本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

ダークナイト ライジング

2012-07-29 10:07:47 | Weblog
■本
76 はじめたばかりの浄土真宗/内田 樹、 釈 徹宗
77 「社会を変える」を仕事にする/駒崎 弘樹
78 生きる悪知恵/西原 理恵子

76 「いきなりはじめる仏教入門」の続編です。「歎異抄」の解説が秀逸で読んでみたくなりました。親鸞ってかなり毒のあるぶっ飛んだ人なんですね。人を救うには、正論だけではなく時には毒を含んだ変化球の表現の方が、人の魂に入っていけるのかもしれません。内田さんの本を読むといつも思うのですが、自分の思考や常識と考えているものの癖や偏りについては、自覚的でありたいと思います。

77 「病児保育」(病気の子どもは普通の保育所では預かってくれないので、そのために仕事を休まざるを得ない方々を支援し、さらには子どものために仕事を辞めたり、就職できない人を支援する活動)という社会問題を解決するNPO法人フローレンス代表理事である駒崎さんの本です。「社会起業家」というのはどういう人たちで、また、どのような活動をしているかがよくわかります。駒崎さんご自身の体験やお考えが、すごく具体的に書かれているので、これからNPO法人を立ち上げたり、関わって行きたいという人にはとても有益だと思います。また、NPOに関わらず、自分が社会に対して何か働きかけたい(それは会社の業務を通じてもできるでしょうし、家族との関わりかたを変えるだけでも可能だと僕は思っています)と考えている人にとっても役に立つと思います。読み物としても面白く、高い知性と志に支えられた魅力的な本です。特に若い人にお勧めの本です。

78 西原理恵子さんが回答する人生相談集です。いつも通りの西原さん節です。基本的なメッセージは、「多少の嘘はついてでも、したたかに自分で自分を守れる強さを持って生きていくべし」というものと、特に女性に対しての「男に寄りかからず生きていけるために職に就くべし」というものです。新書なのでイラストは少な目で、西原さんのイラストが楽しみな方には物足りないかもしれませんが、簡単に読めて楽しめます。


■CD
54 Flaming Lips & Heady Fwends/Flaming Lips
55 Overexposed/Maroon 5

54 フレーミング・リップスの他のアーチストとのコラボレーション集です。Bon IverやErykah Baduさらにはオノ・ヨーコといった癖のある人とのコラボですが、それ以上にフレーミング・リップスらしい、アバンギャルドでサイケなエッセンスがタップリです。斬新で驚きに溢れる作品ですが、フレーミング・リップス単独名義作よりも、ポップさに欠けるので若干繰り返し聴くには疲れてます。Ke$haといった超売れ線の人と組んでも、コマーシャルな作品にならない軸のぶれなさがすごいです。

55 こっちはどポップな作品。これまでの作品の中で最もキラキラしたサウンドかもしれません。非常にコマーシャルな作品ですが、不思議と嫌味がないのはこのバンドのセンスの良さだと思います。その軽薄さをけなすのは簡単ですが、「ニーズに合う作品を作り続けよう」という覚悟のようなモノが感じられるのでこのバンドは結構好きです。


■映画
49 ダークナイト ライジング/監督 クリストファー・ノーラン

 あっという間の3時間弱でした。緻密な計算と圧倒的な映像の力技で作品世界に引き込まれました。クリストファー・ノーラン監督は右脳と左脳のバランスが素晴らしいです。ストーリー的にもどんでん返しがあって驚かされます(結末はいい意味で予想通りでしたが)。主人公のバットマンの見せ場も当然ありますが、基本的は群像劇的要素が強く、強いていえば、監督が主役の映画だと思います。衆愚政治といった今の日本にも通じる強いメッセージ性もありますし。前作「ダークナイト」は大ヒットしたので、観た方が多いと思いますが、本作は「ダークナイト」よりも「バッドマン ビギンズ」との関連性が高いので、観られてない方は予習してから行かれた方がよいと思います。アン・ハサウェイのキャット・ウーマンはミスキャストと思っていましたが、セクシーさと誠実さが絶妙にマッチしていてとてもよかったです。マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマンはいつも通りの名演技でしたが、若い警官を演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットの演技も素晴らしかったです。米国では不幸な事件がありましたが、多くの人に見ていただきたい傑作です。
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ブルックリン・フォリーズ

2012-07-21 07:28:17 | Weblog
■本
74 ブルックリン・フォリーズ/ポール オースター
75 オモロマンティック・ボム!/川上 未映子

74 ポール・オースター小説に共通のテーマである「偶然」の人生に与えるインパクトと引き算の美学(いろんなものを失った末に気づく、残った大切なものに高い価値を見出す態度)は健在ですが、これまでになくポジティブでかつコミカルにストーリーが展開します。これまでのオースター作品はどちらかと言えば、読み手に緊張を強いるタイプの作品だと思うのですが、本作はとてもリラックスした雰囲気である点が印象に残ります。ウディ・アレン作品のような、シニカルだけどウイットのある温かみを感じる作品です。全てのオースターファンに受け容れられるとは思いませんし、オースターの最高傑作とは言えないと思いますが、僕は少なくとも読んでいてとても楽しめました。

75 川上未映子さん自身に興味がある方は楽しめると思うのですが、純粋にコラムとして楽しめるか、といえば回によって品質にバラつきがあるような気がします。川上さんがとても哲学的な、ものごとを深く深く考えられる方ということがよくわかって興味深かったです。


■CD
53 Tim/Replacements

 前作、「LET IT BE」に比べると荒々しい印象が残ります。「LET IT BE」よりも本作の方が一般的に評価が高いようですが、僕は「LET IT BE」の方が、楽曲のよさと勢いのバランスが良かった気がします。とはいえ、突き抜けるような疾走感は聴いていて心地よいです。10代に聴いていたら、評価は逆になっていたかもしれません。


■映画
47 キュレムVS聖剣士 ケルディオ/ 監督 湯山邦彦
48 プリンセス・トヨトミ/監督  監督 鈴木雅之

47 同時上映作品「メロエッタのキラキラリサイタル」は僕の大好きなグレッグルやソーナンスといったポケモンが活躍していたので純粋に楽しめました。「キュレムVS聖剣士 ケルディオ」も同時上映がある分、短くコンパクトにバトルシーンに特化して描かれていたので、こちらも飽きずにそれなりに楽しめました。ここ数年のポケモン映画は、人間とポケモンの確執とか、妙に話を複雑にしていたのですが、本作はシンプルにしたことが成功していると思います。

48 大阪が独立国だったという発想はおもしろいと思うのですが、それだけの映画です。メジャー俳優を使って、大PRをしていた割に派手な作品でもないですし、いろんな意味で中途半端感が否めません。発想勝負の原作のよさを活かして、低予算でもぶっ飛んだタッチで映像化していたらもっと面白くなった気がします。
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Valtari

2012-07-15 10:26:59 | Weblog
■本
72 いきなりはじめる仏教入門/内田 樹、 釈 徹宗
73 第四の消費 つながりを生み出す社会へ/三浦 展

72 内田樹さんと釈徹宗さんの仏教を題材とした往復書簡です。仏教を体系だって学べるというよりも、エッセンスをわかりやすく解説してくれる本です。内田樹さんは「因果」や「善」などの仏教的な概念を、お得意のレヴィナス哲学を含む西洋哲学のフィールドに持ち込んで、いつも通り力技でわかりやすく刺激的な解釈を示してくれます。読んでいる途中はとても面白いのですが、不思議と読後にあまり残るものがなく、感想が書きにくいのは、私がこの本を本当に理解していないからだと思います。

73 現代を「第四の消費」とする分類が正しいのかどうかはよくわかりませんが、物質よりも人との「つながり」を重視する、ソーシャル志向やシェア志向への社会の流れの変化をうまくとらえた本だと思います。豊富な定量調査のデータをバックボーンにされているので、説得力も高いです。筆者が主張する「第四の消費」を体現した事例が豊富に例示されている点も参考になります。


■CD
52 Valtari/Sigur Ros

 シガー・ロスにしては珍しく、ハイテンションできらびやかなサウンド主体だった前作「Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust」からうって変わって、ゆったりとしたスケール感溢れる楽曲が続きます。私はモノトーンだが雄大な冬山のパノラマを連想しました。基本的に静かな作品ですが、音圧がすごく、聴いていると身が引き締まります。志がとても高いアーティスティックな作品だと思います。


■映画
45 阪急電車/監督 三宅喜重
46 テルマエ・ロマエ/監督 武内英樹

45 非常にウエルメイドな作品です。完成度は高いが地味な原作を豪華キャストで見事なエンターテインメントに仕上げています。阪急電車というちょうどいい洗練さ加減もうまい具合に働いています。「西武多摩湖線」というタイトルだったら、こんなスタイリッシュでかつ親しみやすい作品にならなかったでしょう。ただ、わかりやすさを優先するためか、登場人物が紋切り型過ぎますね。今どき、あそこまでひどい大阪のおばちゃんはいません。ひどいのは、どちらかといえば、そのおばちゃんを注意した宮本信子さんが演じたおばあちゃんの年代です。中谷美紀さんのオーラも半端ないですね。映画の登場人物としてというよりも女優さん自身のキャラが完全に勝ってます。

46 序盤はとっても面白かったのですが、ローマ人+日本の風呂という1ビッグアイデアだけで、2時間弱の映画を押し切るには少し長すぎたような気がします。正直中盤ダレました。阿部寛さんは、ユーモラスさとシリアスさが絶妙にマッチしたさすがの素晴らしい演技で、上戸彩さんが学芸会のように感じました。上戸彩さんは珍しくサービスショットが多く、熱演だとは思いますが、いかんせん、演技の引き出しがワンパターン過ぎます。登場する裸のおじいさん方がとてもキュートでした。
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どうで死ぬ身の一踊り

2012-07-08 10:15:12 | Weblog
■本
71 どうで死ぬ身の一踊り/西村 賢太

 西村さんの作品の中で、藤澤清造さんへの敬意と同居している女性へのDVの描写が最も生々しいかたちで描かれている作品集です。西村さんの作品を一番最初に読むならこの本がよいと思います。何の見返りも求めない純度の高い敬意と、恋人に対する自分勝手な凄まじいまでの外道ぶりが同居した主人公が、人間の本質を生々しく浮き彫りにしているようで、ついつい引き込まれて読んでしまいます。わかっていても、いくら反省しても、どうしても繰り返してしまう主人公の愚行に、自分の行動を重ね合わせて癒されるという読み方もできます。巻末の解説にもありますが、主人公の外道ぶりにも関わらず、不思議と後味が悪くないのは、この作者がその後手痛いしっぺ返しを受けることと、さらにその後作家として成功することを読者が知っているということもその理由の一つだと思います。


■映画
44 アメイジング・スパイダーマン/監督 マーク・ウェブ

 取り立てた欠点のないとても丁寧に作られた完成度の高い万人受けしそうな作品です。逆にカルト的な熱狂的なファンは獲得しにくいかもしれません。テンポもよいですし、クライマックスの映像も迫力満点。窮地に陥ったスパイダーマンを工事現場のクレーンが支援するシーンなど、アメリカらしいわかりやすい善意も微笑ましいです。若干歳のとった俳優が青臭い高校生の主人公とヒロイン役を演じている点や学園コメディ的なベタな演出は賛否が分かれるかもしれませんが、それほど気になりません。サム・ライミ監督版の一作目を観ていても十分に楽しめますが、スパイダーマンに特に新たな魅力を付加しているわけではないので、そちらを観ていたら改めて見る必要が特にないとも言える作品です。強いて言えば3D映像が新たな魅力なのでしょう。2D版の方を観たのでよくわかりませんが、それほど3Dに適した映像が多いという気もしませんでした。

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小銭をかぞえる

2012-07-01 06:53:44 | Weblog
■本
68 小銭をかぞえる/西村 賢太
69 二度はゆけぬ町の地図/西村 賢太
70 Webマーケティング基礎講座/村上 知紀、渥美 英紀、松田 昭穂、 野口 竜司

68 またまた引き続き西村賢太さんの小説にはまっています。こちらは、作者の分身である主人公が、同棲相手の女性に暴力や身勝手なお金の無心を頼むお話。どこまでも自己中心的な主人公ですが、不思議と嫌悪感よりも共感が勝ってくるのは、衝動に負けて非道な行動をした後の反省や心の変化がとても丁寧に描かれていて、その反省が全く活かされないまま、愚行を繰り返す主人公の救いのなさに、自分の中にも同じ要素がかなり含まれていることを自覚するためだと思います。また、その読者への自省の促し方が若干コミカルで逃げ道(この小説の主人公ほど自分はひどくないし、恵まれてもいることが再確認できますし。この小説の主人公である作者が後に芥川賞を取るくらいの成功を収める事も読者は知っているので)も用意されているので、深みにはまりすぎない、妙な軽さがある点も純粋に読書として楽しめる理由だと思います。

69 こちらは主人公が10代のころの、藤澤清造さんの没後弟子を自称される前のその日暮らしの時代の話が中心です。女性への暴力の描写はないものの、身勝手な家賃の踏み倒しや刹那的な衝動に任せた暴力による留置所生活などが描かれています。バブル時代にこのような青春を送られた人が存在するということに驚きですが、現在はこのような日雇い生活で一日一日を凌ぐ若者が意外と多いのかもしれません。その日暮らしの生活が極端に悲惨でもなく、若干の快適さもあるかのように描かれていますが、それ故にその生活から抜け出すことの難しさも伝わってきます。

70 タイトル通り、Webマーケティングについての基礎を網羅的に学べる良い本です。見開きページの左に文章での説明、右に図解と、統一したレイアウトでわかりやすく解説してくれます。バズワード(例えば、ビッグデータやソーシャルリスニングなど)に踊らされることなく、インターネット技術、WEB制作の基礎、PDCA、リスクマネジメントといった業務上の基盤となる知識が取り上げられていて、地に足がついた実用性に主眼が置かれているところもよいです。参考文献の選び方も適切で、興味のある分野を掘り下げて学べるようにしているところもとても有益だと思います。


■CD
45 Let It Be/Replacements
46 Thinking Out Loud/BONNIE PINK
47 Dictionary Of Soul/Otis Redding
48 Otis Blue/Otis Redding
49 Pain In My Heart/Otis Redding
50 Sings Soul Ballads/Otis Redding
51 The Soul Album/Otis Redding

45 評判がよい作品なのでずっと聴きたいと思っていました。Replacementsは後期の作品しか聴いたことがなかったのですが、後期の作品の渋い円熟味もよいですが、中期の作品である本作は青臭い衝動と見事なソングライティングが絶妙にマッチしています。切々と「満足していない」と歌い上げる「Unsatisfied」というど直球な曲が、特に印象的です。シンプルなロックが好きな方にお勧めです。

46 大ヒット曲「A Perfect Sky」の別バージョンも含まれています。際立つシングル曲がある分、アルバム全体としての統一感は若干欠ける気がしますが、良い曲満載です。リラックスでスタイリッシュな作品が多い、ボニー・ピンクさんにしては、気合の入った作品という印象を受けました。僕はリラックスでスタイリッシュしたボニー・ピンク作品が好きなので、若干取っ付きにくさを感じましたが、それは好みの問題で、作品としてはとても優れたものだと思います。

47~51 「Otis Redding 5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET」という5枚組みがとても安価だったので購入しました。超有名曲「 (Sittin' On) the Dock of the Bay」以外のOtis Reddingの魅力が堪能できます。もう少し泥臭いイメージを勝手に持っていましたが、とても技巧的でスタイリッシュなシンガーだと思いました。と言っても、エモーショナルでないと言う意味では決してないですが、カバー中心の「Otis Blue」を聴いている、自分の武器をとても自覚しているクレバーなアーチストだという印象を持ちました。
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