■本
61 できるCopilot in Windows/清水理史、 できるシリーズ編集部
62 子は親を救うために「心の病」になる/高橋 和巳
61 会社でCopilot が使えるので勉強のために読みました。機能やAIへの質問の仕方など網羅的にかつ具体的に説明してくれます。有料版のCopilot Proで、Microsoft office製品との連携で何ができるのか(そして、できないことも現時点の日本版では意外と多い)も知ることができて参考になりました。あまりやりたくない文書作成の取っ掛かりのたたき台を作ってもらうことや、ラフで考えた文章の精緻化を行う上で有益だということが改めて理解できました。まずは使ってみることが大切ですね。
62 メンタルが不安定な息子の親として、タイトルに惹かれて読みました。途中までは、「そうなんでもかんでも親の責任にされてもこちらも完全な人間じゃないしなあ」という思いで読み進めましたが、終盤にかけて、親の影響を超えて自分の人生を歩んでいくことのできる可能性についても触れられていて参考になりました。子どもにとって最初に社会的な関わりを持つ親はやはり大切ですが、親の発達障害などで適切な関係をたとえ築くことができなくても、その「普通」ではない関係を理解すること、そして、ありのままの自分の存在を肯定すること(自分の能力や社会的な地位などの根拠に基づくのではなく)により、気持ちが楽になれる可能性があるということは一種の救いだと思います。「存在自体を肯定する」ということは、人権を重視するということにもつながると思いますので、さまざまな精神疾患の背景には人権教育の不足が影響しているのでは、という仮説を最近私は持ち始めています。もちろん人間は社会的な生物ですので、周囲とうまくやっていく能力も必要ですが、その前提として、「自分の存在自体を認めてもらいたい」という主張はもっと行ってもよいと思いました(それが、全て認められるかどうかはまた別の話だと思いますが)。自分の成長段階に応じて、社会とのかかわりと自分らしさを尊重する度合いを変えてもよいという気づきも得られました。歳を取るにつれてどうしても社会に貢献できることは減ってくると思いますが、それでも自分の存在を(他者に過度の負担を負わせることなく)肯定することにより、機嫌よく生きていくことができるという希望も持てました。
■映画
59 ケイン号の叛乱/監督 エドワード・ドミトリク
60 ビリーブ 未来への大逆転/監督 ミミ・レダー
59 第二次世界大戦中のアメリカ海軍で、艦長に反旗を翻した乗組員たちの軍法会議の様子とその背景を描いた作品です。艦長は偏執症気味で、やたら規律に細かく、かつ自らの判断ミスの責任を乗組員に押し付ける傾向にある人物です。この好ましくない人物を、あの名優ハンフリー・ボガートが、実に見事に魅力なく演じています。こういった上司はどの会社にもいると思いますし、私もダメ上司が部下から見放される話だと思って、日頃の憂さを晴らしながら途中まで観ていました。ところが、この作品の素晴らしいところは、人の上に立つものの心構えを逆説的に説いているだけではなく、部下の側のフォロワーシップについても批判的な視線を注いでいるところです。無罪判決を勝ち取って喜んでいる乗組員達の宴会の場で、弁護人となった法務将校が放った辛辣な言葉に私も身につまされました。この作品の状況下では、艦長の不適切な指示で乗組員全員が命を失いかねなかったこと、反旗を翻した副長の罰が絞首刑だったということを考えると、無罪判決は妥当だったと思います。しかし、そういった重大な局面でない場合は、現在の行いに若干心許ない点があっても、ある程度その人の過去の業績等にも敬意を持って接するべきだと思いました(もちろん過去の業績があればですが)。一方で、管理監督者を選ぶということはそれだけ重みのあることですので、人事権のある人はその権限を適切に行使していただきたいとも思いました。このように、俯瞰的な視点から観る側に反省も含めたいろいろな感情を喚起する、素晴らしい作品です。分断が進む今の時代にこそ観られるべき作品です。
60 アメリカ社会における性差別の撤廃に貢献し、連邦最高裁判事も長年務めたルース・ベイダー・ギンズバーグの生涯を描いた作品です。尊敬する彼女について知りたかったので観ました。子育てをしながら、ハーバード大学のロースクールに通いつつ、さらに癌になった夫の分の勉強のサポートまで行って、なお、トップクラスの成績を収めた彼女の凄まじい頭の良さとバイタリティに圧倒されました。にもかかわらず、女性という理由で彼女が希望する弁護士という仕事を与えない、当時のアメリカ社会の性差別の根の深さも知ることができました。そういった不遇にもめげず、大学教員として着実にキャリアを積む姿勢にも感銘を受けました。圧巻なのは、女性差別の解消を問題意識として長く持ちながら、それを実現するために、まずは男性に対する差別的な規定を定めている法律の是正を訴えるという発想の転換を行ったところです。夫のサポートもあったようですが、男性中心の当時の法曹界で共感の得やすい裁判をきっかけに、本来の目的である女性差別の撤廃につなげたブレイクスルーは、様々な課題解決のヒントになると思います。映画としては、彼女の生涯のダイジェスト的な内容で、深みが若干欠ける点が残念でした。あと、邦題はあまりにも安っぽす過ぎますね。いくつかの欠点はありますが、主演のフェリシティ・ジョーンズの演技は完璧ですし、裁判シーンの迫力も満点で、痛快な作品に仕上がっています。
61 できるCopilot in Windows/清水理史、 できるシリーズ編集部
62 子は親を救うために「心の病」になる/高橋 和巳
61 会社でCopilot が使えるので勉強のために読みました。機能やAIへの質問の仕方など網羅的にかつ具体的に説明してくれます。有料版のCopilot Proで、Microsoft office製品との連携で何ができるのか(そして、できないことも現時点の日本版では意外と多い)も知ることができて参考になりました。あまりやりたくない文書作成の取っ掛かりのたたき台を作ってもらうことや、ラフで考えた文章の精緻化を行う上で有益だということが改めて理解できました。まずは使ってみることが大切ですね。
62 メンタルが不安定な息子の親として、タイトルに惹かれて読みました。途中までは、「そうなんでもかんでも親の責任にされてもこちらも完全な人間じゃないしなあ」という思いで読み進めましたが、終盤にかけて、親の影響を超えて自分の人生を歩んでいくことのできる可能性についても触れられていて参考になりました。子どもにとって最初に社会的な関わりを持つ親はやはり大切ですが、親の発達障害などで適切な関係をたとえ築くことができなくても、その「普通」ではない関係を理解すること、そして、ありのままの自分の存在を肯定すること(自分の能力や社会的な地位などの根拠に基づくのではなく)により、気持ちが楽になれる可能性があるということは一種の救いだと思います。「存在自体を肯定する」ということは、人権を重視するということにもつながると思いますので、さまざまな精神疾患の背景には人権教育の不足が影響しているのでは、という仮説を最近私は持ち始めています。もちろん人間は社会的な生物ですので、周囲とうまくやっていく能力も必要ですが、その前提として、「自分の存在自体を認めてもらいたい」という主張はもっと行ってもよいと思いました(それが、全て認められるかどうかはまた別の話だと思いますが)。自分の成長段階に応じて、社会とのかかわりと自分らしさを尊重する度合いを変えてもよいという気づきも得られました。歳を取るにつれてどうしても社会に貢献できることは減ってくると思いますが、それでも自分の存在を(他者に過度の負担を負わせることなく)肯定することにより、機嫌よく生きていくことができるという希望も持てました。
■映画
59 ケイン号の叛乱/監督 エドワード・ドミトリク
60 ビリーブ 未来への大逆転/監督 ミミ・レダー
59 第二次世界大戦中のアメリカ海軍で、艦長に反旗を翻した乗組員たちの軍法会議の様子とその背景を描いた作品です。艦長は偏執症気味で、やたら規律に細かく、かつ自らの判断ミスの責任を乗組員に押し付ける傾向にある人物です。この好ましくない人物を、あの名優ハンフリー・ボガートが、実に見事に魅力なく演じています。こういった上司はどの会社にもいると思いますし、私もダメ上司が部下から見放される話だと思って、日頃の憂さを晴らしながら途中まで観ていました。ところが、この作品の素晴らしいところは、人の上に立つものの心構えを逆説的に説いているだけではなく、部下の側のフォロワーシップについても批判的な視線を注いでいるところです。無罪判決を勝ち取って喜んでいる乗組員達の宴会の場で、弁護人となった法務将校が放った辛辣な言葉に私も身につまされました。この作品の状況下では、艦長の不適切な指示で乗組員全員が命を失いかねなかったこと、反旗を翻した副長の罰が絞首刑だったということを考えると、無罪判決は妥当だったと思います。しかし、そういった重大な局面でない場合は、現在の行いに若干心許ない点があっても、ある程度その人の過去の業績等にも敬意を持って接するべきだと思いました(もちろん過去の業績があればですが)。一方で、管理監督者を選ぶということはそれだけ重みのあることですので、人事権のある人はその権限を適切に行使していただきたいとも思いました。このように、俯瞰的な視点から観る側に反省も含めたいろいろな感情を喚起する、素晴らしい作品です。分断が進む今の時代にこそ観られるべき作品です。
60 アメリカ社会における性差別の撤廃に貢献し、連邦最高裁判事も長年務めたルース・ベイダー・ギンズバーグの生涯を描いた作品です。尊敬する彼女について知りたかったので観ました。子育てをしながら、ハーバード大学のロースクールに通いつつ、さらに癌になった夫の分の勉強のサポートまで行って、なお、トップクラスの成績を収めた彼女の凄まじい頭の良さとバイタリティに圧倒されました。にもかかわらず、女性という理由で彼女が希望する弁護士という仕事を与えない、当時のアメリカ社会の性差別の根の深さも知ることができました。そういった不遇にもめげず、大学教員として着実にキャリアを積む姿勢にも感銘を受けました。圧巻なのは、女性差別の解消を問題意識として長く持ちながら、それを実現するために、まずは男性に対する差別的な規定を定めている法律の是正を訴えるという発想の転換を行ったところです。夫のサポートもあったようですが、男性中心の当時の法曹界で共感の得やすい裁判をきっかけに、本来の目的である女性差別の撤廃につなげたブレイクスルーは、様々な課題解決のヒントになると思います。映画としては、彼女の生涯のダイジェスト的な内容で、深みが若干欠ける点が残念でした。あと、邦題はあまりにも安っぽす過ぎますね。いくつかの欠点はありますが、主演のフェリシティ・ジョーンズの演技は完璧ですし、裁判シーンの迫力も満点で、痛快な作品に仕上がっています。