本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

思考の整理学

2009-08-30 14:12:14 | Weblog
■本
68 クラウド・コンピューティング/西田 宗千佳
69 思考の整理学/外山 滋比古

68 クラウド・コンピューティングについてよりも、iphoneやgmailなどクラウド・コンピューティングという考え方に至るまでの流れを重点的に解説した本、というのが、僕の印象です。特に目新しい考え方が提示されているわけではありませんが、最近のネットビジネスの動向はよくまとまっていると思います。繰り返しになりますが、クラウド・コンピューティングそのものに対する考察は少し薄い気がしますので、クラウド・コンピューティング自体について知りたい方は他の類書をお勧めします。

69 「東大、京大で1番読まれた本」という帯に惹かれて読みました。内容自体はアイデア創出について書かれた類書とそう大差ありませんが(アイデアを無意識に委ねて寝かすことが大切、など)、抜群にわかりやすく、読みやすいので、大学生に読まれているというのも納得です。読後はそう特別な本でもないと率直に思ったのですが、今から25年以上前に書かれたということを知って驚きました。知識社会の進展が進んだまさに現在にこそ読まれるべき本で、そういう点では筆者の言う「時の試練」に十分耐えた本だと言えると思います。20数年以上前の東大・京大で1番読まれた本であれば、今の日本はもう少し変っていたかも、と思える本です。学生以外の方も、今からでも遅くないので一読の価値はあると思います。


■CD
21 20/電気グルーヴ
 
 電気グルーヴの結成20周年記念アルバムです。買うかどうか迷ったのですが、評判がよかったので、購入しました。復活作「J-POP」以降はテクノ色が強い、電気グルーヴですが、本作は、1990年代中ごろのような、テクノ歌謡的な歌モノの曲が印象的です。まだ、聴きこんでないですが、歌詞もいつも通り馬鹿馬鹿しく頭をからっぽにして楽しめる作品です。


■映画
31 20世紀少年 第1章 終わりの始まり/監督 堤 幸彦

 あまり期待していなかったのですが、意外と観れました。ただ、原作に忠実であろうとするあまり、内容を詰め込みすぎな感じがして、原作を読んでいない人にはついていくのが少し辛かったかもしれません。個人的には、原作に余計な解釈をして、ぶち壊しにするよりもよほど好感が持てました。ウイルスにより、血を噴出して死ぬシーンが生々しかったです。



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アーキテクチャの生態系

2009-08-23 08:33:00 | Weblog
■本
66 アーキテクチャの生態系/濱野 智史
67 オバマ現象のカラクリ/田中 愼一 本田 哲也

66 グーグル、2ちゃんねる、ニコニコ動画などのWeb上のサービスを「アーキテクチャ」に注目しながら分析し、2ちゃんねる、ニコニコ動画、mixiなど日本独自のサービスの「アーキテクチャ」から日本社会の特性を明らかにして行こうという試みの本です。ここで言うアーキテクチャとは、「規範」や「法律」ではなく、運転手からアルコールを感知するとエンジンがかからない車のように、技術や物理的制約から、人々の行動を規制する仕組みのことを指します。ウェブサービスの最新動向といった結構賞味期限が限定される内容とアーキテクチャの観点からの分析といった普遍的な内容が混在していますが、やはり、読むには今が旬の本のような気がします。知的好奇心が満たされて面白いです。個人的にはケータイ小説「恋空」をメールなどのレスポンスの速度や着信番号により受信するか否かを決める行動(筆者は「操作ログ的リアリズム」と呼んでいます)をからめながら、分析しているところが、これまでの、ケータイ小説=定番の事件ばかりの深みのない内容、という解説とは異なった視点で興味深かったです。

67 最近、マーケティングの世界では、大統領選挙戦でのオバマ陣営のコミュニケーション戦略の分析がはやっていますが、本書はPR的観点からオバマ陣営の数々の施策を分析した本です。オバマ大統領の具体的なメッセージがたくさん盛り込まれていますので、オバマ大統領に関心のある人にも、わかりやすくそのメッセージが理解できる構成になっていて、単純に読み物としても面白いです。おそらく、ここで分析されている全ての効果を、事前にオバマ陣営が意図していたわけではないとは思いますが(オバマ大統領自身のカリスマ性が多分に影響していると思います)、やはりよく練られたコミュニケーション戦略と言わざるを得ません。最終章には個人レベルで活用可能な「戦略コミュニケーション発想」のポイントが書かれていて参考になります。しかし、頭では理解できても、実践するのは大変そうですね。ここまで周到に考えると、逆に疲れて人間嫌いが一層進みそうです。とはいえ、コミュニケーションも時には意識的に行うべきである、という視点は頭の片隅に置いておいても損はないと思います。



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クワイエットルームにようこそ

2009-08-17 06:53:01 | Weblog
■本
64 君はフィクション/中島 らも
65 広告新時代/電通選書

64 未発表作を含む、中島らもさんの最後の短編集。豊富な知識を背景にした、面白い作品がそろっています。自伝的作品もあり、ファンには楽しめる内容です。中島らもさんとナンシー関さんの不在が寂しい今日この頃です。リリー・フランキーさんも新作があまり出ませんし。

65 ネット広告について網羅的に書かれた実務的な本。電通さんらしい我田引水的な記述もありますが、この分野でこれだけ体系立って書かれた本はないと思いますので、ネット広告やWeb制作の実務に関わっている方には役に立つのではないでしょうか? 個人的には第4部以降が参考になりました。


■映画
28 クローバーフィールド/監督 マット・リーヴス
29 クワイエットルームにようこそ/監督 松尾スズキ
30 イーオン・フラックス/監督 カリン・クサマ

28 ハンディカメラを用いて、怪獣襲撃をドキュメンタリー風に撮ったパニック映画。発想は秀逸ですが、やはり、ハンディカメラの映像を1時間以上観るのはつらいです。そのあたりを考慮して、上映時間も短めにしているとは思いますが、やはり疲れました。悪い映画ではないとは思いますが、もう一度観ようとは思いません。これもホームビデオという設定なので仕方がないとは思いますが、登場人物の説明が希薄で(重ね取りされる前の映像で、主人公とその恋人との関係は巧みに説明はなされているものの)、今ひとつ感情移入できませんでした。

29 登場人物が豪華と言うこともあり、原作と比較するとメジャー感が感じられる作品に仕上がっていました。エンディングの爽やかな映像で後味の悪さが軽減されている点もその理由だと思います。出演者がみんな芸達者なので(内田有紀さんも好演されていますが、やはり大竹しのぶさんと蒼井優さんの演技は鬼気迫っていてすごいです)エンターテインメント作品としても成立しています。監督の松尾スズキさんのディレクション能力の高さが感じられる秀作です。

30 駄作とはいいませんが、いまふたつな作品です。こういうSFは世界感を伝えるのが難しいですね。世界観は以外にしっかりしているのですが、うそ臭さ(フィクションだから仕方ないのですが)がプンプンと画面から漂ってきます。それも狙いという気がしないでもないですが、そこはリアルにする方が作り手として誠実なような気がします。シャーリーズ・セロンのギャラに制作費の大半が費やされたのかもしれませんが、ちょっと残念な作品です。
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ボーン・アルティメイタム

2009-08-10 07:30:55 | Weblog
■本
61 河合隼雄のカウンセリング入門/河合 隼雄
62 グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業/夏野 剛
63 こんな世界に誰がした―爆笑問題の日本原論/爆笑問題

61 河合隼雄さんの講演と実技指導の内容が臨場感を持って伝わってくるいい本です。昭和40年代の講演なので、ロールプレイングで取り上げられる相談内容がかなりその時代を反映した古くさいものになっていますが、それにもかかわらず現在でも通用する普遍的な内容になっています。講演の質問者が明確な回答を求めているのに対して、河合さんがのらりくらりと(一見思えるような)回答しているところに、カウンセリングというものの複雑さと奥の深さを感じます、人間のこころは二分法で解決するものではなくて、結局は忍耐強く寄り添っていくことでしか理解が深まらないのだと思います。わかりやすくとっつきやすいのですが、読むたびに新たな発見がありそうな奥深い本です。

62 タイトルに惹かれて買ったのですが、少し期待した内容と異なりました。そういう意味では筆者と編集者の思惑にはまったのかも知れません。前半は目新しい視点はないもののネットビジネスの現状を踏まえながら、「当たり前のことを当たり前にやる」というこの分野での成功者らしい地に足のついた議論で面白いのですが、後半は妙なテンションでの批判と自慢が増え、飲み屋での与太話のようになって残念です。私のようにタイトルだけで買うと期待外れになる可能性が高いです。とはいえ、参考になるところはありますので(前述の通り目新しい視点はないので、類書をたくさん読まれる方にはお勧めしませんが)、少し立ち読みされてから読むかどうか判断されることをお勧めします。

63 2002~2003年の時事ネタを元に漫才形式で綴った本。拉致被害者一時帰国など、ずいぶん前のような気がしますが、世の中の動きが速くなったからでしょうか? 凄く面白いのですが、あとがきも含めて、ネタに悲壮感さえ漂っているのは、時代を憂う大田光さんの心境を反映しているのかもしれません。大田光さんはどこに向かおうとしているのでしょうか? 楽しい反面、今後の日本や世界の進む方向がすごく不安にもなる本です。


■映画
24 舞妓Haaaan!!!/監督 水田伸生
25 僕のニューヨークライフ/監督 ウディ・アレン
26 トランスフォーマー/リベンジ/監督 マイケル・ベイ
27 ボーン・アルティメイタム/監督 ポール・グリーングラス

24 舞妓さんを題材にした発想と相変わらずぶっ飛んだクドカンさんの脚本は面白いですが、今ひとつ物足りない印象のする映画です。阿部サダヲさんは大好きな役者さんですが、本作では少しカラ回り気味です。堤真一さんのコメディ演技はよかったです。柴咲コウさんはメインキャスト的位置づけですが、完全に脇役ですね。スケジュールが合わなかったのかと思うほど、出番が少なく、存在感がないです。ヒロインは完全に小出早織さんの方でしょう。舞妓さんの世界の厳しさと京都の夜遊びの奥深さを勉強できました。

25 2000年代(正確には「ギター弾きの恋」以降)になって、復調著しいウディ・アレン監督作品ですが、本作は地味な小品ながら、その中でも特によいです。ニューヨークの街並みがすごく美しく撮られています。基本構造は、エキセントリックな女性に振り回される男性の話というありふれたものですが、「人生の秘密」がきちんと描かれていれ、こじんまりとしていながら奥深い作品です。しみじみとした切なさとおかしさの余韻が残ります。ウディ・アレンが脇にまわって、主人公の歳を取った変な友人を怪演しているところもいいです。少し細めになったヒロインのクリスティーナ・リッチが身体を張って好演しています。当時70歳近いウディ・アレンが20代前半の男女の関係を巧みに描いているところに感心します。

26 こちらはよくも悪くも大作です。2作目で登場人物の紹介が必要ない分、スピーディーにストーリーが展開されるところはよいです。トランスフォーマーのCGシーンは、見慣れたためか1作目ほどの衝撃はなかったですが、迫力満点です。人間のキャラが立っている(特に、ジョン・タートゥーロ演じる捜査官がよかった)反面、悪役も含めてトランスフォーマー側(宇宙人に個性は不要かもしれませんが)のキャラ立ちが弱い気がしました。上映時間が長い割には、最後の敵があっけなく負けますし、人間ドラマとアクションのバランスが少し悪い気がします。個人的には爽快感が感じられるアクションシーンをもっと観たかったです。

27 ジェイソン・ボーン シリーズ第3弾であり完結編。このシリーズは3作ともだれることなく、一気に展開していて脚本が本当に面白いです。シリーズを通して世界の各都市での追跡シーンが見所の一つですが、本作ではモロッコの迷路のような街並みを巧みに活用し、派手な銃撃戦はないものの、リアリティある緊迫した場面に仕上げています。これまでの作品で張った伏線を、さりげなく繰り返しつつ巧みに回収しているところも上手です。ストーリー展開が難しすぎず、やさしすぎず、適度に意表をつきながら落ち着くところに収まる、「ちょうどいい」難易度が観ていて心地よいです。もっと評価されていい(少なくとも「パイレーツ・オブ・カリビアン シリーズ程度)傑作だと思います。お勧め。
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2011年新聞・テレビ消滅

2009-08-03 07:14:50 | Weblog
■本
60 2011年新聞・テレビ消滅/佐々木 俊尚

 意識的にやられているのだと思いますが、新聞・テレビに対して非常に挑発的な文体で書かれています。マスメディア業界の知人の発言についての揚げ足取り的な記述も散見され、こんなことを書けば筆者は友達をなくすのでは、と他人事ながら心配になるほどでした。書かれている内容は目新しいところは少ないですが、新聞・テレビのメディア価値の低下の根拠が豊富な事例をもとに丁寧に書かれています。「消滅」とつくタイトルといい、ここまでセンセーショナルに煽らなくても十分売れる本だとは思いますが、この点は内容よりもタイトルでアテンションが左右される、ネットコンテンツの悪い影響を受けているのかもしれません。このネタの賞味期限も終わりそうだから、今のうちに煽って本を売っておけ、という筆者や編集者の思惑が見えすぎて若干辟易しますが、筆者なりの新聞・テレビの生き残り策も提示されていますので、マスメディア業界の方々も前半で怒って読み終えずに、最後まで読まれることをお勧めします。もっとも、この分野では他に読むべき本はあるとは思いますが。
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