■本
57 DREAM WORKPLACE/ロブ ゴーフィー、ガレス ジョーンズ
58 西一番街ブラックバイト 池袋ウエストゲートパークXII/石田 衣良
57 「なぜここで働かなければならないのか?」という問いに答えることのできる、夢のような組織を実現するためのポイントについて、組織行動学の視点から考察された本です。海外のビジネス書にありがちな冗長な構成と同語反復的なチェックリスト(このチェックリストの要素を満たしていたら確かに働きたくなります)、には読んでいてなかなか辛いものがあります。しかし、類似書はシリコンバレーのIT企業の事例が多いのに対し、この本はイギリスの教授が書かれているだけあって、ヨーロッパ諸国の事例が豊富で、特に歴史的ルーツに重きを置いている点は、日本企業にとっても参考になる点があると思います。そこで働く人々の個性を活かしつつ、透明性のあるシンプルなルールに基づき、誠実に各ステークホルダーに意義のある価値を提供できることが目指すべき組織である、という趣旨の本ですが、その実現が困難である点に自覚的である点は好感が持てます。
58 引き続き、買ったままだった「池袋ウエストゲートパーク」シリーズを読んでいます。この作品でも、様式美のような定番のストーリー展開に、その時点でホットな時事問題を絡めるという手法が繰り返し用いられています。本作は、アートによる地域活性化、ユーチューバー、整形中毒、ブラックバイトがトピックスとして取り上げられています。各トピックスが丁寧に取材されていて、この作品のテーマでもある、「ストリートから見た社会の矛盾」が説得力あるかたちで提示されています。一方で、エンターテイメントとしても成立していて、何冊か続けて読むとさすがに少し飽きてきますが、定期的に続けて読んでいきたいシリーズです。
■CD
8 834.194/サカナクション
サカナクションの6年ぶりの新作です。懐かしいようで新しいヒット曲が満載で、聴いていて楽しいです。特に、スローテンポの楽曲に印象的なものが多く、雨空の下で聴くと中毒性があります。老若男女全ての聴き手を満足させることができる、最近では稀有な作品です。収録作がCMでもたくさん使われていますし、今後、国民的アーチストに発展する可能性に満ちた作品だと思います。
■映画
59 麦秋/監督 小津 安二郎
60 祈りの幕が下りる時/監督 福澤 克雄
59 引き続き小津安二郎監督作品を観ています。結婚適齢後期の娘の結婚話を繰り返し撮っているだけなのに、そこに「人生の秘密」を巧みに盛り込んでいる手腕に只々感心します。この作品では、娘の結婚話だけでなく、老夫婦の隠居問題や大家族から核家族化の流れなど、戦後日本の変化も描かれていて興味深いです。同時代をテーマにしているので当然ですが、「三丁目の夕日」シリーズのように過度に美化し過ぎることなく、戦後復興期の日本の良い面も悪い面をそのまま描きつつ、それでも、一種の美しさ、気高さが感じられるところが素晴らしいです。観終わった後に切ない気持ちになるのですが、その一方で、人生に対して肯定的な気分になるのも不思議です。一度観ただけでは味わい尽くせない、魔力を持った作品だと思います。
60 このシリーズの阿部寛さんが演じる加賀恭一郎というキャラクターが大好きです。本作でも、いい加減さと有能さと繊細さと優しさが絶妙に配合されたキャラクターを見事に演じられています。さらに、共演の松嶋菜々子さんが、キャリアハイとも言える、美しさと緊迫感を兼ね備えた見事な演技をされていて、そこに、小日向文世さんや子役の方の熱演も加わって見応え十分です。東野圭吾さん原作のストーリーも、観終わってしまえば、「砂の器」との類似点がいくつも浮かぶのですが、先の読めない緻密な展開はさすがで、謎解きの納得感も高く、全く飽きませんでした。個人的に日本橋界隈の街並みが好きなので、映像面でも楽しめました。主人公加賀恭一郎の過去が明らかになり、過去の作品とのつながりも整合性が取れていて、シリーズの集大成としても素晴らしい完成度です。
57 DREAM WORKPLACE/ロブ ゴーフィー、ガレス ジョーンズ
58 西一番街ブラックバイト 池袋ウエストゲートパークXII/石田 衣良
57 「なぜここで働かなければならないのか?」という問いに答えることのできる、夢のような組織を実現するためのポイントについて、組織行動学の視点から考察された本です。海外のビジネス書にありがちな冗長な構成と同語反復的なチェックリスト(このチェックリストの要素を満たしていたら確かに働きたくなります)、には読んでいてなかなか辛いものがあります。しかし、類似書はシリコンバレーのIT企業の事例が多いのに対し、この本はイギリスの教授が書かれているだけあって、ヨーロッパ諸国の事例が豊富で、特に歴史的ルーツに重きを置いている点は、日本企業にとっても参考になる点があると思います。そこで働く人々の個性を活かしつつ、透明性のあるシンプルなルールに基づき、誠実に各ステークホルダーに意義のある価値を提供できることが目指すべき組織である、という趣旨の本ですが、その実現が困難である点に自覚的である点は好感が持てます。
58 引き続き、買ったままだった「池袋ウエストゲートパーク」シリーズを読んでいます。この作品でも、様式美のような定番のストーリー展開に、その時点でホットな時事問題を絡めるという手法が繰り返し用いられています。本作は、アートによる地域活性化、ユーチューバー、整形中毒、ブラックバイトがトピックスとして取り上げられています。各トピックスが丁寧に取材されていて、この作品のテーマでもある、「ストリートから見た社会の矛盾」が説得力あるかたちで提示されています。一方で、エンターテイメントとしても成立していて、何冊か続けて読むとさすがに少し飽きてきますが、定期的に続けて読んでいきたいシリーズです。
■CD
8 834.194/サカナクション
サカナクションの6年ぶりの新作です。懐かしいようで新しいヒット曲が満載で、聴いていて楽しいです。特に、スローテンポの楽曲に印象的なものが多く、雨空の下で聴くと中毒性があります。老若男女全ての聴き手を満足させることができる、最近では稀有な作品です。収録作がCMでもたくさん使われていますし、今後、国民的アーチストに発展する可能性に満ちた作品だと思います。
■映画
59 麦秋/監督 小津 安二郎
60 祈りの幕が下りる時/監督 福澤 克雄
59 引き続き小津安二郎監督作品を観ています。結婚適齢後期の娘の結婚話を繰り返し撮っているだけなのに、そこに「人生の秘密」を巧みに盛り込んでいる手腕に只々感心します。この作品では、娘の結婚話だけでなく、老夫婦の隠居問題や大家族から核家族化の流れなど、戦後日本の変化も描かれていて興味深いです。同時代をテーマにしているので当然ですが、「三丁目の夕日」シリーズのように過度に美化し過ぎることなく、戦後復興期の日本の良い面も悪い面をそのまま描きつつ、それでも、一種の美しさ、気高さが感じられるところが素晴らしいです。観終わった後に切ない気持ちになるのですが、その一方で、人生に対して肯定的な気分になるのも不思議です。一度観ただけでは味わい尽くせない、魔力を持った作品だと思います。
60 このシリーズの阿部寛さんが演じる加賀恭一郎というキャラクターが大好きです。本作でも、いい加減さと有能さと繊細さと優しさが絶妙に配合されたキャラクターを見事に演じられています。さらに、共演の松嶋菜々子さんが、キャリアハイとも言える、美しさと緊迫感を兼ね備えた見事な演技をされていて、そこに、小日向文世さんや子役の方の熱演も加わって見応え十分です。東野圭吾さん原作のストーリーも、観終わってしまえば、「砂の器」との類似点がいくつも浮かぶのですが、先の読めない緻密な展開はさすがで、謎解きの納得感も高く、全く飽きませんでした。個人的に日本橋界隈の街並みが好きなので、映像面でも楽しめました。主人公加賀恭一郎の過去が明らかになり、過去の作品とのつながりも整合性が取れていて、シリーズの集大成としても素晴らしい完成度です。