本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

The Songs of Carole King

2013-10-27 06:50:42 | Weblog
■本
93 インバウンドマーケティング/高広 伯彦
94 不安を楽しめ! ドン・キホーテのピアス16/鴻上 尚史

93 手っ取り早く「インバウンドマーケティング」とは何かを知るにはよい本だと思います。ただ、いろんなところで公開されているWEBの情報以上のものはありませんので、PCのモニターでの情報収集に違和感の感じない方は改めて書籍として読む必要はないかもしれません。後半の実践編も参考にはなりますが、こちらも独自のノウハウというわけではなくて、SEOも含めた既存WEBマーケティングの復習的な要素なので同様です。

94 鴻上尚史さんの連載エッセイをまとめた単行本の最新刊です。東日本大震災の時期をはさんでいるので、震災や原発にかかわるシリアスで政治的な内容が多いです。また、「ネットとメディア」、「『空気』と『世間』」や「クールジャパン」といった鴻上さんのここ最近のお得意のネタも多いですが、個人的には創作に関わる記述が興味深かったです。不完全でも「とにかく完成させる」という考え方は、言われてみればその通りなのですが、これまで意識したことがなかったので新鮮でした。不完全さに負けて途中で挫折するよりも、書けないところはいったん保留して先に進み、曲がりなりにも全体が完成してから細部を熟考するという考え方は、ネット時代のベータ版の考えかたとも相性がよいと思いました。


■CD
88 The Songs of Carole King/Carole King

 全74曲で1000円以下の値段という魅力的な価格に惹かれて購入しました、もちろんCarole Kingの楽曲は大好きで、超名盤「Tapestry」は、月に数回は必ず聴きます。本作は、Carole King自身で歌っている楽曲も収録されてますが、基本的には他人に提供した楽曲が中心で、ソロの内省的な雰囲気とは異なり、大ヒット曲「THE LOCO-MOTION」など、外に開かれたポップソングが満載で懐かしくも楽しい気分になれます。全曲3分以下で、シンプルで潔く終わるところも気持ちよいです。


■映画
67 自虐の詩/監督 堤幸彦

 原作4コマ漫画が素晴らしすぎるので、どうしても比較してしまい違和感のある部分も多いですが、それでもかなりの力作だと思います。特に、唐突に挟み込まれる回想シーンに違和感を感じましたが、冷静に考えるとあの原作を映像化するにはこの手法しかないような気もして、制作側の工夫の跡も垣間見られます。主人公を演じた中谷美紀さんの熱演も光っていて、エロティックな描写やドラック中毒の過去を演じるなど、これまでのイメージを壊しかねないリスキーな役を丁寧に演じられていて魅力的でした。阿部寛さんもちゃぶ台をひっくり返しまくる無口な亭主役を、コミカルさとシリアスさの絶妙な配合の中で好演されています。それらの好演にもかかわらず、このキャラクターを演じるにはお二人ともきれい過ぎますし、格好よすぎます。商業面を考えると客を呼べるメジャー俳優を起用しないといけないのでしょうが、それなら、そもそもこの原作をメジャーな映画として制作すべきだったのか、という疑問が残ります。スタッフの原作への愛情が感じられるよい作品だけに、一層この疑問を強く感じてしまいました。原作を読んだことのない方は是非観てください。そして原作も読んでみてください。
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二度寝で番茶

2013-10-20 06:28:24 | Weblog
■本
91 アップル帝国の正体/後藤直義、 森川 潤
92 二度寝で番茶/木皿 泉

91 ここ最近、Amazon、google、facebookに関する本を読んできたので、今度はアップルについての本を読みました。アップルの隆盛と日本企業の停滞とが対比的に描かれています。アップルの卓越したデザイン力、商品開発力ではなくて、その泥臭くもえげつないモノづくりにおけるオペレーションとコスト削減の取り組みを中心に取り上げられている点が新鮮ですし、その効率化に翻弄される日本企業の悲哀もこれまでになかなか明らかにされてこなかったので勉強になりました。これまで、日本のメーカー、キャリア、小売ともアップルにやりたいようにやられてきましたが、iphoneによる成長もゆるやかになるなか、その力関係が微妙に変化しつつあることにも触れられていて、その点が日本企業のかすかな希望でもあります。アップルも注目した日本企業の技術力はやはり卓越したものだと思いますので、そのうまみが海外企業に収奪されるのではなく、日本企業の成長に寄与できるように、リーダーシップと構想力のある企業の登場が望まれているのだと思います。

92 いまさらながら夫婦脚本家、木皿泉さんの作品にはまっています。脚本、小説ときて今度はお二人の対談形式のエッセイを読みました。創作に対してストイックで勝気な奥さま(かっぱさん)とそのかっぱさんをゆるーく温かく包みながらも時にどきっとするような鋭い一言を発する旦那さま(大福さん)のそれぞれのキャラクターが垣間見れて興味深いです。さまざまな苦難を共にしたお二人の愛情の濃さのようなものも伝わってきて、その凄味にも圧倒されます。脚本や小説と同様に、物事のとらえ方が少し変わるような示唆に富んだフレーズも満載です。特に「わかりあえなくても、お互い親切にすることはできるわけですから」「大福ちゃんのことは、私の『趣味』だと思うようにしているので評価できない」、「人間は死ぬよりも怖いものをつくっておかないとダメです」などのコメントが個人的には強く印象に残りました。


■CD
84 Fun House/The Stooges
85 Very Best of/Little Richard
86 Captain Fantastic & Brown Dirt Cowboy/Elton John
87 At Last!/Etta James

84 様々なアーチストが影響を受けたとされる大傑作。名曲「1970」に象徴されるように、荒々しさと洗練さのバランスが絶妙です。地下のライブハウスで聴いているかのような音の臨場感も最高でとにかく圧倒されます。賢い人が狂ったふりをしているわけではなく、本気で自己の持つ狂気と格闘していますが、それでも「知性」が感じられるところに凄みを感じます。

85 2枚組が激安だったので購入しました。なるほど、ビートルズに多大な影響を与えたことも納得のクオリティの高いポップソングが満載です。2分程度の短い曲がたたみかけるように連なるので聴いていてとても心地よいです。いろんなものがどんどん複雑になっていく中で、このシンプルさはかえって新鮮です。さすがに50年以上、聴き続けられるだけのことはあります。

86 「Goodbye Yellow Brick Road」と並びElton Johnの最高傑作と評される作品です。ド派手なジャケットに反して、穏やかな渋い曲を連ねたコンセプトアルバムとなっています。前半の山場は「Someone Saved My Life Tonight」、Elton Johnの楽曲の中で、最も優しい曲の一つで心が温まります。最後の「Curtains」も壮大に歌い上げる美しい曲です。アナログ盤時代のA面、B面を意識した非常によく練られた構成です。そういう意味では復刻版はボーナストラックが3曲入ってますが、それは別物と理解し、個別に楽しむ方がよいかもしれません。楽曲の幅広さやキラーチューンの質で言えば「Goodbye Yellow Brick Road」の方が上ですが、アルバムトータルとしての完成度は本作の方が間違いなく高いです。何度聴いても新たな発見があり優しい気持ちになる素敵な作品です。

87 あまりよく知らないアーチストなのですが「The Rolling Stone Top 500 Albums (2012 Edition)」で119位(ちなみに、Janis Joplinの「Pearl」が125位です)ということで聴いてみました。一説によるとJanis Joplinも影響を受けたということで、ゆったりとした楽曲の中でのドスの聴いた歌声は、なるほど、Janis Joplinへの影響が伺えます。ドスの聴いた声だけでなく、声の表情がとても豊かでヴォーカリストのアルバムを聴いたという満足感が得られます。
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昨夜のカレー、明日のパン

2013-10-14 09:31:17 | Weblog
■本
89 昨夜のカレー、明日のパン/木皿泉
90 フェイスブック 若き天才の野望/デビッド カークパトリック

89 名作ドラマ「すいか」の脚本家、木皿泉さんの連作短編集。各短編の登場人物が重なり合っていて、読み進むにつれてそれぞれのキャラクターの関係が明らかになっていますが、そこにドラマティックなどんでん返しや秘密が明らかにされるわけではなく、淡々とじんわりと染み入る話が連なっています。「すいか」のお盆の回のようがファンタジー的要素の作品もあり、既成概念の枠組みにこだわらないこの筆者の特徴がよくでています。各登場人物がそれぞれの喪失感を持っていますが、それも含めた人生全体に対する肯定感から元気がもらえます。

90 ソーシャルネットワークサービス「フェイスブック」をその創業者でありCEOでもあるマーク・ザッカーバーグを中心に描いたノンフィクションです。マーク・ザッカーバーグ自身に加え、ナップスター創業者でありフェイスブック立ち上げ時の協力者でもあるション・パーカーを筆頭にどの登場人物も個性的で、単純に読み物としても抜群に面白いです。インターネットが進化していく中での「フェイスブック」の位置づけや、現COOで元グーグルの副社長であったシェリル・サンドバーグ入社後のマネタイズの検討過程なども詳細に語られていて、単にフェイスブックの理解が深まるだけでなく、ネットビジネス全体に対する示唆もたくさん得られるよい本です。アマゾン、グーグルの創業者の本を読んだときにも感じたのですが、「とりあえずやってみる」情熱に支えられた行動力と、長期的に視野にたった戦略眼が非常に重要であることが学べます。


■CD
82 Crimson / Red/Prefab Sprout
83 Transmissions from the Satelli/Flaming Lips

82 1曲目からテンション高めのキラキラしたサウンドで引き込まれます。ヴォーカルのパディ・マクアルーンの声がとにかく若々しくて56歳とはとても思えません。過去の作品の仲では「ヨルダン:ザ・カムバック」に近い雰囲気で、ジャケットとタイトルはredですが、青臭いドポップな作品です。前作はピップホップ的要素、前々作はカントリー的要素を入れた変化球的な曲もありましたが、本作は「これぞプリファブ・スプラウト!」というドラマティックでドリーミーなポップソング満載の傑作です。

83 大傑作「Soft Bulletin」の2つ前の作品です。「Soft Bulletin」での楽曲のクオリティの高さを予感させつつ、本作ではロウ・ファイなチープな脱力感が魅力的です。この時期の方が、センスの高さとゆるーい脱力感がほどよいブレンドでFlaming Lipsが独特の存在感を発していた時期とも言えるかもしえません。緊張感なく気楽に音楽の楽しさを味わえる作品です。


■映画
66 少年H/監督 降旗康男

 メリハリの効いた手堅い演出のよくできた平均点以上の作品だと思います。過度に悲観的になることなく、戦争の悲惨さ残酷さ理不尽さも巧みに描かれていて、少年Hの未来と日本の復興を予言させるようなポジティブなエンディングも素敵です。お父さん役の水谷豊さんも強さと弱さを合わせ持った誠実なキャラクターを見事に演じられています。にもかかわらず、主人公の少年があまりにも強くて正しすぎる点に、ストーリーとしての物足りなさを感じました。一言多いために先生から不当な暴力を受けたり、友人との軋轢が生じたりしますが、葛藤なく「正しいこと」を言い続ける人間特有の嫌味と不自然さが感じられます。葛藤しながら清濁併せ呑みつつ生きていく、大人の代表である父親との対比としてとらえることもできると思いますが、それにしても主人公の少年があまりにも素直で清く正しく描かれ過ぎている点に不自然さを感じました。原作が自伝的小説なので仕方のないのかもしれませんが。
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グーグル ネット覇者の真実

2013-10-07 05:45:26 | Weblog
■本
88 グーグル ネット覇者の真実/スティーブン・レヴィ

 二人の青年が創業した当初から、すさまじい勢いで成長し大企業となりさまざまな問題を抱えるに至った2011年ごろまでのグーグルを描いたノンフィクションです。情報の量と質の両面で非常に充実していて、グーグルのことを知るにはとてもよい本です。クロームやアンドロイドに象徴される技術のオープン性とその一方での検索アルゴリズムなどの徹底した秘密主義、世界をよくするという青臭いまでの理想主義と中国での検閲問題やプライバシー問題を軽くみる姿勢といったグーグルが持つ力と比較してのモラルの危うさ、などこの企業の持つ相反する要素をリスペクトはしながらも、ニュートラルに描かれているのが好ましいです。ベンチャー企業設立当初の熱狂と混乱、成長過程での成熟と官僚化、大企業となった後の周囲からの恐れと社内のリスク回避姿勢、など、ベンチャー企業のそれぞれの過程での魅力や問題を学ぶケーススタディとしても秀逸だと思います。かなりの大著で固有名詞もたくさん出てきて読むのに苦労しますが、単純にベンチャー企業に情熱を捧げた青年達の群像劇として読んでも滅法面白い本です。


■CD
81 Mechanical Bull/Kings of Leon

 前作「Come Around Sundown」は土臭い作品でしたが、本作はポップでスタイリッシュだった前々作「Only By the Night 」とのちょうど中間のような、骨太さとモダンさが絶妙にマッチした作品になっています。疾走感溢れる力強いロックチューン満載です。サウンドと同様にヴォーカルの声も癖が減った感じでとても聴きやすいです。その「聴きやすさ」このバンドの持つ独自性が減ったともとらえることができ、そのあたりで評価が分かれるかもしれません。


■映画
64 50回目のファースト・キス/監督 ピーター・シーガル
65 怪盗グルーのミニオン危機一発/監督: ピエール・コフィン、 クリス・ルノー

64 ギャグが若干下品過ぎるところが気になりますが、「記憶障害の女性との恋愛」というコメディで扱うにはデリケートな題材を、後味のよいロマンティック・コメディとして仕上げた手腕は素晴らしいと思います。ハワイの美しく雄大な自然がバックなためか、普段は気になるアダム・サンドラーやドリュー・バリモアの大味な演技もとてもチャーミングに思えます。80年代にヒットした楽曲の使い方も巧みでハワイ風のゆったりとしたアレンジが作品にマッチしています。

65 非常によくマーケティングがなされている印象の作品です。主役のグルーよりも前作で人気のあったミニオン(怪盗グルーの手下の謎の黄色の生き物)のキモかわいさが全開の作品でとても楽しめます。ギャグの質量ともすばらしく、全編笑いっぱなしでした。CGアニメらしいダイナミックな映像も満載で、最後にお約束の感動もあり、大ヒットも納得の傑作です。
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