裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

土戦争

2010年03月01日 17時10分25秒 | Weblog
エネルギーの有から無への一方的流れを説く「エントロピーの法則」を読んでてシリアスに恐くなってくるのが、陶芸材料の枯渇、ね。
「粘土なんて山を掘れば無限に出てくる」などという意見は、「石油は地球上に無尽蔵に隠されている」という半エコ学者のお気楽論に等しいです。
粘土だって、もちろん有限です。
ぼくが大好きだった茂木土は、実際に数年前に掘りつくされて絶滅してしまったし、備前の田土などは、有名どころの陶芸家氏たちが寄ってたかって買い占めてしまってろくなものが残ってないという話だし、土の最大の産地である瀬戸だって、掘りまくってじゃんじゃん輸出しすぎて(世界に名だたるいい土なのに、もったいない)枯渇目前というウワサもあります。
瀬戸においては「まだいい層があるんだが・・・」と言われてる敷地にでっかい病院が建っちゃってて、ついに万事窮したときには病院を取り壊そう、などという論がリアルに囁かれてます。
今ぼくは日がな一日、陶土を乳鉢で摺って白化粧土を調合してるんですが、この陶芸材料が手に入らなくなったら・・・と思うと、気が気ではありません。
そのときはそば打ち職人になろうかな、タタラは得意だし。(そういう問題でもないが)
ところで、過去の戦争の多くは、埋蔵資源の獲得合戦でした。
イデオロギーの違いだ、テロリズムとの戦いだ、と名目をつけたところで、しょせん手に入れたいのは化石燃料の眠る土地と使用権。
パイはどんどん小さくなる一方なので、イチャモンをつけては隣の席の取り皿に盛られた一切れにフォークを伸ばす、というシンプルな構造です。
最も近い未来に起きる世界戦争は、おそらく水の争奪戦である、という意見もあります。
水がまさか有限であるなんてことは、日本で暮らしてると考える機会がないんだけど、やはりこれも決められた量しか存在しません。
膨大な人口を抱える第三世界の振興国がお金持ちになり、テクノロジーと戦力を獲得し、交渉力を手にすれば、今まで独占してきた先行国に対して権利を主張するのは当然のこと。
またギスギスした暗い時代がはじまるんでしょうか?
・・・で、まあ、ぼくらの小さな世界の話にもどりますが。
平津長石をゴリゴリと摺りながら考えるのですよ。
こうして資源を調合し、窯に入れる度に、エントロピーは増大してるのだなあ、と。(大げさ)
限りある陶芸材料の争奪戦でギスギスするのはいやだなあ。
だから、せめて、一個いっこの作品に魂を込めて、喪失するものの価値に代替しうる「よりよきもの」をつくろうではないですか。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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