本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

俯瞰図から見える IoTで激変する日本型製造業ビジネスモデル

2017-03-27 05:24:52 | Weblog
■本
20 俯瞰図から見える IoTで激変する日本型製造業ビジネスモデル/大野 治

 日立製作所の元役員の方による、IoT(Internet of Things/モノのインターネット化)により、社会やビジネスにどのような影響があるか、について俯瞰的に書かれた本です。バズワードとなりつつある「IoT」について、技術的側面や市場的側面等、網羅的に語られており、ドイツやアメリカといった「IoT」先進国の取り組みにも触れられているので、現状の日本の置かれている位置について理解するのに役立ちます。特に、「IoT」の要素をレイヤー上にマッピングし、各国や各企業がどのような戦略を取っているのか、を解説している部分が、わかりやすくて参考になります。日立関係の技術者という筆者のポジションを前提に読む必要はありますが、日本や日本企業が生き残るための具体的な提言(ITでアメリカにディファクトスタンダードを握られたようなことが、「IoT」でも起こると製造業の強い日本にとって死活問題であるという危機感に満ちています)もあり、これからの「IoT」とビジネスの関わりを考える上で、勉強になる本です。


■映画
17 のだめカンタービレ 最終楽章 前編/監督 武内 英樹

 原作のコミカルな雰囲気に忠実に従った、過度に誇張されたキャラクター設定や演出が受け入れられるかどうかで評価が分かれる映画だと思います。個人的には、原作漫画では気にならなかったクセの強いキャラクターが、映画で現実の人物によって演じられるとかなり鼻につきました。また、1作目は日本が舞台だったのでさほど気になりませんでしたが、今作はフランスが主な舞台なので、日本人が演じる外国人キャラに余計に違和感を感じたのかもしれません。とはいえ、原作漫画のしっかりとしたストーリー展開に、映画特有のオーケストラの演奏シーンや海外の美しい風景がふんだんに盛り込まれ、原作ファンの方には、より臨場感を持って楽しめる作品だと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いま生きる「資本論」

2017-03-20 13:34:22 | Weblog
■本
19 いま生きる「資本論」/佐藤 優

 佐藤優さんによる、マルクス、 エンゲルスの「資本論」講義を収録した本です。「資本論」のエッセンスを繰り返しわかりやすく解説して下さるところももちろん勉強になりますが、頻繁に話が脱線するところが、実際の講義を一緒に聞いているような臨場感があり、読んでいて楽しいです。原典の解説だけでなく、「資本論」が時代とともにどのような読まれ方をしてきたか、についても丁寧に解説されていて、本(特に歴史的評価に耐えて残った「古典」)を読むという営みがどういうことであるかについても学べます。いつかは「資本論」そのものを読んでみたいという気になりましたが、まだ、実際に購入して手に取るところまでは至っていません。


■映画
16 ワルキューレ/監督 ブライアン・シンガー

 「ユージュアル・サスペクツ」や「X-メン」シリーズのブライアン・シンガー監督によるトム・クルーズ主演作です。この2人が組んだ作品にしては、ドイツ軍将校によるヒトラー暗殺計画という難しいテーマということもあり、エンターテイメント要素が少なめの骨太の作品となっています。この計画に関わった人物それぞれの思惑に基づく、心理的な駆け引きが中心に描かれていて、わかりやすい構造の作品でこそ輝くトム・クルーズは、微妙な感情表現が必要なこの作品にはあまり合っていない気がしました。とは言え、ヒットラーの暴挙に立ち向かおうとする、正義感溢れる主人公を演じるトム・クルーズは相変わらずとても格好良いです。それだけに、この素敵な人物のバッドエンディングはあまり観たくなかったというのも正直な感想で、その意味でもミスキャストだったような気がします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

理系に学ぶ。

2017-03-11 10:16:55 | Weblog
■本
18 理系に学ぶ。/川村 元気

 川村さんと同じく、私も理系コンプレックスがあるのと、iphoneやGoogle、Facebookなど世界に大きな影響を与えている人の多くが理系の人々で、「理系に学ぶ」ことの必要性を日々感じていたので読みました。何よりも、川上量生さん、佐藤雅彦さん、宮本 茂さんといった対談されている方々が、魅力的な方々ばかりなので楽しく読めました。結局は、文系・理系にかかわらず、自分の興味のあることを楽しみながら、周囲に流されず自分のやり方でやり抜くことが大切だということにあらためて気づかされました。文系の方が、自分の「やりたいこと」よりも「世の中の流れ」や「周囲の期待」に流されがちなところが、理系に比べて社会に与えるインパクトが少なくなっている理由なのかもしれません。とは言え、社会にインパクトを与えることは少なくても、人々の生活を安定して支える役割も重要だと思いますので、要は自分のやりたいことで、少しでも人々に貢献できる道を探し続けることが重要なのだと思います。


■CD
17 TROPICAL LOVE/電気グルーヴ

 小沢健二さんも19年ぶりにシングルを発売されましたし、90年代当時のJ-POP(そう言えば、電気グルーブは以前に「J-POP」というタイトルの作品も発売されています)全盛期に大好きだったので懐かしく思い購入しました。歌詞はくだらない、相変わらずの電気グルーブ節ですが、唯一のインスト曲である「ユーフォリック」という曲を筆頭にそのサウンドは滅茶苦茶格好良いです。この、ギャップが何と言っても魅力です。


■映画
15 アナと雪の女王/監督クリス・バック、ジェニファー・リー

 アナというキャラクターが天真爛漫過ぎて、冒頭はあまり共感できませんでしたが、山男のクリストフや雪だるまのオラフが魅力的だったので、彼らが出てきてから俄然面白くなりました。シリアスさとコメディ的要素のバランスが抜群です。有名過ぎる「レット・イット・ゴー」を歌うエルサのシーンも見応えタップリですし、ちょっとしたどんでん返しもあり、ストーリー的にも後半に向けて一気に盛り上がり、さすがディズニー作品らしいマーケティングの行き届いた作品です。おっさんでもそこそこ楽しめるのですから、女の子が夢中になるのも納得です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラ・ラ・ランド

2017-03-04 10:28:08 | Weblog
■本
16 明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術/渡部 卓
17 人生の教科書 よのなかのルール/藤原 和博、宮台 真司

16 新しい発見はありませんでしたが、ベストコンディションで仕事をするためのノウハウがコンパクトにまとまっています。身体的な疲れのメカニズムや対策としての睡眠や食生活、心理的な疲れの原因となるストレスへの対処方法、効率的に仕事を行う仕事術、疲れの大きな原因となる人間関係のコツ、効果的な休息の方法、など、考察に深みはないですが、興味を持った部分を掘り下げて学んでいくための入門書としては良いと思います。ところどころで挿入される、筆者の外資系企業勤務時のエピソードも具体的で参考になります。

17 中学生の子どもにも読ませたいとても良い本です。冒頭で藤原さんが書かれているように、高度成長を支える労働者を育成するための教育ではなく、ライフスタイルが多様化し自分で生き方を考えないといけない「成熟社会を担う『市民』を誕生させるための教科書」となっています。大人、犯罪、お金、家族、仕事、男女関係、結婚、自殺など、学校教育ではさほど掘り下げられない問題について、さまざまなケーススタディを元に考える材料を提供してくれます。個人的には、序章と終章の宮台さんの文章がとても印象的で、成熟社会では「子どもの試行錯誤と自立的尊厳の育成が支援されるようなメカニズム」が必要という意見や「意味から強度(体感)へ」という問題提起に感銘を受けました。


■CD
16 Prisoner/Ryan Adams

 一見内省的で地味な作品なのですが、聴き込むと実は世界に開かれた開放的なサウンドであることがわかる、スケール感の大きい傑作です。音の数は決して多くはないですが、その一つ一つが実に緻密に計算されています(ハーモニカの使い方が特に秀逸です)。グラミー賞にもノミネートされた前作「Ryan Adams」以上の高評価を得るのではないでしょうか? まだ、始まったばかりですが、2017年を代表するロックな作品だと思います。


■映画
13 ラ・ラ・ランド/監督 デイミアン・チャゼル
14 映画 鈴木先生/監督 河合勇人

13 ダンスや歌のクオリティは必ずしも高いとは思いませんが、その観せ方が非常に秀逸で、「セッション」でも感嘆した、デイミアン・チャゼル監督のセンスの良さが感じられる傑作です。ミュージカルという伝統的なフォーマットに、「夢を実現するために努力する過程が重要」という現代的なテーマをうまくマッチさせ、どこか懐かしくも新しい独特の雰囲気を醸し出しています。冒頭の高速道路の集団ダンスシーンでこの作品の世界観に観客を引き込み、主人公二人のあり得た「もう一つの人生」を振り返るラストシーンで、作品を総括するわかりやすい構造も実に効果的で、この二つのシーンを観るだけでも価値があります。アカデミー賞での高評価も納得の、誰にでもお勧めできる作品です。

14 テレビドラマや原作漫画が高評価だったので観ました。学園モノという手垢のついた構造に、「優等生でも問題児でもない、目立たない普通の生徒への指導にこそ、教師は力を割くべき」というテーマが新しいです。この斬新なテーマと鈴木先生の独白に慣れるまで少し時間がかかりましたが、いったん馴染むと一気に最後まで楽しく観ることができました。在校生だけでなく卒業生にまで目配りをし、教師の扱いやすい生徒が必ずしも社会的に受け入れられない、という成熟社会での学校教育の問題点を巧みに指摘しています。その一方で、教育の可能性を熱く語るシーンもあり、バランス感覚も抜群です。ヒロインが人格者過ぎるところと、終盤のドラマティック過ぎる展開(映画なので仕方がないのかもしれませんが)に少し違和感を感じましたが、鈴木先生演じる長谷川博己さんと神経質な教師を怪演した富田靖子さんなど、俳優陣の素晴らしい演技もあり、独特の存在感を放つ作品で好感が持てます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする