本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Lemonade

2017-02-25 09:13:20 | Weblog
■本
15 ヒザ・腰・肩の痛みは自分で消せる!/中野 ジェームズ 修一

 首の痛みがいっこうになくならないのと、先週の京都マラソン対策で身体の動きについて興味を持ったので、この本を読みました。膝、腰、肩、首それぞれの仕組みを丁寧に解説してから、それぞれの痛みを軽減するために意識すべきことや、すぐにできるエクササイズを教えてくれるので体系だって理解することができます。ただ、身体の仕組みの説明文章は少し高度なので、私のような知識が乏しい人には、ちょっと取っつきにくいかもしれません。エクササイズの説明も、文章とイラストが別のページにあるので少し実践するのに苦労します。身体の仕組みをきちんと理解した上で、負担の少ない適切な動きを実践していくという組み立ては志が高く、いわゆるハウツーもののエクササイズ本とは一線を画しています。


■CD
15 Lemonade/Beyoncé

 先日のグラミー賞で、アデルの「25」と並ぶ高い評価を得ていた作品なので聴いてみました。これまでの、ポップでゴージャスなビヨンセのイメージを覆す、非常に硬派で真摯に音楽と社会に向かい合った傑作です。鬼気迫る熱唱が胸を打ちます。ジャック・ホワイト、ザ・ウイークエンド、ジェイムス・ブレイク、ケンドリック・ラマーといった、ロック、エレクトロ、R&B、ヒップホップの最先端のアーチストとガッブリ組んだ、同時代性溢れる楽曲の数々が楽しめます。逆に、そのあまりにも時代を反映している点が、真っ向から愚直に楽曲のクオリティの普遍性を訴えかけたアデルの作品と比較された際の、グラミー賞での評価の分かれ目だったのかもしれません。しかし、この作品も将来的には間違いなく、ビヨンセの最高傑作と称されるべき作品だと思います。


■映画
12 LIFE!/監督 ベン・スティラー

 コメディとヒューマンドラマが組み合わさった抑制の効いた脚本に、それと対照的なダイナミックな映像(突如挿入される主人公の妄想シーンや中盤以降の大自然の描写は見事です)という、ちょっと類似作が思いつかない独自性の強い作品で好感が持てます。アーケイド・ファイアなど、作品中に使われている楽曲も映像にマッチしていて僕好みです。平凡な会社員が、あるきっかけで世界への冒険に踏み出すシーンも感動的です。ただ、それだけにもう少しいい作品にできたのでは、という残念な印象も残ります。妄想部分は徹底的にエキセントリックに描き、現実部分はリアリティを追求するというメリハリをもってつけてよかったのでは、という気がします。そういう面では、あまりに戯画的に描かれたリストラ担当マネージャーや、主人公とカメラマンが面識がないのに、過去に交流したことになっている(ネタバレになるので、これ以上は触れないでおきます)、非現実的なストーリーは少し興ざめでした。ベン・スティラーが、とてもいい演技をしているのに、監督としてのベン・スティラーがそれをうまく活かせていないのも、もったいないです。
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随筆集 一私小説書きの独語

2017-02-18 11:24:09 | Weblog
■本
12 随筆集 一私小説書きの独語/西村 賢太
13 非常識マラソンマネジメント/岩本 能史
14 【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド/斎藤 昌義、大越 章司、渋屋 隆一

12 タイトル通り西村賢太さんの随筆集ですが、新聞や雑誌に掲載されたものや、他者作品の解説、自作品のあとがきなども収録されていて、ごった煮的な作品です。そんな中、未完には終わっていますが、冒頭に収録されている連作自伝エッセイは、私小説での西村賢太さんの過去の振り返りとはまた違った味わいで、ファンにとっては興味深いと思います。それにしても、映画化された「苦役列車」がよほど気に入らなかったらしく、繰り返し不満が語られているところもまた西村賢太さんらしいです。

13 京都マラソン直前だったので、前日の過ごし方や当日のレースマネジメントが書かれたこの本を読みました。「レース前日は『歩く』も『立つ』も極力しない」や「ゴールタイムの5時間前まで食べ続ける」など、タイトル通り一見「非常識」に思えるアドバイスもありますが、どのサプリメントを飲めばよいかなど提案内容が具体的でわかりやすく参考になります。ホノルルマラソンや東京マラソンのレースマネジメント方法が具体的に書かれているので、両レースにまだ出場したことのない私にとっては夢が広がりました。巻末に筆者が言われているように「これなら自分にもできそう」と思えるところから取り入れていけばよいと思います。取り合えず私は、前日に「経口補水液」でウォーターローディングすることと、レースに「BCAAサプリメント」を持っていくことから始めようと思います。

14 タイトル通りITの各要素を1枚の図解とともにわかりやすく解説してくれる本です。2015年に出版された本なので、さすがに「最新」ではないものもありますが、今のITの流れを俯瞰的に体系だって学べるよい本です。斎藤昌義さんの他の書籍と同様に、収録されている図解のパワーポイントデータを自由に活用できるので、社内啓蒙等にも役立ちそうです。難解なIT技術を、どのように図示すればわかりやすく説明できるのか、を考える上でも参考になります。


■映画
11 裏切りのサーカス/監督 トーマス・アルフレッドソン

 イギリスの諜報機関MI6を舞台にしたスパイ映画です。主演のゲイリー・オールドマンを筆頭にベテラン俳優の安定した演技が支える
重厚な世界観は嫌いではないのですが、なにぶん登場人物が多すぎるのと時代や舞台の転換が多すぎて、ストーリーについていくのに苦労しました。この不親切さも作品世界の一つなのでしょうが、その代償としてソ連からの二重スパイが誰かがわかったときの爽快感に欠け、謎解きのカタルシスというサスペンス映画の一番の醍醐味が味わえなかったのが残念でした。
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あん

2017-02-12 10:38:12 | Weblog
■本
10 だから日本はズレている/古市 憲寿
11 サブカル・ニッポンの新自由主義/鈴木 謙介

10 タイトルに象徴的なように、相変わらずの挑発的な文体ですが、「『ソーシャル』に期待しすぎるな」(ソーシャルメディアと相性がいいのはせいぜい数千から数万の顧客を対象にする業界で、すみ分けはできてもマスメディアの代替とはなり得ない)、「『若者』に社会は変えられない」(社会を変える「権力」や「財力」を持っているのは老人だから)など、極めて正論な主張が多いです。「若者」と「おじさん」の世代間対立を煽るわけではなく、それぞれの固定観念を軽妙な語り口でロジカルに解きほぐしていく手腕も見事で地頭の良さを感じます。古市さんがいろんなメディアに重宝がられているのも納得の内容です。

11 引き続き私の中で社会学ブームが続いているため、古市さんの「古市くん、社会学を学び直しなさい!!」の中で紹介されていたこの本を読みました。サブタイトルの「既得権批判が若者を追い込む」にある通り、若者が正社員など既得権を批判することが、逆に自分がその既得権側(それは正社員といった経済的に明らかに優位な立場だけでなく、フリーターでも定職があるだけましとして、わずかな優位性だけでも既得権側になり得る)になった際に批判される側に回るという、批判の無限ループが生じることに警鐘を鳴らしている本だと私は読みました。そのための処方箋の一つとして、希少資源を奪いあうことのない、サブカルチャーを通じた交流に活路を見出しているように私は理解しました。私の読解力不足のため、どこまで正しく著者の主張を理解しているかは自信がありませんが、新自由主義の競争環境のため過酷な環境に置かれる若者に対して、過度な自己啓発や他者批判を超えた処方箋を提示しようとしている試みは評価されるべきだと思いますし、かすかながらも今後に対する希望に溢れた本だと思います。


■映画
10 あん/監督 河瀬 直美

 河瀬さんの作品はどちらかと言えば、日本の美しい自然描写で圧倒するタイプの難解な監督というイメージでしたが、この作品は郊外の桜並木など映像の美しさはもちろんのこと、脚本や俳優陣の演技もすばらしく、わかりやすくも奥深い素晴らしい作品です。時にクドく感じられる樹木希林さん独特の演技も、この作品では程度に抑制が効いた絶妙のさじ加減で、見事な演出だと思います。永瀬正敏さん演じるどら焼き屋店長や、そこで働く樹木希林さん演じるあん作り名人のミステリアスな過去で引っ張っていくストーリー展開も見事です。ハンセン病問題という難しい題材を、過度に感情的にならず、真摯な目線で描かれている点も好感が持てます。
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未来を味方にする技術

2017-02-04 09:52:34 | Weblog
■本
8 不愉快なことには理由がある/橘 玲
9 未来を味方にする技術/斎藤 昌義

8 橘さんお得意の進化心理学、進化生物学の知見をベースにした社会評論集です。ベストセラー「言ってはいけない」と対になる作品ですが、「週刊プレイボーイ」に連載されていたものということもあってか、挑発的でかつ読みやすいです。「スモールワールド」、「バタフライ効果」といった筆者の主張を裏付ける重要なキーワードの掘り下げが少し甘い気もしますが、難しい概念をわかりやすく論理的に説明してくれる知力には感嘆します。「不愉快なことには理由がある」というタイトル通り、受け入れにくい主張も多いですが、「みんなと違う視点を提供して意見の多様性に貢献する」という筆者の志には共感できます。

9 ITとビジネスの関わりをわかりやすくまとめて下さっているよい本です。AIやIoTといった、バズワード的に使われている技術それぞれについても丁寧に説明されていますが、それよりも、それらの組み合わせにより、どのようなインパクトが社会やビジネスに与えられるかについて俯瞰的な視点で書かれているところが素晴らしいと思います。自動車配車ウェブサイト「Uber」やコマツ社の建機の稼働状況を知るIoT技術「コムトラックス」など、取り上げられている事例は目新しくはないですが、事例の目新しさを競うのではなく、それぞれのサービスがどのような課題を解決するために考えられたかについて、深く考察されているところも参考になります。本の中で使われている図表をパワポ形式でダウンロードでき、自由に使うこともできるので、仕事上でも役に立ちそうです。


■映画
9 REDリターンズ/監督 ロベルト・シュヴェンケ

 一作目を観ていたつもりが実は観ていなかったのですが、それでも十分ついていける既視感たっぷりの気楽に観れるアクション作です。ブルース・ウィリスはいつものどこかとぼけたタフガイを楽しそうに演じていますし、ジョン・マルコヴィッチやアンソニー・ホプキンスという名優が、あえてリラックスして安っぽい演技をしているのも新鮮です。オスカー女優のヘレン・ミレンが、下品な狙撃手を演じているのも見どころです。豪華俳優とB級全開の安っぽいシナリオとのミスマッチがたまりません。
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