■本
83 クリエイティブ・マインドセット/デイヴィッド ケリー、トム ケリー
84 こころ/夏目 漱石
83 イノベーティブな会社として世界的に評価の高いデザイン会社のIDEO創業者兄弟が「創造力に対する自信」をテーマに書いた本です。人間のクリエイティビティに対する強い信頼を背景に、個々人がその創造力を発揮するための心構え(創造力を発揮することの恐怖を克服する、など)を豊富な具体例を元に教えてくれます。心構え(マインドセット)から、実際に行動に移すための励ましへと移り、次第に実用的な方法論やテクニックへと進んでいく構成も巧みで、単なる知識習得だけではなく行動へとつながる本になっているところもよいです。結局熟慮するよりもどれだけ手数を多く出して、素早く行動し、失敗から学べるかが重要であることがよくわかります。
84 朝日新聞の朝刊に連載されていたので欠かさず読みました。高校の教科書で一部分を読んだときは、先生が一方的に手紙で語るだけの退屈な話だと思っていましたが、あらためて通して読むと、人間の弱さ、醜さをかなり自分ごととして捉えられる凄まじい作品だと思いました。特に犯した過ちの取り返しのつかなさを、先生が実感する場面の描写が衝撃的で、人間が自分の人生を台無しにする瞬間に立ち会えたような錯覚を感じて背筋が冷たくなりました。登場人物がほぼ5人しかいない、極めて狭い人間関係のさして盛り上がりもない話なのに、ここまで普遍的で重層的な作品となっているところがこの作品が名作と呼ばれている所以だと思います。先生の手紙の場面は一気に読んでも退屈なような気がしますので、新聞連載という形式で読んだのがよかったのかもしれません。
■CD
44 Songs of Innocence/U2
itunesの無料ダウンロードで入手しました。非常に若々しく、全うなギターロックを展開しています。5年という長いブランクを考えると、全くの新機軸か「All That You Can't Leave Behind 」のような円熟味のある作品を個人的には期待していたので、結構想定の範囲内というのが正直な感想です。素直によい曲を集めました、といった印象でそれはそれでU2らしくて誠実でよい作品だとは思います。
■映画
64 ザ・ハリケーン/監督 ノーマン・ジュイソン
65 リトル・ダンサー/監督 スティーブン・ダルドリー
64 全盛期のデンゼル・ワシントン主演作ということで、冤罪で刑に服していた元チャンピオンが出獄後様々な苦労を乗り越えてカンバックする、といったエンターテイメント作だと勝手に思って観ていたのですが、そうではなくて、実話に基づく差別と冤罪をテーマにした本格的な社会派映画でびっくりしました。冤罪に陥れる刑事や検察側が非常に差別主義的で憎々しく描かれていて、思わず主人公に共感してしまいます。主人公が、支援者の青年との交流により、復讐心や絶望から、次第に許しや希望へと心境が変化していく様子も丁寧に描かれていて、人間の持つ強さや変化への可能性を感じられる内容になっています。
65 少し前に観た「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の監督のデビュー作ということで観ました。イギリス社会の問題点を描きつつ、家族の絆や夢を持つことの大切さをシンプルに教えてくれるいい映画です。登場人物がみんな一癖があり、屈折しつつも心の底では優しさを持っているという描き方をされていて、紋切り型な善人が出てこないところもよいです。主人公の少年が抱える閉塞感とそれを開放するダンスの存在の描き方も秀逸で、父親に詰問された少年が思わずダンスを踊り出すシーンのカタルシスは素晴らしいです。Tレックス、ザ・ジャムやザ・クラッシュといった70年代イギリスロックの使い方も的確で、作品全体を貫く鬱屈した空気感とかすかな希望を感じさせるのに成功しています。
83 クリエイティブ・マインドセット/デイヴィッド ケリー、トム ケリー
84 こころ/夏目 漱石
83 イノベーティブな会社として世界的に評価の高いデザイン会社のIDEO創業者兄弟が「創造力に対する自信」をテーマに書いた本です。人間のクリエイティビティに対する強い信頼を背景に、個々人がその創造力を発揮するための心構え(創造力を発揮することの恐怖を克服する、など)を豊富な具体例を元に教えてくれます。心構え(マインドセット)から、実際に行動に移すための励ましへと移り、次第に実用的な方法論やテクニックへと進んでいく構成も巧みで、単なる知識習得だけではなく行動へとつながる本になっているところもよいです。結局熟慮するよりもどれだけ手数を多く出して、素早く行動し、失敗から学べるかが重要であることがよくわかります。
84 朝日新聞の朝刊に連載されていたので欠かさず読みました。高校の教科書で一部分を読んだときは、先生が一方的に手紙で語るだけの退屈な話だと思っていましたが、あらためて通して読むと、人間の弱さ、醜さをかなり自分ごととして捉えられる凄まじい作品だと思いました。特に犯した過ちの取り返しのつかなさを、先生が実感する場面の描写が衝撃的で、人間が自分の人生を台無しにする瞬間に立ち会えたような錯覚を感じて背筋が冷たくなりました。登場人物がほぼ5人しかいない、極めて狭い人間関係のさして盛り上がりもない話なのに、ここまで普遍的で重層的な作品となっているところがこの作品が名作と呼ばれている所以だと思います。先生の手紙の場面は一気に読んでも退屈なような気がしますので、新聞連載という形式で読んだのがよかったのかもしれません。
■CD
44 Songs of Innocence/U2
itunesの無料ダウンロードで入手しました。非常に若々しく、全うなギターロックを展開しています。5年という長いブランクを考えると、全くの新機軸か「All That You Can't Leave Behind 」のような円熟味のある作品を個人的には期待していたので、結構想定の範囲内というのが正直な感想です。素直によい曲を集めました、といった印象でそれはそれでU2らしくて誠実でよい作品だとは思います。
■映画
64 ザ・ハリケーン/監督 ノーマン・ジュイソン
65 リトル・ダンサー/監督 スティーブン・ダルドリー
64 全盛期のデンゼル・ワシントン主演作ということで、冤罪で刑に服していた元チャンピオンが出獄後様々な苦労を乗り越えてカンバックする、といったエンターテイメント作だと勝手に思って観ていたのですが、そうではなくて、実話に基づく差別と冤罪をテーマにした本格的な社会派映画でびっくりしました。冤罪に陥れる刑事や検察側が非常に差別主義的で憎々しく描かれていて、思わず主人公に共感してしまいます。主人公が、支援者の青年との交流により、復讐心や絶望から、次第に許しや希望へと心境が変化していく様子も丁寧に描かれていて、人間の持つ強さや変化への可能性を感じられる内容になっています。
65 少し前に観た「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の監督のデビュー作ということで観ました。イギリス社会の問題点を描きつつ、家族の絆や夢を持つことの大切さをシンプルに教えてくれるいい映画です。登場人物がみんな一癖があり、屈折しつつも心の底では優しさを持っているという描き方をされていて、紋切り型な善人が出てこないところもよいです。主人公の少年が抱える閉塞感とそれを開放するダンスの存在の描き方も秀逸で、父親に詰問された少年が思わずダンスを踊り出すシーンのカタルシスは素晴らしいです。Tレックス、ザ・ジャムやザ・クラッシュといった70年代イギリスロックの使い方も的確で、作品全体を貫く鬱屈した空気感とかすかな希望を感じさせるのに成功しています。