本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Hot Pepperミラクル・ストーリー

2014-07-24 08:40:56 | Weblog
■本
69 Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方/平尾 勇司

 クーポンマガジン「Hot Pepper」を立ち上げた方による、当時のエピソードやその背景にあった考えがまとめられた本です。単なる自慢話ではなく、成功へと繋がる論理や熱い思いが詳細に書かれている点が素晴らしいです。新規事業立ち上げ時に非常に参考になると思います。モチベーション管理やマネジメントの教科書としても秀逸です。実際にやり遂げた実行力が何より素晴らしいですが、それだけでなく緻密に戦略ストーリーが練りこまれていることが窺い知れます。


■CD
35 True Colors/Cyndi Lauper

 大ヒットしたタイトル曲を久しぶりに聴きたくなったので購入しました。デビューアルバムが評価されることが多いですが、このセカンドアルバムも高いクオリティの緩急自在のメリハリのある構成であっという間に聴き終わります。パワフルさと可愛げと繊細さが同居するこの人のヴォーカルは唯一無二の存在感だと思います。


■映画
49 ザ・バンク 堕ちた巨像/監督 トム・ティクヴァ
50 ポケモン・ザ・ムービーXY「破壊の繭とディアンシー」/監督 湯山邦彦

49 巨大銀行の陰謀に迫るインターポール捜査官を描いた作品です。世界を舞台にしたスケールの大きな作品です。脚本も悪くないし、近代美術館での銃撃戦など印象的なシーンもありますし、ナオミ・ワッツは本作ではじめて魅力的だと思いましたが、どこか物足りない印象が残ります。主演のクライヴ・オーウェンの安定感があり過ぎる地味な演技のためか、捜査官の執念の背景にある動機がいま一つ伝わってきません。単純に私の頭が悪くて、巨大銀行の儲けの仕組みを理解できなかったのが、腑に落ちない原因かもしれませんが。監督は名作「ラン・ローラ・ラン」の人なんですね。あの作品のような監督の個性をもっと前面に出してもよかった気がします。全体的に手堅過ぎる気がしました。

50 同時上映作もですが、今回は女子向けな気がしました。CGは作品を重ねるごとに進化していますが、ストーリーがそれに追いついていない気がします。一緒に観に行った次男も物足りなそうでした。もう少し子どもたちを信用して深みのあるストーリーでもよい気がします。
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her/世界でひとつの彼女

2014-07-20 10:46:25 | Weblog
■本
67 知識創造企業/野中 郁次郎、竹内 弘高
68 「好き嫌い」と経営/楠木 建

67 「知識」を活かした経営を語るさまざまな本で引用されている「暗黙値」という言葉を一躍有名にした本です。さすが元ネタだけあってこれらの概念を非常に丁寧に解説してくれます。四つの知識変換モードとして語られる「共同化」、「表出化」、「連結化」、「内面化」など、筆者の理論を支えるために細かく分解された概念については、正直十分に腹落ちして理解できていませんが、ホンダやパナソニックと言った日本の代表的な企業の知識創造プロセスのケーススタディーが非常に詳しくかつ読みやすくまとめられていて、それだけでも一読の価値があります。日本企業について客観的にその強みと弱みを分析されている視点が、情緒的な楽観論や悲観論に流されないためにも参考になります。

68 「ストーリーとしての経営戦略」の楠木健さんが、彼が尊敬する経営者に個人的な「好き嫌い」についてインタビューした本です。客観が重視されがちなビジネスの世界で、経営の本質である「違い」を生み出す要因として、主観的な「好き嫌い」に着目した視点がまずユニークです。また、インタビューされている経営者の方々が、さすが成功されているだけあってみなさんその視点が個性的で単純に読み物としてもおもしろいです。結果的に経営者の姿勢やスタンスの正解は一つではない、ということがわかり、自分の個性を自分が好きで頑張れる分野にいかに活かして行くかが大切である、ということを再認識できて元気が出てきます。成長が止まり成熟化が進む日本で「働く」ということを考える上でも有益な本だと思います。


■CD
34 Rocks/Aerosmith

 エアロスミスの最高傑作という評判の高い作品なので聴きました。ヘヴィ・ロックの代表作という評価も多いですが、個人的には非常に軽快な作品という印象を持ちました。文句なしの傑作なのに、そういった名盤にありがちな重みと言うか権威のようなものを感じさせない、敷居が低く誰でも気軽に楽しめるリスナーに優しい作品だと思います。聴いていて楽しくなり、楽器を手にとりたくさせる魅力に富んでいます。


■映画
47 藁の楯/監督 三池崇史
48 her/世界でひとつの彼女/監督 スパイク・ジョーンズ

47 職業倫理について描かれた作品だと思いました。賛否が分かれているようですが、僕は結構気に入りました。藤原竜也さんの灰汁の強い演技はあまり好きではないのですが、この作品ではそのクドさ、ウザさがうまい具合に作用して作品への感情移入ができました。守る価値のない人間を命を賭して守るべきか、というギリギリの決断を主人公が下す場面の描写の掘り下げが甘かったところが残念ですが、単純な二元論に陥らない深みのある、スケールの大きいエンターテイメント作品だと思います。

48 人間とOSの恋愛という、スパイク・ジョーンズ監督作品らしいぶっ飛んだテーマですが、恋愛関係だけでなく男女間の友情についても考えさせられるハートウオーミングな傑作です。スパイク・ジョーンズ監督作品にしては、ウエルメイド過ぎてハチャメチャな破綻がないという点が唯一の不満です。メインキャストのホワキン・フェニックスとエイミー・アダムスはそれぞれ傷ついた相手を慰め合う美しい友情関係を見事に演じているのですが、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品の「マスター」のイメージが強すぎて、二人が並んでいると純粋な友情関係なのに何かたくらんでいるような気がしてしまうのが不思議です。音楽もすばらしく、Breeders(学生時代によく聴いていました)やArcade Fireの楽曲が効果的に使われています。脚本、ディレクション、演技、音楽、全てにおいて優れた作品ですが、一番印象的なのは、声だけでも十分にエロティックなスカーレット・ヨハンソンのOSの演技(?)です。こういうチャレンジングな役を引き受けるところに彼女の女優としての優れた嗅覚を感じます。
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Aladdin Sane

2014-07-13 11:08:17 | Weblog
■本
65 嵐のピクニック/本谷有希子
66 うれしい悲鳴をあげてくれ/いしわたり 淳治

65 人間の暗黒面を攻撃的に描く本谷さんの作品がもともと好きですし、個人的に大江健三郎賞受賞作がツボにはまることが多いので読みました。本谷さんにとって初の短編集で、奇想天外な設定のチャレンジングな作品も多く収録されています。これまでの攻撃性が若干影を潜め、ジワっと背筋が寒くなるような理不尽でダウナーな感じの人間の狂気が描かれた作品が多いです。ピアノの先生とその生徒の屈託を描いた冒頭の「アウトサイド」という小説が一番完成度が高いと思いました。それぞれが垣間見せた上昇傾向が、結局はダメになっていくやるせなさがたまりません。

66 大好きなバンドSUPERCAR の元メンバーで現在は作詞家、プロデューサーとして活躍されている、いしわたり淳治さんのエッセイ、小説集です。連載していたロッキング・オン・ジャパンの編集者に「事実とフィクションが7:3くらいの温度感の、エッセイのような、小説のようなものをお願いできませんか」と依頼された、とあとがきに書かれていますが、その通りの内容の虚実が混在した不思議な感覚の本となっています。既成概念を揺さぶられるオチが特徴のショートショート的な作品が多く収録されていますが、いしわたりさんが日々感じている青臭い違和感のようなものを、ためらうことなく潔くぶつけられていて、その正直で勇気のある人柄が感じられます。自分の感覚や表現に対して自問自答を繰り返しつつも、最終的には強い自信を持たれていることが伝わってきます。


■CD
32 Aladdin Sane/David Bowie
33 Snapshot/Strypes

32 超名盤「Rise & Fall of Ziggy Stardust」の次の作品です。「Ziggy Stardust」の緻密に構成されたアルバム全体の統一感とは真逆のごった煮的な印象のいろんなタイプの曲が収録されています。ただ、それぞれの楽曲のクオリティは半端なく高く、表題曲を筆頭にピアノやギターといった各楽器の音の立たせ方が非常に巧みで印象的です。最高傑作の次の作品としては理想的な作品だと思います。前作の偉大なイメージに囚われることなく、自由奔放に作品を生み出す、David Bowieのクリエーターとしての底力が感じられる傑作です。

33 少し前にロック雑誌やFMラジオ局でよく取り上げられていたので聴いてみました。月並みな表現で恐縮ですが、若々しい初期衝動に基づく、短い曲をたたみかけるような構成は聴いていて心地よいです。特に冒頭の「Mystery Man」は、非常に完成度が高く16歳の少年達が作ったと思えません。ブルースハープの響きがとても格好良いです。楽曲により品質のムラがあるところが少し気になりますが、最近こういう純粋なロックンロールアルバムが少ないので貴重な存在だと思います。


■映画
46 ワイルド・スピード MEGA MAX/監督 ジャスティン・リン

 このシリーズの売りであるカーチェイスよりも、ルパンⅢ世的な現実離れしたスケールの大きい盗みの計画と登場人物のキャラ立ちが冒頭から目立っていたので、それはそれで面白いものの、シリーズの中で特殊な位置づけの作品かと少し違和感を感じながら観ていました。しかし、クライマックスの金庫を使った街全体を破壊せんばかりの破天荒なカーアクションが馬鹿馬鹿しくも凄まじく、大いに楽しめました。ストーリー的には突っ込みどころが満載なのですが、それを補って余りある映像のスケールとスピード感が圧巻です。ハリウッドのよい面が出た作品だと思います。頭を空っぽにして作品世界に入っていけます。一緒に観ていた小学生の息子達も大喜びでした。
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オールド・ボーイ

2014-07-05 14:01:39 | Weblog
■本
62 健全な肉体に狂気は宿る――生きづらさの正体/内田 樹 春日 武彦
63 人生はニャンとかなる!-明日に幸福をまねく68の方法/水野敬也、長沼直
64 家族の悪知恵 (身もフタもないけど役に立つ49のヒント)/西原 理恵子

62 いつもの内田樹さん節ですが、対談相手が精神科医の春日先生で「心の問題」についての話題が多かったので、私の個人的な興味とも一致してとても楽しめました。対談形式ですがあまり議論としては噛み合っておらず、それぞれの(特に内田さんの)持論の応酬になっているのはご愛嬌です。春日先生が挙げられる人間が精神的に健康でいられる条件(「自分を客観的に見られる」、「中腰の姿勢で耐えられる」、「秘密をもてる」)はなかなかに深いお言葉だと思いました。「保留する勇気」の大切さが理解できる本です。

63 偉人達の名言とそのエピソードを簡潔に紹介する「人生はワンチャンス!」の続編です。今度は猫の写真とともに名言が添えられています。個人的には犬よりも猫の写真の方が表情豊かな気がして楽しめました。まあ、お手軽な自己啓発本と言ってしまえばそれまでですが、字ばかりの本を読む元気のないときに気楽に読むにはよい本です。

64 西原理恵子さんが、読者の家族に関する悩みに答える本です。こちらも相変わらずの西原理恵子さん節で下ネタを交えながら、非常に現実的で歯切れのよい回答を聞かせてくれます。「親子関係は希薄な方がいい」といった内田樹さんとも通じるような発言もなされていて興味深いです。「厳しい世の中をサバイブしていくのに最も最善の道を取る」、という観点に徹されていて、それ以外の優先順位は捨てる潔さが読んでいてとても気持ちよいです。


■CD
30 Sing to the Moon/Laura Mvula
31 Vapor Trails-Remixed/Rush

30 シングル「Green Garden」が気に入ったので買いました。もっと土っぽいサウンドかと思っていたら、アルバム全体としてはかなり洗練されている曲が多くて驚きました。逆にこのシングル以外はさほど引っかかりがなく、ツルっとした印象が残ります。スケールの大きい能力が高いアーチストだと思うのですが、圧倒するような個性に少し欠けると思いました。

31 息の長いバンドで数年に一度くらい名前を聞くのでいつか聴きたいと思っていました。この作品がAmazonでとても安かったので購入しました。独特の高い声のヴォーカルに壮大なサウンド、プログレっぽい技術力の高さを感じますが、ポップさも失われていません。カナダ出身のバンドということもあるのかもしれませんが、メインストリームからほんの少しだけずれた感じが、このバンドの個性だと思います。


■映画
44 オールド・ボーイ/監督 スパイク・リー
45 真夏の方程式/監督 西谷弘

44 原作漫画と韓国で映画化された作品が大好きなので観に行きました。韓国版を上回ることはないな、とあまり期待してなかったのですが、その通りでした。ストーリーの骨組みがしっかりしているので、それなりに面白いのですが、主人公はチェ・ミンシクの方がはるかによかったです。スパイク・リーらしいメッセージ性もあまり感じなかった点も、もの足りませんでした。ヒロインのエリザベス・オルセンは魅力的でよかったのですが、ゴージャス過ぎる点がこの作品にそぐわない気が少ししました。まあ、衝撃の結末を知っていたので、幾分辛い評価になるのも仕方ないと思います。

45 こちらも原作がしっかりしているので、重厚的なストーリー展開がとても楽しめました。過去の事件に直接関わった親子関係だけだとよくある話ですが、そこに親戚の少年を現代の事件にからませたところが秀逸です。そしてこの少年役がこの作品で最もよい演技をしています。福山雅治さんがハマリ役を自由に演じ、前田吟さんと風吹ジュンさんといった名優が脇を手堅く固めて、他のテレビドラマのスピンアウト映画とは一線を画しています。ヒロイン役の杏さんも溌剌とした演技をされていて、こうなると吉高由里子さんが割を食ってしまい他の作品ほどの存在感が出せていない点が少し残念でした。
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