■本
16 わたしたちが孤児だったころ/カズオ イシグロ
17 村上春樹 雑文集/村上 春樹
16 かなり長編ですが夢中になって一気に読みました。「わたしを離さないで」、「日の名残り」に続いて読んだイシグロさんの作品ですが、これまで読んだニ作が静かで落ち着いた印象だったのと比較すると、動きの多い冒険活劇的な要素もあり、新しい一面を見た気がします(書かれた順番は「わたしを離さないで」の方が後ですが)。イシグロさんの作品を読むとフィクションの持つ力の強さをいつも感じます。本作も少し考えるとご都合主義的にとらえられるくらい登場人物が偶然出会う場面がたくさん出てきますが、なぜか出会うことが必然であるように納得させられます。そんなストーリーの細部にこだわっていられないほど、小説世界全体のスケールがでかいです。主人公の幼なじみが、上海での戦場で日本にいる息子に伝えて欲しいと託す、「いい世界を築け」という言葉がしみました。「いい世界を築こう」という姿勢が今の世界にも必要だと青臭くも思ってしまいました。
17 村上春樹さんが雑誌や新聞などに書かれた文章で単行本に収録されていないものを集めた本です。ごく初期の若々しい文章も読めて楽しめます。カズオ・イシグロさんについて書かれた文章もあり興味深いです。村上さんが自分の小説で語ろうとしていることの要約として示されている「あらゆる人間はこの生涯において何かひとつ、大事なものを探し求めているが、それを見つけることのできる人は多くない。そしてもし運良くそれが見つかったとしても、実際に見つけられたものは、多くの場合致命的に損なわれてしまっている。にもかかわらず、我々はそれを探し求め続けなくてはならない。そうしなければ生きている意味そのものがなくなってしまうから」という文章が特に印象に残りました。人生に対する絶望と希望の入り混じったよい言葉だと思います。
■CD
引き続き「The Rolling Stone Top 500 Albums」の上位のアルバムを聴いています。
13 Kind Of Blue/Miles Davis
14 The Doors/The Doors
15 21/Adele
13 「The Rolling Stone Top 500 Albums 」12位の作品。ジャズを系統だって聴いていないので、この作品のエポックメイキングな点(「モード・ジャズ」の代表作として語られることが多いですが)がよく理解できてませんが、その構成の緻密さはなんとなく伝わってきます。単純に聴いていて心地よいですが、どこか背筋を正して聴かねばという凄みのある作品でもあります。
14 「The Rolling Stone Top 500 Albums 」42位の作品。「村上春樹 雑文集」に本作について書かれた文章があり、久しぶりにアルバムを通して聴きたくなったので(高2の時の友人に聴けと言われてCDを借りてダビングした記憶があります)購入しました。高2当時はヒリヒリとした切迫感は伝わってきたものの、暗くて地味な印象の方が強かったのですが、今アルバムを通して聴くと、シングル曲だけを聴いていたのではわからない、巧みに構成された作品でもあることがわかります。「Break On Through」で始まり「The End」で終わる展開が完璧です。 といっても、この作品の肝はジム・モリソンの情念です。表現せざるを得ない人物の切実さが伝わってきます。
15 ファーストアルバムもよかったですが、本作はそれ以上です。独特の声の持つインパクトを超えて、展開力のある曲のよさでも勝負しています。大学生のころよく聴いていたTHE CUREの「LOVESONG」のカバーも収録されていて、楽しめました。「The Doors」など名盤と呼ばれる作品と続けて聴いても遜色のない傑作だと思います。
■映画
9 トランスポーター3 アンリミテッド/監督 オリヴィエ・メガトン
このシリーズは適度な短さと速い展開で気軽にアクションを楽しめるので好きです。最近のアクション映画は大作傾向にあるので、こういったこじんまりとした(といってもフランス映画としては大作だと思いますが)センスの良い良質な作品は貴重だと思います。主人公のキャラクターが若干崩れてきたのと、ヒロインの行動が意味不明な点が若干気になりましたが、シリーズ3作目の割にはパワーダウンしてなくて楽しめました。ラブシーンも不要だと思いましたが、フランス映画だから仕方がないのでしょうね。突っ込みどころは多いですが観て損はない作品だと思います。
16 わたしたちが孤児だったころ/カズオ イシグロ
17 村上春樹 雑文集/村上 春樹
16 かなり長編ですが夢中になって一気に読みました。「わたしを離さないで」、「日の名残り」に続いて読んだイシグロさんの作品ですが、これまで読んだニ作が静かで落ち着いた印象だったのと比較すると、動きの多い冒険活劇的な要素もあり、新しい一面を見た気がします(書かれた順番は「わたしを離さないで」の方が後ですが)。イシグロさんの作品を読むとフィクションの持つ力の強さをいつも感じます。本作も少し考えるとご都合主義的にとらえられるくらい登場人物が偶然出会う場面がたくさん出てきますが、なぜか出会うことが必然であるように納得させられます。そんなストーリーの細部にこだわっていられないほど、小説世界全体のスケールがでかいです。主人公の幼なじみが、上海での戦場で日本にいる息子に伝えて欲しいと託す、「いい世界を築け」という言葉がしみました。「いい世界を築こう」という姿勢が今の世界にも必要だと青臭くも思ってしまいました。
17 村上春樹さんが雑誌や新聞などに書かれた文章で単行本に収録されていないものを集めた本です。ごく初期の若々しい文章も読めて楽しめます。カズオ・イシグロさんについて書かれた文章もあり興味深いです。村上さんが自分の小説で語ろうとしていることの要約として示されている「あらゆる人間はこの生涯において何かひとつ、大事なものを探し求めているが、それを見つけることのできる人は多くない。そしてもし運良くそれが見つかったとしても、実際に見つけられたものは、多くの場合致命的に損なわれてしまっている。にもかかわらず、我々はそれを探し求め続けなくてはならない。そうしなければ生きている意味そのものがなくなってしまうから」という文章が特に印象に残りました。人生に対する絶望と希望の入り混じったよい言葉だと思います。
■CD
引き続き「The Rolling Stone Top 500 Albums」の上位のアルバムを聴いています。
13 Kind Of Blue/Miles Davis
14 The Doors/The Doors
15 21/Adele
13 「The Rolling Stone Top 500 Albums 」12位の作品。ジャズを系統だって聴いていないので、この作品のエポックメイキングな点(「モード・ジャズ」の代表作として語られることが多いですが)がよく理解できてませんが、その構成の緻密さはなんとなく伝わってきます。単純に聴いていて心地よいですが、どこか背筋を正して聴かねばという凄みのある作品でもあります。
14 「The Rolling Stone Top 500 Albums 」42位の作品。「村上春樹 雑文集」に本作について書かれた文章があり、久しぶりにアルバムを通して聴きたくなったので(高2の時の友人に聴けと言われてCDを借りてダビングした記憶があります)購入しました。高2当時はヒリヒリとした切迫感は伝わってきたものの、暗くて地味な印象の方が強かったのですが、今アルバムを通して聴くと、シングル曲だけを聴いていたのではわからない、巧みに構成された作品でもあることがわかります。「Break On Through」で始まり「The End」で終わる展開が完璧です。 といっても、この作品の肝はジム・モリソンの情念です。表現せざるを得ない人物の切実さが伝わってきます。
15 ファーストアルバムもよかったですが、本作はそれ以上です。独特の声の持つインパクトを超えて、展開力のある曲のよさでも勝負しています。大学生のころよく聴いていたTHE CUREの「LOVESONG」のカバーも収録されていて、楽しめました。「The Doors」など名盤と呼ばれる作品と続けて聴いても遜色のない傑作だと思います。
■映画
9 トランスポーター3 アンリミテッド/監督 オリヴィエ・メガトン
このシリーズは適度な短さと速い展開で気軽にアクションを楽しめるので好きです。最近のアクション映画は大作傾向にあるので、こういったこじんまりとした(といってもフランス映画としては大作だと思いますが)センスの良い良質な作品は貴重だと思います。主人公のキャラクターが若干崩れてきたのと、ヒロインの行動が意味不明な点が若干気になりましたが、シリーズ3作目の割にはパワーダウンしてなくて楽しめました。ラブシーンも不要だと思いましたが、フランス映画だから仕方がないのでしょうね。突っ込みどころは多いですが観て損はない作品だと思います。