本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

八月の路上に捨てる

2010-03-28 08:25:19 | Weblog
■本
24 Twitter マーケティング/山崎 富美、野崎 耕司、斉藤 徹、川井 拓也
25 八月の路上に捨てる/伊藤 たかみ
26 ゲームホニャララ/ブルボン 小林

24 可もなく不可もなくって感じの本です。私自身がTwitterを使い始めたので、以前に読んだ類似書よりは理解が深まりました。ビジネス上の成功事例で、複数の筆者が同じ例を上げている点に、かえってTwitterのマーケティング利用は数としては少なく、まだまだ発展途上であることを物語っていると感じました。横文字を使って無理やり理論化しようとしている部分は個人的にはあまりしっくりきませんでしたが、Twitterのマーケティング利用に実際に取り組んでいる人の生の声が読めるという点では有意義だと思います。

25 久しぶりに日本の現代小説を読みたくて、吉田修一さんや長嶋有さんの新作が出ないので、「代わりに」と言えば失礼過ぎますが、ずっと気になっていた本作を読みました。タイトル作は芥川賞受賞作だけあって、こじんまりとした設定の割には妙なスケール感の感じるよくできた小説です。今の若者の閉塞感を伝えつつ、それでもあがき続けよう、というささやかな覚悟も感じられて好感が持てました。同時に収録されている他の2作も、登場人物がみんなそれなりに深刻な問題を抱えているにもかかわらず、それもひっくるめて生きていこうという、力の抜けた覚悟が感じられる作品で、妙に清清しい読後感が残ります。押し付けがましくなく、留保条件のついたポジティブさがよいと思います。

26 長嶋有さんの別名によるゲームエッセイ。前作「ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ」と比べると、紹介されているゲーム自体を知らなくても、考察の視点を楽しめる内容で読みやすかったです。ゲームを作品と捉え、作者に対して敬意を表する姿勢に共感が持てました。「ワンダと巨像」や「ICO」といった作品をやりたくなりました。


■映画
10 渚にて/監督 スタンリー・クレイマー
11 マイレージ、マイライフ/監督 ジェイソン・ライトマン

10 核戦争による世界の終わりを静かに描いた作品。放射能の汚染を待つオーストラリアの人々と原子力潜水艦により死を免れたアメリカ兵の最後の数ヶ月が、メロドラマチックに描かれています。確かアニメ「未来少年コナン」は本作にインスパイアーされていたと記憶していたので観ました(と思っていたら、コナンの原作は「残された人々」という小説でした)。世界の終わりがこんなに静かで淡々としているとは僕には思えないのですが(もっとどろどろと騒々しく見苦しいような気がします)、この静けさが、核戦争の恐怖を巧みに伝えています。今の時代ではおそらく描くことのできない(もっと明確な二元論の映画になっているはず)、古きよき時代のヒューマニズムを感じることのできる作品です。

11 傑作「JUNO」の監督作品ということと、一応、「アカデミー作品賞」にノミネートされているということで観ました。監督独特のセンスは感じられますが、正直期待外れの作品でした。主演のジョージ・クルーニーと助演女優賞にもノミネートされていたヴェラ・ファーミガは、魅力的ないい演技をしていたと思いますし、「職を失う」という重いテーマを一見軽く描く試みもおもしろいと思いますが、表向きの軽さを補完する、重しとしての「何か」が欠けているような気がしました。失業した広告マンがエンディングテーマ曲を手がけているというエピソードでその「何か」を補っているのかもしれませんが、それは作品とは異なる次元の話ですし。


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仮説思考

2010-03-22 06:27:46 | Weblog
■本
22 仮説思考/内田 和成
23 世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス/宮崎隆司

22 同じ筆者の「論点思考」がすごくよい本だったので、続けて読みました。「仮説を立てて、検討範囲を絞り、仕事の質とスピードを高めよう」というのが本書の趣旨です。私も
「徹底的に調べてから答えを出すことを望み、結果的に意思決定が遅れて意味がなくなっている」という会社で長く働いていて、歯がゆく思っていたので、筆者の主張には非常に共感が持てました。「意思決定をしないこともリスクである」ということに、日本の企業はもっと真剣に考える必要があると思います。仮説思考とはいかに早く失敗して、行動を改めるか、とも言えると思います。仮説の精度をいかに上げるかについては、若干理解しにくい部分がありましたが、ともかく、多くの仮説を立ててそれを検証する訓練を多く積むことが必要である、と理解しました。

23 イタリア人監督が日本代表試合を分析し、戦術ミスを指摘する、というテーマの本です。図解を用いて、具体的にかつわかりやすく解説してくれているので、サッカーは観戦するのみで、実際にプレイした経験のない私でもとてもよく理解できました。「決定力不足」が課題とよく言われる日本代表ですが、堅守を誇りとするイタリア人らしく、攻撃面よりも守備面での問題点の指摘が多いところが興味深いです。要約すると日本代表の問題点は、メリハリ(常に全力)と連動性(状況に応じた役割分担ができていない)のなさによる守備の非効率さと、そのために過度に体力が奪われることによって攻撃力が低下する、という負のスパイラルに陥っている点にあります。特に、闘莉王選手が日本代表にとって、諸刃の剣であることがよく理解できます。個人的にはアジアでは通用しても、世界レベルでは弱点としかなり得ないのではないかという思いが膨らみました。もちろん、彼の情熱などプレイ以外での貢献があることは認めますが、その貢献以上のマイナス面があるような気がします。そういう意味では、センターバックの他の選手の可能性をこれまでのプレマッチでほとんど試せていない点がとても気になります。


■CD
8 Plastic Beach/Gorillaz
9 Only by the Night/Kings of Leon

8 前2作と比較すると、若干おとなしめな印象ですが、聴きこむとぶっとび加減は相変わらずで、クオリティの高さはさすがです。最新鋭の音楽と言えます。当分聴きこみそう。

9 Napsterでずっと聴きこんでいたのですが、サービスが停止するということで、手元に置いておきたくて購入しました。グラミー賞を獲得したことからも明らかなように、クオリティは文句なしで、個人的には昨年(発売は一昨年ですが)のベストの作品です。Gorillazと異なり、最新鋭の音楽という感じではないですが、温故知新というか、過去のロックの名盤を消化して、21世紀風にうまく再構成したという印象の作品です。派手さはないですが、何度聴いても飽きません。


■映画
9 ハート・ロッカー/監督 キャスリン・ビグロー

 継続中の戦争を題材にしているとか、政治的メッセージを排除してクールに描いているところとか、リアリティを追求した映像とか、低予算映画であるとか、女性監督であるとか、褒めるべき点や話題性が十分あることは認めますが、映画作品自体のクオリティとしてはどうなんでしょうか? いや、並以上の作品ではあるとは思いますが、10年後に本作が重要な作品として記憶に残っているかというと、「アバター」や昨年のオスカーの作品賞である「スラムドッグ・ミリオネア」と比べると、おそらくその序列は下になっているような気がします。そういう意味では、監督賞どまりで、作品賞の器のある作品ではなかったような。観て損はない作品ですし、時代の旬の作品であることは間違いないとは思いますが。
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論点思考

2010-03-15 04:59:27 | Weblog
■本
20 論点思考/内田 和成
21 実況生中年/松尾 スズキ

20 すごくよい本です。ロジカルシンキングやフレームワークについて一通り学んでかつ、今ひとつ仕事の現場で応用できていない、と感じている方には特にお勧めです。実践的な問題解決に必要な考え方について、具体的かつ、わかりやすく書かれています。姉妹編とも言える筆者の「仮説思考」という本も即購入しました。

21 当時の松尾さんの年齢に僕も近づいて来たのですが、「疲れた、疲れた」と連発しながらも、バイタリティ溢れる仕事振りにはいつも関心します。すごく多忙なのに、たまに恐ろしく無為に時間を過ごしているところも素敵です。戸惑いながらも、中年を肯定して生きようと妙な元気が出てきます。まあ、基本的には教訓めいたことはほとんどなく、気楽に読める本です。


■映画

8 時をかける少女/監督 細田守

 原田知世さん主演ではなくて、アニメの方。評判がよかったので観ました。東京の下町を舞台にしたり、清く正しい男女の友情を描いたり、いろんな意味でノスタルジックで、おじさんにとっては観ていてむず痒くなりましたが、確かによくできています。清く正しく素敵な青春時代を過ごした方には楽しめることでしょう。僕のように無為に鬱屈した、かなり持て余し気味の青春時代を過ごした方(大なり小なり他人もそんなものだと信じていますが)にとっては、こういう選択肢もあり得たのか、と別の意味で切なくなるかもしれません。シリアスにならずにコミカルに仕上げているところは好感が持てます。
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国家の罠

2010-03-08 05:55:51 | Weblog
■本
18 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて/佐藤 優
19 Webコミュニティでいちばん大切なこと

18 久しぶりに読み応えのある本を読んだと思えるいい本です。「鈴木宗男事件」の外務省側のキーマンの本です。この事件当時はあまり関心がなく、復帰後の鈴木宗男さんが、ずいぶん穏やかなキャラクターになっていたのを興味を持って見ていた程度なのですが、この事件がマスコミの報道のような、鈴木宗男さんが有罪か否かといった二元論の問題ではないことがよくわかりました。佐藤さんの視点から詳細にこの事件の背景と取調べの内容などが書かれているのですが、解説で川上弘美さんが書かれているように、この記述は佐藤さんから見たもので、別の見方が当然あるという予感のようなものが感じられます。この独善的に陥っていないところも、この本の魅力だと思います。佐藤さんと検事とのやり取りも、お二人の職人的気質がマッチしたのか、不思議な心の通い合いによる爽快感さえ感じられ、職業人としてのあり方についてもいろいろと考えさせられました。国益も人によって考え方が異なり、また、国益の名を借りて自分の利益や自尊心を満たそうという人もいて、外交が一筋縄ではいかないこともよくわかりました。ただ、現状の国際社会での日本の存在感の低下は、佐藤さんのようにしたたかに国益を追求する外交官が少なくなっている現状を反映しているような気もします。「鈴木宗男事件」の一側面を理解するというだけでなく、人間と言うものを理解するためのケーススタディとしても読める深みのある本です。

19 「自社製品の顧客をいかにWeb上でコミュニティ化したらよいのか?」ということを知りたくて購入したのですが、どちらかと言えば、多くのトラフィックを集めて、広告やECで収益を集める、メディア型のコミュニティサイトのノウハウが書かれた本でした。個人的な目的にマッチしなかったという点を割り引いても、イマイチな本でした。共著の限界かもしれませんが、それぞれの筆者の成功事例はそれなりに参考になるものの、それぞれの例はかなりニッチな領域のように個人的には思えますし、それぞれの知見がどの程度の普遍性があるのかの俯瞰的な視点がないので、各筆者のノウハウをどのように活用していいのかが明確になりません。自分で一からメディア型コミュニティサイトを立ち上げようという人のみにお勧めできる、読者を選ぶ本だと思います。
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超訳 ニーチェの言葉

2010-03-01 06:21:55 | Weblog
■本
17 超訳 ニーチェの言葉/白取 春彦

 超訳と言うだけあって、とても読みやすいです。まるで、ビジネスの自己啓発本を読んでいるかのように前向きな言葉が並びます。それでいて、いろいろと考えさせられる深みもあります。ただ、あまりの読みやすさに、訳者の解釈が前面に出ているような気が少ししますので、バランスを取って自分なりの解釈をするためにも、超訳ではないニーチェの著作の翻訳も読んでみたいと思いました。世間一般の常識から少し離れてもよいんだ、という勇気と安心感も与えてくれます。


■CD
7 スポーツ/東京事変

 すごくスタイリッシュでかつパワフルな作品です。アルバム全体としての統一感もあり、クオリティが高いです。「能動的三分間」はここ2,3年で聴いた日本のシングル曲のうちで一番好きです。椎名林檎さん名義の最新作は購入する気がしませんでしたが、本作は発売日に購入しました。朝の通勤時にテンションを上げるために当分聴きこみそうです。


■映画
7 恋は邪魔者/監督 ペイトン・リード

 僕の好きな、レニー・ゼルウィガーとユアン・マクレガーの共演作ということで、観ました。前半の1時間は、ボーイ・ミーツ・ガールをテーマにした往年のハリウッド作のパロディといった趣のベタな展開。ゴージャスでカラフルな画面は目を弾きますが、過剰な演出に二人の芸達者振りも空回り気味。完全に失敗作と思いきや、どんでん返しが起こり、そこからのラスト30分はかなり楽しめました。最初のベタベタでくだらない演出も、このどんでん返しを活かすための伏線と考えるとそれなりに納得がいきます。前後のクオリティの差が激しく、評価が分かれる作品です。結局は主演の二人が好きかどうかで、評価が決まる気がします。
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