普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

政治家と官僚

2008-05-03 15:36:19 | 政策、社会情勢

 今、年金、医療や道路特定財源などの取り扱いで、正に福田政権の息の根を断つほどの大きな問題となっている。
 そしてそんな政府を困らせているのは、社保庁の役人の怠業や、道路特定財源の国土庁官僚の不正、または不適切利用の問題で、そこを野党に突かれて政府がぐうの音も出せない状態になっている。
 それで今日は政治家と官僚の問題について考えて見たい

[政治家と官僚の比較]
・立場
政治家:国民の投票で決められるので、立場は安定していない。
 極端に言えば人気商売だ。
官僚:一度就職すれば、余程の悪事をしない限り一生その立場は保証されている。

・専門分野の知識(以下例として厚生労働問題に絞る)
政治家:例えば竹中平蔵さんのように余程の学者で無い限り専門知識はない。
官僚:専門家(階級が上がる程厚生労働問題に関する広範囲の知識を持つ)
 従って政治家は専門性と政策の継続性を持つ官僚に頼るほかない。

・国民の意識の反映
政治家:一応国民からの投票で選ばれているので、代表と言うことになっているが、必ずしも、厚生労働問題について国民の付託を得ている訳ではない。
 宮崎県の東国原さんのように、いわば小企業の長、大阪府の橋下さんの様に中企業の長と違って、日本と言う大企業では、厚生労働問題に特化した国民の代表にはなり得ない。
官僚:厚生労働省のように国民の世話とか与えるばかりの省では、とかく国民から遊離した存在に成りやすい。
 同じような例が、補助政策中心の農林省、公共事業での地方支援政策中心の国土交通省であり、少し例が違うが日教組対策に全勢力を費やしてきた文部科学技術省で、例に上げた省は政府官庁部内ですら軽く見られている存在らしい。

[政治家が大臣となって仕事が出来るか]
・中途半端な知識で大臣となって(小泉さん、菅さん以来殆ど)厚い扉で遮られた大臣の部屋に閉じ込められて、後は下から上がってくる書類の決済だけでは事実上の仕事をした事にはならない。
・大臣のできることは、ほぼ完全に纏まった政策や法案の実行の可否の判断だが、それを「ノー」と言うには、相当の判断力と決断力がいる。
 そのため、民間委員を活用した諮問委員会が設けられるが、これを設けるのは官僚中心。
・大臣自身(厚生労働関係で今まではほぼ絶無)、首相の指示、または与党の立案した法案化を官僚に指示、野党から突き上げられた問題の処理の指示。
・官僚が準備した国会の答弁の資料を元に国会で答弁。
 官僚の気に食わぬことをすればこの資料作成で手抜きをされる危険性がある。
・省内事情を知るためのコミュニケーション
 大阪府の橋下さんのように部下との直接対話したくても、人員数が格段に違い、全国に拡がっているので、事実上不可能。

 これは私が現役時代に割合にしっかりした経営をしている民間会社で見聞したことだが、トップが自分の仕事をスムーズに進めるために、如何に部下の動静把握に苦心していたかを示す例として、外国出張前に恒例のトップへの挨拶を怠った人、外国の子会社での事故の処理のため、現地にきたトップの人の出迎えに代理の幹部をやった人が、いずれもこの様なくだらない理由で、普通の幹部候補でも子会社の重役で派遣されるところを、定年で即退社させられたことを聞いて呆れたことがある。

 小泉さんが首相時代に、社保庁の問題が発覚してその対策に実務の専門家の損保ジャパンの副社長であった村瀬清司さんを社会保険庁長官としてして招いたが、孤軍奮闘に終わり、実質的な対策を打てぬまま、今日の大きな問題の発展したことから判るように、政府官庁における僅か二人の素人の大臣と副大臣の力がいかに無力であるかが判る。

[対策]
国民に出来る事
 見識と決断力を持った人を選ぶこと、出身地域や団体の利益代表を自称する人を避けるなど以外に道がないのが残念だが、致し方ないことだ。
 今回の山口県の補選で投票した人達は自民党、民主党から示された候補に投票する他ない。
 選挙民は頼り無い自民、民主両党のうちどちらの候補者を選ぶ他に選択肢はない。
 私が言うのは多分正論だと思うが、これに従った投票した人はごく少数だと思うが、これは民主主義の理論から言えば、選挙民の責任だが、現実としてはそれを問えないと思う。
 そしてその結果は以後の政局に大きな影響を与えている。

政党で出来ること、やらねばならぬこと
・国家的見地から物事を判断すること
・党の末端組織を活かして、地方の状況の把握につとめ、真の国民の代表となるよう努めること。
・党員が真の国民の代表としての信頼を保たせるために、重要案件については党議拘束を外すこと。
 現在はこれと全く逆の運営で、党議拘束を無視した人達は何らかの罰則を受けるか、次の選挙で党幹部から小泉さんがやったように意地悪されている。
 その結果は国民の代表でなくて、党幹部の配下となっている。

与党の政治家ができること、やらねばならぬこと
・今の大臣、副大臣の他に、出来るだけ政府官庁の末端組織まで、何らかの形で若手を貼り付け(省によって異なるが、十数人程度)、法案の立案段階から参画させ、末端官僚などとのコミュニケーションをとること。
・現実を直視して官僚に思い切った仕事をさせること
 そして国民と離反させないために、地方の役所や民間企業との定期的な交流を図る。
・逆に政治家、官僚のやった仕事の評価をし、責任を追求するシステムを確立すること。
 特に官僚に対しては、不法に得た所得の返還、社保庁の役人のような人の背任行為で告発など、その地位の安定に甘んじないように緊張感を持たせる事。

もしご政治家と官僚に関係について興味のある方は下の資料も是非ご覧下さい。

参照:国会議員の選び方

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