本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

絲的メイソウ

2009-09-28 05:34:42 | Weblog
■本
76 絲的メイソウ/絲山 秋子
77 グーグル革命の衝撃/NHKスペシャル取材班

76 絲山秋子さんの初エッセイの文庫化。普通におもしろくて、楽しんで読めました。絲山さんのように、社会人としてビジネス社会にすごく適応していながら(実際にはかなりご苦労されていることが、このエッセイからも垣間見られますが)、クールに豪快に自分のスタンスを保持し続けている人に憧れてしまいます。人間としてどこか壊れていそうで、それでいて、スケールがすごくでかいところに魅力を感じます。毎度思いますが、文章がすごく上手です。現代日本人作家の中で、誰か一人お手本にするとしたら、間違いなく彼女を選びます。

76 飽きもせず(実際はかなり飽きているのですが)また、Google関連の本を読みました。類書と異なり、「Googleが作る便利で個人にパワーが付与されるばら色の未来」という視点ではなく、どちらと言えば、Googleによる検索結果のコントロールの可能性や検索に依存するあまり人間の思考力、発想力が衰えるのではないかという危惧など、その負(となりうる面)に多くのページが割かれている点が特徴的です。個人的にはGoogleは悪意がないクリーンな会社だと思いますが、善意や単純な向上心から行われる行為が、結果として多くの人々を不幸にすることはよくある話で、その点は個々のユーザーがどのようにGoogleと付き合うか(どこまで、自身に関するデータを提供するか)は常に考えるべきだと思います。そういう多面的な気づきを与えてくれるよい本です。


■CD
24 Off the Wall/Michael Jackson

 Michael Jacksonさんの供養代わりに何か1枚CDを買おうと思ったところ、やはり、彼があまり改造されていないころの最後の作品を選びました。「スリラー」以降のシングルヒット曲集という趣の作品と異なり、本作ではいい意味でのメリハリが効いていて、アルバムとしての完成度はひょっとしたら最も高いかもしれません。かすかに幼さの残る声も人間的で、後の彼の人生を思うと、いろんな感情が湧き上がってきますが、それも含めて、人の心を揺さぶる力を持った傑作だと思います。
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自己プロデュース力

2009-09-21 06:25:37 | Weblog
■本
74 自己プロデュース力/島田 紳助
75 Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパーク〈7〉/石田 衣良

74 好き嫌いは分かれるでしょうが、芸人志望の人以外でも、成功を志す人は読むべき本だと思います。「戦略的に生きる」ことについてのヒントが満載です。成功したくない人にとっても、紳助竜介成功秘話(当然ですが、あくまで紳助さんサイドの視点ですが)としても面白いです。自分が何ができて、何ができないか、の分析が素晴らしいと思います。いろんなことを達成して、友達も多くて、素晴らしい人生だとは思うのですが、なぜか、あまりうらやましいと思わないのは、僕が成功を志さない「熱い」人間ではないからでしょうか? なんとなく独善の匂いがするところも少し引っかかります。繰り返しになりますが、そんな好き嫌いを超えて、参考になるところは多い本です。簡単に読めますので、特に若い人に一読をお勧めします。

75 相変わらずの安定感で面白いです。文章はさほどうまいとは思いませんし、ストーリーもありきたりな気がしますが、キャラクター設定の巧みさでなぜか読んでしまいます。一つ突出したものがあれば小説として成立する、という証明のような本です。


■映画
38 ワールド・オブ・ライズ/監督 リドリー・スコット
39 しんぼる/監督 松本 人志

38 監督リドリ・スコット、メインキャストがレオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウという実力派がそろった作品の割には、かなり期待はずれな内容でした。テンポも悪いし、ストーリーも冗長。僕の理解力不足なのかもしれませんが、ストーリーもイマイチ追い切れませんでした。リアルタイムの社会情勢をネタにエンターテインメントとして仕上げようとする志は買いますが、残念ながら失敗に終わったような気がします。

39 発想はすばらしいと思うのですが、それを映画として見せる構成力は(凄く僭越な意見で恐縮ですが)まだまだ、映画監督のそれではないと思います。前半の密室シーンのテンポの悪さは、それが狙ってのものであることが分かっていても、あまり評価できません。ストーリー自体が暗示するものも、あまりに直接的すぎて、比喩として提示している意味もないような気がします。それでも、あえてギャグのレベルを下げて分かりやすくしたり、海外ロケやテクノ音楽を効果的に利用したりするなど、随所に松本さんの自己満足だけではない、観客への(媚びではない)若干の歩み寄りが感じられて、大成功とは言えませんが、前作「大日本人」よりは次につながる作品ではないかと思います。おそらく、酷評されると思いますが、それでも凡人にはない天才だけが持つ、「何か」(「狂気」が比較的近いと思います)を感じさせる作品だとは思います。
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過剰と破壊の経済学

2009-09-12 21:45:36 | Weblog
■本
72 嫌われない毒舌のすすめ/有吉 弘行
73 過剰と破壊の経済学/池田 信夫

72 「進め!電波少年」のヒッチハイクの旅で一世を風靡し、今は毒舌芸人として再ブレイクした元猿岩石の有吉さんの本です。人付き合いは相手はシチュエーションに合わせて戦略的にすべきという趣旨の本ですが、心理学の基礎なども踏まえられていて、毒舌のアクセントは随所にあるものの、意外と的を射た内容の本です。自分はダメな人間だと言う前提にたった上で、人付き合いを怖がるくらいなら、テクニックを身につけて気楽にまず付き合ってみようという、ネガティブを前提としつつも、どこかポジティブな信念が感じられる本です。人気のピークとどん底を味わった人だけに、人の醜さややさしさを肌で感じた上の言葉だと思いますので不思議な説得力があります。

73 最近のネット周りの事象について僕自身がつらつらと考えていたことの裏づけとなる意見や、逆にそれらが覆される見解が満載で、個人的にはとても参考になりました。半導体の性能が指数関数的に向上する(半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる)という、「ムーアの法則」により社会がどのように変ってきて、今後どのように変るのかを論じた本です。コンピュータの情報処理能力が過剰なまでに上昇することによって、ボトルネックとなる人間の社会や制度にさまざまな破壊的影響を与えるというのが主な趣旨です。技術の急激な進化やグローバリゼーションの進展を過度に肯定するわけでも否定するわけでもなく、日本のおかれている環境を丁寧に分析し、どのような方向性に進むべきかの一定の結論を出しているところが凄いと思います。今後のイノベーションの方向性は「何が主流になるのかわからない」ので、ともかく数多くの試みが起こり得る環境を整備すべきという筆者の見解は極めて正しいと思います。


■CD
22 Humbug/Arctic Monkeys
23 Rose en Bleu /FLAT THREE

22 前作が大傑作だったので、今作の重厚で落ち着いた雰囲気は賛否がわかれるかもしれません。リスナーに媚びない姿勢は評価できますが、少し地味な印象は否めません。クオリティは非常に高いですが、一聴してリスナーを鷲掴みにするというよりは、聴きこんで気に入った人がとてつもなく高く評価するというタイプの作品です。この若さでその境地に達すべきかどうかは個人的には疑問ですが、聴きこんでこそ意味のある作品だと思いますので、当分繰り返し聴こうと思います。

23 おしゃれな感じですが薄っぺらくなく、いろんな音楽的要素が入っているのに親しみやすい、不思議な魅力のある作品です。センスのよさを強く感じさせつつも、それが嫌味でなく、絶妙の感じで楽しく聴けます。ラテン的なリズムが心地よいです。


■映画
37 ペイチェック/監督 ジョン・ウー

 意外とおもしろかったです。白い鳩と銃を突きつけ合うシーン以外はジョン・ウーらしくない気がしますが、おそらく脚本がしっかりしているので、過剰に演出していないところがかえって好感が持てました。多少強引な展開ですが、ガラクタのように思える道具で、窮地を克服しているというプロットは個人的には好きでした。ベン・アフレックの演技は微妙でマット・デイモンとは正直、差がついたと思いました。ヒロインのユマ・サーマンもクエンティン・タランティーノ作品のイメージが強すぎて、まともな役に違和感が残りました。突っ込みどころはたくさんありますが、僕は好きな作品です。
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トランスポーター

2009-09-06 07:07:34 | Weblog
■本
70 社会的な身体/荻上 チキ
71 仕事するのにオフィスはいらない/佐々木俊尚

70 お笑いやゲームなど身近な例を材料に「メディアとは何か」という問いついて考える材料を提供してくれる本です。途中の論理展開は明快でかつおもしろいのですが、結論が何かとなると私の頭が悪すぎるのか今ひとつピンと来ませんでした。ウェブをテレビの代替と安易にとらえない(筆者曰く「私たちはテレビを求め、加えてウェブを求めた」)適切に丁寧に現状をとらえられているので、今度はこの筆者の小ネタ集的ではない骨太の著書を読みたいと思いました。

71 クラウドを活用するための実用書として読むといい本です。筆者が提唱するノマドワーキングが定着するかどうかは疑問ですが(この種のネット社会礼賛の本を読むといつもパラノイアしか生き残れない世界って何か嫌だなあと抵抗したくなるのですが)、せっかく無料でいろいろと便利なツールが使えるのだから、自分の生産性向上のために自分に合うものは、いろいろと試して見ることは大事だと思います。

■映画
33 トランスポーター/監督 ルイ・レテリエ、コリー・ユン
34 トランスポーター2/監督 ルイ・レテリエ、コリー・ユン
35 スター・ウォーズ クローン・ウォーズ / 監督 デイブ・フィローニ
36 インクレディブル・ハルク 監督 : ルイ・レテリエ

33、34 あまり期待していなかったのですが、ストーリーはシンプルでキャラ立ちもしていて、映像もスタイリッシュでなかなか楽しめました。何より、スピーディーで短くまとまっているところがいいです。リュック・ベッソン脚本の割には能書きが少なく、いい意味でわかりやすいですし。両方ともヒロインがあまり魅力的でないところが残念でした。サクっと爽快感溢れる映画を観たいときにお勧めです。

35 アニメですがスター・ウォーズの世界観をうまく伝えています。ストーリーは少し浅め(ジャバ・ザ・ハットが馬鹿すぎます)。こちらも短いので、スター・ウォーズ6部作を既に観られた方が、気楽に映画を観たい際にお勧めです。

36 アクションが派手な割りにストーリーは、力に対する個人的な欲望や家族のすれ違いがテーマでいささか小ぶりな印象が否めません。私の理解の範囲では国家的な陰謀などとは無縁ですし。エドワード・ノートンもリヴ・タイラーもティム・ロスも嫌いな役者さんではありませんが、あまり役にははまっていない気がします。とはいえ、マーベル・コミックシリーズの世界観は好きなので、それなりには楽しめました。アン・リー監督版の「ハルク」も機会があれば観てみたいと思います。
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