本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

生きさせろ!

2008-10-27 07:27:51 | Weblog
■本
82 野ブタ。をプロデュース/白岩 玄
83 生きさせろ! 難民化する若者たち/雨宮 処凛

82 楽しくも怖い本です。かなりの傑作です。ご都合主義のストーリー展開など欠点を探せばキリがないですが、ネタ化した心地よくも残酷な人間関係を描いているなど、時代感を的確に描いている視点は高く評価されるべきだと思います。ドラマ(は見ていないですが)とは別物として読んだほうがいいです。甘いコーティングに包まれていますが、すごく苦くて暗い話なので、70万部も売れたと言うことはコーティングに騙されて人が多いのだと思います。ドラマしか観ていない人は是非一読をお勧めします。

83 現在のプレカリアートの問題が個人の問題ではなく社会の構造的な問題であること、また、個人の問題として捉えられるように巧みにすりかえられてきたことがよくわかる本です。個人的な経験として、最近の若い人は物分りのいいやさしい(そして将来について少し諦めている)人が多いと感じているのですが、そのような性格となるよう教育制度からして仕組まれていたのではという疑念すらわき上がってきます。小泉首相がどこまで考えて、構造改革をしたのかはよくわかりませんが、当時の彼を支持した若年労働者が今度の選挙でどういう選択をするかにすごく興味があります。もっとも、その選挙権さえ行使できない(もしくは十分に情報提供されていないため行使できないと思わされている、あるいは生きるための生活費を稼ぐために選挙に行く時間さえない)若年労働者も多数いるのだと思いますが。結局はグローバリズムにより、発展途上国から搾取できなくなった分を自国の若年層から搾取しようと切り替えていることに問題の根幹があるような気がしています。いつか手痛いしっぺ返しがくるような気がして仕方がないですし、端的に年金や少子化問題で顕在化しつつあるのでしょう。今の首相の言動を聞いていると(ホテルのバーぐらいは行ってもいいとは思いますが)この種の問題が肌感覚として理解できるかははなはだ疑問です。

■CD
28 Sunshine Lies/Matthew Sweet
29 YELLOW/電気グルーヴ
30 Perfect Symmetry/Keane

28 近年は過去の人っぽい活動をしていたMatthew Sweetですが、本作は現役感たっぷりのパワー・ポップ(死語!)を聴かせてくれます。名作「Girlfriend」を聴きこんだ30代中後半の方々には、当時の思い出が蘇ると思います。お勧め。

29 電気グルーヴの作品の中で一番好きかも。おふざけが適度に抑えられていて、クールなテクノ作品に仕上がっています。かなり聴きこんでいます。いい意味で円熟味が出てきた感じの傑作です。

30 ソングライティング能力の高さに定評のあるKeaneですが、本作はただの「いい曲」を超えたスケール感が感じられます。世界的な大ブレイクの始まりとなる作品かもしれません。これまでのスタイルにこだわらない野心的な姿勢も好感が持てます。これも、聴いて損のない作品です。
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サラリーマン合気道

2008-10-19 07:55:47 | Weblog
■本
80 サラリーマン合気道/箭内 道彦
81 灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパーク Ⅵ/ 石田 衣良

80 仕事に向き合う上で「こうしなくてはならない!」という身構えた感じのこだわりをほぐしてくれて、気楽に前向きになれるよい本です。あとがきで筆者も書かれているように、自分の置かれた状況に応じて、本書で書かれている言葉を変換することが必要だと思います。おそらく、文字通りに受け取ると、より仕事を進める上で困難になると思いますので。そういう意味では、読み手の力量も試される本だと思います。そこまで重く受け取らず、癒しの本として読むのもいいのかもしれませんが。

81 いつも通り、漫画を読んでいるかのように気楽に楽しめました。キャラ設定だけでここまでエンターテインメントとして成立するのか、と毎度ながら感心します。最後の「池袋フェニックス計画」がスケールがでかくて、一番楽しめました。


■CD
26 Dig Out Your Soul/Oasis
27 Way to Normal/Ben Folds

26 結構評判がよかったので買いました。ここ最近の中では一番よいとは思いますが、やはり初期の作品には及びません。キャリアの積み重ねが、成熟ではなく、衰えの方に向かっている気がします。とはいえ、アルバムの中の数曲はかなりの完成度の高さで、繰り返し聴いています。

27 こちらも26と同じような印象です。いいんだけど、初期の作品には及ばないが、数曲はかなり完成度が高い、といった感じです。聴き込むたびに好きになってきているので、時間がたつにつれて評価が上がるかもしれません。僕の耳の方が劣化して、感動できなくなっているだけなのかも、とも思います。。
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アイアンマン

2008-10-12 06:07:36 | Weblog
■本
77 創発するマーケティング/DNP創発マーケティング研究会
78 ブログ論壇の誕生/佐々木 俊尚
79 春子ブックセンター/宮藤 官九郎

77 本書では、創発を「自立性と多様性をもった個と個の相互作用のなかから、予期せぬ現象が生み出され、その結果がまた個に影響を与える」状態と定義していますが、要は、これまでの業界の常識の延長線上の連続的な思考ではなく、いろんな他分野の人との交流により、非連続な思考に基づく斬新な発想を偶然に頼ることなく、うまくマネージメントしてマーケティングに活かそう、という内容の本と理解しました。言い換えれば最近、googleの欠点としてよく耳にする「セレンディピティ」(探しているものとは別の価値あるものを見つける能力)をいかにマーケティングに活かすかという本です。時代の雰囲気を巧みに読み取り、しかも学術的に仕上げているところは編者の能力の高さを感じます。ただ、少しウエルメイド過ぎて、実践にどこまで活かせるかという点では少し不満が残りました。まだ、この分野を意識したマーケティング事例が乏しいとはいえ、本書で選択されている事例が「創発」の成功例かと言われると疑問ですし。

78 先週に引き続き佐々木俊尚さんの新作を読みました。毎日新聞英語サイトの炎上など、新書らしくネタが新鮮でとても興味深く読みました。私の最近の関心であるロストジェネレーションの実態についても掘り下げて取り上げられており、佐々木さんの書籍の中でも秀逸の面白さです。一時のブームが去った感のあるブログですが、今一度その意義を捉えなおすという意味ではいい本です。個人的にはとても面白かったのですが、ネットvsリアルの対立を団塊の世代vsロスジェネ世代の対立と単純化した点は、少しわかりやすさ優先の二元論になっているという気がしました。筆者は当然理解したうえでの単純化だと思いますが、読者側はその点を理解して、実態はもう少し複雑な要素が絡み合っている(「ネットイナゴ」の中には「承認」を得られないリストラされた団塊の世代の人なども多数存在すると想定される、など)という点を補って読んだ方がよい気がします。

79 久しぶりに戯曲でも読もうということで購入しました。ご、正直戯曲だけだと宮藤 官九郎のセンスや面白さは伝わってきませんね。最後の漫才のシーンが肝なので、実際の芝居を観たかったです。春子演じる松尾さんの怪演は想像だけでも笑えましたが。


■映画
24 アイアンマン/監督 ジョン・ファヴロー

 長さも適切ですし、ヒーロー、ヒロインの演技力も高いので安心して気楽に楽しめる映画です。逆に「ダークナイト」などと比べるとひっかかりが少なくて、あっさりし過ぎな気もします。でも「ダークナイト」のようなアクの強い映画をデートで観たらその後少し会話が弾まないような気もしますし、デートムービーとしてはいいのではないでしょうか? このあたりがアメリカでの大ヒット(女性客をうまく取り込んだという評価を聞いたことがあります)の一要因だと思います。グウィネス・パルトロウも萌系の美人秘書を演じていて、本作ではいい方のグウィネス・パルトロウで好感が持てますし。まあ、観ても損のない映画です。
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インフォコモンズ

2008-10-06 06:06:57 | Weblog
■本
75 やせれば美人/高橋 秀実
76 インフォコモンズ /佐々木 俊尚

75 筆者の奥さまのダイエットについてのエピソードを中心に、痩せたい女性の心理を取材した作品です。奥さまというすごく身近な人を題材にしながら、現代日本社会を描いている(ような気にさせる)ところに筆者の力量を感じます。自身の水泳教室体験を描いた「はい、泳げません」といい、私的体験をエンターテイメント化して、エッセイではなくルポルタージュ風に描くと言う、独自の領域を切り開かれている気がします。読んでも多分痩せませんが、なんとなく、夫婦関係やささやかな幸せについても考えさせられる、独特の本です。女性に対する幻想も消えます。

76 ポストgoogleなどWeb2.0後を考察した本です。佐々木さんの新書はどちらかと言えば、最新動向をまとめたコネタ的展開をする本が多い気がするのですが(それはそれで有益なのですが)本書では、インフォコモンズ(共通の関心や情報を共有する不定形なグループ)という主題を中心に、構造化してネットビジネスの最新動向が展開されており、読みごたえがあります。筆者の言うように、今後はレコメンドエンジンのうさんくささ(どうしても個人的嗜好を覗き見されているような気がする)を解消するため、そのアルゴリズムを公開する方向に向かうような気がします。あと、やはり今後の可能性としては人と人との関係性(それは必ずしも友人、知人だけに限定されない)を分析し、利用者に役立つ情報を提供していく、という方向性にビジネスチャンスがありそうです。


■CD
25 Ode to J. Smith/Travis

 これまでさりげなさが売りであったTravisですが、本作は少しゴテゴテしたアレンジの曲もあり、そのあたりが賛否が分かれるかもしれません。とはいえ、全編を通じてはしみじみいいメロディを聴かせてくれる、相変わらずのtravis節。前述したゴテゴテ感も個人的には力強さの表れと、好意的にとらえています。秋にしみじみと聴くには最適。長く付き合える深みのある作品でもあります。
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