本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

鳴り止まないラブソング

2014-08-31 10:56:49 | Weblog
■本
77 広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。/本田哲也、 田端信太
78 木皿食堂/木皿泉

77 タイトルがいかにも扇動的でそれで売る気満々なのがちょっと嫌ですが、動かしたい人数別に必要な打ち手を考察するという視点はユニークで参考になりました。実体験に基づいた提言は参考になりますが、こういう事例紹介はどうしても後付け分析の結果論になってしまうので、実際に意図通りに動いたものと、想定外に動いたものを分けて論じていただきたかったです(もっとも、それをしちゃうと完全にノウハウも開示することになるのでありえないのでしょうが)。

78 脚本家・木皿泉さんのエッセイ、インタビューやミニドラマのシナリオなど、単行本としてまとまっていなかった素材がまとめられた、ファンにはとても魅力的な本です。この本を読んで、木皿さん作品をもっと読みたくなったので「野ブタ。をプロデュース」と「Q10」のシナリオブックを即購入してしまいました。羽海野チカさんとの対談を読んでいると、風呂に入る時間まで惜しんで、まさに身を切るように創作されているお二人の表現者としての凄みが伝わってきます(相方の大福さんがいい意味での触媒になられていることもわかります)。木皿さんによるシナリオ講座のダイジェストは、インタビューではわからなかったより実践的なノウハウを伝えてくれて興味深いです。


■CD
37 鳴り止まないラブソング/THE COLLECTORS

 吹っ切ったようなスコーンと抜けたロックの傑作です。ここ数作は円熟味が溢れ出た、メッセージ色の強い味わいのある作品が多かった気がしますが、今回は素朴に楽曲のよさを突き詰めた、何も考えずに単純に聴いていて楽しくなるような楽曲が目白押しです。「おじゃる丸」のエンディングテーマに使われている曲も収録されていて、息子達も知っていました。名曲「30」を聴いていた20代のときは、まさか息子達と「THE COLLECTORS」について語り合える日が来るとは思いませんでした。なかなか感慨深いです。


■映画
57 ウォンテッド/監督 ティムール・ベクマンベトフ

 ストーリーがハリウッドにありがちな予定調和なものではなく、どんでん返しがありかなり楽しめました。主演のジェームズ・マカヴォイの影が若干薄かったですが(まあ、そういう役柄なので仕方がないのですが)、アンジェリーナ・ジョリーのやり過ぎな演技やモーガン・フリーマンの相変わらずの存在感も魅力的でした。映像はマトリックスをかなり意識し過ぎて既視感たっぷりでしたが、こちらもやり過ぎなダイナミックさが個人的には好きです。取ってつけたようなラストなど突っ込みどころはたくさんありますが、全体的にありがちな映画ではなく、独自色を出そうと工夫されているところに好感を持ちました。ただ、主人公の日本語吹き替えのDAIGOさんの演技は最悪です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

All You Need Is Kill

2014-08-24 10:33:09 | Weblog
■本
74 All You Need Is Kill/桜坂洋
75 システムインテグレーション崩壊/ 斎藤昌義
76 自分でつくるセーフティネット: 生存戦略としてのIT入門/佐々木俊尚

74 映画版が予想以上に面白かったので、原作小説も読んでみました。ラノベでお約束な萌えなキャラも出てきますが、映画以上に情緒的で切ない話でした。時間がループする中で、主人公がストイックに訓練を繰り返すシーンも丁寧に描かれていて、主人公がある種の求道者のようにも感じました。映画にないギタイ誕生の秘密も、人類が快適なように地球環境を破壊する我々の姿と重なり示唆に富んでいます。エンターテイメントに徹した映画版とはまた違った魅力を持った作品です。

75 私自身はSIではないのですが、システムインテグレーションはイノベーションの余地がたくさんある業種だと日々感じているので読みました。目新しい視点は多くはないですが、私が漠然と感じているSIの問題点が可視化され、筆者自身の解決策も提示されているのでとても有益でした。「クラウド」、「アジャイル開発」、「グローバル対応」、「イノベーション」、「デザイン思考」といったキーワードを単発ではなく有機的にとらえて論じられている点も参考になりました。

76 東浩紀さんの「弱いつながり」や少し前に話題になったアダム・グラントの「GIVE & TAKE」のエッセンスを取り入れられていてネット論壇に敏感な佐々木さんらしい本と言えます。グローバル競争が激化し、これまで日本社会で機能していた会社や地元の親戚といったセーフティネットが機能しなくなった現在では、ソーシャルメディアの発達により自分の人格が可視化されるようになった特徴を活かし、人にささやかながらも情報や好意を提供する善人として生き、その評判を弱いつながりの人にも広げ、なにかあったときのセーフティネットとして機能させていくのが生存戦略として正しいあり方、という趣旨の本です。やさしく語りかけるような文体でとても読みやすいので、無自覚にソーシャルメディアを使っている若い人にも読んでもらいたい本です。


■CD
36 Dutchess/Fergie

 ブラック・アイド・ピーズのヴォーカリスト、ファーギーのソロ作品です。ネットで激安だったので聴きました。基本的にはブラック・アイド・ピーズのサウンドからヒップホップ的要素を少し薄めた感じで、ソウルやレゲエ、ラテンなどのいろんな音楽的要素をごった煮にしてポップに仕上げています。また、この作品以降のブラック・アイド・ピーズの作品はどんどんエレクトロニックになっていきますが、まだ、オーガニックな香りも残されていて、とてもバランスのよい作品でもあります。「London Bridge」という今聴いても斬新な引っかかりの強い曲や「Big Girls Don't Cry」のような王道バラードもあり、メリハリも効いていて飽きません。


■映画
56 オーシャンズ/監督 ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾ

 何年か前に話題になっていた気がしたので観ました。海洋生物のダイナミックな映像は美しく見応えがあります。作品が進むにつれて、海洋汚染などのメッセージ性が強くなり、映像的にも海に漂うゴミなど見慣れたものが増えるので、ちょっと退屈してしまいました。ナレーションも少し饒舌過ぎますし、海について考える少年と博士の映像も蛇足だと思います。シンプルに海の美しさを強調した方が、環境保護的なメッセージもより伝わった気がします。なかなか観られないような決定的瞬間を押さえた努力とその映像的価値は素晴らしいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サイドカーに犬

2014-08-17 06:39:16 | Weblog
■本
72 完訳 7つの習慣 人格主義の回復/スティーブン・R・コヴィー
73 弱いつながり 検索ワードを探す旅/東浩紀

72 自己啓発本の代名詞的作品でいつかは読まねばと思っていました。今回完訳版が出たので初めて読みました。さすが自己啓発本の古典だけあって、「直接的、間接的にコントロールできる問題とコントロールできない問題を分けて考える」や「緊急でないが重要な活動に時間をかける」など他の類似書に引用されている内容が多く、初めて知るような内容はあまりなかったですが、7つの習慣それぞれのつながりが明確にされているところ(特に7つ目の習慣の「刃を研ぐ」があることにより全体が引き締まります)が頭の整理に役立ちます。また、組織ではなく、あくまで個人でコントロール可能な習慣に焦点が絞られているところも一貫性があってよいと思います。ただ、冒頭のダラダラとした推薦文は不要だと思いました。

73 評論家東浩紀さんのエッセイ集です。とても読みやすいですが、ネット時代の人生訓として非常に含蓄に富んだ意見が提示されているよい本です。個人的にも子どもが生まれてから中断していた海外旅行に、昨年から家族で行き始めたので共感できる内容でした。偶然性に身を委ね(そもそも人生はいくら計画しても理不尽に予定外のことが起こる)、新しい検索ワードを手に入れるために(決まりきった予定調和の検索結果から脱するために)、旅に出よう(それもバックパッカーのようなハードなものではなく弱いつながりを作るための観光客として)というのが主な主張です。東さんの「福島第一原発観光地化計画」がどのような考えを元に提唱されているのかも理解できます。


■映画
53 ゲットバック/監督 サイモン・ウェスト
54 サイドカーに犬/監督 根岸 吉太郎
55 オール・ユー・ニード・イズ・キル/監督 ダグ・リーマン

53 ニコラス・ケイジ主演のクライムアクション。興行収入的にはかなり大コケした作品のようですが、結構楽しめました。天才的な銀行襲撃犯が、殺人をしようとした仲間を止めようとしたために捕まり、出所日にそのかつての仲間に娘を誘拐されて、大金を用意するように脅迫される、というありがちなストーリーにありがちなアクションですが、ニコラス・ケイジの中年の哀愁たっぷりの演技に好感を持ちました。ニコラス・ケイジは「ナショナル・トレジャー」や「ゴーストライダー」といった大作の自信満々な演技よりも、この作品のような遠慮がちな演技の方が好きです。

54 大好きな長嶋有さんのデビュー作の映画化です。淡々としつつ妙に人生について考えさせられる原作に忠実でありつつ、細かい小道具を随所に挿入するなど映画独自の独特の味付けがなされていてかなり好きです。国立駅周辺が舞台ですが、その近辺に住んでいたことがあるので、三浦百恵さんの自宅を探すエピソードや忌野清志郎の歌を口ずさむシーンに共感できました。竹内結子さん、古田新太さんが手堅い演技をされていますが、何より主人公の少女役が抜群の演技をしています。自転車と娘と(人によっては)愛人が欲しくなる映画です。

55 「トランスフォーマー」の新作とどっちを観るか迷ったのですが、日本人の書いたラノベが原作ということで観ました。あまり期待していなかったのですが、予想以上に面白かったです。トム・クルーズも最初のダメ男から戦いを繰り返す毎に成長する姿を好演していて、年齢を感じさせないアクションも見応えがあります。日本的な情緒的なストーリーを活かしつつ、アメリカでも受けそうなダイナミックなアレンジもなされていて、個人的にはそのバランス感覚も見事だと思います。アメリカでももっと大ヒットしてもよい作品だと思うのですが、興行収入が1億ドルを超えないそこそこのヒットに終わっているのが残念です。先述した情緒的な面と、ループするストーリーの複雑さがネックとなったのかもしれません。でも、後味もよく観て損はない娯楽大作だと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海賊とよばれた男(下)

2014-08-09 11:01:02 | Weblog
■本
71 海賊とよばれた男(下)/百田 尚樹

 下巻は「日章丸事件」が中心にストーリーが展開します。恥ずかしながらこの事件のことをあまりよく知らなかったのですが、プロジェクトXばりに凄まじく難易度のプロジェクトを、次々襲い掛かる課題を克服し実現していく展開に引き込まれます。主人公の国岡商店社員だけでなく、通産省官僚や銀行の社員も含めて登場人物全員が志が高く、男気に溢れていて魅力的です。終盤はもっと劇的に盛り上げてくるのかと思ったら、意外と淡々と終わりました。過度な演出はせずとも、主人公国岡鐡造の魅力だけで十分感動が伝わるという作者の自信なのかもしれません。「仕事」や「人に対する信頼」さらには「人間としての器」についていろいろと考えさせられる話です。若干日本人を美化しすぎな気もしますが、確かに日本にこういう人たちがいたということは、我々の自信になります。純粋に非常に面白い小説なので、作者の意図や他の人の意見など事前にあまり情報を得ずに読むのがよいと思います。


■映画
52 るろうに剣心/監督 大友啓史

 ストーリーは原作に忠実に、映像は映画らしさを活かしてダイナミックかつスピーディーで素直に楽しめました。蒼井優さん演じる高荷恵は汚れた色気が欠けていてちょっとイメージが違いましたが、香川照之さんの武田観柳は原作以上に漫画的なキャラでなかなかの見物でした。メインキャラクターは原作自体の設定があまり好きでないので(なんか正義感が薄っぺらで、深みがないです)、なかなか共感できませんでしたが、佐藤健さんも武井咲さんも普通によい演技をされていたと思います。キャストが豪華過ぎて、企画ものの印象が強いですが、インパクト重視に傾き過ぎない冷静なディレクションに好感が持てました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海賊とよばれた男(上)

2014-08-03 05:53:27 | Weblog
■本
70 海賊とよばれた男(上)/百田 尚樹

 本屋大勝受賞作ということで読みはじめましたが、抜群に面白いです。史実に基づきつつもエンターテイメントに徹していて、「永遠の0」の宮部少尉が主人公とすれ違うなど、百田さんの読者へのサービス精神が存分に発揮されています。しかし、なによりも主人公の国岡鐡造とその周囲の人物の個性が非常に魅力的です。特に、国岡鐡造の会社設立時に物心両面で支えた、一見遊び人風の日田重太郎という人物が個人的にはツボでした。言葉にするとどうしても陳腐になってしまいますが、「志」と「リーダーシップ」の大切さが痛感される作品です。これから下巻にかけてさらに盛り上がっていきそうで楽しみです。ただ楽しいだけでなく、わが身を振り返っていろいろと考えさせられる「痛い」作品でもあります。


■映画
51 ヨギ&ブーブー わんぱく大作戦/監督 エリック・ブレヴィグ

 ストーリーはいかにも子ども向けのわかりやすい単純なものですが、実写とCGが融合した映像ははなかなか素晴らしいです。しゃべる熊のヨギとブーブーの存在感が実にリアルです。悪役はいかにも憎々しく、おバカなキャラはとことんおバカで、キャラ設定がとってもわかりやすいです。主人公のヨギの度を超えたハイテンションさは日本人にはちょっと共感しづらいですが、アメリカ的ではあります。古臭いストーリーでも、最新技術で加工するとそれなりに楽しめることを示してくれる作品です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする