本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

90分でわかる! 日本で一番やさしい「データ分析」超入門

2015-03-28 10:00:09 | Weblog
■本
30 Excel対応 90分でわかる! 日本で一番やさしい「データ分析」超入門 /内田 学、 兼子 良久
31 成長から成熟へ/天野 祐吉

30 具体的でわかりやすく、仕事にも応用できるとてもよい本です。これまでに何冊か、統計学やデータ分析の入門書を読んでみましたが、この本が一番有益でした。計算はエクセルに任せ、そこから得られる数値のどの部分に着目し、どのように活用していくかを実例を用いて解説してくれているので、自分の仕事での活用イメージを具体的に持てるのが何より素晴らしいです。それぞれの数字の持つ意味を丁寧に解説してくれているところもよいです。まずこの本を読んでから、他のデータ分析の本を読めばさらに理解が深まると思います。強くお勧めします。

31 いろいろな書評で書かれていますが、まさに天野さんの遺言のような本です。資本主義の申し子のような広告業界に長年携わっていながら、経済成長を否定し、「貧乏暇あり」の成熟した国を目指そうという主張はかなり重いものだと思います。耳障りのよい理想論と受け止める方も多いとは思いますが、3.11で露呈した様々な矛盾を反省することなく、単純に3.11以前の成長戦略に戻ろうとしている今の日本の無策ぶりについては、個人的にも省みる必要があると思いました。天野さんのことをもう少し軽い人だと思っていましたが、非常に批評的な思考能力の持ち主だということがわかり、他の著書も読んでみたくなりました。


■映画
23 のび太の宇宙英雄記/監督 大杉 宜弘

 ドラえもん長編映画の新しい可能性を切り開いた名作「のび太のひみつ道具博物館」と同じ清水東さんの脚本ということで楽しみに観に行きました。謎解きの要素を盛り込み斬新だった「のび太のひみつ道具博物館」ほどのオリジナリティはなかったですが、従来の長編ドラえもん映画の流れで観ると、展開が速く、尻つぼみにもならず(多くの長編ドラえもんは冒頭の状況説明が冗長で、クライマックスがあっけない印象です)面白かったです。スネ夫が賢過ぎるのと、しずかちゃんが小悪魔的なのは映画版のためか、平成版のためなのか、はよくわかりませんでしたが、少し違和感を感じました。全体的に明るく楽しい、大人から子どもまで楽しめる安定感のある作品です。
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孫正義の参謀

2015-03-22 10:47:21 | Weblog
■本
27 孫正義の参謀/嶋 聡
28 酒場を愉しむ作法/自由酒場倶楽部
29 ここらで広告コピーの本当の話をします。/小霜 和也

27 「ボーダーフォン」買収以降のソフトバンクを参謀として支えた元衆議院議員でもある著者による本です。孫正義さんの様々な発言や行動が客観的に書かれているので、ソフトバンク躍進の秘密を知るビジネス書としても参考になる上に、読み物としてとても面白いです。特にNTTを敵として(実に憎々しく、強かな敵として描かれています)全面戦争をしかけた「光の道」構想の部分は、一流のバトル漫画を読んでいるかのような感覚になりました。孫正義さんは中立的に描かれているので、彼のキャラクターや志が実に魅力的に伝わってくる一方で、筆者の自己評価が若干鼻につくところに、自己を客観視する難しさも感じられ興味深かったです。

28 おそらく複数の著者によって書かれているためか散漫な印象を受けますが、お酒好きには楽しめる内容です。東京の酒場を紹介する部分は読んでいるだけでも楽しく、私の地元の大阪版もあればより楽しめるのにと思いました。他の食べ物に対する薀蓄は鬱陶しく感じますが、酒に関する薀蓄についてはおおらかな気持ちで聞けるのは、やはり私が酒飲みだからなのでしょう。

29 コピーだけでなく、企業のコミュニケーション全般の考え方をわかりやすく、熱い思いを込めて語ってくれるよい本です。行動経済学や進化心理学(とう学問があることを不勉強ながら初めて知りました)の知見に基づく見解が随所に盛り込まれていて、類書にはない説得力と新しい視点を提示してくれていて興味深かったです。「考え抜く」ことの重要さにもあらためて気づかせてくれ、自分の思考の粘りのなさを反省しております。広告人の仕事論としても読めて、知性と情熱のバランスがよくとれた本です。広告業界を目指す若い人は読んで損はないと思います。


■映画
21 フォックスキャッチャー/監督 ベネット・ミラー
22 ボックス!/監督 李闘士男

21 承認欲求をこじらせることの怖さを描いた映画です。前評判どおり、主人公を演じるスティーヴ・カレルの、輪郭のぼやけたような表情が実に不気味です。アカデミー主演男優賞ノミネートも納得の演技です。音楽や凝ったカメラワークなどの演出が極力省かれていますので、序盤のキャラクター説明の部分は少し退屈ですが、登場人物の様々な思いが絡むようになった中盤以降は一気に引き込まれ、そこからクライマックスまでの展開は目が放せませんでした。衝動的に殺人ができるアメリカの銃社会に対する警鐘が鳴らされているような気がします。「アメリカン・スナイパー」がアメリカの病理を声高に主張しているのに対し、この作品はじわじわと説得するようにアメリカ社会の矛盾を訴えているような気がします。

22 わかりやすいストーリー展開ですし、私の出身地の大阪の映像が随所に織り込まれていて、その独特の空気感が楽しめました。市原隼人さんが心優しい不器用なヤンキーボクサーを好演しています。笑顔が実にチャーミングです。原作を読んでいないので映画だけの問題なのかもしれませんが、松本大洋さん原作の傑作漫画「ピンポン」と構造が非常に似ています。「ピンポン」が素晴らし過ぎる作品なので、それと比べるとヒロインの死の扱いとか、どうしてもチープな面が気になってしまいます。とはいえ、テンポがよく、大阪独特のコネタも豊富で、観客に対するホスピタリティに溢れたよい映画だと思います。
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想像ラジオ

2015-03-14 10:19:37 | Weblog
■本
26 想像ラジオ/いとう せいこう

 題材的にも技法的にもかなり野心的な作品です。死者との対話の取り上げ方や甘過ぎるセリフなど賛否が分かれる内容だと思いますが、早いタイミングで東日本大震災を真っ向から取り上げた勇気は評価すべきだと思います。一方で、そのど直球ぶりのために、技法的には必ずしもその企みが成功しているとは言えない気がします(それならドキュメンタリーを観た方が、より正確にあの大災害が人々に与えた影響を理解できる気がします、もちろん理解できるとしたらですが)。作中で想像ラジオのDJが取り上げる楽曲はどれも個人的に好きな曲ばかりで(特にボブ・マーリーの「redemption song」とコリーヌ・ベイリー・レイの「The sea」の使い方が巧みです)作中世界に引き込まれました。これらの音楽を知っているとこの作品の評価も上がると思います。
 

■映画
19 ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE/監督 佐久間宣行
20 バッテリー/ 監督 滝田洋二郎

19 TVシリーズは観たことがないのですが、愛読書「TVブロス」でずいぶん前に取り上げられていたので映画版を観てみました。映画というよりも、バラエティ番組の特番レベルのクオリティなような気がしますが、劇団ひとりさんの熱のこもった芸風が好きな人は楽しめると思います。

20 原作も映画も評判も高いですが、個人的にはあまり共感できませんでした。主人公の豪腕投手がなぜあそこまで頑なな性格になったのかの説得力がなく、(反抗期や次男の病気、母親との葛藤、決勝戦での敗北のトラウマで説明するにはあまりにも極端な性格のような気がします、家族や周囲の人も一部の先輩を除きみんないい人ばかりですし)、彼に限らず人物描写が平板な気がしました。何より、次男の天使のような無垢ぶりが、現実離れしている気がします。そんな中、キャッチャー役の少年は、等身大の田舎の純朴な少年を好演していました。大人の登場人物の演技も違和感だらけだったので、彼の素晴らしい演技(と次男役の少年の笑顔、これがまたできすぎているのですが、それでも魅力的です)でこの作品がかなり救われています。
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Chasing Yesterday

2015-03-07 09:31:39 | Weblog
■本
24 知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語/橘 玲
25 CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる/J.C.カールソン

24 「投資」についてわかりやすく解説してくれる著書が多い、橘玲さんの「人生設計」をテーマにしたエッセイ集です。日経新聞に連載されていたものを集めたためか、説教臭くお高く止まった文体で、これまでの作品と比べてわかりやすさという面でその試みが成功しているかは少し疑問ですが、投資についてのいろんな視点を与えてくれます。PartⅡの部分は投資に限らず、「生活保護」や「安楽死」などいろんな社会問題についての橘さんの持論(極論?)が展開されていて、新境地を切り開かれています。橘さんの主張を鵜呑みするのは危険ですが、マスメディアではあまり語られない考え方を提示してくれているので、自分に合った生き方を考える上では参考になる本だと思います。

25 まあ、タイトル通りの作品です(笑)。ビジネスにも積極的なスパイ活動が必要、という、トンデモ本になりそうな内容を、転職経験豊富な筆者のビジネス感覚とバランス感覚で力技でビジネス書として仕立てています。内容は、危機管理やリーダーシップ、組織論について書かれたこれまでの本の常識を覆すほどの新たな視点を提示してくれているわけではないですが、これまであまり明かされないCIAについての裏話が読めるので、読み物として面白いです。「日本語で読める最高の1冊だ」という佐藤優さんの帯での推薦は盛り過ぎだと思いますが、佐藤優さんの解説もついていてお得感のある本です。


■CD
17 29/Ryan Adams
18 Chasing Yesterday/Noel Gallagher

17 じっくりと聴かせるタイプの楽曲が多く、Ryan Adamsのソングライティングの巧みさと優しい歌声を堪能できる作品です。地味ですが注意深く聴いていると凝ったアレンジがされています。フォークやカントリーテイストの楽曲はもちろんのこと、ジャジーな曲やラテン風味の曲もあり、引き出しの多さが感じられます。

18 特にミディアムテンポのスケールの大きな楽曲に印象的なものが多く、ソングライターとしてのNoel Gallagherの面目躍如です。基本的にはオアシス時代から大きく方針転換がなされていないので、リアムのヴォーカルで「Oasis」の作品として聴きたかったと言えば失礼でしょうか?よい曲をたっぷり聴いたという満足感が得られる作品です。


■映画
18 あの頃ペニー・レインと/監督 キャメロン・クロウ

 音楽好き(特に演奏する側ではなく聴いて楽しむことが好きな人)にはたまらない映画です。ブレイクしたてのバンドを取材する、早熟の少年の目を通して、音楽産業の喧騒と矛盾点が愛情を持って描かれています。主人公の母親を筆頭に登場人物のキャラクターがどれも立っていて、漫画を読んでいるような印象を受けます(特に飛行機が墜落しそうになったときに、バンドメンバーがそれぞれの秘密を暴露するシーンは、あまりにも現実離れしていて、思わず「そんなわけないやろ」って突っ込んでしまいました)。家族との葛藤、少年の成長、少女の野望と挫折、などいろんな要素が詰まった作品なのに、日本のタイトルが感傷的過ぎて恋愛映画的な印象を受けるのが少し残念です。主人公とペニー・レインの二人ともが、優しいような人生をあきらめたかのような、悟った笑顔をしている点も今風です。

 
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