本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

モテキ

2011-11-28 06:16:18 | Weblog
■本
94 ソーシャルシフト/斉藤 徹
95 顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説/トニー・シェイ

94 ソーシャルメディアの普及により、個々人がつながり情報発信力も高まった時代で、企業がどのようにコミュニケーションし、組織をつくり、そして、自身を変えていかないといけないか、について書かれた本です。マーケティングの観点だけでなく、企業戦略や組織論としても書かれている点が特徴的です。逆に言えば、ソーシャルメディアの普及により企業のさまざまな活動が明らかにされるようになった時代では、マーケティング(特にコミュニケーション)の小手先のテックニックだけでは通用しなくなり、企業の本質が問われるようになったと言うことだと思います。とにかく事例が豊富でそこだけでも読む価値があります。結構部厚い本ですが、読みやすい点もよいです。

95 ビジネス書を読んでワクワクしたのは初めてです。お勧めです。トニー・シェイさん天才です。(普通9歳で起業しようとは思わないし、小学生で実際に儲けているのもすごいですし)。まず、読み物として面白いです。一人の若者が起業して多額の売却益を得るという成功をおさめ、その後成功者特有の罠にはまりつつも、ザッポスという別の会社を起業。紆余曲折がありながら、会社を軌道にのせるまでのサクセスストーリーにひきつけられます。映画化されるのではないでしょうか?ザッポス独自の企業文化やコア・バリューが現状のようなものになるまでの過程も参考になります。レイオフをした事実にも触れ、きれいごとに終わっていないところも納得感が高いです。誰もザッポスのような会社は作れないし、単純に真似してもうまくいかないと思いますが、実現したい価値に対して、会社のさまざまな要素に執拗なまでに一貫性を持たせる重要性を学んだ気がします。個人の人生を生きる上でも役にたつ知見だと思います。最後は幸福論にまで踏み込んでてんこ盛りの内容でした。感心するだけでなく、自分の行動を変えないと意味はないということはわかりつつ、いろんな気づきを与えてくれる良書です。


■映画
53 プラダを着た悪魔/監督 デイヴィッド・フランケル
54 モテキ/監督 大根仁

53 今読んでいる内田樹さんの本に少し引用されていたので録画したままだった本作を観ました。メリル・ストリープ怖すぎ。テレビの吹き替え版で観たのですが、夏木マリさんの吹き替えもその怖さに拍車をかけていました。アン・ハサウェイもなかなか健気なよい演技をしています。「マイ・フェア・レディ」や「プリティ・ウーマン」のように、野暮ったい女性がある人の影響により、次第に洗練されていく過程が描かれていますが、その影響を与えるのが男性ではなく悪魔のような女性であるところと、その洗練が主人公の幸せにつながっていないところが新しいです。意外と後味も悪くなく、思ったよりも楽しめました。

54 すごく面白かったです。作中でかかる音楽全てがツボで、特にフィッシュマンズとくるりがかかったときは鳥肌がたちました。Perfumeが突然登場してミュージカル風になるところも、楽しくて心踊りました。改めて自分がサブカル側の人だと再認識しました。そのサブカル描写と長澤まさみさんの露出度の高さが話題のようですが、個人的には麻生久美子さんの映画だと思いました。「神聖かまってちゃん、とかyoutubeで聞いて勉強するから~」と泣き崩れるシーンやふっきれたように牛丼を貪り食べるシーンが最高です。あと、リリーフランキーさんはこういう、残酷なのかやさしいのか、いい加減なのか真摯なのかわからない、わけのわからん大人をやらせると本当にうまい(地なのかもしれませんが)。男の醜い情念が全開の描写とフェスとか仕切って人望もありもてる男から、悶々と生きているイケてない男が、美女を奪うというありえない展開が爽快でした。
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Five Leaves Left

2011-11-19 07:07:58 | Weblog
■本
92 フェイスブック時代のオープン企業戦略/シャーリーン・リー
93 うほほいシネクラブ/内田 樹

92 フェイスブックやツイッターなどのソーシャルテクノロジーを企業戦略にどう組み込んでいくか、について書かれた本です。どちらかと言えば経営層、マネジメント層向きに書かれた本で、とっつきにくい面もありますが、実例や具体的も豊富で参考になります。特に、オープン化の費用対効果を測定するところは、米国のコンサルはこういう風に数値をでっちあげるのか、と言う面で参考になりましたし、ソーシャルメディアのガイドラインの作成方法についての解説は非常に具体的で参考になりました。後半の組織文化やリーダーシップについては、特に目新しい指摘はないですが、要は、Web2.0時代にふさわしく、「素早く上手に失敗する」ことを許す組織やリーダーシップが必要、ということだと思います。

93 内田さんの映画評論集です。取り上げられている映画が非常に多く楽しめました。映画を観るときの視野が少し広がった気がします。一つ一つの映画を短い文章で論じる内容が大半なので、興味のある作品に関する部分から読んでいっても楽しいです。一方、小津安二郎さんの監督作について、深く考察されている章もあり、読み応えもあります。僕も観る映画のジャンルを選ばない方なので(評判の高いものから駄作と言われるものまでそれほどこだわりなく観ますし、それなりに楽しめます)、本書で取り上げられている作品の7割くらいは知っていて、より楽しめました。ただ、「冬のソナタ」に関する部分は全くちんぷんかんぷんでした。


■CD
72 Part Lies Part Heart Part Truth Part Garbage 1982-/R.E.M.
73 Five Leaves Left/Nick Drake
74 Torches/Foster the People

72 先日解散を発表したR.E.M.のオールタイムベスト盤。R.E.M.の作品は全て持っているのですが、未発表曲が3曲あるということで、購入しました。その未発表曲ですが、30年以上の活動を感傷的に振り返るドラマチックな曲ではなく、結構あっさりとした曲ばかりで、そこがまた、R.E.M. らしいです。「We All Go Back to Where We Belong 」もタイトルこそ意味深ですが、曲調はすごくほのぼのとしていて、何かをやり遂げた人たちが持つ、爽快感が伝わってきます。全編を通して、捨て曲なしで、R.E.M.を聴いたことのない人にも是非聴いてもらいたいです。2枚組みなので輸入版だとすごく安いですし。解散が本当に惜しまれます。

73 今年は秋の夜長にNick Drakeに浸りまくっています。全3作のうち唯一持っていなかった本作も購入しました。Nick Drake作品の中では、比較的楽曲がバラエティに富んでいて、バランスが最もよい気がします。その分、狂気と言うか毒気は若干少なめな気もしますが、それでも(だからこそ?)、その作品の持つ世界観に一気に引き込まれていきます。心が静かになるのですが、妙に力も漲ってくる魔法のような作品です。

74 ヒットシングル「Pumped Up Kicks」をラジオで聴いて気になっていたので買いました。HIPHOP、ソウル、カントリーが中心の現在の全米チャートで、たまに出てくる、真っ当なポップソングということでも注目していました。シングル曲だけでなく、全編を通じて楽曲がとてもキャッチーで素晴らしいです。音としては、今風のペラっとしたエレクトロニックなダンスチューンが中心なのですが、何か独特のメロディセンスを感じます。今年、発売された作品では一番好きかもしれません。


■映画
52 マネーボール/監督 ベネット・ミラー

 資金力の劣るメジャーチームのGMがチームを再生していく、という地味目の題材を、主演のブラッド・ピットのオーラが見事に補完して、一流のエンターテインメント作品となっています。数値をベースにした分析で主人公を補佐する役のジョナ・ヒルも、コミカルとシリアスの間の絶妙の演技で、作品のクオリティを上げています。主人公の娘(これまた絶妙の容姿と歌唱力)以外メインキャストに美人女性が全く出てこないのはこの種の映画では珍しく、(例えば、トム・クルーズの「ザ・エージェント」は若手時代のレニー・ゼルウィガーが花を添えています)変な恋愛話が出てこない分、ストーリーがぶれなくて好感が持てます。主人公が完全に成功しきっていない、という点もうそ臭くなく(事実に基づく話なので当然ですが)僕好みです。お勧めです。

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Dummy

2011-11-13 06:39:02 | Weblog
■本
91 期間限定の思想 「おじさん」的思考2/内田 樹

 内田さんの時評エッセイ集。例によってトリッキーな語り口とそのバックに垣間見える膨大な知識に圧倒されます。第一章の女子学生と内田さんの会話形式の文体は、個人的にはあまり好きではありませんでしたが、今のユルイ師弟関係ってこんな感じなのかしら、と興味深くもありました。コミカルな語り口ですが、就職難や日本の官僚の劣化、など、かなり悲観的な論調も目立ちます。「家族の持続期間」という考え方は衝撃的でした。でも、賞味期限があるからこそ、その時間を慈しめる、というのも事実だと思います。うちの息子達も18~22あたりで家から追い出そうと思いました。


■CD
70 Dummy/Portishead
71 Graceland/Paul Simon

70 暗く陰鬱で美しい作品。朝聴いたら会社行く気がなくなりました。秋の夜長に浸りたいときに聴くべき作品だと思います。Massive Attackと合わせて語られることが多いですが、Massive Attackが曲全体の完成度で勝負しているのに対し、Portishead
は女性ヴォーカルの声をいかに活かすかに力点を置いている気がします。また、Massive Attackが時代の先端を目指しているのに対し、Portisheadはあえてレトロな雰囲気を狙っているとも思いました。個人的には、Massive Attackの革新性の方が大好きなのですが、この作品も繰り返し聴きたくなるような魅力に溢れています。ただ、いろんなやる気は本当になくなるので使用上の注意が必要です。

71 文句なしの名盤。80年代にアフリカンテイストの楽曲が注目されましたが、その最高峰に位置する作品だと思います。一筋縄でいかないメロディラインも心地よく、ポール・サイモンの卓越したポップセンスが、他の作品以上に発揮されているという意味でも、素晴らしい作品です。


■映画
51 21グラム/監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

 「生命」という重いテーマを重厚な俳優陣で描いた重い映画です。メインキャスト3人のエピソードを短く切り刻んで、時間軸を無視して配するやり方に賛否が分かれそうですが、重いテーマに観客が離脱させないという意味では効果的だと思います。希望も救いもないエンディングは、観る側に容易な結論付けを許さず、いろいろと考えさせられます。ショーン・ペンもベニチオ・デル・トロも鬼気迫る演技をしていて凄いですが、個人的にはナオミ・ワッツの演技に一番ひきつけられました。
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ザッポスの奇跡

2011-11-06 05:59:33 | Weblog
■本
89 ザッポスの奇跡(改訂版)/石塚 しのぶ
90 ソーシャルメディア・ダイナミクス /斉藤徹、 ループス・コミュニケーションズ

89 単に超顧客主義思考の会社の話だと思っていたのですが、読み始めるともっと深く考えられていて、とても興味深かったです。社員の自立的な活動を促進するために、どのようにソーシャルテクノロジーを使って成功しているか。について書かれた本だと思っていましたが、権限委譲やソーシャルテクノロジーは「WOW(驚嘆)のサービス」を届け「顧客と個人的かつ感情的なつながり」を築くという目的を達成するための手段に過ぎないことがわかりました。その目的を達成するために、企業文化、人事、教育、さまざまなインセンティブ、システム、テクノロジー、などなどが徹底的に考えられていて、その凄まじいばかりの一貫性に凄みを感じました。この目的を達成するためには、広告よりも社員の人的サービスに投資する方が合理的(この考え方を可能にしたのがソーシャルテクノロジーの普及にあるのですが)、とザッポスが考えている点もユニークです。選択と集中、自分たちが何が得意で何をしたくないか、という点に常に意識的だあることの重要性を学びました。いろんなきづきを与えてくれるよい本です。

90 ソーシャルメディアに関する日本での第一人者の一人である斉藤徹さんと、彼の率いるループス・コミュニケーションズ
社員の皆様が書かれたソーシャルメディア活用の参考書的本。個人的に筆者が章ごとに変わる本を読むのが苦手なので、かなり読了するのに苦労しましたが、この種の本でよく語られる、コンセプトや運用の話だけでなく、システム構築面まで踏み込んだ解説がなされていて参考になりました。この分野で必要な知識がほぼ網羅的に書かれているので、気になった章だけを先に読み、手元において、あとは必要に応じて、参考にしてみるという使い方がよいと思います。


■CD
69 Supernatura/Santana

 10年くらい前に大ヒットしてグラミー賞も取った作品ということで聴きました。確かな技術に支えられて、いろんなゲストヴォーカルがそれぞれの個性を出していて楽しめます。結構リラックスした似た曲調が多いのですが、その中で、Lauryn Hillをフィーチャーした楽曲がひりひりする緊張感で異彩を放っていて印象的です。


■映画
50 守護神/監督 アンドリュー・デイヴィス

 「愛と青春の旅立ち」に構成が極めて似てますし、取り立てて褒めるところはないですが、普通に楽しめます。アシュトン・カッチャーの演技が今ひとつなので、ケビン・コスナーの悪いところが目立たないだけかもしれませんが、珍しく抑制の効いた渋い演技をしています。ケビン・コスナー演じる教官が、海難救助員になった理由とかをもっと掘り下げていたらよかったかもしれません。あまり褒めてないですが、そんなに悪い映画ではないです。
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