本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Random Access Memories

2013-05-26 07:02:26 | Weblog
■本
42 ベロシティ思考/アジャズ・アーメッド、ステファン・オランダー
43 ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略/小西 圭介

42 クリエイターとNIKEのデジタル部門の責任者との対談集の体裁をとった、デジタルテクノロジーによる急激な変化の時代に成果を収めるための主にクリエイティブの観点からの原則について語られている本です。7つの原則自体はおっしゃるとおりとは言え、頭に残りにくい抽象的なフレーズなので、あまり有用とは言えませんが、NIKE+やFuelBandの開発背景はとても興味深かったです。基本的にはお二人の自慢話なので、鼻につく表現が多いですが、「まずやってみよう」というポジティブさ溢れる内容にモチベーションが高まる本です。

43 タイトル通り、ソーシャルメディアが普及した環境下での企業のブランド戦略について書かれた本です。理論的な面から実践的な手法まで、細かく丁寧に網羅されているので、教科書的に用いることもできると思います。ただ、教科書的であるが故に、内容がなかなか頭に入ってこない取っ付きにくい文体なのが少し残念です。


■CD
52 Random Access Memories/Daft Punk

 80年代風ディスコテイスト溢れる古くて新しい不思議な感覚の作品です。従来のゴリゴリのエレクトロニック・サウンドを期待していると肩透かしを食らいます。ゆったりとした曲調の曲が多いとても叙情的な作品です。共演者を見れば明解ですが、かなりアメリカ市場を意識した作品になっていると思います。


■映画
37 探偵はBARにいる/監督 橋本一
38 プラチナデータ/監督 大友啓史

37 評判はそう悪くないようですが、個人的にはあまり合いませんでした。ハードボイルドとしても、コメディとしても、謎解きものとしても、どれも中途半端です。主要人物のキャラ設定は個性的だとは思いますが、あまり共感できませんでした。悪役の動機もキャラクターも今ひとつ弱いところが最大の欠点で、その点がこの作品をぼやっとした印象にしている気がします。こんだけ無慈悲に人を殺せるんなら、主人公の探偵なんてイチコロだろうと思いますが。

38 こちらはシナリオがしっかりしているのか、何度もどんでん返しがある重層的な構造で全編を通して楽しめました。「プラチナデータ」という言葉の意味が次々と変っていく巧みな構造で引き込まれます。ただ、2度ある逃走劇のアクションシーンが冗長すぎる点(いくらなんでも警察が無能すぎます)と、「目立たない脇役が超有名俳優である場合その役が犯人」の法則に見事に当てはまり、シナリオとは別のところで、途中で犯人がわかってしまった点が少し残念でした。こういう近未来モノはリアル感を出すのが難しいと思いますが、かなり善戦していると思います。
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Modern Vampires of the City

2013-05-19 06:27:21 | Weblog
■本
40 置かれた場所で咲きなさい/渡辺 和子
41 北緯14度 セネガルでの2ヵ月/絲山 秋子

40 昨年2番目に多く売れた本(1番目は阿川佐和子さんの「聞く力」)ということで読みました。キリスト教の教えをバックボーンに筆者の渡辺さん自身の体験も踏まえた人生訓が、短くわかりやすい文章で綴られていて、読みやすいです。よくある人生訓に陥らないのは、9歳の時に二・二六事件に遭遇し、1mのところで実の父が青年将校に襲撃され、命を落としたのを目のあたりにした、など、渡辺さん自身の壮絶な体験があるということも大きいと思います(その他、鬱病のご経験や骨粗しょう症で身長が14cmも縮んでしまった話なども壮絶です)。

41 タイトル通り芥川賞作家の絲山秋子さんがセネガルで過ごした2ヶ月について書いた紀行文です。滞在当初は同行した編集者への不満やホームシックなど、小説とは違って意外と軟弱な面が垣間見れます。しかし、滞在1ヶ月が過ぎたころから、現地の人と馴染みまくり、決してよいとはいえない治安状況の地域に旅行したり、狂犬病の可能性のある犬をなでまっくったりと、小説の文体そのままのクールで強靭な活動をされるようになります。編集者への不満もそうですが、現地日本人のセネガル人への対応の批判など、特定可能な人への批判をためらわずに、自分の信念を持ってされているところも格好よいです。日本に残してきた恋人に対する手紙や電話内容など、普段はあまり知り得ない、絲山さんのプライベートが垣間見られるところも興味深いです。セネガルの風景や文化というよりも、絲山さんや交流したセネガルの人々の行動や心情といった「人」にとことんまで焦点が当たっている点も絲山さんらしいと思いました。


■CD
50 More Light/Primal Scream
51 Modern Vampires of the City/Vampire Weekend

50 ダンス、ブルース、テクノ、ガレージロック、など作品毎にテーマが変わるPrimal Screamですが、本作はいい意味でごった煮的で、これまでの集大成的作品です。緩急自在の大人の余裕すら感じられます。ギターが鳴りまくる短いたたみかけるような曲と、長尺で聴かせる曲のメリハリも効いています。ラストを飾る「It's Alright, It's Ok」という曲は多幸感タップリで作品全体を聴いた後味も抜群です。最近のPrimal Screamの作品の中で最も完成度が高いと思います。

51 多くのレビューでも書かれていますが、これまでの2作の知的で先鋭的なイメージから、落ち着いたしみじみと楽曲の良さを聴かせるこちらも大人の作品になっています。これまでの作品はアフリカンビートを強調したリズムが印象的でしたが、本作はメロディに重点が移っているような印象も持ちました。じっくり緻密に計算された小コネも満載で、どこかで聴いたような印象が全くない独特のサウンドになっているところが何より素晴らしいです。聴いていると落ち着いた優しい気持ちになれる素敵な作品です。


■映画
36 サラリーマンNEO 劇場版(笑)/監督 吉田照幸

 テレビ版を観てないのですが、生瀬勝久さん、沢村一樹さんの怪演や小池徹平さんの好演で、それなりに楽しめました。基本は困難を乗り越え成功に至るよくあるプロジェクト成功物語のストーリーに乗っかりながらも、清濁併せ呑むサラリーマンの強かさなどにも焦点が当てられていて、脚本も捻りが効いていたと思います。ただ、テレビ版を観ていないから余計に感じるのですが、楽屋落ちのネタが多すぎて、映画特有の広がりというかスケール感が感じられず、テレビの拡大版的印象しか残らない点が少し残念でした。
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なめらかな社会とその敵

2013-05-12 08:15:12 | Weblog
■本
38 経営センスの論理/楠木 建
39 なめらかな社会とその敵/鈴木 健

38 「ストーリーとしての競争戦略」の著者によるコラム風読み物。かなり砕けた文体で読みやすいです。「ストーリーとしての競争戦略」で主張されている論理の裏話的な話やその本で語られていない新たな視点(「専業」の国、日本などはわかりやすく説得力のある論理だと思いました)なども提示されていて興味深いです。楠木さん自身の話(バンド活動をしている、など)もされていて、楠木さん自身に関心のある方にも楽しめると思います。ただ、やはり楠木さんの論理の真骨頂は「ストーリーとしての競争戦略」にほぼ書かれていると思いますので、まずはそちらの方を読まれることをお勧めします。

39 ネット系の有識者のいろんな書評で話題になっていた本なので読みました。現在の民主主義や資本主義のその後を考える志の高い野心的な本です。基本的には、ITの発達による情報処理能力の高度化を背景に、ソーシャルネットワークとアルゴリズムの力(googleのページランクのようなもの)を借りて、貨幣や投票の重み付けを随時変化させ、責任を分散させることにより、利害関係や責任関係をあいまいにした「なめらかな社会」を実現させ、現在行き詰っているいるさまざまな社会制度のブレイクスルーへとつなげるのが趣旨と理解しました。複雑なものを人間の認知能力の限界を理由に単純化せず、テクノロジーの力を借りてでも複雑なままとらえようという考え方が全編を貫いています。また、数年数十年ではなく、数百年単位での変革を意図されているその射程の長さにも驚愕します。「伝播投資貨幣」や「伝播委任投票」という概念については、単なる机上の空論ではなくて、具体的な数学的モデルに落とし込んでいるところがミソだそうですが、残念ながらこれらの数式は全く理解できませんでした。数式が理解できなくてもとても刺激的な本です。でも、こういう本が物理学をバックボーンとする方から出てくるということは、社会科学って学問はもはや不要なのかもしれません。もっとも、そういう考え方自体が「なめらかな社会」という考え方に反しているのでしょうが。


■CD
49 10 Great Songs/Duran Duran

 中学生時代にラジオやMTVで頻繁に流れていた聞き覚えのある曲ばかりで懐かしく楽しめました。基本的にキラキラとしたポップソングばかりの中、若干趣の異なるアジアフレーバー漂う「save a prayer」という曲の存在感が際立ち、このバンドの底力を感じます。


■映画
34 リアル・スティール/監督 ショーン・レヴィ
35 スケアクロウ/監督 ジェリー・シャッツバーグ

34 あまり期待してなかったのですが、キャラ設定やストーリー展開が、エンターテイメントに徹していて、とてもよくできた作品で楽しめました。基本的には「ロッキー」と同じ構造の、圧倒的に不利な境遇にあるトラウマを抱えた主人公が、さまざまな挫折や困難を乗り越え、家族や友人の助けを借り、圧倒的チャンピョンを追い詰める、というベタな話なので、批評家ウケはしないかったかもしれませんが、僕は評価します。古典的な内容の話に、ロボット技術やCGといった最新技術を見事に融合させた手腕は見事だと思います。

35 「俺たちに明日はない」や「明日に向って撃て!」といったいわゆる「アメリカン・ニューシネマ」の主要作品です。「アメリカン・ニューシネマ」の代表的な作品は大学生時代にほとんど観たのですが、なぜかこの作品だけ抜け落ちていたので、観てみました。ロード・ムービー好きの僕としてはかなりのツボでした。「真夜中のカーボーイ」と同じく、ささやかな夢を実現しようと、もがき旅する主要人物が、その不器用さが故に、無残にも打ちのめされる様子を描いた作品ですが、この作品は、性格や年齢が全く異なる男同士の友情を描いているので、かなり暗いエンディングではあるものの、後味は不思議と悪くありません。ジーン・ハックマンの無骨で傍若無人な演技とアル・パチーノの繊細ながらも心優しいコミカルな演技が素晴らしいです。
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わかりあえないことから

2013-05-04 06:48:14 | Weblog
■本
34 わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か/平田 オリザ
35 マンガの教養 読んでおきたい常識・必修の名作100/中条省平
36 マンガホニャララ/ブルボン小林
37 夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神/水野敬也

34 「コミュニケーション教育」についての平田オリザさんの考え方をまとめた本です。「わかりあう」ことに重点に置くのではなく、「わかりあえないこと」から出発して、その困難さを理解し、また、その困難さをほんの少しでも克服できたことの喜びから、コミュニケーション教育というものは始めるべき、という趣旨の本と理解しました。いろんな気づきを与えてくれるとてもよい本です。特に、日本語は「対等な関係における褒め言葉」が欠落していて、その部分を「かわいい」が一手に引き受けて補っていることを指摘し、我々の思考やコミュニケーションが、日本語と言う言語の制約をかなり受けていることを示してくれた部分がとても印象に残りました(個人的にも「対等な関係における褒め言葉」にいつも苦労していて、「素敵」と言う言葉で逃げることが多いので)。「対話」から逃げずコミュニケーションの手間をかける場合とあうんの呼吸で済ませる場合の、「冗長率」の操作を少しずつ意識的に行うことからまず始めたいと思います。

35 漫画のリーダーズガイドとしてはわかりやすくてよい本だと思います。この種の本の宿命ですが、読んだことのあるものに関する文章は自分の感想と対比できてとても面白いのですが、読んだことのないものの文章はその内容が深くマニアックであればあるほど、ついていけなくなってしまいます。とわいえ、戦前のものから、2000年代のものまで、幅広く取り上げられていますし、文章も平易なので、興味のあるところから読み進んでいくと楽しめると思います。

36 芥川賞作家、長嶋有さんのコラムニスト用ペンネームによる漫画エッセイです。35と違って漫画自体よりも、筆者がその漫画を見てどのように感じたか(「藤子・F・不二雄さんの漫画は死ではなく、「消滅」を描いている、など その視点がとても個性的です)、の記述が中心の内容ですので、読んだことのない漫画についての文章も非常に面白く読めます。このあたりは筆者の文章力の高さを見せ付けられます。内容は、麻雀漫画を再三取り上げるなど、かなりゆるく、リラックスして楽しめます。巻末付録の「スネオの自慢リスト」もかなり笑えます。

37 ベストセラーの2作目。本作は女性の貧乏神を登場させて、貧乏になる(失敗する)人の特性を語らせ、逆説的な視点で成功のための秘訣を教えてくれます。相変わらず過剰なまでのサービス精神で、ベタなギャクをふんだんに盛り込んでくれているのでグイグイ一気に読み進めることができます。自己啓発本として読むのではなく、単純にエンターテイメントの本として笑いながら読んで、参考になるところだけ、自分の行動を変えていくという、気楽な読み方がこの本の正しい使い方だと思います。


■CD
40 Dirty/Sonic Youth
41 Siren/Roxy Music
42 Greatest Hits 1985-1995/Michael Bolton
43 THE BILLY OCEAN COLLECTION/Billy Ocean
44 Club Classics Volume1/Soul Ⅱ Soul
45 Volume 2-1990: A New Decade/Soul Ⅱ Soul
46 Afterburner/ZZ Top
47 Grand Illusion/Styx
48 Paradise Theatre/Styx

40 ソニック・ユースの攻撃性、前衛性、ポップさ、が絶妙に共存していた時期の作品です。個人的には前作「goo」の「Dirty Boots」のようないわゆるキラーチューンがないので、地味な印象の作品ですが、グランジ全盛期を支えた傑作のひとつだと思います。轟音が鳴り響いています。

41 一聴した感想は名作「Avalon」と比べると、音が薄っぺらく、ブライアン・フェリーのヴォーカルも色気に欠ける気がして、あまりいい印象を持たなかったのですが、繰り返し聴くとなんとも言えない魅力を感じてはまってしまいました。どうしても
「Avalon」と比べてしまうのですが、スケール感や深みという面では到底及ばないものの、小さい箱庭のような中の徹底したこだわりのようなものを感じる、巧みに構成された作品だと思います。ブリティッシュ・ロックがお好きな方にはお勧めです。

42 タイトル通り90年代前後のマイケル・ボルトンの懐かしいヒット曲が網羅されています。ヒットしていた当時は狙いすぎた感じがしてあまり好きではなかったのですが、今聴くと確かに歌唱力が高く、よい曲揃いだと思います。ただ、大ヒットした「When A Man Loves A Woman」のカバーだけは、クド過ぎて今でも好きにはなれません。

43 こちらは、80年代に大ヒットしたアーチストですが、このアルバムには「Caribbean Queen」、「When the Going Gets Tough,the Tough Get Going」など、全盛期のヒット曲が入っておらず、正直買って失敗しました。アメリカでブレイクする前のイギリスでのヒット曲を集めた作品で、ディスコサウンドの影響タップリの曲などが収録されています。

44、45 「Keep On Movin'」で有名なSoul II Soulの1st、2ndがセットで安かったので買いました。結局、「Keep On Movin'」が素晴らしすぎて、この曲を超える作品が作れなかった印象ですが、ソウル、ジャズ、ファンク、ハウスを巧みに融合させたその音楽性は当時の最先端だったと思いますし、今聴いても全く古びていません。

46 これまた、80年代の大ヒット作。冒頭の「Sleeping Bag」の荒々しい格好よさ、「Rough Boy」の泣きのメロディなど印象的なシングルヒットも満載です。こんな、小汚いおっさん3人のバンドがヒット曲を連発するアメリカの懐の深さも当時中学生だった僕には魅力的でした。泥臭さとポップさが絶妙のバランスでイケイケの当時の時代背景と相まって懐かしくも楽しく聴ける作品です。

47、48 こちらは70年代後半から80年代前半にヒットを連発したStyxの作品。日本人にとっては「ドモアリガト、ミスターロボット」という日本語の歌詞が印象的な「Mr. Roboto」や全米No1ヒットバラード「Babe」が収録されている作品の方が有名だと思いますが、個人的には「Come Sail Away」というドラマティックな構成で元気の出るヒット曲が収録されている47と、全体的な完成度の高さからStyxの最高傑作と言われることの多い48の方が好きです。当時は「産業ロック」と洋画通の人からは一段低く見られることがありましたが、楽曲のクオリティとアルバム全体の構成力の高さという面でもっと評価されていいアーティストだと思います。なんといっても聴いていて感情が揺さぶられる楽曲満載なところが素晴らしいです。


■映画
25 チーム・バチスタの栄光/監督 中村義洋
26 ドラゴンボールZ 神と神/監督 細田雅弘
27 劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者/監督 水島精二
28 鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星/監督 村田和也
29 ランゴ/監督 ゴア・ヴァービンスキー
30 ドラえもん のび太と銀河超特急/監督 芝山努
31 リンカーン/監督 スティーヴン・スピルバーグ
32 ツーリスト/監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク

25 あまり期待せず観たのですが意外と面白かったです。サスペンスにもかかわらず、竹内結子さんのコミカルな演技や阿部寛さんの怪演(最近はちょっと演技がくど過ぎる気がしますが、この作品は傍若無人さと変人ぶりのバランスが素晴らしいです)がとてもいい味を出していて、重すぎず軽すぎず、独特のバランスの映画に仕上がっています。謎自体はかなり平凡ですが、それが二段階で明かされることにより、斬新な印象がありますし、やはり引き込まれてしまいました。

26 悟空に孫ができていたり、悟飯に若干酒乱の気があったり、べジータがビンゴの司会(これは破壊神の怒りをそらすために仕方がなかったのですが)をするなど、キャラがかなり乱れている印象もありますが、原作者の鳥山明さん監修だけあって、戦闘シーンの迫力とスピード感は最高でした(一緒に観にいった小三次男も大興奮でした)。ストーリーはあまり気にせず、主要キャラを懐かしみつつ、戦闘シーンに浸ると言うのが正しい観方だと思います。

27 鋼の錬金術師の映画版。原作と設定を変えたパラレルワールド(第二次世界大戦前のドイツ)を舞台にしたもので、その必然性もキャラクターへの愛情も感じられず、かなりひとい作品です。観て損しました。全くお勧めできません。観客に全く開かれておらず、自分たちの取材内容を発表したいという思惑だけが感じられ、誰向けの作品かと疑問を感じます。

28 原作が素晴らしすぎるのでそれと比べると完成度としてはそれほど高くないのですが、その世界観を忠実に反映した上でのオリジナル・ストーリーなので、27と比べると大傑作に思えてしまいます。映画版としてのオリジナリティを出したいのはわかりますが、それを適度に抑制しつつ、きちんと独自のストーリーで作品として成立させているので、こちらは作り手の良心を感じられ好感が持てます。

29 CGは素晴らしいのですが、カメレオンがグロテスクすぎて、キャラとしてはあまり魅力を感じませんでした。ストーリー的にも、よくある「嘘から出た誠」的な話で、目新しくありません。西部劇へのオマージュたっぷりのキャラ設定や背景は楽しかったです。

30 ドラえもんの映画版。ヒミツ道具に頼らず、のび太やジャイアンがそれぞれの特徴を活かした活躍ぶりが観ていて楽しいです。映画版ドラえもんにありがちなご都合主義的なストーリー展開がなく、映画版ドラえもんの数ある作品の中で5本の指に入る傑作だと思います。スネオの見せ場はほとんどないので、なけなしの勇気を振り絞る映画版特有のスネオの活躍を観たい方(そんな人がいればの話ですが)には物足りないかもしれません。

31 いろんなレビューにも書かれていますが、意外と地味な作品です。奴隷解放のためのアメリカ合衆国憲法修正第13条成立に向けた議会工作が中心に描かれています。ダニエル・デイ=ルイス演じるリンカーンはやはり圧倒的な存在感ですが、奴隷解放派の強面下院議員を、がんこにかつ若干のコミカルさも交えて演じたトミー・リー・ジョーンズも非常によい演技をしていて感心しました。米国の奴隷解放史をもっとよく理解していればさらに楽しめたのかもしれませんし、そのために冒頭に異例とも思えるスピルバーグ自身による時代背景の説明があったのだと思います。日本人にとってはこの映画の適切な評価は難しい気がします。

32 アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップの2大スターの共演とヴェネチアの街並みの美しさだけで引っ張ったかの映画です。ストーリー的には途中まではそれなりに楽しめたのですが、終盤から結末の流れはがっかりです。もうすこし、ドキドキハラハラの見せ場があってもよかったのではと思いました。
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