本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

間抜けの構造

2013-07-28 09:47:29 | Weblog
■本
65 間抜けの構造/ビートたけし
66 ソーシャルな資本主義/國領二郎

65 気楽に読めて実は奥が深い、ビートたけしさんの地頭のよさを実感できるよい本です。日本独特の概念である「間」について、たけし軍団や相方のきよしさんの間抜けなエピソードといった親しみやすいところから入り、次第にテレビや映画といった、たけしさんが活躍された各メディアでの間の取り方についての考察へと進み、さらには日本人論、人生論にまで展開していきます。これらの幅広いテーマを「間」という概念で突き刺して、しかもエンターテイメントとして面白く読ませる手腕はさすがです。「間」を日本人独特の美徳と安易に片付けるのではなく、とがった発想の「イノベーションを妨げる」マイナス面にも触れていて、その功罪を考察されているところも見事です。ご自身の人生を振り返り、「生きている理由をを探すよりも」、「人生は、生と死の"間"であると思った方が楽になる」という落ちもきれいにきまっています。売れているのも納得です。

66 タイトルは壮大ですが、スマートフォンやソーシャルメディアの普及によりヒトやモノがより容易に繋がるようになった世界で、企業がどのようにプラットフォーム(本書では「多様な主体が協働する際に、協働を促進する情報交換の基盤となる道具や仕組み」と定義されています)をデザインして、競争優位を形成するかということが主に書かれています。抽象的な概念が中心で、直接行動に繋がるタイプの本ではありませんが、俯瞰してソーシャル化した社会が与えるインパクトを理解するにはよい本だと思います。


■CD
67 Room for Squares/John Mayer

 John Mayerのメジャーデビュー作。一曲目の「 No Such Thing」から開放感と疾走感溢れる爽やかなサウンド満載で、この季節に聞くには最高です。確かな技術に裏打ちされた親しみやすい楽曲ばかりで、聴けば聴くほど好きになる味わい深さも兼ね備えています。若干かすれのある伸びやかな声も魅力的です。John Mayerの作品の中では個人的には本作が一番好きです。


■映画
50 のぼうの城/監督 犬童一心 、樋口真嗣
51 ホビット 思いがけない冒険/監督 ピーター・ジャクソン

50 もっと弱者が強者を負かす「策略」に焦点があたった作品だと思っていましたが、一見無能に見える主人公の人間的魅力の方により焦点が当てられている作品でした。その魅力に敵味方を問わず周囲が影響され、自体が好転していきます。当然戦なので、残酷なシーンもありますが、現在の破壊優先の戦争と違って血の通った牧歌的な戦に美学すら感じます。もう少しテンポよく展開した方が、私好みですが悪くない作品だと思います。

51 「ロード・オブ・ザ・リング」の前章的作品の映画化。作品の世界観を存分に表現したCGは完璧ですし、演出も丁寧ですが、丁寧すぎて冗長な感じが否めません。「ロード・オブ・ザ・リング」よりもターゲットを低めに、あえてわかりやすく作っているのだと思いますが、ここまで親切設計にせずに、ストーリーの展開スピードをもう少し上げてもよかったのではないかと思います。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズではほとんど感じなかった戦闘シーンの長さが苦痛に感じました。三部作だそうなので、次作、次々作のテンポアップを期待します。
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モンスターズ・ユニバーシティ

2013-07-17 06:33:05 | Weblog
■本
62 ソーシャルメディアの経済物理学 ウェブから読み解く人間行動/高安美佐子
63 チルドレン/伊坂 幸太郎
64 あの子の考えることは変/本谷 有希子

62 物理学の知見を活かして、ブログやツイッターといったソーシャルメディアの書き込み状況を数式化して、そのパターンを明らかにしようという趣旨の本と理解しました。ブームや売上の予測など、マーケティングの実作業にどの程度使えるかは未だ試行段階だと思いますが、こういう理系と文系の融合のような試みは面白いと思います。ちなみに私は数式部分は全く理解できなかったので、実は学問的にはすごい発見がなされているのかもしれません。

63 陣内というキャラクターを生み出した時点で勝負ありの快作だと思います。現実に陣内のような人がいたら、かなり鬱陶しいでしょうが、この人の奇行により、いろんなこんがらがった状況がとぎほぐされ、不思議とものごとがうまく進みます。連作短編集ですが、それぞれにちょっとした驚きが隠されていて、伊坂さんのストーリーテラーとしての力量を存分に堪能できます。

64 こちらもキャラ立ち全開の作品です。女性二人がみもふたもなく、自分の心の鬱積をぶちまけます。主人公の同居人である日田さんが性欲について語る場面は、赤裸々すぎて、おかしさを通り越して痛くさえ感じます。ダイオキシンにより自分が狂うことによっての解放を夢見る日田さんの、エンディングに向かっての爆走は、ネガティブさが底を打って反転上昇するような爽快感さえ感じます。


■CD
66 Breakfast in America/Supertramp

 ずっと欲しかったSupertrampの代表作です。「The Logical Song」や「Goodbye Stranger」といったシングルヒット曲だけでなく、アルバムを通してキャッチーなメロディーが満載です。ホーンの使い方もとても巧みで印象的です。産業ロックと揶揄されそうですが、いいものはいいと思える傑作です。ドPOPなのに安っぽくなりすぎていないのは、イギリスのバンド特有の気品でしょうか?


■映画
47 ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT/監督 ジャスティン・リン
48 神速のゲノセクトミュウツー覚醒/監督 湯山邦彦
49 モンスターズ・ユニバーシティ/監督 ダン・スカンロン

47 東京や日本を誤解していると批判することは容易ですが、これは確信犯的にやっているんでしょうね。ドリフトのレースシーンは見ごたえがありますが、ストーリー的にはご都合主義過ぎて、かつ、主人公やヒロインの魅力も乏しすぎて、ちょっと観ていて辛かったです。

48 恒例の息子達との鑑賞です。CGを駆使した画面やメッセージ性豊かな志の高いテーマ(地球に生きる生物はみな兄弟的な感じです)は買いますが、肝心のストーリーが今ひとつでした。小五の長男にも少々単調に映ったようです。小三次男はゲノセクトが活躍するだけで大喜びでしたが。

49 前作同様、ストーリー、CG、キャラクター、ギャグ、全てにおいて手堅い良作です。友情、努力、勝利をベースにした単純なサクセスストーリーではなく、少し捻りが効いたストーリー展開が個人的には大好きです。決まったレールに乗るのではなく、自分で道を切り開くことの重要性を訴えかけている点がとてもアメリカらしいと思いました。
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Dr.パルナサスの鏡

2013-07-13 10:46:53 | Weblog
■本
59 中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい/NHK_PR1号
60 SHARED VISION/廣田 周作
61 AKB48白熱論争/小林 よしのり、中森 明夫、宇野 常寛、 濱野 智史

59 「企業が公式ツイッターを運用するとはどういうことか?」を考える上でとても参考になるよい本です。試行錯誤の上、実践から得られた知恵やノウハウがタップリです。かといって、このようにやれば成功するという必勝法が提示されているわけではなく、それぞれの企業や担当者の個性や考えに従いどのようソーシャルメディアを運用していくべきかを考える上での、良質のケーススタディーとなっています。3.11の震災時での対応や放送再送信勝手サイトへの独断での誘導に至った経緯やエイプリルフールネタのプチ炎上への対処など、読み物としても面白いです。

60 一方こちらはソーシャルメディアを活用したコミュニケーションについての教科書的本です。企業がソーシャルメディアを活用したコミュニケーションを実施する上で、考えないといけない事項や踏むべき手順について、非常に丁寧に解説してくれています。安易に成功事例に流れることなく、あくまで著者自身の経験や考察に基づき構造的に展開されているところも好感が持てます。テクニック論というよりもコミュニケーションの本質に重点がおかれているにもかかわらず、読みやすいところもよいです。

61 世代も経歴も異なる4人の論客による、社会現象となったAKB48について論じられた本。4人とも熱心なAKBファンということもあって、その熱量は凄まじいものがあります。AKB48の固有名詞がわからないので、ネットで検索しながら読みました。さほど幸福でも将来的な希望もない、日本の若者がAKB48という他者を「推す」ことにはまっていくというフォーマットに、これからの日本、ひいては世界の閉塞感を打破する鍵があるのでは?、というのが隠れたテーマであると理解しました。賢い人が語るとアイドル論でもそれらしい社会批評になるということにも感心しました。4人がおっしゃるとおり、AKB48は知識として理解するのではなく、実際に握手会などに行ってはまるのが正しいあり方だと思うのですが、そこまではまる勇気は持てませんでした。


■CD
64 Neon Bible/Arcade Fire
65 89/93 An Anthology/Uncle Tupelo

64 Arcade Fireの2作目。エキセントリックな衝撃に満ちた1作目、個性とポップさに折り合いをつけた3作目と比べると地味な過渡期的作品といった印象を持ちますが、おどろおどろしい引っかかりがある作品です。テンションの高さに圧倒されます。

65 Wilcoの前進バンドUncle Tupeloのベスト盤。オルタナ・カントリーと呼ばれる通り、カントリーをベースにR.E.M.的なロックサウンドも聴かせてくれます。Wilcoと比べると、まだまだ泥臭くて平板ですが、ゆったりとしたサウンドが心地よいです。


■映画
46 Dr.パルナサスの鏡/監督 テリー・ギリアム

 ヒース・レジャーの遺作としても知られる作品。ヒース・レジャーの死後、ジョニー・デップ、コリン・ファレル、ジュード・ロウが代役を務めて完成させた、ということがずっと疑問だったのですが、こういうことだったのかと納得しました。テリー・ギリアムらしい、難解で不条理でコミカルなダークファンタジーですが、この独特の世界観は嫌いではないです。ヒース・レジャー以外の俳優陣の演技も素晴らしく、悪魔役のトム・ウェイツは強烈な印象を残しますし、助手役のアンドリュー・ガーフィールドもとてもキュートで、彼が後に「ソーシャル・ネットワーク」や「アメイジング・スパイダーマン」といった話題作に抜擢されたのも納得です。 
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Being There

2013-07-07 06:26:45 | Weblog
■本
56 ビッグデータの覇者たち/海部 美知
57 日本列島プチ改造論/パオロ・マッツァリーノ
58 レヴォリューションNo.0/金城 一紀

56 米国在住の日本人コンサルタントによる米国ビッグデータの解説本。類似書と同様に、「グーグル」、「アマゾン」といったビッグデータ先進企業や、「マネーボール」(データ活用により躍進した大リーグチームアスレチックスの事例)や「オバマ大統領の選挙戦」といった有名な事例紹介が中心の内容ですが、非エンジニアの主婦目線での解説がわかりやすいです。非エンジニアということで技術面の記述が弱いかというとそうでもなく、「HADOOP」などビッグデータを扱うためのソフトウエアや統計分析手法についてもキーワードを漏れなく解説してくれていて参考になります。個人的にはビックデータ分野におけるフェイスブックの影響力の相対的な小ささについて解説された箇所が一番印象に残っていて、ネットのコミュニケーションを「通信」寄りか「マスコミ」寄りかを軸に分類し、フェイスブックは私的な「通信」寄りのサービスなので広告によるマネタイズが馴染まず、また、そのサービス提供により得られたデータ活用についても「通信の秘密」的なユーザー側の抵抗感から、なかなか進みにくいという解説が腑に落ちました。

57 謎の半社会学者パオロ・マッツァリーノさんのネットで発表されたコラムを集めた作品。電子書籍になっていたので読みました。2006年から約2年間の時事ネタ中心のコラムなので、今読むと鮮度は落ちますが、パオロ・マッツァリーノさん独特のコミカルでシニカルな語り口が存分に楽しめます。

58 「レヴォリューション No.3」や「フライ,ダディ,フライ」で活躍する落ちこぼれ高校の個性的な学生達を描いた「ザ・ゾンビーズ」シリーズの最初のエピソードにして完結編。相変わらずのスピーディーで熱いストーリー展開は読んでいて、かなりポジティブな気持ちになります。高校が資金集めのために必要以上の学生を入学させておいて辞めさせようとスパルタ合宿をする、という設定は破天荒すぎると思いますが、これもご愛嬌ですね。ボリューム的には少なく、その分キャラクターの説明が薄く、既にこのシリーズの愛読者をターゲットにした作品なので、先述した作品をまだ読まれていない方はそちらを先に読むことをお勧めしますが、ファンにとっては普通に楽しめる作品だと思います。


■CD
60 Music for Airports: Ambient 1/ Brian Eno
61 Being There/Wilco
62 Loverboy Classics/Loverboy
63 Kveikur/Sigur Ros

60 「Taking Tiger Mountain」を愛聴しているうちに、アンビエントの方のBrian Eno作品を聴いてみたくなったので、アンビエントの代表作とされる本作を購入しました。主張が少ない響きの美しい音は確かに心が安らぎ、就寝前に聴くとよく眠れます。後の「音響系」のアーチストなど、いろんな分野に影響を与えたと思われる作品です。

61 現役のバンドで最も好きなWilcoのスタジオ作品の中で唯一持っていなかった作品なので聴きました。出世作「Yankee Hotel Foxtrot」が4作目なのですが、2作目の本作で既にWilco独特の懐かしく優しくも、荒々しい世界観を確立させていて、素晴らしい作品です。1作目の「AM」はカントリーの影響が強いですが、本作と次作の「Summerteeth」は、いい意味でごった煮的で、完成度が非常に高い近作とは違った勢いが楽しめます。遠い記憶が蘇ってくるような不思議な温かさに満ちた作品です。

62 ポップでメロディーがよくドラマティックな80's作品のよいところを凝縮したようなバンドです。「Working For The Weekend」や「Lovin' Every Minute Of It」といった能天気な乗り乗りの作品から「This Could Be The Night」や「Heaven In Your Eyes」というような「ザ・バラード」というような作品まで、幅広い楽曲が楽しめます。カナダのバンドということで、アメリカの当時のメインストリームの音楽をなんの衒いもなく、再生産している素朴さが今聴いてもほのぼのとしてきて結構好きです。

63 前作よりもアップテンポでポップな感じの作品です。相変わらず独特の多幸感溢れるサウンドは素晴らしいのですが、若干一本調子でスケール感に欠けるところが個人的には物足りなく感じました。


■映画
45 コーチ・カーター/監督 トーマス・カーター

 弱小チームがコーチの猛特訓により生まれ変わり、勝利をおさめるという紋切り型なストーリーの地味な映画ですが、よい作品です。サミュエル・L・ジャクソンが、落ちこぼれ高校のバスケットボール部を立て直すコーチ役を普通にリアリティ感たっぷりに好演しています。学業優先や他人へのリスペクトなど、バスケットボールの試合の勝利よりも、選手個々人の人生の勝利に焦点が置かれている点や、ギャング抗争や妊娠といったアメリカ貧困層の学校問題もしっかりと取り上げられている点が好感が持てました。ただ、ハードな練習で急にうまくなりすぎなところが出来過ぎな感じがしますが、これは映画の時間的な制約上仕方がないのかもしれません。
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