本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Mylo Xyloto

2011-10-29 09:41:56 | Weblog
■本
88 エンパワード/ジョシュ・バーノフ、テッド・シャドラー

 企業がソーシャルテクノロジーとどのように付き合っていったらよいかを、豊富な実例と分析により解説した「グランズウェル」と言う本の続編的位置づけです。今度はテクノロジーではなく、それを有効的にに活用する従業員(HERO-大きな力を与えられ、臨機応変に行動できる従業員-)とそれをサポートする組織について書かれた本です。私自身が文体に慣れたのか、「グランズウェル」よりはるかに読みやすく、気づきも多かったです。HEROの重要性とその成功事例だけでなく、いかに組織として支援し育てていくかについて書かれている点が、興味深かったです。「臨機応変に行動できる従業員」というとどんな苦情にも柔軟に対応することで成功をおさめたノードストロムの事例を思い出しましたが、さらにテクノロジーにより大きな力が与えられているので、その臨機応変さがより能動的に進化して(アクティブサポートにより苦情が顕在化する前に対応できる)かつ低コストで実現できるようになったということだと理解しました。


■CD
68 Mylo Xyloto/coldplay

 キラキラしたハイテンションな作品です。これまでの知的な印象から、より官能的というか肉感のある音になっています。内容もバラエティに富んでいて、全世界に通用するポップで素晴らしい作品であることは間違いないです。逆に栄養価が高過ぎるというか、聴く側にも一定のテンションを要求するような感じで、毎日聴くにはちょっとつらいです。作品を出すたびにスケールが大きくなってきたバンドなので、こういう展開になるのは致し方ないと思いますが、このまま、ポップモンスターに一直線に進むのではなく、次作はgreen dayの「American Idiot」やU2の「No Line on the Horizon 」のような、バンドの個人的な思いが強い作品が聴きたい気がしました。
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いろんな気持ちが本当の気持ち

2011-10-22 06:15:05 | Weblog
■本
86 いろんな気持ちが本当の気持ち/長嶋 有
87 ラジ&ピース/絲山 秋子

86 長嶋有さんのエッセイ集。トリビアルな知識にこだわる長嶋さんの本領発揮といった感じで楽しめました。僕は長嶋さんのゆるい空気感が大好きなのですが、中には妙に気合の入ったエッセイもあり、ちょっとした驚きもありました。吉村萬壱さんとの同期社員のような友情も感動的です。「いろんな気持ちが本当の気持ち」っていい題ですね。すっごく怒っていても、その怒っていること自体が気持ちよかったり、子どもと遊んでいて幸福感を感じているときに、反抗期に入ったときの絶望感も感じたり、人の感情って単純に割り切れるものではないと思います。

87 毎度毎度しつこいくらい書いてますが、クールで上手な文章に唸らされます。こんな文章を書いて見たいと切に思います。番組中以外は周囲に心を開かない地方FM局の女性DJが、周囲のおせっかいな人々の影響を受けて、少しずつ変わりつつある兆しを描いた作品です。しかし、結局は頑ななままで終わるような気もして、また、それはそれでよいような気もして、人との距離感なんて自由でいいんだ、という奇妙な勇気も与えてくれます。時折挿入される、神の視点と言うか俯瞰的に主人公を捉える描写が印象的です。僕の大好きなXTCのそれもかなりマニアックな曲の「too many cooks in the kitchen」が取り上げられていて、思わず顔が綻んでしまいました。


■CD
66 三文ゴシップ/椎名林檎
67 Noel Gallagher's High Flying Birds/Noel High Flying Birds Gallagher

66 椎名林檎さんの作品で唯一持っていなかった本作を、中古CD屋さんで見つけて、東京事変の最新作がとにかく大好きだったので、衝動買いしました。東京事変がスタイリッシュでセンスの良さが印象的なのに対して、本作はゴージャス感と豊富なアイデアを強く感じます。曲調もヒップホップからオーケストラっぽいものまでバラエティに富んでいて楽しめます。毒が幾分抜けて聴きやすくなっているところは賛否が分かれるかもしれません。

67 いい曲書くなあっていうのが第一印象です。どこか力が抜けているにも関わらず、サビは最高にドラマティック、ポップソングの見本のような曲が並びます。1曲1曲の長さもアルバム全体のヴォリュームももう少し聴いてみたいと思わせる適量で、70年代の傑作アルバムのような趣もあります。個人的にはBeady Eyeよりこっちの方が好きです。さすがお兄ちゃん。ただ、ヴォーカルがやはり弱い気がして、改めてオアシスってバンドが絶妙のバランスであったことを感じました。SEの使い方は、belle and sebastianのファーストアルバムを連想しました。


■映画
49 ワイルド・スピード MAX/監督 ジョスティン・リン

 もっとカーチェースがメインの映画と思っていましたが、意外と普通のクライム・ムービーでした。登場人物間の友情や裏切りが描かれていますが、過去の作品(少なくとも1、2作目は観たと思うのですが)の記憶があいまいで、あまり感情移入できませんでした。ヴィン・ディーゼルははまり役(というかこのシリーズ以外の彼の演技はなかなかひどい)で格好よいですが、悪役のキャラが弱くて(日本語吹き替え版は「すべらない話」のナレーションの方でそれはそれで楽しめましたが)、カタルシスをあまり感じませんでした。シリーズものとしては善戦しているとは思いますが。
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明日のコミュニケーション

2011-10-15 09:47:33 | Weblog
■本
84 イノベーション 破壊と共鳴/山口 栄一
85 明日のコミュニケーション/佐藤尚之

84 前職の後輩達に勧められて読みました。トランジスタや青色発光デバイスでのイノベーションの例は、文系の私にはかなりついていくのがしんどかったですが、イノベーションが起こる現場の熱量というか執念と言うかが伝わってきて興味深かったです。トモグラフィ(この本では日本全国の市町村のさまざまな数値データを色分けして、断層写真のように明らかにする手法という意味で使われています)というデータ加工の手法とそこから導き出される農業の生産性や起業率のエリアによる差異が明らかにされる様も参考になりました。日本の閉塞感を打ち破るためのイノベーションの大切さと、それが生まれる土壌作りのヒントが丁寧に提示されているよい本です。既存知識の延長線上に向かうだけだとかならず行きづまり、行きづまったとき、既存の知をいったん捨てて根本に下りていくことを避けてはならない、という言葉は示唆に富んでいると思います。ただ、この種の本は理解するだけではダメで実際に行動に移さないと意味がないので、そのあたりの一歩を個人としても企業としても国家としてもどう踏み出すかが大きな課題だと思いました。

85 「明日の広告」の続編です。すでに広告という枠を超えてソーシャルメディアを中心としたこれからのコミュニケーションの話へと発展しています。東日本大震災直後にソーシャルメディアを活用してさまざまな支援プロジェクトに関わられた、ご自身のご経験から、ソーシャルメディアの威力について語られる前半は読み物としても興味深く説得力があります。後半は企業がこのソーシャルメディアの世界の一員としてどのように関わり、生活者とどのようにコミュニケーションすべきか、が平易な言葉とわかりやすい図示とともに提示されています。企業に共感を持つファン層が100人入れば、そこから、さらにその100人の友人へも好意的に受け止められる可能性が高くそれが連鎖して伝わっていくので、ソーシャルメディアのパワーは非常に強力で、それだけにソーシャルメディアのコミュニティの一員として受け容れられるように、長期的な視点で誠実にかつ正直に対応していくことが重要、ということが趣旨であると僕は理解しました。これまでの広告業界の伝統的な考え方を否定するわけではなく、それを補完し相乗効果を上げていこうという意図で、フレームワークが提示されていて、幅広い立場の人に受け容れられる内容だと思いました。


■CD
65 Tkol Rmx 1234567/Radiohead

 最新アルバム「The King of Limbs」のリミックス集。テクノっぽい尖ったリミックスが多いので1曲1曲を聴く分にはとても楽しいのですが、2枚組みのボリュームを通して聴くと結構しんどくなってきます。Radioheadのオリジナル作品が、先鋭性とポピュラーさの絶妙のバランスの上で成り立っていることが改めてわかる作品です。


■映画
47 マレーナ/監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
48 星守る犬/監督 瀧本智行

47 「ニュー・シネマ・パラダイス」で有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。この監督らしい無邪気さが全編に溢れていますが、女性の嫉妬や怖さ、したたかさも描かれていて、珍しく毒も少し効いてます。しかし、基本的には中二男子映画。初恋の大人の女性に対する、少年の純粋で暴走気味の愛情を描いた青臭い作品となっています。マレーナ演じるモニカ・ベルッチさんはこの作品の後にマトリックスシリーズに出演するほど出世してるんですね。僕のタイプの女優さんではありませんが、官能的で薄っぺらいよい演技をされています。短めのサラッとした映画ですが、妙な引っかかりが残る映画です。戦争を重過ぎず、市民目線で描いているところが好きです。

48 これも甘めの作品。村上たかしさんの原作が大好きなので観ました。主演の西田敏行さんはもちろんのこと、岸本加世子さんや余貴美子さん、中村獅童さんといった脇役陣も重厚な演技で支えます。原作にない、玉山鉄二さん演じる寡黙で孤独な青年と川島海荷さん演じる明るいが影のある少女が、主人公の死に至る道中を追う、ロードムービー的な展開も僕好みです。犬の演技も抜群。特に非の打ち所のない映画ですが、原作にあった、主人公が犯したミスに対するあまりにも大きな代償についてのやるせなさ、があまり伝わってこなかった気がします。主人公のおじさんのお金を盗んだ少年の、その後のエピソードがカットされているところも個人的には物足りませんでした。東日本大震災で被害を受けたエリアの震災前の様子が収められており、その映像からもいろんな感情が生じてきます。
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Renaissance

2011-10-08 11:29:39 | Weblog
■本
82 少女不十分/西尾 維新
83 ロングエンゲージメント/京井 良彦

82 初めて西尾 維新さんの作品を読みましたが、この作品は西尾作品の入門編としてはふさわしくなかったかもしれません。前半は筆者を思わせる主人公の独白がくどいほど続き、正直読みにくかったです。とはいえ、少女が現れてストーリーが動き始めてからは怒涛の展開で楽しめました。主人公がラストの方で語る、この少女との出会いにより「異常を抱えた人間が、異常を抱えたままで、幸せになる話」をテーマに小説を書いてきたという部分は、僕が生きていく上でのテーマの一つでもあるので、明確に言語化してもらって感銘を受けました。筆者の小説論めいたものが随所に登場しますので、やはり、ある程度の西尾作品を読んだ人向けの作品だとは思います。

83 1回こっきりのインパクトや面白さ重視の広告ではなく、これからの広告は、生活者と継続的に良好な関係(「ロングエンゲージメント」)を築き、共感を得て「ハピネス」を与えるものでなければならない、という趣旨と理解しました。そして、このロングエンゲージメントを築く上では、顔の見える生活者が情報発信を行い、いい意味でも悪い意味でも企業の本性が浮き彫りにされる(それぞれの生活者が体験した企業が提供する商品やサービスの現状が事細かに伝えられますので)、ソーシャルメディアが絶大な効果を発揮するであろうというお話です。前半から中盤はこれまでのこの分野の議論のまとめや事例集が多く、参考にはなるものの、それほど目新しい内容はない気がしました。しかし、最終章にある「人間らしいコミュニケーションへ」と言う主張は、筆者が自分の言葉で誠実に書かれているので、強い説得力を持っています。この部分だけでも読む価値があります。


■CD
63 Blueprint/808 STATE
64 Renaissance/Q-Tip

63 大学生の時によく聴いていた808 STATEのベスト盤。円高でお安くなっていたので買いました。やはり初期の楽曲の方がクオリティが高く、全編を通して聴くと今となってはちょっときつい面もありますが、基本的には心地よいリズムに浸れます。ヴォーカルの入った曲もキャッチーです。

64 A Tribe Called Questのフロントマン、Q-Tipの最新作です。この次の作品(実は長らくお蔵入りだったらしいので制作は本作より前らしい)のKamaal the Abstractにが大好きだったので購入しました。Kamaal the Abstractが地味ながらもクオリティの高い玄人受けする尖った作品だったのに比べ、本作はNorah Jonesをフィーチャリングした甘目の曲に象徴的なように、万人受けするポップさの背景に確かなクオリティとアイデアが満載で素晴らしい作品だと思います。kanye westも素晴らしい才能に溢れたアーチストですが、この人はそれ以上の鬼気迫る才能を感じます。Hip Hopの一つの到達点だと思います。

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Whole Love

2011-10-02 06:12:15 | Weblog
■本
80 ルフィの仲間力/安田雪
81 これからのリーダーに知っておいてほしいこと/中村邦夫、 松下政経塾

80 ワンピース」の主人公ルフィとその仲間との関係性の優れた点を、ネットワーク分析の専門家の先生が考察された本です。「ワンピース」と「ネットワーク分析」の両方の知識がある方には、かなり楽しめる本だと思うのですが、そのどちらかの知識が欠ける方にはあまりお勧めできないかもしれません。僕も「ネットワーク分析」についての知識が欠けるので、仲間を作る上でのポイントの考察は、納得感のあるものばかりではあるものの、それがなぜ学問的にすごいのか、ということには、ついていけませんでした。読者の間口がかなり広そうなタイトルですが、実は読者をかなり選ぶ本です。

81 現パナソニック会長の中村さんが、創業者の松下幸之助さんの考えを、苦境にあった松下電器産業の再建にどのように活かしたか、について語られた本です。テーマごとにその元となる松下幸之助さんの考えと合わせて紹介されており。、また、語りおろしなので、とても読みやすく、頭にすっと入ってきます。大企業の経営者がどのような考えで、数々の決断を行ったか、について垣間見ることのできる興味深い本です。ケーススタディとして、使ってもよいかもしれません。中村さんはドラッカーの理論についての理解も深く、松下幸之助さんの理念をドラッカーの理論を援用しつつうまく現代化されている点も興味深かったです。


■CD
61 Illmatic/NAS
62 Whole Love/Wilco

61 ヒップホップの名盤ということで聴きました。15年以上前の作品なのに全く古びていません。そのフォロワーが多いために、今聴いてみると、その革新性があまり感じられませんが、リアルタイムで聴いていたらさらに衝撃が大きかったと思います。ヒップホップにありがちな「やった、やられた」という単純化された枠組みを超えた、かなり知的な作品です。激しさの背景にある妙な「静けさ」が印象的です。

62 いろんな楽器の音が茶目っ気たっぷりに配されていて、とても楽しい作品です。組み合わさった音の響き方がとても心地よい。演奏しているメンバー自身が楽しんでいるのが伝わってくる気がします。3、4分のコンパクトにまとまったポップソングが中心な一方で、じっくりと聴かせる7分を超える楽曲も2曲あり、やりたいことは全てやりきった感じがします。地味なようでカラフル、軽やかでかつ深い、個人的には今年のナンバー1候補の作品です。とてもよい。


■映画
46 TAXI NY/監督 ティム・ストーリー

 リュック・ベッソン制作の「TAXI」シリーズをNYを舞台にリメイクした作品。それ以上でもそれ以下でもありません。フレンチテイストをアメリカナイズすると、明快でベタな構成になるという、観なくてもわかるようなアレンジがそのままなされています。いい悪いを超えて、両国の文化の違いはこんなものなのだということが再認識できます。決して評価はできないけれど、観るとそれなりに楽しい、といったタイプの作品です。
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