本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

チェンジリング

2009-03-29 07:14:29 | Weblog
■本
25 一勝九敗/柳井 正
26 シネマ坊主/松本 人志

25 泥臭く地に足のついた経営論で非常に感銘を受けました。「速く失敗することが必要」など、頭ではわかっていても実践できる経営者がほとんどいないであろう凄みのある言葉が並びます。サラリーマン経営者ではなく、事実上の創業者であることも影響しているとは思いますが、志の高さとその実践力はやはりすばらしいです。会社の規模に応じて経営スタイルを変えることの必要性などもよくわかり、組織論のケーススタディとしても役立ちます。また、経営者や起業家の心構えなども具体的に書かれており、自己啓発本としても秀逸です。並みの努力ではビジネスでここまでの成功はできないこともよくわかります。読みやすいので仕事に今ひとつ気持ちが乗らないときにお勧めです。元気が出てきます。

26 連載時にも熱心な読者でしたが、文庫化に伴い改めて読みました。松本人志さんの映画やお笑いの捉え方がわかるよい本です。「バッファロー'66」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」など僕の大好きな映画が高評価なところもよいです。松本さんが高評価だった「カノン」を映画館に観にいった思い出もあります(映画の内容はほとんど覚えていませんが)。「伝説の教師」に触れているところを読むと、ジャンルを超えて誰もやったことのないお笑いを追求したいという、松本さんが「大日本人」を撮った理由もなんとなくわかります。


■映画
7 チェンジリング/監督 クリント・イーストウッド
8 ラストサムライ/監督 エドワード・ズウィック
9 LOVERS/監督 チャン・イーモウ

7 文句なしの傑作。この5年で一番好きな映画です。観終わって思わず泣いてしまいました。村上春樹さんがイスラエルでのスピーチでおっしゃっていた「システム」の怖さと「システム」維持に動く人間の醜さが痛いほど伝わってきます。また、「システム」とは全く関係のないところでの犯人の身勝手さ、複雑さ、そして「システム」や犯人の残酷さに翻弄されつつも我が子に対する強い愛情と希望を持ち続ける母親の強さ、さらには誘拐された子供たちの罪悪感ややさしさなど、人間も丁寧に描かれているところもこの作品に深みを与えています。それでいて、誘拐の真相が徐々に明らかにされている際のサスペンス的要素などエンターテインメント作品としても秀逸で、ぐいぐいと作品に引き込まれていきます。これまでのイーストウッド作品に多かった救いのなさにささやかな希望がほどよくブレンドされているところがすばらしいです。

8 期待せずに観始めたのですが、「武士道」が比較的まともに描かれていて(もっと漫画的に描かれていると勝手に思っていました)中盤まではは意外とよかったというのが正直な感想です。が、終盤はグダグダですね。最後の戦いで主要人物をあそこまで超人的に描かなくても。トム・クルーズには鉄砲の弾が全く当たらず、ほとんど「ルパンⅢ世」状態ですし。とはいえ、ハリウッドが日本を描いた作品としてはまともな部類だと思います。でも、日本人に監督をして欲しかったな。

9 面白いです。独自の世界観を持ちつつもハリウッドでも通用するような普遍的なアクション映画としてキチンと成立しているところが凄いです。アジア映画というニッチな枠ではなくメインストリームの市場に挑んでいる志の高さが感じられます。日本の映画って予算の制約もあるのでしょうが、どうしてもこじんまりとした、ニッチ的なイメージが残りますから。ストーリーもシンプルですが、意外性もあり、次の展開から目が離せない優れたものです。チャン・ツィイーを筆頭にキャストも魅力満点。中国の人から見れば漫画的に見えるのかもしれませんが、気品溢れる独特の映像美(緑色が本当にきれい)もあり、うさんくささが微塵も感じられません(ラストサムライにはどうしてもパチモンの臭いがしますから)。やはり自国の人が監督したからでしょうね。
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松本紳助

2009-03-21 06:38:34 | Weblog
■本
23 論より詭弁 反論理的思考のすすめ/香西 秀信
24 松本紳助/島田 紳助 松本 人志

23 筆者のシニカルでユーモアのある文体が楽しく一気に読めました。でも、具体的に何が書いてあったのかは不思議と思い出せません。なんとなく、論理は万能ではなく、法律と同じようにそれを正当と主張する側の思惑のようなものがあるので、その思惑を汲み取ってしたたかに対応していくことが必要なのだ、という印象が残りました。とはいえ、特にビジネスの世界では基本ルールとしての論理性は要求されるので、それは身につけるべく努力を続ける前提で、一方で論理を盲目的に信じてはいけない(そもそも完全にある種の思惑から自由となった論理性などあり得ない)ということも頭の片隅においておく、というのが個人的には正しいスタンスであると思います。

24 テレビで放映されていたときもほぼ毎回観てましたが、活字で読んでもやはり面白いですね。電車の中でにやにやしながら読んだので、周囲は気持ち悪かったと思います。お二人のこだわりや計算など、天才の思考法が伺えて楽しめます。


■CD
8 No Line on the Horizon/U2
9 Working on a Dream/Bruce Springsteen

8 シングルの「Get On Your Boots」が派手なイケイケの曲なので、「Zooropa」や「POP」といった躁気味のアルバムを予想したのですが、意外と内省的な雰囲気の楽曲が多い落ち着いた作品となっています。楽曲の外れはなく、安心して楽しめるのですが、クオリティという面では前作「How to Dismantle an Atomic Bomb 」以上、「All That You Can't Leave Behind」未満てところでしょうか。今年を代表する1枚ではありますが、U2の作品の中では可もなく不可もなくという位置づけの作品だと思います。

9 U2以上にキャリアの長いBruce Springsteen ですが、本作はU2の新作と違ってBruce Springsteenのキャリア上、重要な作品になるのではないでしょうか? 「BORN IN THE U.S.A. 」に熱狂し、90年代はほとんど聴かなくなった後に、名作「rising」で再び聴くようになった僕としては、この作品の完成度にはかなり満足しています。派手さはないけど、じわじわとポジティブさが伝わる楽曲そろいです。飽きずに長く楽しめる作品だと思います。


■映画
5 リクルート/監督 ロジャー・ドナルドソン
6 ザ・メキシカン/監督 ゴア・ヴァービンスキー

5 期待せず観たのですが、予想しやすいストーリーの割には微妙に意表をつかれて、意外と面白かったです。存在感は抜群だが、同じような演技しかできないアル・パチーノをいい意味で有効に使っています。ただ、あの悪人顔だとやはり黒幕は彼だと予想はついてしまいますよね。その点は、名のある俳優が出演する映画の欠点(しょうもない役ではないことが容易に予想がついてしまう)だと思います。コリン・ファレルはなかなかの好演。ヒロインにもう少し華があればよかったのですが。

6 かなりひどい映画と評判を聞いていたのですが、いくらなんでもブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの共演作なので、少しくらいはいいところはあるだろうと、何年か前に録画したビデオを引っ張り出して観たのですが、想像以上にひどい映画でした。単純なストーリーの割には、必然性のわからない展開の連続ですし。唯一魅力的なキャラだった、ヒロインを誘拐する殺し屋も、その行動の動機がほとんどわからないまま殺されますし。ジーン・ハックマンまでゲスト出演していますが、主役の二人を含めなぜ彼らが出演したのかもわからないほどの駄作です。金なんでしょうか? 製作者がすごいコネを持っているからでしょうか? 逆につっこみながら観るにはいいかもしれません。
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アルトコロニーの定理

2009-03-15 06:34:59 | Weblog
■本
21 成功するマーケティング インターネット・ブランディング最前線/ 赤城 稔
22 柳に風/古田 新太

21 うーん、イマイチ。タイトルと内容が合っていないような。インターネット・ブランディングというよりも、Yahoo!礼賛の提灯本です。もう少し、「インターネットを使ってどのように一般企業はブランディングできるのか」、という視点で取り上げられているのかと思っていました。その解が「IPビジネスの覇者yahoo!を見習え」というのはあまりにもお粗末。もっともこの種のネット業界の最新トレンドをテーマにした本は賞味期限があるので、出版後3年も経って評価するのはフェアじゃないのでしょうが。

22 気楽に楽しめます。豪快で男気のある昔かたぎの役者さんというイメージですが、弱音をはくなど結構軟弱な一面も見られます。もっとも、筆者も書かれているようにどこまで本当のことが書かれているのか微妙ですが。餃子の王将で豪快に食事をする労働者を見て「日本はまだ大丈夫」と思える感性が、この不況時に必要かも。一本筋の通った人が持つ爽快さが感じられる本です。


■CD
7 アルトコロニーの定理/RADWIMPS

 よいです。売れるんでしょうね。歌詞の世界感が秀逸でテーマの選び方の壮大さも他の同年代のバンドと別次元です。楽曲もバラエティに富んでいて飽きません。子供と一緒に聴きながら「パンダは減ったら増やします」とか歌ってます。当分この作品とチャットモンチーの「告白」だけで充実した音楽生活を送れそうです。


■映画
4 花様年華/監督 ウォン・カーウァイ

 映像の美しさはさすが、鎧のようにスーツとドレスをカチッと着こなす男女から上品なエロティシズムを表現しているろころもさすが、でも、何か物足りなさを感じます。表現したいという衝動よりも知性が勝ちすぎた映画とでも言ったらいいのでしょうか、「欲望の翼」、「恋する惑星」といったウォン・カーウァイ監督の初期の作品にあったような、破天荒なパワーがあまり感じられないところちょっと不満です。とはいえ、監督の才気は十分に感じられる作品。わびさびの世界です。観て損はないと思います。
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告白

2009-03-08 08:09:06 | Weblog
■本
19 女たちは二度遊ぶ/吉田 修一
20 生きてるだけで、愛。/本谷 有希子

19 男性の視点からさまざまな女性との関わりを描く短編集。おしゃれな吉田さんと泥臭い吉田さんの二つの側面が一冊で楽しめます。個人的には恋愛関係を描いた作品よりも、バイト先や職場の先輩とのささやかな関係を描いた作品の方が好きでした。20の本谷さんと正反対なテンションの低い文体が心地よいです。

20 ハイテンション躁鬱小説。ハイテンションですが、パワー一辺倒ではなく、北斎の絵のエピソードで微妙な視覚的要素を盛り込むなど、細かいテクニックも併せ持っているところが魅力的な作品です。松尾スズキさんの「クワイエットルームにようこそ」といい、演劇界の人が小説の題材としてメンヘルを選択するのは、一番同時代性を表す題材からでしょうか? 人間と真っ向に付き合うにはますます恐ろしくパワーが必要となっていることを再認識できる作品です。もっと気楽に人と付き合える方法はないのでしょうか。人との関わりを極力避けて本や漫画の世界を愛する主人公の恋人が、おっそろしく面倒くさい主人公の女性を受け入れようと努力しているところにかすかな救いを感じます。でも、いずれこの二人は破局を迎えるんだろうなというやるせなさも感じます。


■CD
5 告白/チャットモンチー
6 Beyond The World/TOKYO No.1 SOUL SET

5 めちゃくちゃいいです。性別関係なく今、日本で最も格好がよくて、覚悟のこもった音を出すバンドだと思います。3人なのに音の厚みとその独自性がすごい。安易に「桜」ソングを歌う、売れ線J-POPとは志の高さが違います。歌詞は前2作よりも女子モード全開のものが多くて、おっさんが聴くにはちと気恥ずかしいですが。。。

6 躁気味にハイテンションに青春ソングをたたみかけてくれます。聴いていて元気がでる反面、少し深みがない気も。作品のテーマが「青臭さ」のような気がするので仕方がないのかもしれませんが、「黄昏’95」(もう15年近く前!)、「ヤード」のような哲学的な曲はもう望めないのかな、と少し寂しくなりました。内省している場合ではないという、決意の表れなのかもしれませんが。


■映画
2 少年メリケンサック/監督 宮藤官九郎
3 マダガスカル/監督 エリック・ダーネル、トム・マクグラス

2 宮藤さんの脚本の中では特に秀逸とは思いませんが、まあ、エンターテインメント作としては楽しめます。宮崎あおいさんに卑猥な言葉を言わせたり、浴びせかけたりしたいだけの作品なような気が少しします。映画館にわざわざ行くほどでもないですが、DVD化されたら借りて観るのにお勧めといった感じでしょうか。ただし、安易な「桜」ソングを歌っている人は全員観に行くべきでしょう。パンクへの愛がとても感じられます。「音楽=生きざま」ではなく、「音楽=ファッション」になった憤りがコミカルに感じられます。木村祐一さん、ピエール瀧さんの怪演も光ります。

3 頭を使わず気軽に楽しめます。ドリームワークスのアニメらしく、凶暴なおばあさんや邪悪なペンギンキャラなど適度な毒が効いているところが好きです。かわいいひよこがいとも簡単に鰐に食べられていくところなど、乾いた残酷性がよいです。日本の作品だともっと湿っぽく描くでしょうから。こういう点は米国作品の数少ない美徳だと思います。
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