本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

安全な妄想

2014-11-15 10:22:28 | Weblog
■本
100 安全な妄想/長嶋 有
101 メリットの法則 行動分析学・実践編/奥田 健次
102 世界の果て/中村 文則

100 長嶋有さんのエッセイ集です。相変わらずのトリビアルな視点満載です。出版社からの贈り物を口に合わないから送り返す話や餃子パーティーやサイン会が嫌いな話など、普段はゆるい感じの長嶋さんが、自分のこだわりに合わないものに対しては、思わぬ行動力や強い意志を示していて笑えます。ジャパネットの放送に対する詳細な考察はこの本のハイライトで、僕はネットで出演者を画像検索しながら楽しみました。東日本大震災をテーマにした短い文章など、さりげない中に独特の優しさとセンスが垣間見られて、小説家が物事を切り取る引き出しの多さに感心させられます。

101 いろんな問題行動を心の問題ではなく外部のインセンティブの問題として考える、行動分析学のエッセンスがとてもシンプルに理解できます。問題行動の背景はその行動をすることにより、「メリットがあるから」もしくは「デメリットが減るから」、逆にある望ましい行動をしないのは、「メリットが減るから」もしくは「デメリットが増えるから」という視点で分析し、それぞれのメリット、デメリットの出現(消失)を逆にすることにより、行動を変えていこうという理論とその実践例が書かれています。人間をメリット、デメリットのみで反応する反射的な存在ととらえている面もあり、人間は複雑な存在と考える心理学などからの抵抗は大きそうですが、使い方によっては効果を発揮するような気がします。ただ、この考え方を万能なものとしてとらえるのではなく、一手法としてケースバイケースで用いるのがよいという印象を受けました。

102 中村文則さんの短編集。いつもどおり、生や悪をテーマにしたテンション高く内的葛藤を描く作品が続きますが、珍しく、ナンセンスなユーモアが含まれている作品も収録されています。その試みは必ずしも成功しているとは言えないですが、この作品のあと「掏摸」や「悪と仮面のルール」といった文学性とエンターテイメント性が同居した、筆者独自のジャンルを切り開く作品を続々と生み出していることを考えると、以後の飛躍に備えた実験作的位置づけの作品と考えてもよいと思います。


■CD
57 25/電気グルーヴ
58 日出処/椎名 林檎

57 電気グルーヴの25周年ミニアルバムです。子どもと一緒に聴けないキワドクも馬鹿馬鹿しい歌詞がテクノの心地よいビートに乗って展開されます。円熟とは無縁のパチモン感がたまりません。特に新機軸はないですが、続けることの大切さ、強さを感じます。ミニアルバムだと少し物足りないので、次はフルアルバムを聴きたいです。

58 スタイリッシュな作品や猥雑な作品が入り混じりごった煮的な印象ですが、エンディングのキラーチューン「NIPPON」、「ありあまる富」へと盛り上げていく構成が素晴らしいです。和の歌謡曲的テイストと洋楽的なロック要素も絶妙なバランスで、いろんな意味でハイブリッドなサウンドが楽しめます。


■映画
76 エクスペンダブルズ2/監督 サイモン・ウェスト
77 STAND BY ME ドラえもん/監督 八木 竜一、山崎 貴

76 ストーリーはあまり考えずに各キャラをいかに立てて、アクションシーンを格好良く、爆破シーンを大迫力に描くことに特化した割り切りが心地よいです。もうちょっとヒロインが魅力的ならよかったのですが、ここまで大スターを集めたら予算がそこまで回らなかったんでしょうね。シルヴェスター・スタローン、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーの3人が並ぶラストシーンを見るだけでも価値があります。チャック・ノリス演じるベテラン傭兵もいい味を出していました。

77 泣かせようと言うあざとさは随所に感じますし、しずかちゃんも男性観客に媚び過ぎな気がしますが、原作のよいところに独自のアレンジを加えつつ、CGや3Dの特徴も効果的に用い、非常に計算された作品だと思います。「三丁目の夕日」のスタッフが参加しているだけあって、バブル前の1970年代(だと思います)の町並みがとてもノスタルジックに描かれているところも、制作側の思惑に乗りたくないと思いつつも、その時期に子ども時代を過ごした人間としてはジーンときてしまいます。未来のシーンで「パナソニック」や「TOYOTA」の看板がやたらと出ていることも含め、商業主義が見え隠れしつつも、それを上回る企画力、演出力で力ずくで感動させられる作品です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ニンフォマニアック Vol.2 | トップ | 悪と仮面のルール »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事