マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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鴨神申講山の神

2008年01月19日 08時23分22秒 | 御所市へ
12月に入ったころ、金剛山から吹き降ろす風は冷たく顔にあたる。

例年なら雪が舞うといわれる今日は山の神さんを奉る日。

佐味郷のひとつである御所市鴨神郷の大西垣内で今も行われている山の神の祭礼は12月の最初の申の日。

昔は近隣垣内の二ヶ所もあったそうだが衰退したという。

昼過ぎたころ、20軒で営まれている申講の方々が集まってくる。

今年の当家さんは52歳。

この時期、子どものころは山へ行ってシバを刈りにいってたけど山の仕事がなくなり山へも行かんようになって荒れたもんじゃとおっしゃる。

山の神祭は小学生男子が地区のお家に行ってコメやアズキを集めることから始まる。

今年、4人の子どもらは「やまのかみの、おろおろー」と言って「御供集め」に回る。

もらってきた御供は大釜で炊いて山の神に供えるアズキメシ御供を作っていく。

アズキメシに塩を茶椀1杯、お酒少々入れて炊きあげます。

薪をくべて火の調整をみながら2時間ほどかけてできあがる。

炊きあがったアズキメシ御供は御櫃に入れて祭礼に持っていく。

笹御幣を持つ当家を先頭に御膳神饌持ち、御櫃持ちが続く行幸渡り。

笹御幣には農具ミニチュアのクワ、マンガン、カラスキと山仕事具のカマ、ゾウリが括り付けられている。

御膳は洗い米、塩、生サバに季節の野菜と果実。

一行は麓の旧道を歩き山の神の祠を目指して歩く。

道中、「やーまーのかみのー、おろおろー」と唱和しながら向かっていく。

到着すると、灯明に火を灯すと手を合わせて祠の前で大祓えの唱和。

山の仕事の安全や豊作に感謝する祈りを捧げる。

祭典を終えると供えたアズキメシ御供を手で受けていただく手御供(テゴク)の儀式。

道中で唱えられる「おろおろー」の意味は判らんとおっしゃる講衆ら。

私説になるが六甲オロシや生駒オロシなどと同じように金剛オロシからきたものであろうと思われる。

祭礼が終わると待ちかねていた地区の方々はお重や椀鉢を持って大釜に集まってくる。

これをいただくのが楽しみなんじゃと山盛りのアズキメシに顔がほころぶ。

(H19.12. 4 Kiss Digtal N撮影)