マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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峰寺の奉納宵宮ジンパイ

2012年12月22日 10時04分48秒 | 山添村へ
かつては豊田楽人と称していたガクニンたち。

これより六所神社に向かう。

お渡りをしながらも鳴り物を奏でるのである。

今年の当家は六所神社から随分と離れている。

山間を通り抜ける旧道は急坂。

息切れするような急な坂道の道中である。



ピィピィピィーホーホヘ、トンートントン、ポンーーポンポンの鳴り物三音がこだまする。

およそ25分の行程であったお渡り。

歩数計を示したのは3500歩であった。

六所神社に到着すれば鳥居下で横一列になってジンパイ。

清めの手水をしてもう一回。

そして石段を登る。

拝殿の前で拝礼をするとともにジンパイをする。

峰寺の史料によればジンマイ(神舞)とあるが、一老の話ではジンパイ(神拝)であったかも知れないという。



三カ大字の宮総代らが集まっている長屋(会所とも)の参籠所へあがる。

菰を敷いた席に座って頭を下げる。

「宵宮でお渡りしました」と挨拶、口上を述べてから肴とお酒が運ばれる。



肴の料理は鶏のカラアゲ、カマボコ、コーヤドーフ、コンブ巻きに大きな豆の五種。

現在は鶏のカラアゲだが以前はそうでもなかったようだ。

2本足の鳥獣と決まっているが調理法には決まりがないという。

かつての調理がどのような形態であったのか記憶にないと話す村人たち。



酒を飲むなどしばらくは宮方の慰労の時間。

神酒をいただき、一同は「ご馳走さまでした これよりジンパイ(神舞)をさせていただきます」と伝えて披露する。

これも神事における一連の作法であろう。

こうして三村の宮方に披露をされたあとは拝殿に登った。

中央を空けて着座した楽人たちは神舞の儀式に移る。

拝殿に座る楽人の位置は決まっている。

神さん側から見た順に右から二人のヒワヒワと二人のグワシャグワシャ。

左側には太鼓、二人の笛、鼓となる。



当家の家で練習を重ねてきたジンパイ。

ヒワヒワ、グワシャグワシャ、鼓の三役は心を込めて神さんに奉納する。



拝殿前で一列になって仕舞いの豊田楽を奉納した。

こうして宵宮の奉納を終えた楽人たちはお渡りをしてきた山道を戻っていく。



鳴り物を鳴らして作法をしながらの帰還である。

当家に着けば廊下側から上がる。

決して玄関からは入らないのだ。

その夜は当家がもてなす夜の膳。

慰労を込めて盛りつけられた膳で会食する。



饗応される夜の膳はエノキの梅和え、コンニャクの刺身、生姜添えの茄子田楽、蓮根・海老芋・舞茸・シシトウの精進揚げ、博多高野・三度豆の皿、ソーメンと南京の汁椀、香物、果物だ。

酒を配るのは当家の親戚筋。

接待役をドウゲ(堂下)と呼ぶ。

お酒がはいって歓談の夜は盛り上がる。

(H24.10.14 EOS40D撮影)