本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

逃亡くそたわけ

2008-03-30 07:04:14 | Weblog
■本
23 逃亡くそたわけ/絲山 秋子
24 最新通信業界の動向とカラクリがよくわかる本/中野 明

23 鬱病の男女二人が病院から抜け出して九州を旅すると言う、ロードムービー好きの僕にはたまらない設定のお話。男女ほぼ二人の登場人物だけで、肉体関係も全くなく、ここまで話を展開させられる筆者の力量に圧倒されます。二人の関係を恋愛感情未満の感情でとどめているところも、ストーリーを安易な方向に展開させないという、筆者の志の高さを感じます。どこかコミカルで物悲しいけれど、最後に希望が感じられる上質な二人芝居を観ているような気分になります。男性の方はNTTの関連会社という設定、やはりあの会社は鬱になりやすいのでしょうか? 逃走場所で支店を見つけて気が動転するシーンなど、全国規模の会社に勤めている人にはその気持ちがよくわかるのではないでしょうか? 僕も旅行中に会社の支店を見つけるとよく興ざめします。

24 インターネットも含む通信動向を把握するには良い本です。統計データもすごく豊富で、この業界の人向けにプレゼンするときなどに重宝すると思います。実務に役に立つ本です。
 

■CD
7 No.1/TOKYO No.1 SOUL SET

 落ち着いた雰囲気の聴いていてくつろげる作品です。ただ、「黄昏'95-太陽の季節」や「ヤード」を初めて聴いたときのような、胸がわくわくするようなマジックはもうこのユニットからは消えてしまったんだなという印象も強く持ちました(「ヤード」のあのバックトラックを聴くと、今でも天高くどこまでも上り詰めて行くような気分になり、テンションが限りなく上がります)。成熟して得るものもあれば、失うものもあるということでしょう。それでも人生は続くという覚悟は感じられる作品です。


■映画
8 スパイダー/監督 リー・タマホリ
9 メリンダとメリンダ/監督 ウディ・アレン

8 モーガン・フリーマンの演技と原作のよさが光る意外といい作品です。真犯人がわかってからは少しグダグダな感が否めませんが、それまではさまざまな複線が巧みに張りめぐらされ、緊迫感があってなかなか楽しめます。大作ではないですが、コストパフォーマンスのいい作品と言えると思います。

9 一人の主人公の悲劇と喜劇が同時進行的に描かれるウディ・アレンの実験的な作品。悪くない作品ですが、こじんまりとしていてどこかとっちらかった感じがあります。人生賛歌的な結論のメッセージもあまりに直球過ぎてちょっと引いてしまいます。ロンドンに活動場所を移したウディ・アレンのこのあとの2作「マッチポイント」と「タロットカード殺人事件」がすごくよいので、この2作のための準備にいろんなことを失敗を恐れずあえて試してみた作品と位置づけることができると思います。
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ノーカントリー

2008-03-22 06:43:37 | Weblog
■本
21 はい、泳げません/高橋 秀実
22 ネットがテレビを飲み込む日/池田 信夫、林 紘一郎、山田 肇、 西 和彦

21 水泳教室への体験記だけで1冊の本にしたすごい本です。細部にまでこだわった筆者の文章力と視点のユニークさに感心します。先生との問答や筆者の内省は哲学的でさえあります。僕もかろうじて25m泳げる程度の泳力なので結構真剣に読みました。でも、やはり実際に泳いでいる手本を見て体を動かしてみないと実感がわきませんね。ハウトウ本というよりも読み物として楽しむべき本です。とはいえ、泳げることの気持ちよさが伝わってきて、僕も水泳教室に行ってみたくなりました。

22 こういう共著本の宿命なのかどうしても散漫な印象を持ちます。最後の座談会もいまひとつ議論がかみあっていない気がしますし。ネットとテレビの融合についての技術的な問題、法的な問題、さまざまな利権などいろんな論点を把握するという意味では参考になりますが、俯瞰的に理解できるかと言うと、そうでもないです。同種の本で筋の通ったものがありますので、そちらをまず読んで、本著はサブテキストとして関心のある領域だけ深めるという読み方がよさそうです。


■映画
7 ノーカントリー/監督 コーエン兄弟

 オスカー受賞作だけあって、やはり完成度の高い作品です。俳優人の演技は完璧。脚本は予想を裏切る展開で、似た映画が全く思いつかないほど、オリジナリティが高いです。映像も残酷で迫力ある殺し屋の殺戮シーン、緊迫感溢れるベトナム帰還兵の逃走シーンと淡々とした保安官の捜索シーンのメリハリが利いていて飽きないです。全体を通して、理不尽な暴力に対する拒否感を声高に主張していないだけにかえって、現代社会に溢れる残虐性や唐突に奪われかねない我々の人生に対する絶望感や無力感が伝わってきます。ただ、少し僕の個人的な好みに合わないのは、その絶望感や無力感の後の、ささやかな希望や祈りのようなものが全く提示されないままに映画が終わること。そのような希望や祈りが持てないほど現代社会が病んでいて、それを本作は的確に反映していると言ってしまえばそれまでですが、最後になんらかの希望の兆しを予感させることが映画の大切な役割だと個人的には思っています。「赤ちゃん泥棒」などコーエン兄弟の過去の作品にはそのような希望の兆しを見つけることができましたが、本作にはそれがない点が少し残念。
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スモールトーク

2008-03-17 05:59:56 | Weblog
■本
20 スモールトーク/絲山 秋子

 主人公の画家の女性と彼女の気を引くために、高級外車を次々と乗り換える音楽プロデューサーの男性との関係を描いたちょっとありえない設定の短編連作集です。正直、外車にはほとんど興味がないので、その車が意味するところは深読みできませんでした。本作でも絲山さんの文章はとても巧いです。その技術に内容が追いついているところもすごい。器用貧乏に陥らずに、「人生の秘密」を何気ないエピソードやモノローグでつなげるところがクールで大好きです。やはり全作読むべき作家さんだとあらためて思いました。


■映画
6 ディアルガVSパルキアVSダークライ/監督 湯山邦彦

 子どもが大好きポケモンDVDを一緒に観ました。アニメ版と同じ登場人物(ポケモン?)で親しみがあったためか、初めて最後まで観続けることができました。これまでも何作か一緒に観させられたのですが、途中で眠くなってしまうことが多かったんです。本作は展開が速く一気に観れました。ディアルガVSパルキアのバトルシーンもなかなかの迫力ですし、ストーリーもしっかりとしていて、なかなかの高クオリティです。ロケット団の活躍が少なめなシリアスな内容が少し残念でした。無駄に豪華なCGとヒロインが声優さんでないためかアニメの話法からずれている点に少し違和感を感じました。
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パワー・プレゼンテーション

2008-03-08 06:19:45 | Weblog
■本
17 爆笑問題の日本史原論グレート/爆笑問題
18 爆笑問題のニッポンの教養 芸術人類学/爆笑問題 中沢 新一
19 パワー・プレゼンテーション/ジェリー・ワイズマン

 爆笑問題関係を2冊続けて読みました。

17 内村鑑三とか由比正雪とか人選がマイナーすぎてこれまでの日本史言論の中で一番勉強になりました(正直この二人のことは名前しか知りませんでした)。逆に、人物に関する予備知識がない分、ギャグはあまりおもしろくありませんでした。日本史も勉強しないといけないなあとあらためて思いました。

18 太田さんと対談相手との相性もあるのでしょうが、12「爆笑問題のニッポンの教養 哲学ということ」よりも議論がスムーズでわかりやすかったです。一方、両者の意見が対立することがなかったので、どちらが刺激的だったかという点では12の方が上です。中沢 新一さんのことは太田さんと対談した憲法9条の本と「アースダイバー」の著者くらいの認識しかなかったのですが、非常にユニークで幅広い活動をされていることを知りました。「アースダイバー」は是非読んでみたいです。

19 プレゼンについて、ボディランゲージや話し言葉といった小手先のテクニック(これらのテクニックも重要ですが)ではなくて、相手にいかに理解させて行動に移させるかという本質に重点をおいた非常によい本です。論理的な展開パターンが重要など、それほど目新しいことは語られてはいないのですが、豊富な実例と巧みなパターン分けにより、わかりやすく説得力がとても強いです。スライドの作り方や練習方法など、細かい点まで丁寧に解説してくれています。プレゼンの主役はスライドではなく人、という点は目から鱗でした。プレゼンにお悩みの方にはお勧めの本です。


■CD
・19/Adele

 各方面で絶賛されている通り声がすごくよいです。曲も地味ながら名曲揃い。派手さはないがアーチストの才能が強く感じられる作品です。
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虫眼とアニ眼

2008-03-01 07:52:28 | Weblog
■本
16 虫眼とアニ眼/養老 孟司 宮崎 駿

 子育てに役に立つ本です。実際、うちの息子が通っている幼稚園はこの本の影響をかなり受けている(校庭にでこぼこがあるし、庭で焚き火はするし、子どもに刃物を持たせているし)と思うところがたくさんあります。こんな幼稚園に子どもを通わせているくらいなので、この本の内容にかなり共感できました。今後世界がよくなるという実感を個人的にもあまり持っていないのですが、子ども達に「生まれてきて間違っていました」と言わずにすむように自分に何ができるのかを考えていきたいと思います。とりあえず、子どもが生まれながらに持っている「生きる力」を損なわないようにはしたいと思います。


■CD
6 Orchestrated Kaleidoscopes/Crash That Took Me

 タワーレコードの「マイブラ+アーケイド・フィア」というポップを見て衝動買い。確かに1曲目なんかはMy bloody Valentine風ですが、ボーカルの声質などから、どちらかといえば、clap your hands say yeah に似ている気がします。clap~ に比べると少し小粒な印象を持ちますが、USのインディーズっぽくていいバンドです。
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