■本
93 消費大陸アジア/川端 基夫
94 サラバ! 上/西 加奈子
95 サラバ! 中/西 加奈子
96 サラバ! 下/西 加奈子
93 ポカリスエットがインドネシアで当初の販売低迷を脱して爆発的に売れた理由やアメリカやアジアで吉野家のカウンターでの食事がなぜ普及しなかったか、など、日本とは異なるアジアの市場環境での、それぞれの商材の受け止められ方が、緻密な現地調査や関係者への聞き取りを背景に、非常にロジカルに整理されていて、知的好奇心が大いに満たされる楽しい本です。個人的には、日本では成功しなかった大型ディスカウント店がアジアで成長している理由と、日本人には時に非衛生的に思える屋台での食事にアジアの人々が「安全安心」を感じているロジックに目から鱗が落ちる思いでした。楽しいだけでなく、提供者の押し付けではない、現地生活者が受け入れ可能なストーリーをどのように商材に付与するか、というマーケティングの本質についても学べる実務者にも有益な本です。アジア市場への進出を検討されている方だけでなく、全てのビジネスパーソンにお勧めできる素晴らしい本だと思います。
94~96 少しずるいですが、文庫本は3分冊ですので3冊分としてカウントさせていただきます。先が全く読めないストーリー展開で、どう話が転がっていくのかが気になって、一気に読み終えました。このあたりのストーリーテラーとしての西加奈子さんの力量はさずがだと思いました。ただ、「アメトーーク!」など各種メディアで絶賛され、私の中のハードルが上がり過ぎていたのか、楽しい読書体験ではあったものの、さほど心に響くものはなかった気がします。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」という、この時代にマッチしたテーマ選定は素晴らしいと思いますが、「信じるもの」を見つけてもそう簡単に人は変われるのか、という点が少し疑問です。結局は、「信じるもの」も少しずつ変わりながら、その変遷の過程も踏まえてその人のスタイルなのだと思います。その辺りの「信じるもの」を見つけた後の揺らぎは、それぞれの読者が個々に想像すべきものなのかもしれませんが、登場人物のあまりの変わりように違和感が残りました。ただ、どんな欠点のある登場人物に対しても、常に優しい視線が注がれていて、承認欲求に溢れた現代社会での、この作品の癒し効果は絶大だと思います。
■CD
45 Strangers to Ourselves/Modest Mouse
2007年に発表されて全米アルバムチャート1位に輝いた「We Were Dead Before the Ship Even Sank」から8年ぶりに発表された作品です。その間にメンバーチェンジ(元ザ・スミスのギタリストのジョニー・マーが脱退したりしています)が何度かあったようで、一時の勢いが欠けた印象です。それでも、優しくもどこか神経症的な独特のヴォーカルと、どう転ぶかわからないトリッキーなメロディ展開は健在です。今の時代にどれだけニーズがあるかはわかりませんが、聴き手を選ぶ知的なロックです。
■映画
68 デスノート Light up the NEW world/監督 佐藤 信介
「デスノート」シリーズは、ルールの後付け感がどうしても気になってしまいますが、その瑕疵を補って余りある緻密な頭脳戦とそれを主導する強烈なキャラクターが魅力の作品だと思います。しかし、本作では、頭脳戦の詰めが甘いところとキャラクターが弱い点が少し残念でした。真犯人が明らかになる部分は、意外性のあるロジックで面白かったのですが、真犯人のとった狂気を孕んだ行動に見合うだけの毒が、そのキャラクターになかったところがインパクトに欠けたと思います。全体的に映像やセットもチープな感じがしてテレビドラマのような印象でした。逆に、映画ではなくテレビドラマの企画としてならもっと評価できたのかもしれません。
93 消費大陸アジア/川端 基夫
94 サラバ! 上/西 加奈子
95 サラバ! 中/西 加奈子
96 サラバ! 下/西 加奈子
93 ポカリスエットがインドネシアで当初の販売低迷を脱して爆発的に売れた理由やアメリカやアジアで吉野家のカウンターでの食事がなぜ普及しなかったか、など、日本とは異なるアジアの市場環境での、それぞれの商材の受け止められ方が、緻密な現地調査や関係者への聞き取りを背景に、非常にロジカルに整理されていて、知的好奇心が大いに満たされる楽しい本です。個人的には、日本では成功しなかった大型ディスカウント店がアジアで成長している理由と、日本人には時に非衛生的に思える屋台での食事にアジアの人々が「安全安心」を感じているロジックに目から鱗が落ちる思いでした。楽しいだけでなく、提供者の押し付けではない、現地生活者が受け入れ可能なストーリーをどのように商材に付与するか、というマーケティングの本質についても学べる実務者にも有益な本です。アジア市場への進出を検討されている方だけでなく、全てのビジネスパーソンにお勧めできる素晴らしい本だと思います。
94~96 少しずるいですが、文庫本は3分冊ですので3冊分としてカウントさせていただきます。先が全く読めないストーリー展開で、どう話が転がっていくのかが気になって、一気に読み終えました。このあたりのストーリーテラーとしての西加奈子さんの力量はさずがだと思いました。ただ、「アメトーーク!」など各種メディアで絶賛され、私の中のハードルが上がり過ぎていたのか、楽しい読書体験ではあったものの、さほど心に響くものはなかった気がします。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」という、この時代にマッチしたテーマ選定は素晴らしいと思いますが、「信じるもの」を見つけてもそう簡単に人は変われるのか、という点が少し疑問です。結局は、「信じるもの」も少しずつ変わりながら、その変遷の過程も踏まえてその人のスタイルなのだと思います。その辺りの「信じるもの」を見つけた後の揺らぎは、それぞれの読者が個々に想像すべきものなのかもしれませんが、登場人物のあまりの変わりように違和感が残りました。ただ、どんな欠点のある登場人物に対しても、常に優しい視線が注がれていて、承認欲求に溢れた現代社会での、この作品の癒し効果は絶大だと思います。
■CD
45 Strangers to Ourselves/Modest Mouse
2007年に発表されて全米アルバムチャート1位に輝いた「We Were Dead Before the Ship Even Sank」から8年ぶりに発表された作品です。その間にメンバーチェンジ(元ザ・スミスのギタリストのジョニー・マーが脱退したりしています)が何度かあったようで、一時の勢いが欠けた印象です。それでも、優しくもどこか神経症的な独特のヴォーカルと、どう転ぶかわからないトリッキーなメロディ展開は健在です。今の時代にどれだけニーズがあるかはわかりませんが、聴き手を選ぶ知的なロックです。
■映画
68 デスノート Light up the NEW world/監督 佐藤 信介
「デスノート」シリーズは、ルールの後付け感がどうしても気になってしまいますが、その瑕疵を補って余りある緻密な頭脳戦とそれを主導する強烈なキャラクターが魅力の作品だと思います。しかし、本作では、頭脳戦の詰めが甘いところとキャラクターが弱い点が少し残念でした。真犯人が明らかになる部分は、意外性のあるロジックで面白かったのですが、真犯人のとった狂気を孕んだ行動に見合うだけの毒が、そのキャラクターになかったところがインパクトに欠けたと思います。全体的に映像やセットもチープな感じがしてテレビドラマのような印象でした。逆に、映画ではなくテレビドラマの企画としてならもっと評価できたのかもしれません。