本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

オラクル・ナイト

2010-10-24 10:18:40 | Weblog
■本
84 街場の現代思想/内田 樹
85 オラクル・ナイト/ポール・オースター

84 楽しく読めました。学生時代に挑戦して失敗した、ピエール・ブルデューの「文化資本」の考え方について、わかりやすく説明されている部分があり、とても懐かしく感じました。最後の方は若者に対しての人生相談に回答する、という内容になってますが、ベタな質問に対して、独自の切り口から回答されていて、筆者の頭のよさを見せつけられます。

85 小説内小説が巧みに用いられていて、普通に読み物として面白い作品です。一気に読みました。主人公の小説家が考案する小説や映画のプロットが、失敗作とされながらもどれも魅力的で、ポール・オースターのストーリーテラーとしての能力を十分に堪能できます。登場人物がいろんなものを失っていき、その中で残ったものの大切さを見つめなおすという、「引き算」の内容と、最後の数ページで一気に加速し、つんのめるような感じでストーリーが終わる構成は相変わらずで、読み終わった瞬間、ポーンと放り出されたような感覚になりました。


■CD
42 Come Around Sundown/kings of leon
43 People's Instinctive Travels and the Pat/A Tribe Called Quest

42 前作で大ブレイクを果たしたkings of leonの新作。一聴するとブレイク後の作品の典型という印象がしました。原点回帰で地味な内容ですが、確固たる自信が漲っていて落ち着いています。何かを成し遂げた人だけが持つ、器のでかさというか、迫力があります。その一方で、前作に貫かれていたひりひりするような切迫感はないような気がして、このあたりは賛否が分かれそうなです。前作のように新たなファンを大幅に獲得するということはなさそうですが、既存ファンを十分に魅了し、末永いお付き合いに誘う感じの作品と言えるかもしれません。聴き込み系の味わい深い作品であることは間違いありません。

43 最近はまっているA Tribe Called Questのファースト。センスのよいいい作品ですが、名作とされる2、3作目と比べると少し弱いという印象は否めません。こちらも聴きこんでみます。
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夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

2010-10-18 05:44:38 | Weblog
■本
82 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上 春樹
83 疲れすぎて眠れぬ夜のために/内田 樹

82 村上春樹さんのインタビュー集。雑誌「考える人」2010年夏号「村上春樹ロングインタビュー」と合わせて一気読みしました。河合隼雄さんとの対談集「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」でも繰り返し語られていた、「無意識のレベルまで降りていってものがたりを汲み上げていく」創作方法とその危険性について、さらに踏み込んで語られていて興味深いです。ご本人は普通とおっしゃっていますが、小説を書く面では間違いなく村上春樹さんは「選ばれた人」であるということに改めて気づかされる本です。日本にいるとよくわからなかったのですが、想像以上に海外でも人気があることがよくわかりました。

83 最近、内田樹さんの本にはまっています。視点のユニークさと論理展開の明解さで読んでいて少し賢くなった気がするところがよいです。語り口が面白く、単純に読んでいて楽しいですし。内田さんの他の本で語られている内容とかぶるところも多いですが、自分自身のことから家族、日本社会のこともで、いろいろと考えさせられます。就職活動や仕事に疲れた方に、特に1,2章は是非読んでみて欲しいです。単に心が楽になるだけでなく、いろんな行動指針が得られるかもしれません。

■CD
円高を前向きに捉えるために輸入版CDを衝動買いです。

38 Wake Up/John Legend, Roots
39 Suburbs/Arcade Fire
40 Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust/Sigur Ros
41 Write About Love/Belle & Sebastian

38 渋い、格好いい。John Legendは大好きなアーチストですが、Rootsと組んだカバー集の本作も外れなし。アイデア優先の楽曲が多い昨今、久しぶりに技巧の高さを堪能できる作品です。

39 ファースト、セカンドにあった狂気さや神経症的な緊迫感が気迫になって、普通のアーチストになった感じがします。まだ、聴きこんでませんがちょっと物足りないかも。

40 Napsterで聴いたときから大好きだったので、CDでも買いました。39の作品とは異なり、作品を出すたびに底知れない不気味さが増してきます。本作はこれまでの内省的な作風と異なり、外に広がっていく高揚感も漂っていて、聴くたびに心に何か引っかかるものが残ります。

41 40のSigur Rosと同じく、静寂の中に漂う奇妙さが魅力のBelle & Sebastianですが、本作は、よく言えば円熟味のある落ち着いてわかりやすい作品、悪く言えば、底の浅い作品といった印象です。好みの問題かもしれませんが、僕は初期の作品の方が好きです。
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ばかもの

2010-10-09 06:57:18 | Weblog
■本
79 インターネットが死ぬ日/ジョナサン・ジットレイン
80 ばかもの/絲山 秋子
81 浮世でランチ/山崎 ナオコーラ

79 何度か中断しながら1年くらいかけてやっと読み終わりました。インターネットが持つ不完全さによる、自由に生み出す力と、ウイルスやハッキングなどのさまざまな危険に対する対処策をいかにバランスさせるか、ということについて書かれた本です。リスクばかり強調されると国家による規制や、特定メーカーが提供する自由度のないハードやサービスとなり、これまで、インターネットが発展してきた、利用者の創意工夫の余地がなくなるが、このままリスクを放置してもいずれは、インターネットが死に至る危険性がある、というのが主な趣旨です。ソリューションの一つとして、ウィキペディアのような集合知、集団管理体制が提示されています。インターネットを快適に利用するには技術だけでなく、制度面も整備が必要、という当たり前だけどなかなか気づかない事実について考えさせられる本です。でも、こんなに長くなくても良いかも。

80 毎回書いてますが、絲山秋子さんの作品は大好きです。今回も数時間で一気に読みました。成功とか幸せが人生の意味ではないということに気づかされる作品です。あえて細かく描写していないのだと思いますが、主人公がアル中になったり、その友人が宗教にはまった理由がイマイチ弱いところが少し物足りなく感じました。映画化もあってか純愛小説として紹介されていることが多いのもちょっと違う気がします。とはいえ、小説を読む楽しみを十分に味あわせてくれる作品です

81 山崎 ナオコーラさんのたぶん2作目の長編小説。話題になった「人のセックスを笑うな」よりこちらの方が好きです。作者もこちらの方が自由に書きたいことが書けたような気がします。他人とのコミュニケーション上で距離感を掴むのが苦手な人は共感できるのではないでしょうか?僕は十分共感しました。「生きにくさ」を抱えながらなんとかやっていこうとしている人のための作品のような気がします。

■CD
37 Lonely Avenue/Ben Folds and Nick Hornby

 最近ひねった曲が多かったBen Foldsですが、本作は「High Fidelity」で有名な作家のNick Hornbyとの共同作業ということもあってか、ポップど真ん中の作品です。Ben Folds Fiveのファーストアルバムのときにあった溌剌さや勢いがあってかなり好きです。やはり良いメロディを書ける人は強いです。
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街場のメディア論

2010-10-02 06:10:58 | Weblog
残り3ヶ月で22冊、年間100冊いけそうかな。

■本
77 非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパークⅧ/石田 衣良
78 街場のメディア論/内田 樹

77 マンガみたいに楽に読めて普通に楽しい。登場人物のキャラ設定が本当に巧みなので、引きこまれます。社会的弱者をテーマにしながらも、主人公の周りの人間は一応のハッピーエンドをむかえるところも、かすかな希望が持てて好きです。経済的に成功して方向を見誤った父と、地道に社会問題に取り組む優秀な子どもが対立するという話が2つ続いたのはいただけませんが。

78 とてもよい本。この数年書かれたメディアに関する本の中では1番ではないでしょうか? マスメディアの不調はインターネットの普及によるもの、というこれまでの単純な構造把握からはるかに超えて、マスメディアが発信する情報の質や志の低下が原因である(個人として、自分の考えを伝えたいと腹をくくって情報を発信している、一部の優秀なブロガーが発信する情報の方が質が高い)と指摘されています。筆者がまえがきで述べている、「メディアについて批判的に語るということは、何よりもまず、現にメディアを通じて定型化・常套句化しているメディア批判の言説から一歩離れて、軽々にそれを繰り返さないということ」に成功していると思います。冒頭のキャリア論もとても腹に落ち、実用書としても役に立ちます。最後には、構造主義的な視点からメディアを分析していて、知的好奇心も満たされます。楽しい読書体験でした。


■CD
36 Hands All Over/maroon 5

 ファーストアルバムを聴いたとき時ほどの衝撃はないにしても、よくできた作品だと思います。スケールの大きい楽曲も増え、貫禄も感じられます。ロック、ダンス、R&Bなどいろんな要素が混ざりながら、ポップさを維持しているところがこのバンドの一番のすごさだと思います。マニアックさに逃げない、売れ線真っ向勝負の作品。この実直さがこの時代に受け容れられるかは微妙ですが。
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