本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

わたしたちが孤児だったころ

2011-02-27 21:40:23 | Weblog
■本
16 わたしたちが孤児だったころ/カズオ イシグロ
17 村上春樹 雑文集/村上 春樹

16 かなり長編ですが夢中になって一気に読みました。「わたしを離さないで」、「日の名残り」に続いて読んだイシグロさんの作品ですが、これまで読んだニ作が静かで落ち着いた印象だったのと比較すると、動きの多い冒険活劇的な要素もあり、新しい一面を見た気がします(書かれた順番は「わたしを離さないで」の方が後ですが)。イシグロさんの作品を読むとフィクションの持つ力の強さをいつも感じます。本作も少し考えるとご都合主義的にとらえられるくらい登場人物が偶然出会う場面がたくさん出てきますが、なぜか出会うことが必然であるように納得させられます。そんなストーリーの細部にこだわっていられないほど、小説世界全体のスケールがでかいです。主人公の幼なじみが、上海での戦場で日本にいる息子に伝えて欲しいと託す、「いい世界を築け」という言葉がしみました。「いい世界を築こう」という姿勢が今の世界にも必要だと青臭くも思ってしまいました。

17 村上春樹さんが雑誌や新聞などに書かれた文章で単行本に収録されていないものを集めた本です。ごく初期の若々しい文章も読めて楽しめます。カズオ・イシグロさんについて書かれた文章もあり興味深いです。村上さんが自分の小説で語ろうとしていることの要約として示されている「あらゆる人間はこの生涯において何かひとつ、大事なものを探し求めているが、それを見つけることのできる人は多くない。そしてもし運良くそれが見つかったとしても、実際に見つけられたものは、多くの場合致命的に損なわれてしまっている。にもかかわらず、我々はそれを探し求め続けなくてはならない。そうしなければ生きている意味そのものがなくなってしまうから」という文章が特に印象に残りました。人生に対する絶望と希望の入り混じったよい言葉だと思います。


■CD
引き続き「The Rolling Stone Top 500 Albums」の上位のアルバムを聴いています。

13 Kind Of Blue/Miles Davis
14 The Doors/The Doors
15 21/Adele

13 「The Rolling Stone Top 500 Albums 」12位の作品。ジャズを系統だって聴いていないので、この作品のエポックメイキングな点(「モード・ジャズ」の代表作として語られることが多いですが)がよく理解できてませんが、その構成の緻密さはなんとなく伝わってきます。単純に聴いていて心地よいですが、どこか背筋を正して聴かねばという凄みのある作品でもあります。

14 「The Rolling Stone Top 500 Albums 」42位の作品。「村上春樹 雑文集」に本作について書かれた文章があり、久しぶりにアルバムを通して聴きたくなったので(高2の時の友人に聴けと言われてCDを借りてダビングした記憶があります)購入しました。高2当時はヒリヒリとした切迫感は伝わってきたものの、暗くて地味な印象の方が強かったのですが、今アルバムを通して聴くと、シングル曲だけを聴いていたのではわからない、巧みに構成された作品でもあることがわかります。「Break On Through」で始まり「The End」で終わる展開が完璧です。 といっても、この作品の肝はジム・モリソンの情念です。表現せざるを得ない人物の切実さが伝わってきます。

15 ファーストアルバムもよかったですが、本作はそれ以上です。独特の声の持つインパクトを超えて、展開力のある曲のよさでも勝負しています。大学生のころよく聴いていたTHE CUREの「LOVESONG」のカバーも収録されていて、楽しめました。「The Doors」など名盤と呼ばれる作品と続けて聴いても遜色のない傑作だと思います。


■映画
9 トランスポーター3 アンリミテッド/監督 オリヴィエ・メガトン

 このシリーズは適度な短さと速い展開で気軽にアクションを楽しめるので好きです。最近のアクション映画は大作傾向にあるので、こういったこじんまりとした(といってもフランス映画としては大作だと思いますが)センスの良い良質な作品は貴重だと思います。主人公のキャラクターが若干崩れてきたのと、ヒロインの行動が意味不明な点が若干気になりましたが、シリーズ3作目の割にはパワーダウンしてなくて楽しめました。ラブシーンも不要だと思いましたが、フランス映画だから仕方がないのでしょうね。突っ込みどころは多いですが観て損はない作品だと思います。
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Hi Scores

2011-02-20 07:42:15 | Weblog
■本
14 図解 ビジネス情報源 入門から業界動向までひと目でわかる ソーシャルメディア/斉藤徹
15 電通とリクルート/山本 直人

14 図解でわかりやすくてすぐ読めます。内容としては同じ著者の「新ソーシャルメディア完全読本」の方が濃いので、字が多い本が苦手な人にのみお勧めの本です。

15 電通=発散(広く情報を伝える)、リクルート=収束(個々人の興味にあった情報を伝える)という切り口で2社を対比させるアイデアは面白いと思うのですが、その1アイデアだけで1冊の本にするのはちょっと辛かったのでは、という印象です。それを情報大爆発時代の社会論として広げたいという意欲は伝わってきますが、正直後半は何をおっしゃりたいのかが、よくわかりませんでした。書いている方は楽しいのでしょうが、読んでいて楽しい類の本ではないです。


■映画
7 陽気なギャングが地球を回す/監督 前田哲
8 シュレック フォーエバー/監督 マイク・ミッチェル

7 以前に映画館で予告編を観ておもしろそうなので観ました。が、なんかイマイチ。無理にラブロマンスなんか入れなくていいのに。最後のメキシコのシーンも意味不明だし。作り手側が自分のセンスの良さに酔っているような感じがして嫌でした。ストーリーとしては面白いので、原作の小説を読めばいいと思います。

8 シュレックが大好きなので、なんとか劇場公開が終了する前に観ました。途中中だるみしますが、シリーズ最終作としては無難にまとめてあり、僕は好きです。人間との交流がなく自由だった独身時代を懐かしむシュレックに対して、「あなたは全てを手に入れているのに」というフィオナ姫のセリフが胸にしみました、ただ、シリーズものの宿命として、設定自体がマンネリ化するので、2作目をピークとして、パワーが落ちているのは否めません。そういう意味でもよい潮時だと思います。3Dの吹き替え版で観たのですが、3Dである必要は全くないですね。吹き替えの方は、定番の浜ちゃんもよいですが、悪役を演じた、劇団ひとりさんの憎憎しい声がすごくよかったです。


■CD

 先週買ったMarvin GayeのWhat's Going onがすごくよかったので、Rolling Stone誌の「The Rolling Stone Top 500 Albums 」(「What's Going on」は6位)や「Rolling Stone Albums Of The Decade (2000-2009)」の上位の作品を買い集めています。また、AmazonのMP3割引クーポンにつられて、ちょくちょくダウンロードしているので購入数が増えています。

7 Kala/M.I.A. |
8 Sound of Silver/LCD Soundsystem
9 Blueprint/Jay-Z
10 Alive 1997/Daft Punk
11 Hi Scores/Boards Of Canada
12 A Thousand Suns/Linkin Park

7 「Rolling Stone Albums Of The Decade (2000-2009)」で9位の作品。ラジオで「Jimmy」を聴いたときは、よくある第三世界アーチストのキワモノ作品かと思っていましたが、アルバムを通して聴くとすごく完成度が高い挑発的な作品ということがわかりました。映画「スラムドッグ$ミリオネア」でも使われている「Paper Planes」の銃声のサンプリングがとても印象的です。この曲は21世紀に入ってからのシングル曲で最高レベルの作品だと思います。ずっと頭の中で流れています。

8 「Rolling Stone Albums Of The Decade (2000-2009)」で12位の作品。ずっと聴きたかったアーチストでしたが期待が高すぎたのか今のところピンときてません。センスのいいダンスチューン満載ですし、斬新だとは思うのですが、少し線が細い印象です。聴き込めば印象が変わるかもしれませんが。

9 「Rolling Stone Albums Of The Decade (2000-2009)」で4位の作品。こわもてのイメージでしたが、すごくポップで親しみやすい印象です。完成度も高く聴いていて飽きません。Rolling Stone誌のこのランキングで本作より上位なのはRadioheadの「Kid A」、The Strokes「Is This It」、Wilcoの「Yankee Hotel Foxtrot」の3作のみで、これらの作品は個人的にも大好きで今でもよく聴いているのですが、そこまでの作品かというと日本人の私には少し疑問でした。

10 ダウンロードで購入。オリジナル盤をお持ちの方はあえて買う必要はないと思いますが、ライブ盤ならではのグルーヴ感が楽しめます。

11 ずっと欲しかったBoards Of Canadaの初期作品。これもダウンロードで購入しました。CDだと結構高値がついているので、安く買えて大満足です。Boards Of Canadaの作品の中では最も実験的な印象です。その実験性も含めてとても気に入りました。変則ビートが心地よいです。読書のお供に当分聴きまくりそうです。

12 Amazonですごく安かったので衝動買いしました。POPでいい作品だと思うのですが、いろんな要素がてんこ盛り過ぎて聴いていて少し疲れます。
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What's Going on

2011-02-12 06:51:28 | Weblog
■本
12 街場の大学論/内田 樹
13 週刊とりあたまニュース 最強コンビ結成!編/西原理恵子、 佐藤 優

12 大学関係者でもないですし、子どもたちが高等教育を受けるようになるまでに、まだ、しばらくかかりますが、楽しんで読めました。最近の大学生の学力低下がここまで進んでいるとはちょっと驚きでした。理系が重宝され、社会科学系学部卒としては肩身が狭い昨今ですが、社会科学系の学問にも当然重要な役割があることが再認識できて希望が持てる内容でもありました。結局、資本主義の論理で大学や教育について考えていることが、教育や教養の衰退の一つの原因である、という当たり前のことに気づかされました。内田さんの高校や大学時代の交友関係も知ることができて、興味深い本でした。

13 すごく面白くて一気に読みました。西原さんは「毎日かあさん」のような叙情系も良いけど、こういう時事ネタを毒をもって切っていく作品も痛快で大好きです。読者が大人に限定されている雑誌での連載という安心感からか、下ネタも全開です。過激なギャグの背景に、一本筋の通った知識や知恵が隠されているところも素敵です。佐藤さんの短い文章も、長い外交官生活や拘留生活の経験から、普通のマスコミの論調と少し違った角度からの分析が見られ、興味深かったです。西原さんの過激さに釣られてか、佐藤さんも名指しでいろんな人を批判していて、少しずつ積もった怒りの発端が垣間見られました。


■CD
6 What's Going on/Marvin Gaye

 What's Going onやMercy Mercy Meという個別の曲は、当然これまで何度も聴いたことがあるのですが、実はアルバムを通して聴くのは初めてでした。全体の構成が完璧で素晴らしいコンセプトアルバムです。聴いていてやさしくなれる作品です。やさしさの中に、志の高さや静かな攻撃性のようなものも感じられて、心地よいサウンドの背景にある、感情のスケールの大きさと複雑さに圧倒されます。歳を取るにつれて染み入るタイプの作品だと思います。当分聴きこみます。
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Atom Heart Mother

2011-02-05 21:59:43 | Weblog
■本
10 新ソーシャルメディア完全読本/斉藤 徹
11 明日のテレビ チャンネルが消える日/志村 一隆

10 ソーシャルメディアのビジネスへの活用について網羅的に書かれた良い本です。この分野は日進月歩で変化していくので、すぐに内容が陳腐化する可能性はありますが、少なくとも現時点では有益な本だと思います。フラッシュマーケティングや位置情報サービスなど、必ずしもソーシャルメディアと呼べないものも含まれていますが、いずれにしても現時点で注目のサービスなのでまとめて知っておいて損はないと思います。実例も豊富でわかりやすいです。

11 こちらはテレビがソーシャルメディアなどの新サービスを取り組みながら、どのように進化(生き残り?)しようとしているかについて書かれた本です。この分野で先行している米国の動向がよくわかります。モバイル対応についても触れられていて参考になります。テレビというメディアが完全にダメになるわけでもなく、ソーシャルメディアが覇権を取るわけでもなく、なんとなくその中間が未来の姿のような気が個人的にはしています。今後も、注目を浴びるメディアの主役はめまぐるしく交代し続けるのでしょう。


■CD
5 Atom Heart Mother/Pink Floyd

難解な作品かと思っていましたが、意外にすんなりと聴けました。1曲で23分を超える表題曲はさすがに今の時代には合っていない気がしますが、2~4曲目の5分前後の曲は優れたポップソングで今聴いても古びていません。通勤途中に慌しく聴くには不適切ですが、じっくり音楽と向き合いたいときにはよい作品だと思います。
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