な政治判断が大きな今後の行先に大きな影響を与えそうな気がします。
・自民党へ
民主党の数々の首を捻る政策や、社民・国民新党の連立、権力の二重構造、鳩山・小沢両氏の資金疑惑などを不安だらけの鳩山政権の船出です。 (私の鳩山政権の抱える不安材料で数えて見たら20件ありました。)
野中広務さんはテレビで今の民主党の政策や鳩山政権の抱える問題をみれば「血湧き肉躍る」と言っていました。
自民党は落ち込んでばかりいないで、健全野党としてそして党を纏めるためにも、日本の行方を謝らせないためにも鳩山政権への攻撃態勢を整えて置くべきだと思います。
・マスコミ特に新聞へ
今日、例にあげた毎日新聞を見ると民主党の歳入庁案より自民党の日本年金機構案の方がよりすぐれていると思います。
テレビなどでは国会解散前後からかなり民主党の政策についての解説などして居ましたが、見落とすことのないまた報道量の多い、新聞などはより詳しく報道すべきだったと思います。(*注記)
鳩山政権成立間近になって、「実は」と言うように民主党の政策を批判したり、日本年金機構への内定者が1,000人以上もいるなど紹介しても、それを後になって知った国民の多くが民主党が議席を取り過ぎたと後悔しても後の祭です。
マスコミ特に新聞などは今回の大きな振れを生じさせたのは小選挙区の所為だ済ませずに、その報道の責任を痛感すべきだと思います。
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*注記:公務員の労働基本権を回復
国会解散後のテレビで公務員制度改革の説明をした民主党の人が、公務員の労働基本権を回復し、労働条件は民間と同様、交渉で決められるようにする(民主党政策集INDEX2009から引用)と言う話しを聞きました。
これは常識的に考えて、労働者側は給与などの交渉も出来る代わり、使用者側も労働者のリストラが出来る考え方によると思っていたので、支持母体に自治労を抱える民主党がまさかこの公約をするとはと半信半疑で、あるいは聞き違いかも知れないと思ったので、いくら私の小ブログでも間違ったことは書けないとその部分を削除しました。
そして公務員への団体交渉権付与の話の記事を読売と毎日で見つけたのは、つい2~3日前でした。
民主党の本音は当時の党員の人がテレビで言ったように、給与などの労働条件だけで、労働者の身分は今まで通りに保障することになるのではないかと思いますが、もし私の予想が当たっていれば「そんな馬鹿な」と言うことになります。
マスコミもこの点をもう少し追求すべきだったと思うのですが。