本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

ウェブ進化 最終形

2011-05-28 17:18:25 | Weblog
■本
42 ウェブ進化 最終形 「HTML5」が世界を変える/小林 雅一
43 きみの鳥はうたえる/佐藤 泰志

42 HTMLについて、今さら人に聞けない基礎の部分から解説して下さっていて、個人的にとても勉強になりました。基礎的な知識だけでなく、HTML5がネット企業だけでなく家電メーカーや通信キャリアにまで、どのような影響を与えるかについても詳細に解説して下さっているので、今後のこれらの業界動向を考察する上でも非常に参考になります。お勧めの一冊です。ただ、HTML5の普及に伴い、通信キャリアがプラットフォーマー的性格を強めるという筆者の見解には違和感を感じました。テレビ局や出版社といった旧来のコンテンツ・プロバイダーの地位が相対的に落ちてくると言うのはその通りだと思うのですが、その代わりに力を強めるのはやはり、Google、APPLE、ネットフリックスといった現存する、もしくは新たに誕生するプラットフォーマーのような気がします。通信キャリアが顧客DBを持っているといっても、ユーザーがキャリアに期待するものは今後も安定した通信品質以上のものにはならない気がします。

43 引き続き佐藤泰志さんの小説を読んでいます。本作に収録されている2作品ともクールで格好よいです。両作品とも主人公のものごとに対する執着心のなさに憧れすら感じます。ただ、命自体に対する執着をなくさない限り、生きると言うことは結局は厳しく辛いものだと言う絶望感も伝わってきます。「草の響き」は走ることの意味が的確に描写されたランナーにお勧めの作品です。


■CD
35 Friendly Fires/Friendly Fires

 最近出た新作が評判で気になっていたFriendly Fires。youtubeで観た「Paris」がすごくよかったので、まずはデビュー作の方を購入しました。全体的に悪くないのですが、ド派手なダンスチューンの「Paris」の完成度があまりにも高すぎるためか、若干期待外れの印象です。「Paris」ばかりリピートで聴いています。くどいですが、この曲は本当によくできています。


■映画
25 普通じゃない/監督 ダニー・ボイル

 引き続きダニー・ボイル監督作品を観ました。決して長い作品ではないのですが、なんか冗長な感じです。各エピソードはきらりと光るセンスが感じられるものもあるのですが、そのつながりが悪く、盛り上がりそうで盛り上がりません。最後に主人公二人がテーマめいたものを独白するのも興ざめです。若いユアン・マクレガー、キャメロン・ディアスともとても魅力的ですし、ホリー・ハンターの怪演は賛否が分かれそうですが、個人的には大好きです。「ビーチ」もそうですが、俳優陣の演技が悪くないだけに、ハリウッド進出当初のダニー・ボイル監督の迷走ぶりが際立つ作品となっています。


 
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ぼくは落ち着きがない

2011-05-22 06:13:04 | Weblog
■本
40 ぼくは落ち着きがない/長嶋 有
41 先送りできない日本/池上 彰

40 図書部員の女子高生を主人公にした部室小説。名作マンガ「究極超人あ〜る」を読んで文系の部室生活に憧れていた僕にとっては、ツボにはまった作品でした。長嶋 有さんのユルい世界観が大好きなのですが、本作はユルさの中にも、実は激しい感情の動きが丁寧に描かれていて、結構ドキドキしながら読みました。女子高生を主人公にしているのに、恋愛感情がほとんど描かれていないところも斬新で素敵です。登場人物の先生が小説賞を受賞したときの言葉にある「十代を正しく無為に過ごし」っていい言葉だなあ、とちょっと感動しました。

41 東日本大震災を意識して書かれてはいますが、復興に特化した提言というよりも、どちらかと言えば、TPPなどグローバリゼーションへの対応といった、震災以前からある日本の課題に、先送りすることなく取り組むべき、という提言の書です。国債残高900兆円という数字の意味とその切迫度をわかりやすく説明してくれているところは、さすがだと思いました。ますます国に頼れなくなる状況下では、個々人が適切に状況を理解して判断するしかない、という当たり前のことに改めて気づかせてくれる本です。




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移動動物園

2011-05-16 05:39:45 | Weblog
■本
38 移動動物園/佐藤 泰志
39 なぜ宇宙人は地球に来ない?/松尾 貴史、 しりあがり 寿

38 「海炭市叙景」が良かった佐藤泰志さんの作品が、文庫本で何冊か再発されたので読んでいます。デビュー作の「移動動物園」から発表順に中編が3つ収録されていますが、後の作品になるほど人間関係が重層的になり、完成度が上がっています。どの作品もルーティーンワークの閉塞感と尊さが描かれている気がします。仕事は嫌だけど、その枠組みの中でしか得られない何かがあると考えさせられる作品群です。

39 宇宙人や霊的存在など超常現象から数珠や戒名といった生活に密着している宗教的素材まで、ロジカルにかつユーモラスに、その矛盾点を指摘している本です。筆者のそういったものを信じたがる人間に対する理解と、そういった人々を食い物にする霊感商法などに対する怒りが伝わってくるので、嫌味ではありません。松尾さんほど、割り切って判断できる人は少ないと思いますが、騙されないためにはある程度の合理的な知識が必要なことがよくわかります。しりあがり寿さんのイラストも適度に毒が効いていておもしろいです。いい本ですが、少し長すぎます。終盤はネタ切れなのか、ほぼ同じことの繰り返しです。もっとも、これらの超常現象のネタを調べると、ほとんど似たような構成になるので、しかたがない面もありますが。


■CD
34 Station to Station/David Bowie

 評価が高いころの、David Bowieの作品。個人的に声が好きではないのと、僕が洋楽を聴き始めた80年代半ばごろには既に俗物っぽいイメージのアーチストだったので、文句なしの大傑作「ジギー・スターダスト」以外は聴くことがほとんどないのですが、学生のときに先輩がこの作品を絶賛していたのをふと思い出し、購入しました。コンパクトにまとまった、今聴いてもチャレンジングな作風で、聴くたびに発見があります。「ジギー・スターダスト」ほどのスケール感はないですが、ピンクフロイド的に、長い曲と短い曲の組み合わせが練られていて、構成のセンスの良さが感じられます。


■映画
24 ザ・ビーチ/監督 ダニー・ボイル

 公開当初から評判があまりよくなかったので、長い間避けていましたが、大好きなダニー・ボイル監督作品ということと絶頂期のレオナルド・ディカプリオ主演作ということで、実はそんなにひどくないのでは、と思い観ましたが、やはり面白くありませんでした。集団の狂気を丁寧に描いてじわじわとその怖さを提示すべき作品なのに、現地の武装農民など、はっきりとわかる脅威をハリウッド大作的なド派手で大味な描き方をしたのが失敗の主要因だと思います。映画で使われている音楽は素晴らしいです。
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ぼくと1ルピーの神様

2011-05-08 07:17:28 | Weblog
■本
37 ぼくと1ルピーの神様/ヴィカス スワラップ

 映画「スラムドッグ$ミリオネア」の原作小説。「スラムドッグ$ミリオネア」が大好きなのと筆者が外交官という経歴のユニークさに興味を持って読みました。なぜ13問のクイズの答えがわかったか、について語る主人公の人生経験を通じて、インド社会の明暗を描く手法が巧みです。この設定を思いついただけで勝負あり、って感じの名作。ただ、13問も偶然(筆者的には必然?)が重なると少しクド過ぎるので、個人的には映画版の方が完成度が高いと思います。ラブストーリーに思いっきり振っているところも映画版の方が好みです。とはいえ、各エピソードは生々しく引き込まれますし、あちこちに張られた伏線を早く解き明かしたくて、一気に読んでしまいます。読後感がよいにもかかわらず、現在の日本社会と対応させるといろんな引っ掛かりがあり考えさせられる本でもあります。


■CD
32 SONGS FOR JAPAN
33 Helplessness Blues/Fleet Foxes

32 東日本大震災チャリティ・アルバム。世界のTOPアーチストが楽曲を提供してくれています。発売までのスピード感もさすがだと思いました。U2、R.E.M. といったベテランから、LADY GAGAやKATY PERRYといった人気絶頂のアーチスト、さらには BRUNO MARS やADELEといったブレイク中の新鋭まで幅広く収録されるので、単純に現在の音楽動向を知るという意味でも興味深い作品です。

33 タイトルと前作の評判の高さで衝動買いしました。素朴な音と重厚なコーラスが特徴的な古くて新しい作品です。牧歌的な世界観なのに、不思議と毒もたくさん含まれている気がします。あえて似たアーチストを探すと初期のBelle & Sebastianが思い浮かびますが、スケール感はFleet Foxesの方が大きい気がします(それが必ずしもよいかはよくわかりませんが)。聴き手は選びますが、はまる人ははまる作品だと思います。僕も当分聴きこみます。


■映画
18 容疑者Xの献身/監督 西谷弘
19 バニラ・スカイ/監督 キャメロン・クロウ
20 ロスト・イン・トランスレーション/監督 ソフィア・コッポラ
21 ダニー・ザ・ドッグ/監督 ルイ・レテリエ
22 アメリカン・ビューティ/監督 サム・メンデス
23 月に囚われた男/監督 ダンカン・ジョーンズ

GWはサントラが気に入った作品をいくつかみました。

18 公開当時メディア(フジテレビ?)で滅茶苦茶宣伝されていた記憶があるので期待していなかったのですが、思いのほかよかったです。犯行日時をごまかすための邪道なトリックの奇抜さとそのトリックを選ばざるを得ない必然性を生み出すキャラ設定といった原作の秀逸さもさることながら、主人公二人を完全に食った、堤真一さんと松雪泰子さんの好演が痛快でした。

19 これまた期待してなかったのですが楽しめました。近未来的な設定が僕好みなことを割り引いても設定と脚本が良くできていると思います。元ネタとなった映画「オープン・ユア・アイズ」も観てみたいと思います。キャメロン・ディアスの思わぬ怪演も光ります。トム・クルーズは嫌いな俳優ではないのですが、この作品を演じるには演技力の欠如がどうしても露呈します。なんか共感できませんでした。面をかぶっているシーンが一番よかったです。ペネロペ・クルスは「オープン・ユア・アイズ」でも同じ役とのことですが、こちらは僕があまり好きな俳優さんではないので、やはり魅力を感じず、主人公がそこまでこの女性に固執する理由が不明でした。シガー・ロス、R.E.M.、レフトフィールドなどが収録されたサントラは秀逸。欲しいです。

20 マイ・ブラッディ・バレンタインのケヴィン・シールズが関わっていたので、サントラだけは持っていて、ずっと気になっていた作品でした。一言で言うと、異国(日本)で出会った中年男性と若妻の心の葛藤と交流を描く作品、といった感じです。その若妻が僕の大好きなスカーレット・ヨハンソンなので、個人的にも楽しめました。最近はセクシーな演技が目立つスカーレット・ヨハンソンですが、本作では無垢さとセクシーさが絶妙に混ざった演技がよかったです。ビル・マーレイの枯れた感じの少しコミカルな演技もいい感じです。女性監督のためか、くっつきそうでくっつかない微妙な二人の関係も日本人好みです。ただ、日本人にとっては、若干極端な日本社会の描写に違和感を覚えるかもしれません。派手さはないが、じんわりよさが伝わる作品です。

21 こちらも、マッシブ・アタックのサントラだけ持っていたので観ました。アクションとしてもハートウォーミング作品としても少し中途半端な印象です。全体的に散漫ですが、モーガン・フリーマンが出てくる場面はやはり締まります。独特のスタイリッシュさはありますが、それなら「トランスポーター」シリーズの方がお勧めです。

22 1999年度のアカデミー賞作品賞ということでずっと観たいと思っていた作品。娘の友人に恋するイケてない中年男とその家族のドタバタコメディーかと思っていたら、話がどんどんややこしくなって、最後はえらい哲学的なオチになってびっくりしました。ジャンル分けのしにくい映画でユニークな作品という点では評価できるかと思います。中年の危機も日米共通であることもよくわかり興味深いです。しかし、この作品がその年の作品を代表する、アカデミー賞作品賞に値するとはとても思えません。この点は日米の文化の差なのでしょうか。

23 デヴィッド・ボウイの息子さんが監督ということでも話題になった作品。3年契約で月で一人作業する孤独な男の身におこる奇怪な現象、という設定は興味深かったのですが、途中で真相がわかってからは正直退屈で、100分程度の短めの上映時間にもかかわらず冗長に感じました。設定自体は巧みでセンスも感じるのですが、観客の期待を裏切るどんでん返しがあるとか、主人公の記憶を丁寧にたどるとか、もう一ひねりあった方がよかったと思いました。
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PINK

2011-05-01 15:09:04 | Weblog
■本
35 田尻 智 ポケモンを創った男/田尻 智、 宮 昌太朗
36 マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]/P・F. ドラッカー

35 ビジネス本としてもゲームを中心としたサブカル史としてもオタク青年の成功譚としても読める、ポケモン作者の田尻さんのインタビュー集です。ビジネスで成功する上で、好きなことに全てを捧げる情熱、地頭のよさ、人との出会いに恵まれる幸運、そして、とりあえずはじめの一歩を踏み出し何か始めること、が必要なことが改めてわかります。好きなように生きていいと思える、なんか勇気が出てくるよい本です。

36 「もしドラ」が話題になった直後に買って、1年近く寝かしていたものをGWということで一念発起して読みました。読み始めると、書かれていることは示唆に富んでいるものの意外にシンプルですらすらと読めました。マネジメントにとって「「真摯さ」や「成果に焦点を当てる」ことの重要さがよくわかります。今所属している組織に当てはめてみると、突っ込みどころ満載ですが、それを指摘するのみでは「真摯さ」に欠けるのでしょうね。どの本もそうですが、特にこの本は、理解するだけでなく行動を変えてこそ価値があるのだと思います。


■CD
31  PINK/曽我部恵一

 人生の応援歌といった趣の曽我部さんの新作。「なにもかもがうまくいかない日の歌」など直球のメッセージが並びます。特に新機軸とかはありませんが、新作が聴けるということだけで、楽しくてやさしい気持ちになれる、僕にとって稀有なアーチストです。


■映画
17 レッドクリフ Part II/監督 ジョン・ウー

 1作目は趙雲など登場人物の個人技が印象に残りましたが、本作は団体戦といった趣。周瑜、孔明がメインキャストなので仕方がないのかもしれませんが、この二人の聡明さと比べると、トップである曹操、孫権、劉備があまりにも愚鈍でかつ魅力がないように思われて、なんか興ざめでした。「戦争に勝者はいない」というメッセージも取ってつけたような印象で、スペクタルな映像などお金がかかっていることはよくわかりますが、個人的にはあまり楽しめませんでした。
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