本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017

2017-07-29 09:07:06 | Weblog
■本
58 いつまでも若いと思うなよ/橋本 治
 
 先週読んだ「定年後」のような、「よりよい老い方」の指南書と思って読みましたが、さすがは橋本治さんだけあって、そういうわかりやすい本ではありませんでした。序盤こそ「老い」や「年を取ること」についてさまざまな考察がなされますが、病気についての話になってからは、橋本さんの病気による不具合や老いについての描写が延々となされ、老いを具体的に追体験するような内容になってきます。「老い」による不便な点や受け入れがたい点について事細かに描写されているにも関わらず、「年を取る」とるということをありのままに、時に肯定的にさえ受け止められている姿勢に少し励まされます。「老い」について向かい合う上で、すっきりとした解決策を提示してくれるような種類の本ではありませんが、悩んでいても仕方ないのでどのように衰えていくか楽しんで体験しよう、というようなヤケクソのポジティブさが得られる本です。


■CD
38 OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017/Radiohead

 1997年に発表されたRadioheadの代表作「OK COMPUTER」発売20周年を記念されて発売された、B面曲やアウトテイクも含むリマスター盤です。当然、「OK COMPUTER」は今でも繰り返し聴いてますし、リマスターを聴き分けるほどの耳は持ち合わせていませんが、アウトテイクに魅かれて購入しました。予想以上にDISC2に収録されている、B面曲やアウトテイクのクオリティが高く、また、曲順も非常によく計算されていて、聴き終えると新作を聴き終えたかのような満足度が得られました。自信に溢れ、円熟味を増した最近の作品も大好きですが、迸りまくる才気を世に問おうとする独特の緊張感に満ちたこの時期の作品からは、歴史に残る傑作を聴いているという代えがたい喜びが得られます。


■映画
43 ジョン・ウィック/監督 チャド・スタエルスキ

 キアヌ・リーヴス主演のダークなアクション・ムービーです。ノーマークの作品でしたが、最近続編も公開されるなど、そこそこ評判がよさそうなので観ました。引退した凄腕殺し屋の復讐劇という古典的でシンプルなストーリーに、ところどころ現代風の変化球(奥さんではなく、病死した奥さんからプレゼントされた犬を殺された復讐というところから捻りが効いています)を交えて独特の世界観を醸し出しています。殺し屋が集まるホテルなど、現実離れした掟に基づく犯罪者コミュニティーの描き方も練り込まれいて、dこかユーモラスな絶妙のアクセントとなっています。「マトリックス」シリーズのスタントを務めた人が監督ということですが、「マトリックス」に見られた奇抜なアクションというよりも、よりリアルで肉体的な洗練さが重視された演出がなされている気がします。クライマックスは銃撃戦から突然肉弾戦になるなど、アクション映画にありがちな突っ込みどころも満載ですが、素直に楽しめる作品です。
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たとえ世界が終わっても

2017-07-22 12:24:21 | Weblog
■本
55 EQ こころの知能指数/ダニエル・ゴールマン
56 たとえ世界が終わっても/橋本 治
57 定年後 - 50歳からの生き方、終わり方/楠木 新

55 先週読んだ「ロング・グッドバイ」とともに、ずっと「積読」状態だったので意を決して読みました。ここ数年はやりの、脳とこころの関係性を説いた本の古典とも言える内容で、類似書がこの本を参考にしていることがよくわかりました。基本的には「自分の感情の動きを理解して」、「衝動的に行動せず、うまく自分を制御する」ことの重要性を説いた本です。衝動的な感情の制御は「言うは易く行うは難し」、ですが、なぜそういう心の動きになるのかを(そしてその衝動的な行動の代償がいかに高いかについても)、丁寧に解説してくれているので、ひょっとしたらましな人間になれるかも、という期待が持てる本です。ただ、この本の長さの半分くらいでよかった気がします。翻訳も読みやすいとは言えず、結構しんどい読書でした。とりあえず、自分の感情の動きのモニタリングから始めてみたいと思います。

56 引き続き橋本治さんによる最近の世界情勢を考察した本を読みました。先週読んだ「知性の顚覆」の前段のような作品で、無反省な「経済成長第一主義」への批判など、一部内容が重なるところもあります(「たとえ世界が終わっても」は少しタイトルとして狙いすぎな気がしますが、「経済成長を続ける世界が終わっても」くらいの意味です)。この本の内容紹介に「橋本治史上、最も分かりやすい一冊! 」とある通り、フリーライターや編集者との対話形式で進み、トリッキーな論理展開のいつもの橋本治さん節から感じる疑問を、彼らが代わり質問してくれ、それに橋本さんが例になく丁寧に説明して下さるのでわかりやすく、なんとなくわかった気になります。ただ、この「わかった気になる」が曲者のような気もして、いつもの消化不良の読後感の方が、自分で考える訓練になり、橋本治さんの本を読む上ではそちらの方が有益かもしれません。とにかく、いろんな意味で自分の頭で考える重要性を再認識させられる本です。

57 今年上期の新書のベストセラーということで読みました。会社員生活の晩年をフリーライターを兼ねながら過ごされた筆者自身のご経験も踏まえながら、退職後の生活とそのための準備が会社員時代から必要なことを、具体的にイメージできるように説明してくれます。また、楠木さん自身が休職された経験があり、また、退職後に充実した生活を実現されているので、会社組織以外の居場所を見つける必要性を説かれる部分には説得力があります。結局、自分の好きなことで社会につながることが一番で、退職後の長い時間を費やしても苦にならない好きなことを、会社員生活のうちから自分に問い続けることが必要なのだと思いました。


■CD
35 What's The 411?/Mary J. Blige
36 The Mix-Up/Beastie Boys
37 M!ssundaztood/P!nk

35 「クイーン・オブ・ヒップ・ホップ・ソウル」と称されるメアリー・J. ブライジのデビュー作。デビュー作らしい瑞々しさと、抜群の歌唱力が印象的です。次作の「My Life」という作品で完成の域に達しますが、軽快なスタイリッシュさと重厚な情念のバランスが絶妙です。「Real Love」は、今聴いても新しくかつ普遍的で、歴史に残る名曲だと思います。ソウルミュージックの暑苦しさが苦手な方にもお勧めできる作品です。

36 ヒップホップ・グループの大御所ビースティ・ボーイズによるインスト盤です。「Hello Nasty」、「To the 5 Boroughs」といった作品で地位を確立した後の作品なので、リスナーの期待よりも自分たちがやりたいことを自由にやった感がタップリです。能天気なパーティチューンのヒット曲が多いグループですが、彼らの知的な面が前面に出ています。「Paul's Boutique」あたりの、豊富な音楽的知識を元にした、練りに練ったクールなサウンドが好みな方は気に入ると思います。人間の多面性を知る上でも興味深い作品です。

37 アメリカの女性シンガーソングライター、ピンクのキャリアハイのセールスを記録した作品です。彼女を象徴する代表曲「Get The Party Started」のようなひたすら楽しいアップテンポの曲だけでなく、ミディアムテンポの曲もバランスよく配置されています。名曲「What's Up?」で有名な元4 Non Blondesのリンダ・ペリーと大半の楽曲が共同制作されたということで、ツボを押さえたドラマティックな楽曲が満載です。


■映画
42 僕だけがいない街/監督 平川雄一朗

 原作漫画が大好きだったのと、映画館で観た予告編が印象的だったので観ました。主演の藤原竜也さんは生理的に合わないので評価は差し控えますが、ヒロインの有村架純さんはとてもチャーミングですし、子役の二人の演技もとても上手でした。母親役の石田ゆり子さんは原作と少しイメージが違いますが(もう少し芯が強いイメージでした)、好演されていたと思います。虐待される子どもの描写も印象的で心を揺さぶられました。これら俳優陣の演技力と原作のストーリーの力で途中まではとても面白かったです。原作完結前に映画化が進んだので仕方がない面があるのは承知の上ですが、それでもエンディングの唐突感には失望しました。細かく張られた複雑な伏線を丁寧に解消していくのが原作の魅力の一つであったので、それができないのであれば、つじつまが合わない伏線ごと大幅に削ってもよかったのではと思います。ストーリーの幹の部分でつじつまが合っていないのがとても気持ち悪く、エンディングをオリジナルなものにするのであれば、もう少し大胆に脚色してもよかったのでは、と思います。
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ロング・グッドバイ

2017-07-16 10:30:20 | Weblog
■本
53 ロング・グッドバイ/レイモンド・チャンドラー
54 知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造/橋本 治

53 村上春樹さんの翻訳版が出た直後に購入しましたが、その長さに何度か挫折していました。この春に「村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事」を読んだのを契機に、一念発起して読み遂げました。ロバート・アルトマン監督の映画版の印象がまだ強烈に残っていたので(エンディングとかは全然違っていて驚きました)、どうしてもフィリップ・マーロウがそのイメージに引っ張られましたが、権力に一切屈っさず、自分の信念に従う主人公の姿は魅力的です。村上春樹さんの翻訳は読みやすく、翻訳ものにありがちな登場人物の混乱もほとんどありませんでした。村上春樹さんご自身による巻末の解説で、この作品と「グレート・ギャツビー」との類似性が指摘されている点も興味深かったです。村上春樹さんの文体や作品の構造がいかにレイモンド・チャンドラーの影響を受けているか、そして、その影響下でいかに、村上さんがご自身の個性を作品に付加しているのか、ということがよく理解できたので楽しい読書体験でした。

54 数年前に橋本治さんの新書にはまったのですが、先日、新聞の書評でこの本が取り上げられていたので読んでみました。相変わらず、論理展開がトリッキーで、「ヤンキー」、「大学」、「東京の山の手」など次々に展開される関係なさそうな話題に、どのような結論になるのかドキドキしながら読みました。結局、豊富な歴史的知識や鋭い分析力に基づき、「ブレグジット」や「トランプ現象」の背景にある「反知性主義」や「経済発展の限界」に見事に着地します。自分の周囲の「均質なみんな」のことだけを考えるのではなく、もっと俯瞰的な視点で、「それぞれの立場を持つ多様性のあるみんな」を視野に入れて考えることが、「知性」であると啓蒙されている本だと私は読みました。実際はなかなかそのような知性を身に着けるのは難しいですが、考え続けることは必要なのだと思います。


■CD
34 Nashville Skyline/Bob Dylan

 村上春樹さんの「騎士団長殺し」の主人公が聴いていたので、私も手元に置いておきたくなり購入しました。ボブ・ディランの最高傑作は「Blood on the Tracks」だと個人的には思っていますし、客観的に見ても完成度は「Highway 61 Revisited」、「Bringing It All Back Home」や、中期のダニエル・レノアによるプロデュ―ス作品、そして、21世紀に入ってからの「Modern Times」あたりの方が高いと思いますが、ボブ・ディランという人物を理解する上では欠かせない作品です。ダミ声が代名詞のボブ・ディランが、美しい声で朗々とカントリーソングを歌いあげています。初期の地位を確立した、「Blonde on Blonde」、「John Wesley Harding」といった作品の流れで、このような地味で個人的な作品を作る肝の据わり方が恐ろしいです。それでいて、単なる美しい曲で終わらない、得体のしれない狂気というか不気味さが奥底にあるような気がして、聴くたびに新しい引っかかりを感じる奥深い作品です。


■映画
41 デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー/監督 チャールズ・デ・ラウジリカ

 先週に「ブレードランナー ファイナル・カット」を観た勢いで、そのメイキング・ドキュメンタリーを観ました。出資者、監督、キャスト、各スタッフなどのインタビューをベースに、映画の実際のシーンやメイキング映像を交えながら、いかにこの映画の制作が大変だったかがあぶり出されています。脚本家の突然の解任、監督のリドリー・スコットと制作スタッフのいざこざや、明確には語られていないものの、キャスト間の微妙な関係性が垣間見れて、およそ仕事をする上でベストとは程遠い環境にも関わらず、歴史に残る傑作が生み出されたということに驚かされます。リドリー・スコットの執念と、各スタッフのプロ意識の賜物だと思います。この映画の独特の雰囲気を醸し出している、煙漂う夜のシーンが、低予算の制約から生まれた苦肉の策であったことが興味深かったです。制約条件が、ときにクリエイティビティに良い影響を与えるという好事例だと思います。
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ブレードランナー ファイナル・カット

2017-07-08 07:00:02 | Weblog
■本
52 小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける/佐藤 優、 井戸 まさえ

 タイトル通り小学校社会科の教科書での記述を用いながら、「国会」、「内閣」、「裁判所」など、私たちが生活する上で必要な「政治」に関する基礎知識を教えてくれます。と言っても、佐藤優さんが関わっている本だけあって一筋縄ではいかず、教科書に書かれている「表の社会科」だけでなく、佐藤さん、井戸さんの官僚や国会議員としての経験に裏付けられた「裏の社会科」という視点で、それぞれの実情を教えてくれるので、得られる知識に深みが出ます。「政党」は「ポリティカル・パーティ=部分の代表」であり、「全体の代表」ではあり得ない、という解説と、ロシアや北朝鮮のように投票率が100%近い国が必ずしも良い国ではなく、「考えていることを言わなくてもいい自由」や「選挙に行かなくてもいい自由」があるという視点が特に印象的でした。


■CD
33 Mellow Waves/CORNELIUS
 
 コーネリアスこと、小山田圭吾さんの11年ぶりのオリジナルアルバムです。アイデアがふんだんに盛り込まれているにもかかわらず、ストイックなまでに要素を絞り込んだミニマムな雰囲気が印象的です。フリッパース・ギター時代の相方、小沢健二さんが4年のブランクを経て2002年に出された作品「Eclectic」を初めて聴いた時と似たような感覚を持ちました。音楽的な試行錯誤をやり尽くした人が、一周まわって「自分の声」を含む一つ一つの音をいかに効果的に届けるか、という原点に立ち返っているかのような作品です。落ち着いた大人の音楽で、聴いていてひたすら心地よいです。


■映画
39 ブレードランナー ファイナル・カット/監督 リドリー・スコット
40 パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊/監督 ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ

39 今年に続編が公開されるということと、「ファイナルカット」は観たことがなかったので、久しぶりに観ました。あと2年後の2019年を舞台にした作品なんですね。すっかり忘れていました。35年前の作品ですが、今見ても近未来感が満載で、リドリー・スコット監督の卓越したセンスが感じられます。極めてシリアスな作品にもかかわらず、主人公デッカード演じるハリソン・フォードのどこかユーモラスな演技は独特で、彼の真骨頂とも呼べる魅力を放っています。オリジナル版を観たのは20年以上前で、あまりよく覚えていませんが、そちらはもう少しモノローグが多い印象でした。あと、デッカードが実はレプリカントだという落ちという記憶でしたが、そこまで明確には語られていません。その一方で、プツンと断ち切られたかのような、ハードボイルドなエンディングが印象に残ります。改めて観ると、記憶に残っていたよりもストーリーが極めてシンプルで、世界観とキャラクター(レプリカントのリーダーを演じたルドガー・ハウアーも一世一代の名演を見せてくれます)で勝負している作品だったことに驚きました。歴史に残る傑作です。

40 「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの5作目です。初期3部作でいったん完結した後に作られた前作は、少し冗長な印象でしたが、今作はシンプルなストーリー展開で素直に楽しめました。ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウは安定のはまり役です。今回のジャック・スパロウは過去の作品よりもさらにダメダメで、何もせず運だけで生き残っていますが、不思議と憎めません。若き日のジャック・スパロウのエピソードが披露されていて、彼が過去は狡猾かつ勇気溢れる策略家であったことがわかり、少し見直しました。オーランド・ブルームやキーラ・ナイトレイといった、初期3部作のメインキャストが登場したエンディングも後味がよいです。今作のキャストと比べると、オーランド・ブルームやキーラ・ナイトレイがいかに魅力的な俳優であるかを再認識させられました。ポール・マッカートニーが楽しそうに、ジャック・スパロウのおじさんを演じているのも注目です。エンドロール後に次回作を匂わせてくれますが、さすがに次で終わりにした方がよいと思います(と言っても次回作も観に行くのですが)。
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ハクソー・リッジ

2017-07-02 10:17:01 | Weblog
■本
51 本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法/出口 治明

 ライフネット生命創業者である出口治明さんによる読書論です。大ファンなので定期的に出口さんの本を読みたくなります。読書家の出口さんらしく、本に対する深い愛情と教養の必要性への思いが伝わってきます。「1行たりとも読み飛ばさない」、「線を引いたり、付箋を貼ったりしない」、「同じ本を読むことはあまりしない」など、よくある読書論とは異なる見解も多く述べられていますが、出口さんらしいロジカルな考えに基づかれていて、納得感があります(要は人の話を聞くのと同じように、本にも一期一会で真剣に向き合うべし、というご意見のようです)。「リーダー」や「子育て」など、目的別の出口さんによるお勧め本も多数紹介されていて、読書の幅を広げる意味でも有益な本です。
 

■CD
24 Fuzzy Warbles Volumes 1/Andy Partridge
25 Fuzzy Warbles Volumes 2/Andy Partridge
26 Fuzzy Warbles Volumes 3/Andy Partridge
27 Fuzzy Warbles Volumes 4/Andy Partridge
28 Fuzzy Warbles Volumes 5/Andy Partridge
29 Fuzzy Warbles Volumes 6/Andy Partridge
30 Fuzzy Warbles Volumes 7/Andy Partridge
31 Fuzzy Warbles Volumes 8/Andy Partridge
32 Fuzzy Warbles Hinges/Andy Partridge

24~32 XTCのアンディ・パートリッジによる、デモ、アウトテイク集です。10年くらい前に発売されたBOXセットを買い逃し、絶版になって高値になっていたのをずっと悔しく思っていたのですが、最近3枚単位の3部作として再発されていたので、まとめて大人買いしました。XTCで発表された楽曲の別バージョンだけでなく、結構オリジナル曲も収録されています。どの楽曲もキラキラとしたポップソングで、デモらしい粗削りのリラックスした雰囲気も相まって、聴いていてひたすら楽しいです。XTCを聴いたことがない方は、当然オリジナル作品から聴いていただきたいですが、「Oranges & Lemons」あたりのXTC作品が好きな方は絶対気に入ると思います。


■映画
37 めぐりあう時間たち/監督 スティーブン・ダルドリー
38 ハクソー・リッジ/監督 メル・ギブソン

37 それなりに恵まれた環境にある、別々の時代に生きる3人の女性のそれぞれが抱える憂鬱を描いた作品です。「ダロウェイ夫人」の作者ヴァージニア・ウルフ(1923年)、その「ダロウェイ夫人」の読者である女性(1951年)、その女性の子どもの友人(2001年)、をニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープがそれぞれ重厚に演じています。それぞれの女性が抱える「憂鬱」を、男性である私があまり共感できなかったこともあり、アカデミー作品賞にノミネートされた作品の割には、それほど強い印象は残りませんでした。タイトルにもある、時間の絡み合いも、複雑な構成をわかりやすくまとめた手際は見事ですが、特に作品として有効に機能してはおらず、単なる演技派3大女優の共演以上のインパクトが残せていない気がしました。名作の雰囲気が漂う作品で、観る前のハードルが高かったこともあるのですが、少し残念でした。

38 こちらも今年のアカデミー作品賞等にノミネートされていた作品です。米軍視点の沖縄での戦争ものということであまり期待していなかったのですが、終盤は観ていて涙が止まりませんでした。「炎のランナー」+「プライベート・ライアン」という感じで、キリスト教徒である主人公の頑なまでの信念とリアルな戦闘シーンの映像が特に印象的です。メル・ギブソン監督作品らしい狂気と紙一重の自己犠牲ぶりが、自分には絶対真似はできないと思いつつも、激しく心を打ちました。かなり偏った倫理観に基づく映画ではあるものの、日本兵側の描き方は極めてニュートラルで、単なる敵兵以上の公平な視点を感じました(観る人が観ればそれでも偏見や誤解がたくさんあるのでしょうが)。監督の意図が見え過ぎて、素直には評価しにくい作品ではありますが、それでも観る人の心に多くのものを残す、影響力の大きな作品だと思います。
コメント (2)
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