本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

フィクサー

2015-12-26 10:13:31 | Weblog
 今年もなんとか目標の読書100冊を超えました。音楽定額制サービスの利用が増えたので、購入するCDは結構減りました。また、テレビ離れが進み、録画するのも漫才やコントのネタ番組と映画だけという1年でした。観た映画の数はここ数年で一番多いと思います。

■本
111 新世代デジタルマーケティング ネットと全チャネルをつなぐ統合型データ活用のすすめ/横山 隆治

 タイトル通り「ネットと全チャネルをつなぐ統合型データ活用のすすめ」について書かれた本です。ネットはマーケティングにとって必要条件だけどそれだけでは十分条件にならない、ということを事例を交えつつ言葉を代えて何度も説明してくれています。デジタルマーケティングに必要な要素を俯瞰的に理解するには非常によい本だと思います。それぞれの要素については、必要最低限のことしか書かれていないので、この本を読んでから個別の内容についてより詳しく書かれた本を読んでいく、という活用がよいと思います。

■CD
52 JUST LIKE HONEY-「ハチミツ」20th Anniversary Tribute/オムニバス

 期待が高かっただけに、意外と普通という感想です。それぞれのバンドの個性が出ていてそれなりに面白かったですが、ハッと驚かされるような楽曲はありませんでした。こういう有名な作品の場合、どこまでアレンジするかは難しいですね。リスペクトが強すぎると、あまり手を入れられないですし、それだとプロとしての自分の個性が出ないですし。でも、なんか参加アーチストが楽しんでいる感じがあまり伝わってこなかったのが(同じスピッツのトリビュートアルバム「一期一会」では、奥田民生さんの「うめぼし」が聴いていて楽しくなって好きでした)、少し残念でした。そんな中で、indigo la Endの「愛のことば」が今っぽくて、20年経ってカバーする意味が一番感じられて気に入っています。


■映画
88 フィクサー/監督 トニー・ギルロイ

 こちらは期待せずに観たのですが、とても面白かったです。ジョージ・クルーニー出演作に外れなし、という思いを新たにしました。2008年のアカデミー賞でも7部門にノミネートされていて、「ナルニア国物語」の白の魔女のイメージが強い、ティルダ・スウィントンが助演女優賞を受賞しているようです。監督は「ボーン・アイデンティティー」シリーズ脚本家の方というだけあって、社会派要素とエンターテイメント要素を巧みに両立させた良質のサスペンスに仕上がっています。やはり、ジョージ・クルーニーはこういう、くたびれているが、芯の強い色気ある中年役をやるとうまいですね。悲哀と滑稽さと薄汚さと格好良さが絶妙に配合された演技で魅力的です。
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ザ・ファイター

2015-12-19 11:05:49 | Weblog
■本
109 ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学/入山 章栄
110 沈む日本を愛せますか? /内田 樹、 高橋 源一郎

110 先週読んだ「世界の経営学者はいま何を考えているのか」が抜群に面白かったので、その続編的なこの本を読みました。一部内容が重複するところがありますが、新しい気づきがたくさん得られる素晴らしい本です。「ダイバーシティ」、「グローバル化」や「ブレスト」といった、企業にとって望ましいと一般的に言われているものに、異なった視点での考え方を提示してくれている点も参考になります。アメリカで「経営学」を学ぶということはどういうことか、についても丁寧に説明されていて、学部を問わずこれから大学や大学院進学を考えている学生さんにも有益な本だと思います。

110 こちらは先々週読んだ「ぼくたち日本の味方です」の1作目の方です。遡って、民主党への政権交代時の内田さんと高橋さんの対談内容を知りたくて読みました。結局、シュリンクしていく日本で、どのように新しい政治や価値観を作っていくのか、ということに議論が終始していますが、最初民主党政権に期待していたお二人が、徐々に失望へと変わっていく様子が、ありありと描かれていて面白いです。この本が、東日本大震災前、次作の「ぼくたち日本の味方です」がその後の対談が中心なのですが、文庫版あとがきに書かれている、文学や映画の「その前日」ものというジャンルと震災前のこの対談が対比されている点が印象に残りました。また、この本では小沢一郎さんが多く取り上げられているのに対し、次作では橋下徹さんが話題の中心となっていて、お二人の興味対象となっている政治家が変わっていく点も興味深かったです。


■映画
85 ザ・ファイター/監督 デヴィッド・O・ラッセル
86 ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス/監督 フランシス・ローレンス
87 ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション/監督 フランシス・ローレンス

85 ヤク中の兄役を演じているクリスチャン・ベールがアカデミー助演男優賞(ちなみに痛いおかん役のメリッサ・レオも助演女優賞を取っています)を取った作品ということを覚えていたので観ました。監督がアカデミー作品賞にもノミネートされた「世界にひとつのプレイブック 」や「アメリカン・ハッスル」のデヴィッド・O・ラッセルということを後で知ったのですが、この監督らしい手堅くも、ところどころに予想外の展開を見せるストーリー展開や演出が印象的です。基本は家族愛を中心としたオーソドックスで感動的なサクセスストーリーなのですが、各キャラクターの弱さ、醜さの描き方が絶妙で、単なる美談に終わらせない、この監督独特の屈折具合が大好きです。

86、87 ハンガーゲームの完結編2作を続けてみました。1、2作は独特の世界観と「バトル・ロアイヤル」的な閉鎖空間での殺し合いが見せ場でしたが、3作目の「レジスタンス」の方は、エンディングに向けたブリッジ的位置づけで、アクションシーンが乏しく、少し退屈かもしれません。独裁者側との駆け引きやレジスタンス側の様々な思惑、そして、本当の恋人と「ハンガー・ゲーム」上の恋人との間で揺れ動くヒロインの葛藤といった、心理描写が中心となっています。4作目の「レボリューション」の方は、独裁者との最終対決を緊迫感のあるアクションを中心に、レジスタンス側の権力争いや裏切り、それにヒロインと二人の「恋人」との三角関係を絡めて、これまでに張った様々な伏線を回収していきます。ストーリー的には、回を重ねるごとに破綻の度合いが増しているのですが、それでも、展開を予想させず、強引にエンディングへと突き進む力技には感心しました。ジェニファー」・ローレンスは回を重ねるごとに演技が下手になっていく印象ですが、大阪のおばちゃんを思わせる、どこか下品なルックスが個人的には大好きです。
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世界の経営学者はいま何を考えているのか

2015-12-12 09:48:13 | Weblog
■本
108 世界の経営学者はいま何を考えているのか/入山 章栄

 知的好奇心が刺激されとても面白かったです。タイトル通り、経営学の最先端の研究内容のエッセンスを平易な言葉でわかりやすく解説してくれています。頭の良い人っていうのはこの本の著者の入山さんのような人のことを言うんですね。最新の研究成果から得られた知見を驚きや発見に満ちたエンターテイメントとして語る手腕が見事です。経営学者の研究とはどういうものか、ということを(ケーススタディが中心と誤解されがちですが、統計的手法を駆使して科学的にさまざまな事象を分析されているようです)理解できた点も個人的には有用でした。あまりにもわかりやすく、わかった気になってしまう危険性が高いと思いますので、興味のある領域は参考文献を自分で掘り下げる必要がありそうです。実際の仕事に応用するには、自分でさらに学習する必要はあると思いますが、自分の子どもが大学に進学する際に、社会科学の研究とはどういうものか、をアドバイスする上でも役に立ちそうです。お勧めの本です。


■CD
51 A Head Full of Dreams/Coldplay

 ジャケット通りのカラフルなサウンド満載の作品です。これまたジャケットの印象からか前作を「陰」、本作を「陽」と対比されるレビューが多いようですが(バンド自身もそのような発言をされているようですが)、個人的には前作が通常運転のColdplayで、本作のテンションが高すぎるだけだと思います。こういう時代だからこそ、多幸感のある音楽を、という志は買いますが、なんからしくないですね。内省的でかつ、広がりのあるサウンドという矛盾する要素を両立させているところがこのバンドを独特の地位に押し上げていたと思うので、個人的には少し違和感が残りました。この作品がU2で言うと「POP」的な位置づけの作品だと思うのですが、U2がその次作で出した原点回帰的でかつ進化を遂げた傑作「All That You Can't Leave Behind」を出したように、次作の展開がとても気になります。


■映画
84 007 スカイフォール/監督 サム・メンデス

 007は単純明快でスタイリッシュなアクション映画だというイメージですが、「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス監督ということもあってか、どこか屈折したシニカルさが漂う独特の雰囲気を持つ作品です。明暗のコントラストを巧みにつけた映像や、ボンドや悪役の過去のエピソードにより、深みのある印象が残ります。ただ、ストーリーの方は、世界的なスパイものにしては、悪役の行動が、私怨(もっと言うとかまってちゃん)に基づいているので、そこは拍子抜けです。ボンド・ガールの扱いも取ってつけたような感じで残念でした。悪役のハビエル・バルデムが男臭い、いい演技をしていたので、ダニエル・クレイグ演じるジェームス・ボンドとの対決に集中した方がよかったのでしょうが、ボンド・ガールの伝統がそれを許さなかったのかもしれません。いろいろとバランスに違和感のある作品ですが、そこが、これまでの007作品と違った魅力を生み出しているとも言えます。
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永い言い訳

2015-12-06 10:18:30 | Weblog
■本
105 ぼくたち日本の味方です/内田 樹、高橋 源一郎
106 亡国の集団的自衛権/柳澤 協二
107 永い言い訳/西川 美和

105 内田 樹さんと高橋 源一郎さんの日本政治状況をテーマにした対談集です。1作目の方は読んでいないのですが、この本は続編らしいです。東日本大震災を含む、2010年秋から2012年春にかけての政局について語られています。期待されていた民主党政権への失望が広がった時期ということもあり、政治やシステムの劣化が話題になることが多いですが、東日本大震災を契機にこのお二人が、日本という国の政治によりコミットしていかねばという、決意のようなものも伺え興味深いです。橋下徹さん批判など、内容は予想通りのものが多いですが、司会者的立ち位置の渋谷陽一さんのコメントがいいアクセントとなっていて、議論が思わぬ方に展開するのも面白いです。

106 少し前に話題になった集団的自衛権について勉強したくて読みました。実務家らしい視点で、冷静に集団的自衛権の問題と、安倍政権の主張の不備が指摘されていて参考になります。まだまだ、私自身勉強しなければと思いますが、少なくとも議論が十分に尽くされていないことだけはよく理解できました。理念優先の抽象的で感情的な議論に陥らずに、想定される危機に対処する上で、何が足りていて、何が足りていないのか(そしてそれには本当に集団的自衛権の行使が必要なのか)について、しっかり考える必要があると思いました。

107 本を読んでいて、久しぶりに放心状態になりました。人間の内面の醜さ、弱さをこれでもか、とえぐっていく内容に圧倒されました。大人だけでなく少年の内面にも容赦なく迫っていて、自分の子ども時代のいろんな複雑な感情も呼び起されます。作者の西川美和さん監督の前作「夢売るふたり」は、人間のグロテスクな面が強調されすぎて、救いがあまりありませんでしたが、この作品は、悲惨なストーリーの中にも、かすかな希望が見えて、来年に完成するという映画版も楽しみです。西川さんは一貫して、兄弟、親子、夫婦といった家族関係をテーマとした作品を発表されていますが、本作はその一つの到達点とも言える完成度で、複合的な視点から、肥大するエゴと家族との関係について描かれていて、傑作だと思います。お勧めです。

■映画
81 俺はまだ本気出してないだけ/監督 福田 雄一
82 アジャストメント/監督 ジョージ・ノルフィ
83 コードネーム U.N.C.L.E./監督 ガイ・リッチー

81 原作が思わぬ展開をみせる感動作だったので映画版も観ました。原作とイメージが全然異なりますが、堤真一さんが主人公のダメ中年を熱演されていますし、演出もコミカルでかつツボを押さえた内容で楽しめました。ただ、原作の一番のクライマックス(主人公の娘が留学先から帰ってくるところ)にまで、話が及んでいないところが少し残念でした。この作品の本当の主人公は、主人公の娘だと勝手に思っているので、橋本愛さんはこの役を淡々と巧みに演じてられているものの、脚本上その過去や感情の掘り下げが十分になされていないところが物足りませんでした。生瀬勝久さんが、主人公の友人役を普通に演じられている点は新鮮でした。

82 「ブレードランナー」、「トータル・リコール」、「マイノリティ・リポート」といった作品の原作者であるフィリップ・K・ディックの短編小説の映画化だそうです。短編だけあって、先述の名作ほどの世界観の広がりはないですが、面白かったです。「よりよい世界にするために、そのキーとなる人の運命を操作する」という設定の説明が、若干まどろっこしいので、好みは分かれると思いますが、個人的にはこういう独特の世界観を持ったSFは嫌いではないので、楽しめました。主人公は、ベン・アフレックの方がイメージに近いですが(酔って局部を露出したため選挙に敗れるのですが、いかにもそのようなことをしそうです)、マット・デイモンも育ちは粗野ながらも、志は高い政治家を好演しています。

83 1960年代にアメリカで放映されたテレビドラマのリメイクだそうです。冷戦時代の米ソ対立を背景としたスパイものという設定が、ノスタルジックな世界観を醸し出しています。ガイ・リッチー監督らしい、センスの塊のような映像とカット割りが、この世界観に絶妙にマッチしています。ヒュー・グラント以外、あまり知っている俳優はいなかったのですが(観終わってから、主人公が「マン・オブ・スティール」のスーパーマンの人だと気づきました)、どの役者さんも忠実に個性的なキャラクターを演じていて、かえって余計な情報がなくてよかったです。特にヒロイン役の女優さんが魅力的でした。悪役のキャラクターも立っていて、まるで漫画を読んでいるかのうようなわかりやすさの、気楽に楽しめる良質のエンターテイメント作品です。
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