本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

神々の「Web3.0」

2008-09-29 06:34:51 | Weblog
■本
73 神々の「Web3.0」/小林雅一
74 わたしたち消費/鈴木 謙介 電通消費者研究センター

73 Web2.0後の米国のITサービス動向をわかりやすくレポートしてある、いい本です。何より情報が新しいところがよいです。「web2.0」が「集合知をベースとしてデータベースの構築」が競争優位であったのに対し、「web3.0」ではソーシャルグラフのような「人間関係を解析した関係性に基づくカスタマイズ」に価値の源泉が移るというのが主な趣旨です。その流れで「コミュニティ」、「セマンティック・ウェブ」、「モバイル」、「メタバース(仮想世界)」などの最新動向を解説してくれています。発想のネタ元であるティム・オライリー氏のインタビューを惜しみなく掲載しているところも好感が持てます。筆者は意図的に使用しているのですが、「神々の」や「Web3.0」という大仰で安っぽい言葉選びは、僕は違和感を感じましたし、賛否は分かれると思います。

74 鈴木さんの「カーニヴァル化する社会」の延長線上で、「ネタ的コミュニケーション」をトリガーに消費について語った本です。ケータイ小説のヒットなど、大多数の人の実感と実際の売り上げに大きな乖離のある「見えないヒット」の分析
など、前半は非常に納得感のある内容なのです。しかし、人の影響も受けつつ自らも情報を発信するという「わたしたち拡大層」という造語が出たあたりから、少しあやしくなります。このあたりは「口コミは有効だが、マス広告も引き続き有効」という電通さんのロジックに従った結論ありきの我田引水的な展開という印象は拭えません。言っていることはその通りなのかもしれませんが、データソースが電通さんの調査ってところがよくないのかもしれません。冒頭の「下流マーケティング」に対する批判は全くおっしゃるとおりだと思います。


■CD
最近napsterでよく聴いているのはこの2つ。
どちらもとても爽やかで、秋晴れの朝に聴くと元気が出ます。

・Troubadours/Troubadours
・subway silence/giovanca


■映画
23 「パコと魔法の絵本」/監督 中島哲也

 日本ではほとんど扱われないジャンルである大人向けファンタジー。この分野にあえてチャレンジして成功している、中島監督の志の高さと技量に感服いたします。主演の女の子がかわいいとか、斬新な映像がおもしろいとかいろいろな評価ポイントがありますが、実は本作は阿部サダヲさんの映画です。いつも通りのやりたい放題の怪演で圧倒的な存在感をみせています。その影響を受けて、劇団ひとりさんは少し損をしています。基本的なテーマは生と死そして記憶だと思うのですが、個人的には最後の結末は湿っぽ過ぎて少し期待はずれでした。もう少し毒気満載でもよかったのでは。とはいえ、一見の価値ある作品だと思います。
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ココロの止まり木

2008-09-22 07:23:27 | Weblog
■本
72 ココロの止まり木/河合 隼雄

 相変わらずの河合節です。かみ締めるようにゆっくり読みました。子育ての参考になる考え方も満載です(当分は子どもに個室を与えないようにしようと思いました)。比較的最近のエッセイなので、IT、テロや不況とのかかわりなど、まさに今リアルタイムで生じている問題に対する示唆を与えてくれます。「もうひとつの視点」を与えてくれる良書なので、最近頭が固くなったと思っている人にはお勧めです。


少しストレスがたまったので久しぶりにCDをまとめ買いしました。

■CD
22 FUNKAHOLiC/スガシカオ
23 SUPER BETTER BETTER DOG/SUPER BUTTER DOG
24 Dead Wonderland/iLL

22 こちらも相変わらずのスガ節ですが、いつもより少し濃く、歌詞が直接的かつ外向きになっている気がします。「コノユビトマレ」は大好きな曲ですが、スガさんがこんな直球のメッセージを歌わざるを得ないようなほど、社会状況が悪化しているのかと、逆に聞いていてつらくなってきました。すごく時代の空気感を反映した作品だと思います。

23 今回解散ということで、まとめてSUPER BUTTER DOGの曲を聴こうと購入しました。ハナレグミから入った僕としては、やはり「サヨナラCOLOR」や「明日へゆけ」(最初はハナレグミのアレンジの方がいいと思いましたが、聴きこむとこちらのバージョンもなかなかよいです)が収録されているDISC2を中心に聴いてしまいます。ファンキーな永積タカシさんもよいですが、やはり、メロウな曲の方を聞いてしまう僕は邪道なファンなのでしょうか。

24 今の日本の音楽シーンで常に進化し続けているのは、「くるり」だけと少し不満に感じています。ある日「スーパーカー」が今の音楽シーンに足らないのでは、と思っていたときにラジオからこのiLL(元スーパーカーのフロントマン中村弘二 さんのソロユニット)の「Call my name」が流れてきたので、ネットで即購入しました。実験的でゆったりとスケールの大きい曲が多いです。曲により完成度はまちまちでまだ道半ばという感じがしますが、今後に期待の持てる作品だと思います。この実験過程を活かして、メインストリームに打って出るようなPOPな傑作を作って欲しいです。
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同姓同名小説

2008-09-13 21:56:44 | Weblog
新潮文庫の新刊を2冊読みました。

■本
70 同姓同名小説/松尾 スズキ
71 イマイと申します。/日本テレビ「報道特捜プロジェクト」

70 パラレルワールドを描いたような、独特の世界観の小説です。面白いですけど、これだけ微妙な内容がメジャーが新潮文庫になって大丈夫でしょうか? ご本人から訴えられたりしないでしょうか? 有名人の同姓同名の方の話よりも、無名の松尾さんのお兄さんの話しが一番面白く、そして切なかったです。僕も血圧が高いので気をつけなければ。

71 面白くて一気に読みました。人間の浅はかさが伝わってきます。実際の犯罪もこんな滑稽さとばかばかしさと怖さを含んでいるのだと思います。たぶん、ここで紹介されているような事例はまだ実行犯側の思慮が浅い方で、もっと巧みに緻密に計算された、根が深い犯罪が日々なされているのでしょうす。こういうハッタリにだまされないためにも、法律の知識ってある程度は必要だと思いました。不謹慎かもしれませんが、今いろいろと問題になっている食品偽装が僕たちに自衛手段がほとんどないことを考えると、こちらの「振り込め詐欺」系はこういう本などによりそのパターンを学習すれば自衛が可能なので、まだ、問題としては浅いような気がします。実際に被害にあった方はそうは思えないでしょうが。
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ジャーナリズム崩壊

2008-09-07 06:16:18 | Weblog
■本
68 Webマーケティングの科学/日本マーケティング・サイエンス学会
69 ジャーナリズム崩壊/上杉 隆

68 Webマーケティングを科学的(統計学的?)に論じた学術書。こういうことでも論文にできるんだ、という発見があります。論文集ですが、内容は正直言って玉石混交。学術面と実践面のどちらを重視するかによって評価は変わってくるかとは思いますが、それにしてもレベルの差はあるような気がします。興味のある論文を拾い読みすることが正しい本書の読み方だと思います。

69 筆者の個人的な憤りがあまりにも前面に出すぎていて、僕個人的にはあまり好きなタイプの本ではないですが、書かれている内容はおっしゃる通りだと思います。逆に言えば、これまでの記者クラブ批判の本からあまり新しい視点が提示されているわけではなく、この種の問題意識を既にお持ちの方には、本書は改めて読む必要はないかもしれません。新書らしくネタが新鮮なところと読みやすいところが本書の成功要因でしょうか。日本とアメリカのジャーナリズムの違いはここまで、明確な二元論(日本がダメでアメリカがよい)という風にはならないとは思いますが、誤報に対する姿勢(隠さず、何が原因かを紙面を割いて明確に検証する)はアメリカの方が明らかに正しいとは思いました。日本の新聞業界は今後ビジネスモデルとして破綻することは明確なので、これまでのような既得権を守り続けるだけではダメだとは思いますが、たぶんあまり変わらず徐々に死に絶えていくのでしょうね。そうなるとNHKの力が相対的に増すような気もしています。テレビを捨てて受信料払うのやめようかなあ。
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