本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Sunny

2014-10-27 07:57:53 | Weblog
■本
94 TED 世界を魅了するプレゼンの極意/アカッシュ カリア
95 オンラインビデオ広告入門/横山 隆治、 楳田 良輝

94 TEDでの優秀なプレゼンテーションを分析し、その極意を抽出した本です。元ネタとなった実際のプレゼンを見ながら読んだ方が効果的だということがわかっていながらも、なかなか面倒で本だけを通して読みました。書かれていることは特に目新しいものはないですが、元ネタが見たことのあるプレゼンの場合はその極意のエッセンス(中にはこじつけ的なものもあるのでその欠点も含めて)が具体的にイメージできて参考になります。やはり当たり前ですが、TEDのプレゼンをある程度見ている人にお勧めの本です。サブウエイでダイエットしたくなりました。

95 最近広告業界で盛り上がりつつある動画広告について、そのマーケティング的意味だけでなく、ビジネス上の位置づけや技術的背景まで網羅的に解説して下さっているのでタイトルどおり入門書として役に立ちます。効果測定方法や国内外の事例も豊富な点が特に参考になります。個人的には動画投稿サイトのコンテンツクリエーターを束ねるMCN(マルチチャンネルネットワーク)の今後の動向に興味を持ちました。


■CD
53 Sunny/サニーデイ・サービス

 サニーデイ・サービス再結成後の2作目です。前作「本日は晴天なり」がバンドで演奏できる喜びに満ちたアンサンブルが魅力的な作品だったのに対し、今作は曽我部さんのソロと言っても通用するようなシンプルな構成の楽曲が多いです。ソロではなく、あえて「サニーデイ・サービス」名義にしたのは、それだけバンドとしての方向性が一致して成熟してきたためでしょうか。曲調はしっとりとしたスローなものが多く、これからの季節にぴったりです。テクニックではなくセンスで聴かせるバンドだったのですが、そこに技術が追いついてきたのかもしれません。大人の鑑賞に堪える作品です。


■映画
71 アバウト・シュミット/監督 アレクサンダー・ペイン

 定年後の自分の過ごし方を真剣に考えないと、と思わせる映画です。定年後時間を持て余しているときに妻に先立たれ(そして軽く裏切られていたことが判明し)、娘がイマイチな結婚相手を選択し今ひとつ分かり合えず、などなど、主人公は自分の思い描いた人生と現実とのギャップに気づき結構悲惨な心理状況に置かれているのですが、ジャック・ニコルソンの怪演で、コミカルさとシリアスさのバランスが絶妙です。他の役者さんだとたぶんやり過ぎと取られかねない過剰気味な演技ですが、この人が演じると不思議とリアルに感じます。ラストシーンの迫真かつ力技の演技に思わず引き込まれます。ストーリー的には特段大きな盛り上がりのない地味な話なのですが、キャシー・ベイツの異常なまでの存在感も含め、役者の力で非常に印象的な作品に仕上がっています。しみじみとした余韻に浸れるいい作品です。
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ニンフォマニアック Vol.1

2014-10-25 10:41:21 | Weblog
■本
91 日本企業はモノづくり至上主義で生き残れるか/フランシス・マキナニー
92 How Google Works/エリック・シュミット、 ジョナサン・ローゼンバーグ
93 ワーカーズ・ダイジェスト/津村 記久子

91 顧客と直接つながるクラウドをベースにしたサービス化に取り組み、そこから得た顧客情報を迅速にキャッシュ化する方法を具現化しないと日本企業(特に製造業)は生き残れない、という主張の本です。意図的にされているのだと思いますが「スーパー現場」など概念的な独特の言葉使いと、愛着があるあまり日本企業に対してかなり辛辣な文体になっている点が気にならなければ、ご指摘されている点は至極まっとうなので、参考になる本だと思います。要はアップルのような企業になれ、ということなのだと思いますが、「What to do」は書かれていても「How to do」については明快に書かれていない気がして(私の読解力不足なのかもしれませんが)、その点は少し消化不良でした。

92 Googleの前CEOであり現会長のエリック・シュミットさんが著者の一人であるということで期待していたのですが、意外とこれまでのGoogle本を超える新しい発見はなかったです。ただ、さすがに当事者だけあって網羅的に書かれているので、Googleのマネジメントや人材採用・育成について知りたい人には参考になる本だと思います。ただ、普通の人が普通以上のパフォーマンスを出せるようにするのが企業の存在意義と思っている私にとっては、スーパーな人材(本書では「スマート・クリエイティブ」と呼ばれています)をいかに惹きつけ、よりよいパフォーマンスを発揮させるかに特化している、そのマネジメント手法には少し反発心を感じました。もっとも、スーパーな人材に並以下のパフォーマンスしか発揮させられないマネジメントをしている会社が多いので、Googleの手法はかなり素晴らしいと言わざるを得ないのですが。

93 92を読んでいたら「スマート・クリエイティブ」と呼ばれる人たちと我が身の差に息苦しくなったので、現実逃避でこちらの本を読みました。「働くこと」をテーマにした作品が多い津村さんですが、この作品も仕事に対する距離感が近過ぎず遠過ぎずで、とても共感しました。スーパーな人材じゃなくても、世界を変えるような夢や野望がなくても、「働く」ということは大人がささやかな自由を得る上でとても重要だし尊いということに気づかされます。「サンマルコ」のカレーや堂地下のしゃぶしゃぶ屋さんも登場し、大阪で歯を食いしばって働いている方にお勧めの作品です。主人公二人の今後の関係がどうなるかが気になるエンディングも抑制が効いていて上品です。大阪の名所を舞台にして映画化したらヒットするかもしれません。


■CD
51 Tusk/Fleetwood Mac
52 Fleetwood Mac/Fleetwood Mac

51、52 突然「Fleetwood Mac」(というかスティーヴィー・ニックスの声が)聴きたくなって持っていない作品を2つ購入しました。超名作「Rumours」の前(「Fleetwood Mac」)と後(「Tusk」)の作品ということで、「Rumours」ほどではないにしても、両作品とも全盛期らしいかなりのクオリティの高さです。2作品を続けて聴くと、3人のヴォーカルの違った個性を支える演奏力の高さに感心します。特に、スティーヴィー・ニックスがヴォーカルの作品では、その声の独特の緊張感を損なうことなく、どこか余裕のあるリラックスした演奏とのバランスがとても心地よいです。それぞれの楽曲のよさは決して劣らないのですが、アルバムトータルの完成度で言うと、やはり「Rumours」が奇跡的なクオリティの作品であることにあらためて感じさせられます。


■映画
69 猿の惑星:創世記/監督 ルパート・ワイアット
70 ニンフォマニアック Vol.1/監督 ラース・フォン・トリアー

69 「猿の惑星」の新シリーズ。誰もが知っている名作を現代に置き換えて別解釈するという、難しい作業を無難にこなしていると思います。「スパイダーマン」や「127時間」で有名なジェームズ・フランコが抑えた感じのいい演技をしています。獣医のヒロインは「スラムドッグ$ミリオネア」に出ていた人ということもびっくりしました。悲惨な続編の予感に満ちたエンディングなど、元ネタの世紀末的な不穏さをベースに、認知症や遺伝子操作、動物虐待など、現代的なシリアスなテーマを入れつつ、エンターテイメントとしても成立させているところに好感が持てました。

70 めちゃくちゃ面白くあっという間の2時間でした。ここまで性的描写が過剰に盛り込まれるとある種のコメディになりますね。主人公の悲惨な境遇にもかかわらず、松本人志さんの映画を思わせるような映像的な小ネタが満載で、ラース・フォン・トリアー作品の中で最も明るく、わかりやすいという印象を持ちました。知的な老人男性に向けて、主人公が回想しながら話をするという構成も、漫才のボケとツッコミ的で、とかく難解になりがちなラース・フォン・トリアーのストーリーテリングを明快にしてくれています。Vol.1はヒロインが若くてきれいな時代の話なので、毒気が中和されていた面もあると思います。Vol.2はいよいよ、中年となったシャルロット・ゲンズブールの性的シーンが頻出すると予想されますので、どこまで話がドロドロとかつ過剰になるか、今から恐ろしくもあり、楽しみでもあります。
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恋愛小説家

2014-10-19 10:11:23 | Weblog
■本
89 実践 BtoBマーケティング―法人営業 成功の条件/余田 拓郎、首藤 明敏
90 ビッグデータ分析 Excel新機能で簡単に!/田中 正道、 前野 好太郎

89 あまり語られることの少ない、法人営業のケーススタディが非常に詳細に語られているので参考になります。営業担当者の個人技に走りがちな法人営業の「組織的マーケティングの取組み」の必要性を説いているところと「買い手企業の購買プロセスと商材特性による違い」により場合分けして分析しているところも興味深かったです。ただ、その分析の根拠となる調査は少々細かな差異に着目し過ぎているような気がして、納得間はいま一つでした。

90 前半のマーケティング環境の変化や顧客行動分析の重要性を訴えている部分は、すでに他のマーケティングの本で言われつくしている話ばかりで冗長な印象を持ちましたが、後半のビッグデータ分析の部分はExcelというツールに落とした解説で非常に具体的でわかりやすく参考になりました。ただ、クチコミや広告出向データの量が豊富な大企業向けの記述に若干偏っている気がして、せっかくExcelという安価なツールに着目するのであれば、もう少し中小企業よりの分析事例があってもよかったのではと思いました。


■CD
48 Live Acoustic at Cbgb's/J.Mascis
49 Beck Song Reader/Various artists
50 Everything Will Be Alright in the End/Weezer

48 J.MascisがDinosaur Jr.の曲を弾き語ったアコースティック・ライヴ盤。最近のソロ作の原点とも言えるシンプルな作品です。1993年のライブということは「Green Mind」と「Where You Been」の間くらいの時期だと思うのですが、シンプルにDinosaur Jr.の泣きのメロディのよさがしみじみと伝わってくるよい作品です。かなりマニアックな作品ではありますが。

49 楽譜のみでリリースされたベックの「Song Reader」という作品を、本人も含めたいろんなアーチストが実際に録音したというこちらもマニアックな作品です。元々の楽曲がそうなのかカバーしたアーチストの力量なのか、かなり玉石混淆な印象です。個人的にはBeck自ら再現した作品が深みが合ってよかったのと、Norah Jonesのカバーがシンプルながらも楽しげで気に入りました。jack whiteによる作品は、リラックスした雰囲気が好ましいものの毒気が薄めで少し期待外れでした。

50 タイトル通りとてもポジティブな雰囲気に満ちた作品です。「Pinkerton」がWeezerのベストの作品だと思っている私にとっては、最初ちょっと素直過ぎるかなと思いましたが、繰り返し聴いているうちに、パワフルなギターポップの背後に独特の屈折したメロディが潜んでいることに気づき楽しめました。いい感じにこれまでの取り組みが融合していて、キャリアの集大成的な作品に仕上がっています。お勧めです。


■映画
68 恋愛小説家/監督 ジェームズ・L・ブルックス

 ジャック・ニコルソン演じる恋愛小説家が冒頭からあまりに憎々しく共感できなかったので、どう着地させるのかなと思っていたら、見事なエンディングで、ジェームズ・L・ブルックス監督の手腕に感心しました。さすが「愛と追憶の日々」を撮った名匠です。変人のささやかな他人との心の交わりと、それによる変化の兆し描くのがこの監督は本当に上手いです。一気に善人へと変貌するのではなく、まどろっこしいくらいじわじわと変わっていく様子を描いているところが素晴らしいです。その主人公の憎たらしさとかわいさ、純真さをコミカルかつシリアスに見事に演技切ったジャック・ニコルソンは圧巻の名演技です。ブス美しいヒロインを演じたヘレン・ハントとともにアカデミー主演賞をダブルで受賞したのも納得です。いつも思うのですがこういう大人の恋愛を衒いなく描けるところがアメリカ映画の懐の深さだと思います。「変わる」ことの辛さと尊さを描いた名作です。
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Syro

2014-10-13 06:54:38 | Weblog
■本
88 ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書/斉藤 徹、 伊藤 友里

 ソーシャルメディア活用コンサルの老舗「ループス・コミュニケーションズ」さんによる新作です。今回はビジネス小説風アレンジで、企業のソーシャルシフト(「ソーシャルメディアを活用しながら社内外に裏表のない情報発信と対話の姿勢をとって、組織や経営そのものを変えていくムーブメント」、と私は理解しました)のプロセスを教えてくれます。同業の「トライバルメディアハウス」さんの「ソーシャルメディアマーケター美咲」をかなり意識した内容になっていますが、コンサルタントではなくて企業のソーシャルシフト担当者を主人公にしている点が、導入企業側の問題点がよりクリアになりわかりやすかったです。単純な企業のソーシャルメディア活用に留まらず、その浸透や現場のマインドセットの変革にまで踏み込んでいる骨太の内容になっています。あとがきでも書かれている通り、一番肝心で難しい管理部門の変革についてまでは踏み込みきれていないので続編に期待したいと思います。


■CD
46 Syro/Aphex Twin
47 Art Official Age/Prince

46 Aphex Twinの13年ぶりの新作です。前作「Druqs」が攻撃的でかつ斬新だったので、本作を初めて聴いたときは「意外と地味」というのが率直な感想でしたが、繰り返し聴いているとじわじわとその世界観に引き込まれていきます。「Selected Ambient Works 85-92」がAphex Twinの最高傑作だと思っている私のような人間には、じっくり浸れる本作はかなりしっくりときます。

47 Prince名義での久しぶりの新作。しかも、メジャーレーベルからのリリースということで期待していました。時代の先端を常に進んでいたPrinceが時代に追い抜かれた感はやはり少し寂しいですが、1周抜かれて前を走っているかのような、今の時代から振り返った「ちょうどよい懐かしさ」が心地よくもあります。楽曲はどれも安定のクオリティで、奇を衒ったはずれ曲がないのもまた、うれしくもあり少し寂しくもあります。情報過多な現代においては、既知の情報が多く聴いていて妙に落ち着く作品です。


■映画
67 映画 謎解きはディナーのあとで/監督 土方政人

 映画館でお金を払って観る気はしませんが、テレビ放送で観たのでそれなりに楽しめました。伏線の設定とその回収が雑で(登場人物がたくさんいる割には犯人の可能性のある人はほとんどいません)、私が勝手に名づけている「サスペンスで中盤まで出番の少ないビッグネームの俳優の役は犯人(かそれに準ずる重要な役割)の法則」にぴったりと当てはまったこともあり、途中でほぼ謎は解けてしまいました。櫻井翔さんをはじめキャラ設定に忠実な演技は原作やテレビドラマを観ていない私にもわかりやすく(北川景子さんと椎名桔平さんはやり過ぎな気もしましたが)、漫画を読んでいるようなお手軽さが印象的です。
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THE PIER

2014-10-01 08:02:14 | Weblog
■本
85 スマートグリッドがわかる/本橋 恵一
86 ご先祖様はどちら様/高橋 秀実
87 グローバリズムという病/平川 克美

85 「スマートグリッド」を技術的側面ではなく、そのビジネス面での可能性について語られた良書です。「スマートグリッド」、「スマートメーター」、「HEMS」など、ここ数年経済面で取り上げられることの多いこれらのワードが、何を意味していて、なぜ注目されているのか、を手早く理解するのに役立ちます。海外の多くの国ではそもそも各家庭に安定して電気を送る、というベーシックなところで「スマートグリッド」が必要とされていて(「盗電」が普通に行われていることにも驚きました)、日本の送電網は品質がかなり高いため、「スマートメーター」導入のコストアップを吸収できるだけの付加的なベネフィットをいかに見出すか、がその普及上重要である、ということも理解できました。

86 高橋秀実さんがご自身のご先祖を調べるというノンフィクションです。相変わらずのユルい感じの中にも、一般常識とは異なる斜め下辺りからの視点の独特の解釈もあり、自分の思考の枠組みが軽く揺さぶられるような不思議な読書体験が得られます。先祖はわからない部分がある方が救われるといったことが書かれていたと思うのです、言われて見れば確かにその通りだと思いました(先祖が貴族とかだったとしても息苦しいですし、まして極悪人とかだったら救われませんし、、、とはいえ、何代も遡ると、ある程度立派な人やろくでもない人は、誰の先祖にも当然いそうですし)。私が歴史に弱いからなのだと思いますが、高橋秀実さんの本にしては少し読みにくいので、読了まで結構苦労しました。

87 「僕はこの本のすべての頁に同意署名できる。」という内田樹さんの推薦文に惹かれて読みました。確かに、内田樹さんがいろんなところで書かれているような、経済成長一辺倒の考え方に一石を投じる内容です。「国際化の推進」という流行の論調に後乗りする有識者が多い中、極めてロジカルにその論調に反論できるのが本当の知性なのだと思います。「グローバリズム」を「グローバリゼーション」(前者は国家を超えた存在となった多国籍企業至上主義というイデオロギーで、後者は「国境を越えた商品経済の拡張化」という現象、というのがこの本の立場です)と分けて議論している芸の細かさにも感心しました。全てのページに同意署名というわけではありませんが、なんでもかんでも国際化という風潮に違和感を感じる人にオルタナティブな考え方を提示する興味深い本だと思います。


■CD
45 THE PIER/くるり

 美しい打ち込みインストから始まり、昭和歌謡風の曲やタイトルそのまま(「遥かなるリスボン」)の南欧風のサウンドもあり、くるり史上最もごった煮的な印象の作品です。その中にも「loveless」という、シンプルなギターポップの王道くるりサウンドの名曲や過去の傑作「ワルツを踊れ」を思わせるストリングスが導入されたバラード(「Remember me」)もあり、僕のような昔からのファンの満足度も高いと思います。その多様性を象徴する転調続きの「Liberty & Gravity」というぶっ飛んだ楽曲もあり、企みに溢れた野心的な作品です。その一方で全体を通してとてもリラックスした感じなのも、ベテランの余裕が感じられて(実際にはかなり苦闘して作られたのだと思うのですが)素敵です。


■映画
66 愛を読むひと/監督 スティーブン・ダルドリー

 隙のない緻密な演出がなされた手堅い作品です。暗いテーマの作品なのですが、重苦しくなりすぎず、サスペンス的要素を巧みに活かして、ぐいぐいとストーリーを展開していく手腕が見事です。決して上映時間は短くないのですが、その長さが全く苦に感じませんでしたた。ヒロインの抱える恥の意識が個人的にはそれほど共感できなかったので(彼女の欠陥が人生を棒に振るほどの恥なのかを、僕にはいま一つ理解できませんでした)、そのあたりの説得力を持たせるエピソードがあってもよかったのでは、と少し思いました。歴史に明るい人には自明なことなのかもしれませんが、そこが少し残念でした。ケイト・ウィンスレットは、オスカーの主演女優賞受賞者にありがちな、やり過ぎな感じではない抑えた上品な演技で、とてもすばらしかったです。老いたヒロインを醜くし過ぎなかった(普段はきれいな女優とのその落差を演技力と勘違いする人が多いような気がします)、スタッフの節度とセンスも感じました。
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