本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

orbital period

2007-12-31 07:29:03 | Weblog
■本
96 春、バーニーズで/吉田 修一

 吉田さんのスタイリッシュな面が強調された作品。僕としては九州地方を舞台にした地方の鬱屈さを描いた吉田作品の方が好きなので、本作はウエルメイドな作者の技法ばかりに意識が集中して、それほど作品世界に没頭はできませんでした。ただ、吉田さんは今最も実力のある小説家の一人だと思いますので、読んで損はない作品です。


■CD
44 orbital period/BUMP OF CHICKEN
 
 ジャケットのイメージ通り、クールの静謐さに溢れる傑作です。各楽曲のクオリティはかなり高い。ただのBGMに終わらないひっかかりと力強さを各曲とも持っています。ただ、完成度は極めて高いのですが、くるりのような新機軸に対する挑戦があまり見られないので、今後このバンドはどこに向かっていくのだろうという不安も少しあります。そう思わせるほど、ある種の高みに到達した作品。

・An End Has a Start/Editors

 今年最後にはまった作品。クロスビートの今年のベストアルバムでの評価が高かったのでNapsterで最近毎日聴いています。骨太でスケールの大きいロックアルバムです。なんかいろいろと考えさせられます。


■映画
41 アイ・アム・レジェンド/監督 フランシス・ローレンス

 一言で言えばゾンビ映画なんですけど、叙情的に押さえた演出で好感が持てました。ウィル・スミスも好演していますし、特撮も効果的です。観て損はないとは思いますが、予想通りの展開の映画ですので、お忙しい方は無理に観に行くこともない、っといった感じです。

今年の総括

 本は月6冊ペースの目標を上回り月8冊ペースでした。来年は年間100冊を目標にしたいと思いますが、質(新書よりも内容の濃い単行本を増やすなど)も上げて行きたいです。
 CDはNapster効果で購入枚数は減りました。ただ、ipodやPCでしか音楽を聴かないという弊害も出てきました。
 映画は思ったより劇場で観れたのでよかったです。逆に家ではテレビを子供達に占拠されているので、ゆっくり映画鑑賞する機会は減っています。来年も月1本くらいは劇場で映画を観たいです。

 ではよいお年をお迎え下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

袋小路の男

2007-12-23 06:18:04 | Weblog
■本
94 電子マネー最終戦争/岩田 昭男
95 袋小路の男/絲山 秋子

94 電子マネーについて勉強する必要に迫られて読みました。あまりロジカルでなくなぜそういう結論になるのかすっとんでいるところも多々ありますが、この業界について、網羅的にまとめられた本はあまりないので、全体像をつかむにはい本です。最後の3章は同じことの繰り返しなので、流して読むのもいいかもしれません。

95 絲山秋子さんの短編小説3編が収録されています。「袋小路の男」、「小田切孝の言い分」は同じ登場人物を違う視点から描いています。恋愛小説といえばそうなのでしょうが、二人の関係は進展もせず、終焉にも向かいません。淡々と生殺し状態が続くのですが、それでもささやかな幸福感を漂わせるシーンで両方とも終わるところに、筆者の凄みを感じます。「アーリオ オーリオ」は、人付き合いの苦手な主人公の姪との交流を描くさらに地味な題材の話。絲山さんはすごく人付き合いが上手そうなイメージを持っているのですが、本作の主人公のような他人との距離感がうまくつかめない人物の描き方がすごく上手だと思います。こちらも、希望や絶望のどちらか極端な方向にふれることなく、たんたんと生きることの困難さやささやかな喜びが巧みに描かれています。クールなようでいて、ほんわかとあたたかい絲山作品に独特の読後感が残ります

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本人よ!

2007-12-16 17:50:49 | Weblog
■本
92 電話代、払いすぎていませんか? /木暮 祐一
93 日本人よ!/イビチャ・オシム

92 統計データや海外の携帯市場に関する情報が豊富で参考になります。基本的な考え方は、成熟市場となった携帯電話は通信業者独自仕様の技術条件、サービスをやめて、オープン化によるサービス競争に入るべきだ、というものです。なぜ、各通信事業者が端末購入価格を上げて、通信料金を下げているのか、などの背景もよくわかります。

93 サッカー論だけでなく、日本人論、リーダーシップ論としても非常に優れています。最近読んだ本の中ではピカ一の内容です。歴史的、地理的背景からの日本人分析や戦争を経験したユーゴスラビア人独自の視点からのジャーナリストへの要望など、非常に深い考察に裏付けられています。何よりもサッカーへの愛情と代表監督という自分の仕事に対する誇りが感じられます。いい人に代表監督を引き受けてもらっていたなあ、という思いとW杯まで続投して欲しかったなあ、という思いが交錯します。オシムさんの一日でも早い回復をお祈りいたします。

■CD
42 少年ヤング/電気グルーヴ
43 おはよう/曽我部恵一ランデヴーバンド

42 映画の主題歌ということもあり、あえてその時代背景にあったチープな音にしたのでしょうが、いつもの先鋭性がなく、長い間待った割りには期待はずれです。卓球さんの声がたっぷり聴けただけでよしとしましょうか。アルバムに期待です。

43 今年はリリースラッシュの曽我部さん。ついていくのが大変ですが、バンド名義の今作もかなりよいです。1曲目の「女たち」からやられます。こんなに直接的な歌詞をテレもなく歌えるところが今の曽我部さんの凄みです。テンションは低めですが、リラックスした演奏を背景にしみじみ曲を聴かせてくれます。最近寝る前には必ず数曲聴いています。チープな表現ですが、「大人向けのJPOP」って感じの作品です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネット未来地図

2007-12-09 06:42:01 | Weblog
■本

知らぬ間に目標は到達していましたね。
年100冊はちょっと厳しそうですが。

90 ネット未来地図/佐々木俊尚
91 モバゲータウンがすごい理由/石野 純也

90 副題の「ポスト・グーグル時代 20の論点」のとおり、コンパクトにgoogle出現後のネット周りの論点を整理してくれているので、非常に有益です。短時間で、この分野を勉強したい人には強くお勧めします。ネットでの行動履歴の捕捉から、携帯、GPSや電子マネーといった技術を用いて、リアル世界の行動の履歴まで蓄積されつつあり、まさにこの分野が「ポスト・グーグル時代」の主戦場であることがよくわかります。文系の僕は、技術だけでなくプライバシーや人の心理的な抵抗も考慮しないとこの種のビジネスはうまくいかないと思っていますが、意外と技術がそれらを超越して、当たり前のように、リアル世界でもレコメンド広告が提供されたりするのかもしれません。

91 90を読んでやはり時代の流れ上携帯のことも勉強しないと、ということで読んだ本です。携帯勝手サイトの勝ち組「モバゲー・タウン」をひたすら絶賛し続けていて、勝ち馬に乗っているような感じもする本ですが、統計資料や丁寧な取材に基づく内容で、参考になります。PCでのネットと携帯でアクセスするネットとは別ものとして考える必要があることがよくわかりました。ビジネスツールとしてのPCインターネット環境が廃れることはないとは思いますが、コミュニケーションや娯楽としてのツールとしては、携帯インターネットの方が主流(すでに中高生ではそう)になっていくのかもしれません。


■映画
40 ダーウィン・アワード/監督フィン・タイラー

 最も愚かな死に方をした人に授けられる「ダーウィン・アワード」を題材にした映画。その賞に注目した脚本がよくコンパクトにまとまっていて楽しめました。ジョセフ・ファインズもいい味出しているし、ウィノナ・ライダーはやはりきれいです。メタリカも格好いいし、いろんな小ネタ満載です。人間は所詮お馬鹿な存在だという監督の目線の低さとそれにもかかわらずある種の敬意が感じられるところがいいです。あと、一応サスペンス的要素もあるので、ただのコメディ映画とは違うオリジナリティもあります。いい意味でも悪い意味でも薄味な作品で、映画というよりもテレビの連続ドラマでもっといろんなエピソードを見たいと思いました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボーン・スプレマシー

2007-12-01 08:02:58 | Weblog
■本
89 ウェブ時代をゆく/梅田 望夫

 就職難により閉塞感を感じていた、20代中後半から30代前半の人に是非読んで欲しい本です。これからはより生き抜くには厳しい社会になるという的確な現状認識を持ちながらも、それでも、ネットの普及により自分の好きなことを追求して生きていける可能性が拡大しているという希望を示してくれます。ネットにより個人の知識や実力を世界に向けて発信し、議論・評価できる仕組みが整ったので、自分の好きなことを追求していけば身の丈にあったレベルで生活していくことができる、そのような新しい働き方、生き方も選択肢として考慮すべき、というのがこの本の趣旨だと思います。「好きなこと」を見つけるためにはどのように考え、行動すればよいかという、具体的なノウハウも盛り込まれていて、ただのお題目に終わっていないところもいいです。ただ、知的レベルとしてはかなり高い層を対象に書かれている気がしますので、新卒時に就職先が見つからず、日々バイトで生活をなんとか送っている人たちに、この梅田さんのメッセージがどの程度届くかについては注目したいと思います。彼らが求めているのは、希望のメッセージではなくて、彼らを不当に搾取しているこの社会制度を破壊する方法なのかもしれません。いずれにしても、ネットにはこれらの体制を破壊する絶大なパワーがあり、そのようなメッセージもこの本にはたくさん含まれているので、是非読み取って、希望ではなく、破壊が動機でも、現状から抜け出す行動をとって欲しいと思います。

■CD
40 Mothership/Led Zeppelin
41 Hvarf/Heim/Sigur Ros

40 セカンドしか持っていなかったので、amazonで輸入版が安かったので購入しました。デジタルリマスターという触れ込みに騙されているだけかもしれませんが音がいい気がします。意外とポップな曲が多いのが新鮮でした。Immigrant Song の「アアア~ア」ってところはテンションがあがります。ただ、なんとなくアルバム単位で聴くべきアーチストって気はします。

41 今一番オリジナリティのあるサウンドを聴かせるバンドかもしれません。今回も静寂の中に深く染み入る詩を歌ってくれています。既存曲のアレンジも含まれているのですが、少し親しみやすくなっている気がします。孤高の存在から、少し世間に歩み寄った感じもしますが、過去の作品と比べて遜色のないクオリティです。アルバム全体の統一感はない気もしますが、僕は好きです。これから寒くなる夜に、ウイスキーでも飲みながら浸るには最適な作品です。

■映画
39 ボーン・スプレマシー/監督 ポール・グリーングラス

 このシリーズは21世紀に入ってからのアクション映画では最高傑作だと思います。スピーディーな展開、くどすぎないアクション、難解過ぎないストーリー、それでいて知的な設定、全てのバランスがとにかくいいです。予告編を見れば内容がおおよそわかるアクション映画が多い中(というか、見せ場は予告編のところしかない)、際立って派手な見せ場はないものの、逆に全編が見せ場と言わんばかりに世界の各地を舞台に完成度の高い映像を見せてくれます。マット・デイモンもなぜか格好よく見えます。おもしろい映画を観たなあという満足度の高い作品です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする