徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

奴らを止めるために/新横浜「安保関連法案地方公聴会」抗議行動

2015-09-18 03:45:47 | News


水曜日は新横浜で「安保関連法案に関する地方公聴会」の抗議行動に参加した。12時30分頃に新横浜プリンスホテル周辺に到着すると、正面玄関を中心に抗議の集団が固まり声を上げている。新横浜歩道橋にもびっしりと抗議のプラカードを持つ人たちが立ち並んでいた。
勿論ホテル内に出入りすることは可能だったそうだが、「中」の様子はTLなどで流れてくる以上のものはわからない。

ただ、もうこの公聴会抗議では、最初から「やるべきことがわかっている連中」の目的は決まっていた。歩きながら、また何人かで固まりながら言葉を交わして状況を探る。
公聴会の開始時点で抗議の中心になっている正面玄関ではない、プロテスターの集中ポイントは容易に共有された。
大型トラックが頻繁に出入りする搬入口の横にあるホテルの駐車場出口周辺(から正面付近)。それがプロテスターの集中ポイントだ。
公聴会の終了予定時間である15時前後から位置を確認するプロテスターの動きも慌ただしくなる。

それから30分ほど過ぎた頃、まずホテルの駐車場から猛スピードで黒塗りの車両が2台飛び出し、2車線の道路を直進していった。少々危険なスピードだ。
そして続く“黒塗り”が姿を現した瞬間に雪崩を打つようにプロテスターが車道に飛び出しシットインを始める。
警備に排除されても場所を移動しながらひたすらシットインを続ける。

ホテルの正面玄関前の6車線が今回のシットインの中心になった。
プロテスターが乗る一台の軽車両が議員が乗る車両の進路を遮るように、道路に対して垂直に止められ、その先には数十人のシットインの塊が形成されている。
そして一台の“黒塗り”が完全にシットインで行く手を阻まれた。
「あの車は蓮舫らしい」
そんな話を聞きながら、「強行採決絶対反対」を叫び、道路から引き剥がされるプロテスターの隙間を埋めるように座り込み、寝転んでいく。“蓮舫の車”ならば反対を叫ぶこともないのだろうが、仮に蓮舫ならば、尚更彼女に伝える必要がある。

そもそもこの新横浜での公聴会抗議がおそらくプロテスターによる直接抗議としては最後のチャンスになるだろうと思っていた。ぎりぎりのタイミングで設定されたアリバイ作りの公聴会が終わってしまえば、戦いの舞台は国会の「中」に移る。オレたちの代わりに戦わなければならないのは反対を表明する野党議員だ。
聞く耳を持っているとはとても思えない与党や偽装野党のボンクラ議員の奴ら以上に、彼らにこそ、オレたちが真剣に反対しているということを伝えなければならない。

断続的なコールと警備の怒号、そして止められてしまった一般車両のクラクションでホテル前の道路は騒然としか言いようのない状況になった。正面玄関前の歩道で整然と抗議を続けていた人たちも車道に飛び出し、シットインに加わる人も数多く現れた。
じりじりと押されながらシットインと警官と報道陣の塊は新横浜歩道橋をくぐり抜け、国道の交差点に飛び出していく。
オレを腕をねじり上げた私服の警官が叫ぶ。
「これぐらい遅れても全然影響ねえよ!」
オレも叫び返す。
「少しでも時間稼ぎたいからやってんだよ!」
警官に突き飛ばされたオレにぶつかったカメラマンは「危ねえな」と吐き捨てるように呟いた。最近オレのTLでは評判の良くない共同通信のカメラマンだった。
シットインは警備と揉み合いながら一時間ほど続いた。

民主党はオレたちの本気を目の当たりにして、以前よりは少し(もっと)真剣になったらしい。そして特別委員会の凶悪としかいいようのない強行採決は一日だけ引き延ばされた。

“黒塗り”が走り去った後、数百人のプロテスターは道路に広がり、「¡No pasarán !(ノー・パサラン=奴らを通すな)」をコールしながら、整然とホテル前に戻って行った。
昨年12月の特定秘密保護法案への抗議行動で、国会正門前に横断幕で掲げられたこの言葉が人々の口から叫ばれたわけである。
この数年の抗議行動が確実に連動し、経験と“言葉”が積み重ねられて、「普通」のデモクラシーの作法が浸透していることを実感した。この新横浜での抵抗はそれを実証できたと思うのだ。
それは海外ニュースの光景のようでもあり、まるでドラマのワンシーンのようでもあった。またそれは自分たちを鼓舞するような叫びであっただろう。ほんの少しの間だけの高揚感だから許して欲しい。
その場所から多くの人がまだシリアスな抗議が続く国会正門前へ向かった。

国会は今日一日緊迫化し、最大の山場を迎える。そして正門前では「中」の人をサポートすべく最大の抗議行動が行われる。状況は行動の転換が行われるかもしれない重大な局面に入った。
国会正門前の最前線に張られる規制線と悪戯に揉み合うよりもやるべきことがある。一人ひとりがひとつのことを考え、また「次のこと」を考え行動する時だ。

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