本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

マジックディスク

2010-06-27 22:53:07 | Weblog
■本
49 臨床とことば/河合 隼雄 鷲田 清一
50 つまみぐい文学食堂/柴田 元幸

49 臨床心理学者・河合隼雄さんと、臨床哲学者・鷲田清一さんの対談+それぞれの短文が掲載された本です。完全に私個人の好みですが河合隼雄さん単独の本の方が読みやすく、すっと頭に入ってくる感じがします。この本は、理解するのにかなり苦労しながら読んだ割には内容が頭に残っておらず、時間を置いて再読せねば、と思っています。

50 海外文学作品の食べ物に関する描写を題材に柴田さんが語るエッセイ集。ポール・オースターやトルーマン・カポーティといった、過去に作品を読んだことがある私の大好きな作家の文章が引用されている部分は非常に読んでいて楽しいのですが、読んだことのない作家の知らない文章から引用されている部分は一気に関心がなくなってしまいました。柴田さんは大好きな翻訳家ですが、こちらもなかなか読むのに苦労した本で、半年くらいかけて読み終えました。


■CD
26 マジックディスク/ASIAN KUNG-FU GENERATION

 収録されている楽曲がバラエティに富んでいて、これまでのアジカンの良さを活かしつつ、さらに内容が進化した印象の傑作です。楽曲の親しみやすさはそのままに、内容に深みが増し、スケール感が大きくなった感じがします。褒めすぎかもしれませんが、彼らのキャリアにおいて本作は、U2にとっての「The Joshua Tree」やコールドプレイにとっての「 A Rush of Blood to the Head」と同様に、一段階上のSTEPに至る重要な位置づけとなるかもしれません。楽しんで聴いています。
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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

2010-06-20 16:37:59 | Weblog
■本
48 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/岩崎 夏海

 くやしいけどすごくよくできた本です。小説のストーリー自体はひねりのない予定調和なものですが、そのベタさがかえって、ドラッカーの言葉の本質を際立て、読みやすさに貢献しています。抽象的になりがちなビジネス書の格言を、高校野球部のマネジメントという観点からわかりやすく、具体的な事例として紹介しているところが秀逸です。表紙の絵に躊躇せず、手に取ることをお勧めします。途中で断念している「マネジメント」の読了を目指したいと思います。


■CD
25 Further/The Chemical Brothers
26 Night Train/Keane

25 全くの個人的な意見ですが、いい曲と悪い曲の差が激しいと思いました。「SWOON」はすごくよい曲だ思うのですが、冗長な曲が多くて全体を通して聞くとちょっとつらいです。聴きこむとよくなるかもしれませんが。

26 Keaneは地味ながらいい曲を書くので好きなバンドですが、本作は企画もののミニアルバムということもあってか、散漫な印象の残る作品です。試行錯誤を楽しんでいる感じで次のアルバムに向けてのつなぎといった感じでしょうか。
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Shadows

2010-06-13 16:12:46 | Weblog
■本
46 うりずん/吉田 修一 佐内 正史
47 ネット帝国主義と日本の敗北/岸 博幸

46 佐内 正史さんの写真に吉田修一さんが超短編小説を添えるという形式の本です。写真のパートと小説のパートが明確に分かれていて、どの写真を題材にした小説かは明確にはわかりませんが、なんとなくコラボレーション感は出ています。いい意味でも、悪い意味でもひっかかりの少ない写真と小説で気楽に楽しめます。でも吉田さんの文章は、また読んでみたいと思う、心地のよい中毒性があるから不思議です。

47 賛否の分かれる本だと思いますが、「Google万歳」的な論調の多いネットビジネス本とは一線を画し、この分野で幅広い視点を得る上では読むべきよい本だと思います。Google、Amazon、iTuneといったプラットフォームレイヤーを押さえつつある米国企業のサービスを無邪気に使う日本人(私もその一人ですが)に対し、「国益」という観点から警鐘を鳴らす視点は斬新だと思います。また、「武力や経済力」といった「ハードパワー」に対し、人を惹き付ける「文化など」の「ソフトパワー」の強化が今後の日本の進むべき一つの方向性であり、その観点からもプラットフォームレイヤーのサービスを米国に依存する危険性を指摘している点も興味深いです。ただ、その考えの前提である、米国のプラットフォームサービスが、コンテンツレイヤーが本来得られるべき適正利益を搾取し、ジャーナリズムと文化を衰退へと導いている、という考えは必ずしも賛同できない面があります。まず、衰退しているのは文化とジャーナリズムではなく、旧来のマスメディアとコンテンツビジネスであり、この2つは必ずしも文化とジャーナリズムとイコールではないと考えます。プラットフォームレイヤーのサービスの普及により、草の根レベルのジャーナリズムや文化は確実に進化していると個人的には思いますので、もちろんこの種の草の根レベルのジャーナリズムや文化がこれまでのマスメディアとコンテンツビジネスの代替品にいきなり取って代わるとは思いませんが、過渡期の状況としてそこは冷静に見極めるべきだと考えます。とはいえ、ネットビジネスを考える上での「オルタネイティブ」な視点を与えてくれる良書だと思います。

■CD
24 Shadows/Teenage Fanclub

 「円熟味」という言葉がぴったりな落ち着いた雰囲気の心地のよい作品です。「グランジ」一派と見られていたころの荒々しさは皆無ですが、どの曲も本当にメロディがよいです。本作を聴いて、歳を取ることの寂しさと楽しさを感じました。
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おとうと

2010-06-06 22:45:35 | Weblog
■本
45 そうだったのか!現代史パート2/池上 彰

 引き続き「そうだったのか!」シリーズにはまり中。自分の無知ぶりが思い知らされます。今でも世界中の多くの人が紛争で血を流しているということや、人間は権力を持つと基本的には堕落するという発想でシステムを整備しないといけない、という当たり前だけど日本にいるとなかなか気がつかない事実にあらためて気づかされます。


■CD
22 Funeral/Arcade Fire
23 To the Sea/Jack Johnson

22 Napsterで愛聴していたので、サービス終了に伴いCDを購入。いろんな批評家も絶賛していますが、間違いなく21世紀の最初の10年を代表する作品です。このテンションの高さと独自の音楽性にはかなり惹かれてしまいます。何度聴いても飽きません。「オルタナ」って感じの音です。

23 相変わらずのJack Johnson節でリラックスできるのですが、僕にとって本作はちょっと地味過ぎ。平板な印象が残ってしまいます。もっと暑くなるといいのかもしれませんが。


■映画
15 おとうと/監督 山田洋次

 メインキャストの吉永小百合さん、笑福亭鶴瓶さん、蒼井優さんを筆頭に演技派の出演者ばかりですが、個人的には民間ホスピスのスタッフを演じた石田ゆり子さんが一番よかったです。「馬鹿な子ほどかわいい」と単純に割り切れない、「馬鹿でない側」の負い目や愛情が巧みに描かれています。ウエルメイド過ぎて個人的にはど真ん中な作品ではないですが、「死と向かい合う姿勢」や「人間のささやかな尊厳」など、いろんなことを考えさせられて観るべき映画だと思います。
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