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マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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今里の蛇巻き

2006年06月29日 07時48分13秒 | 田原本町へ
毎年6月第一日曜、田原本町今里の杵築神社で行われる「蛇巻き」は大和平野部で見られる子供が主役で祭典される野神行事です。

ハダカムギで作った長さ18mの蛇を満12~15歳の頭持ちが先頭を担ぎ、地区を練り歩きます。

巡行する前、参拝者や見物客に当屋が用意したモチ米のスエで括ったワカメの味噌汁が振舞われます。

蛇巻き行事は農作物の豊穣を祈り、男子成人を祝い大人への仲間入りが認められる農耕儀礼のひとつ。

蛇は地区を巡行する途中で、突然暴れ出し周囲にいる者を巻き込みます。

巻かれると一年を無病息災で過ごせるというが逃げ回るのが精一杯。

南や北へ地区を練り歩いたあと再び同神社へ戻ってくると、境内祠の「八代龍王」さんの大きな榎木にとぐろを巻くように蛇を巻きつけます。

下には蛇作りで使われた女竹と樫の木枝を一緒に巻きつけていきます。

祠に牛と馬を描いた絵馬やミニチュア農耕具と洗い米、神水、塩、スルメを供え、灯明を灯します。

陽が落ちる頃、一同は地区の平和と繁栄を祈り、豊作を祈願して一連の行事を終えます。

蛇を同神社境内の榎木に納めるようになったのは戦後のこと。

それまでは同神社の北東方の地区の外れにあった一本木だったのですが、台風で倒れたことと宅地化が進むにつれ移設されています。

なお、旧地は今でもハッタはん、野神さんとも呼ばれています。

(H18.6.4 Kiss Digtal N撮影)

鍵の蛇巻き

2006年06月27日 07時52分29秒 | 田原本町へ
田原本町鍵の八阪神社で行われる「蛇巻き」は旧暦5月5日の端午の節句に行われる男の子の行事で、大和平野部で見られる子供が主役で祭典される野神行事です。

昭和55年からは毎年6月第一日曜に祭事されています。

蛇巻きは、巡行道で蛇綱を持つ子供らが引き合い儀礼を繰り返し、途中で蛇を見物客を蛇で巻き付ける行為があったことから呼ばれていましたが、現在は引き合いだけになっています。

午前中に作られる2mあまりの大きな頭の蛇綱は龍神を表わし、稲作田植えの時期に恵みの降雨を祈る象徴。

栽培したムギを刈り入れる時期に行われるこの行事は大昔には「野麦」行事とも呼ばれていました。

蛇巻き巡行はオヤ当屋の家、男子誕生の家、嫁さんを迎えた家、新築の家を回って「おめでとー」と、ドサン箱と呼ばれる祝い膳をぶら下げた長い竹を戸口に突っ込んでいきます。

ドサン箱の中には樫材で作られた農具のミニチュアが収められています。

地区外れの「はったはん(八王子)」に着くと、蛇頭を榎に巻きつけ納め膳を供えて神職とともに礼拝して終わります。

(H18.6.4 Kiss Digtal N撮影)