本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

目標達成!

2008-12-29 07:00:09 | Weblog
■本

 なんとか本は目標達成しました。

 冊数を優先するあまり、持ち運べる文庫や新書を優先的に読み、本来読みたい分厚い本が後回しになるという本末転倒が生じたことが反省点です。しかし、目標が本を読むモチベーションになったことも事実です。読書の量と質、そして、実用と楽しみのバランスが来年の課題です。


100 脳と仮想/茂木 健一郎

 最初はとっつきにくかったのですが、筆者の論旨に慣れてきた中盤以降はとても面白くなってきました。科学から古典文学、ゲームに至るまで幅広い教養を縦横無尽に活かし、脳と仮想に関する考察を展開します。特に「思い出せない記憶」に関する記述が興味深かったです。経営書などで企業戦略を「何をしないかを決めること」と定義付けているものを読んだことがあるのですが、同様に「何を思い出せないか」は「何を覚えているか」以上に、ある人を特徴付けるのかもしれません。今の自分というものをかたち作っている「思い出せない記憶」について想像し、別の自分となり得た可能性を考えることは楽しくもあり、怖いことでもあります。


■CD

 年間100枚は平気で買っていたので35枚ですんだのはすごい進歩です。
 聞き放題サービス、Napster導入効果がありました。


■映画

 一方、映画は目標に2本足りませんでした。テレビのチャンネル権を子供に完全に奪われたので、仕方のない面があります。しかし、劇場公開の映画(子供を連れて行った2本があるものの)は13本と目標を達成できました。来年も月に一本は映画を観にいきたいです。


28 ウォーリー/監督 アンドリュー・スタントン

 子供向け(を対象にしていないのかもしれませんが)作品としては、かなりチャレンジングな作品です。荒廃した地球を1体のロボットが掃除し続けるという設置や冒頭からほとんどセリフがなく無声映画のような展開が続くところなど、顧客に媚びない姿勢が好きです。しかし、宇宙船で家畜のように旅をし続ける人間が出てきたあたりから、急に甘いコメディタッチになり不満が残りました。救いのない映画にする必要はないですが、もう少し、シニカルで苦い展開にしてもよかったかも。自分でろくに歩けもしないような人間が過酷な環境となった地球で楽しく生きていけるとも思えませんし。「快適だが生の実感のない生活」か「過酷だが生を実感できる生活」かといった人間側の葛藤ももう少し描いた方がよかったかもしれません。3D特有の映像美としての見せ場もそれほど多くはなく、志の高さは買うものの、全体の完成度としては失敗作だという気がします。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幻影の書

2008-12-21 07:12:57 | Weblog
■本
98 道をひらく/松下 幸之助
99 幻影の書/ポール・オースター

98 最近少し忙しいので、ポジティブ成分を注入するために読みました。やさしいようで厳しく、冷たいようで暖かい、読む前に想像していたのは異なり、複雑なバランス感覚に溢れた本です。筆者の包容力のあるやさしさ、人間的な大きさが随所に現れている一方で、「そのままの自分でいい」という最近はやりの甘えを許さない、厳しい経営の中で勝ち抜いてきた強さが感じられます。逆に言うと、右肩上がりの成長が終わった現在では、この本のある種の厳しさに共感できる人が減っている可能性も否定できません。戦争直後と比較して国として格段に裕福になったに
もかかわらず、特に若年者の職不足や貧困が深刻になるといった、社会問題が複雑に陰湿化している現在では、もっとしたたかな要素が詰まった別の人生訓が必要かもと少し思いました。しかし、「天下国家」を視野にいれたスケールのでかさはやはり経営者として魅力的です。政治家も含めて最近「天下国家」という視点からビジョン示す人が減っている気がするので、やはり、尊敬すべき立派な経営者であるという認識を改めて持ちました。

99 最初はいまいちかなと思いましたが、途中(失踪した俳優ヘクター・マンの生涯が明らかにされるあたり)から俄然面白くなり一気に読みました。オースターの作品は登場人物がいろんなものを失ったり、捨てたりする「引き算」が特徴的だと常々思っていますが、本作もさまざまなものが失われたり、捨てられたりします。そうして、引いていった中で残ったものがその人の大切なものというか核であり、また、その核が往々にして残酷にも奪われていくことが多いところも特徴的です。さらに、その核が失われたとしても、人生はなお、生き抜く意味があるというささやかな希望が残るところが、オースター作品の最大の魅力だと個人的には思っています。本作もそういう魅力に溢れたすばらしい作品です。また、オースター作品のもう一つの特徴である「偶然」性も本作のストーリーの中で満載されています。他の作家だと、ご都合主義的になりかねない、波乱万丈のストーリー展開もこの人にかかるとすごく自然に感じられるところも不思議です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この世でいちばん大事な「カネ」の話

2008-12-15 07:01:00 | Weblog
■本
96 この世でいちばん大事な「カネ」の話/西原理恵子
97 バスジャック/三崎 亜記

96 「人生の秘密」について書かれたすごくよい本です。今年読んだ本の中で一番かも。西原さんの自伝的内容に素直に感動しました。きれいごとではない、どろそろとした生きた知識が満載で、かつ、ささやかな希望にあふれています。「手足を動かして、心で感じることだけは、諦めないで」という祈りが心に響きます。「最下位の人間には最下位の戦い方もんがあるんだよ」という言葉は中途半端なマーケッターや評論家の「格差論」を一気に吹き飛ばします。うちの子どもたちが小学校高学年くらいになったときに、ぜひ読ませたいです。そして、彼らの祖父(僕の父)がギャンブルでの借金により、店をつぶして変死をしたという事実とともに伝えたいと思います。

97 奇妙な世界観がリアルに描かれています。ディテールまでこだわった構成に作家の想像力の凄さを改めて感じさせます。星新一さんのショートショートに似たテイストで懐かしくなりました。小説を読む楽しさを満喫できるいい小説です。表題作の「バスジャック」なんて、あまりの発想の奇抜さに、感心すると同時に思わず笑ってしまいました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コミュニケーションをデザインするための本

2008-12-08 07:13:12 | Weblog
■本
94 コミュニケーションをデザインするための本/岸 勇希
95 権現の踊り子/町田 康

94 論理展開が明確でわかりやすい一方で、筆者の熱い思いも伝わってくるとてもいい本だと思います。「仕組みではなく気持ちをデザインする」、「メディアとメッセージの最適化を丁寧にやる」などの表現が印象に残りました。本当に丁寧に書かれている点に好感が持てる本です。考え抜くってことの重要性を改めて認識しました。

95 最初文章を理解しようと思いながら読んでいると難解な漢字も多く、グロテスクな表現もあり読みにくかったのですが、文章のリズムに身を任せて、深く考えずに、コネタのギャグを笑い飛ばしながら読むと気持ちよくなってきました。人生の馬鹿馬鹿しさと深遠さが融合した複雑な読後感が残ります。


■CD
34 Evolver/John Legend
35 MISSING TRACKS/THE COLLECTORS

34 John Legendの新機軸を示した1枚。ソウルミュージックの原点回帰の落ち着いて安心して楽しめるこれまでの2作のベースはキープした上で、打ち込みやラップをからめたアップテンポな曲も収録されています。新しいことにチャレンジしている割には、前2作の方が僕にとってはなんとなく「個性的」で「新しい」感じがしました。オリジナリティと同時代性を両立させることの難しさが実感できる作品です。悪くはないのですが、なぜか前2作ほどあまり聞き込む気がしません。

35 レア曲満載のコレクターズファンなら是非購入すべき作品です。レアトラックにもかかわらず、捨て曲なしでクオリティはかなり高いです。本当にいいバンドだなあと思える1枚。


■映画
26 インファナル・アフェア II /監督 アンドリュー・ラウ アラン・マック
27 最高の人生の見つけ方/監督 ロブ・ライナー

26 悪くはないのですが、少し盛り込み過ぎかも。各主要登場人物の心情を詳細に描くことにより、多面的なストーリー展開になっているのですが、誰に感情移入して観たらいいのか、最後まで絞りきれませんでした。左脳では満足しているのですが、右脳は少し消化不良、そんな感じの映画です。1作目も各主要登場人物を丁寧に描いていたとは思いますが、メイン2人の対立や葛藤に重点を置かれていたので、わかりやすさと奥の深さのよいバランスがとれていたと思います。

27 性善説にたったロブ・ライナー節全開の作品。名優ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマンを起用して、死期の迫る2人の老人の映画を撮れば泣けないはずがありません。意外と抑え目に演出されているので、それほどくどくはないですが、やはり僕にとってはウエルメイドすぎます。この映画を無条件で賞賛するには歳を撮りすぎたようです。ロブ・ライナー監督の「スタンド・バイ・ミー」や「恋人たちの予感」を観て感動していた若いころの自分が懐かしいです。いろいろな思いはありますが、標準以上の作品だとは思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする