本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

そのノブは心の扉

2010-07-25 22:42:48 | Weblog
■本
55 そのノブは心の扉/劇団ひとり

 自意識過剰な世界観に慣れるまでは正直とっつきにくかったですが、いったん慣れると、そのぶっとんだ発想が病みつきになります。最初は架空の主人公による連作短編集だと思っていたのですが、解説を読んで劇団ひとりさんの実体験に基づくエッセイだとわかりました。フィクションかと思うほどありえない設定と尋常ならざる行動力に基づく体験談が満載です。やはりこの人は才能があると思います。これまで読んだことのない奇妙で独特な本です。


■映画
16 劇場版ポケットモンスター 幻影の覇者ゾロアーク/監督 湯山邦彦
17 借りぐらしのアリエッティ/監督 米林宏昌

16 前にも書きましたが、こういう人間がポケモンを利用しようとする話はあまり好みではありません。その悪役の人間の野望も妙にちっちゃいですし。やはり、ポケモン同士のバトルやトレーナーの戦略が前面にたった話が見たいです。子どもはそれなりに喜んでましたが。

17 たんたんとしたありきたりな話ですが、ジブリ作品にありがちな説教臭さやあえて少し奇をてらったストーリー展開がないぶん、しみじみとした後味が残り、個人的には好きな作品です。各俳優さんの声の演技も素晴らしく、ジブリ作品にありがちな、声の違和感も皆無でしたし。「自然との共存を忘れた人間への警鐘」など、深読みすればいくらでもできそうですが、家族の絆やささやかな友情のものがたりとしてシンプルに楽しむ方がいいような気がします。これだけのシンプルなストーリーで2時間近く飽きさせない監督の力量はすごいと思います。
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エロマンガ島の三人

2010-07-18 06:08:21 | Weblog
■本
53 エゴイスト入門/中島 義道
54 エロマンガ島の三人/長嶋 有

53 ちょっと仕事で疲れ気味だったので、「死んで自分の存在が消えてしまうこと以上の辛いことなどない」っという成分を体の中に注入しようと思って久しぶりに中島先生の本を読みました。これまでの中島さんのエッセイ?と異なり、中島さんの社交的な面や常識人的側面が強調されている気がします(もちろん、街中の騒音などとは偏執的に戦いまくってらっしゃいますが)。最後の「先生、自殺していいですか?」という話は、自殺志望の知り合いの青年からのメールを引用しつつ、ここまで書くか?って感じですが、「本当に自殺するのか?」という野次馬根性的な興味からついつい引き込まれて読みました。当事者の悲惨な体験も結局は他人にとってはエンターテインメントに過ぎない、という事実に愕然としました。そのあたりも中島さんの狙いかもしれません。巻末の勝間和代さんの解説は、彼女のブランディング的に「要領よく生きているようで実は私も生きにくいのよ」ということを強調する上では、中島さんファンを公言することは理に適っているのかもしれませんが、やはり、嫌悪感しか残りません。勝間さんの著作を読んで、「それほどひどい人ではないのでは?」と思い始めていたので、本性見えたりって感じです。解説も含む本全体から、奇妙な違和感が残る不思議な本です。


54 「何かが起こらなそうで、やはり起こらない」といった長嶋さんの大半の作品とは異なり、本作はいろいろと事件が起こります(殺人まで起こってしまいます)。意外と引き出しの多い作家さんであることが認識できて興味深いですが、表題作以外は習作的意味合いが強く、長嶋さんのファン以外の方は他の作品から読むことをお勧めします。長嶋さんの小説に登場する女性は、僕の知り合いのキャラクター(さすがに看護士のコスプレをする人はいませんが)に近くなぜかしっくりきます。表題作に「生きるということの-どうしようもないないまでの-その一回性について考える」というフレーズがあり、今週読んだ2冊によって、僕もこのどうしようもなさについて考えさせられました。このどうしようもなさがある種の「救い」でもあると感じた僕はやはり少し疲れているのでしょうか?
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おサケについてのまじめな話

2010-07-11 16:10:35 | Weblog
■本
52 西原理恵子月乃光司のおサケについてのまじめな話/西原 理恵子

 私の父も祖父もほとんどアル中だったので、身にしみて読みました。彼らに対しても病人と言う理解があれば違う接し方ができたかもしれない(といっても私はまだ子どもだったので無理だったでしょうが)と思うと複雑な気分です。エイズやうつ病が病気の理解が進むにつれてその地位があがったのと同様に、アルコール依存症という病気もその身分を上げなければ、という西原さんの言葉が印象に残りました。この病気に限らず正しい知識の啓蒙というのは偏見を取り除く意味でとても重要であると改めて思いました。それにしても、西原さんの人生は本当に壮絶です。すごい人です。
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映画篇

2010-07-05 05:31:56 | Weblog
■本
51 映画篇/金城 一紀

 映画がいかに人を救い得るか?、をテーマにした連作集。5つの短編からなりますが、「ローマの休日」の区民会館での上映会を舞台に微妙に各話が絡み合います。また、ブルジョア奥様と貧しい男性の人種の壁を超えた不倫を描いた謎の映画が、スノッブで難解な軽蔑すべき作品の象徴として、「ローマの休日」とは対称的にこちらもところどころで言及されていて、金城さんの映画に対するスタンスが伺いしれます。金城さんの小説を読んでいつも思うのは登場人物の希望や絶望が「ど直球」な表現で伝えられているところ。真っ向から目を見られて語りかけられているような気迫と覚悟があり、あまりにも話がうまく行き過ぎて、作り物っぽくなりそうな話に、絶妙なリアリティと存在感を与えています。どれもこれもクサイ話なのに、心に深く残ります。会話表現の巧みさもあり、読みやすく楽しい作品です。読後に温かい気持ちになりました。


■CD
27 Sellout/Macy Gray

 派手さのないシンプルな楽曲が多いですが、ポジティブでパワフルで、Macy Grayの最大の魅力である、しゃがれた声の存在感が一層際立っています。デビュー作がピークでその後、技巧に走りすぎて少しずつジリ貧状態って感じのアーティストでしたが、本作でV字回復していると個人的には思いました。聴いていて元気になります。
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