本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

こころの読書教室

2014-06-29 08:22:29 | Weblog
■本
60 知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代/田坂 広志
61 こころの読書教室/河合 隼雄

60 途中から著者のこれまでの著作の宣伝のような展開になり、知性を磨くために知りたい内容の掘り下げが甘く(要するに、もっと詳しく知りたければそれらの本を読め、ということです)、いくぶん欲求不満になりますが、書いてあることは説得力があり、著者の地頭のよさが強烈に印象に残ります。「知能」と「知性」の違いや「知識」と「知恵」の違いなど、似たような言葉の相違点を説明することにより、物事の本質をあぶりだす力に長けています。特に「割り切り」と「腹決め」の違いの部分(意思決定者の覚悟の有無がその違いと私は理解しました)が、個人的にはとても腹に落ちました。あまり好きなタイプの本ではないですが、いろんな気づきが得られる本だと思います。

61 こちらは語り口、内容とも大満足の一冊。河合隼雄さんがお勧めの本を紹介してくれながら、人間の深層について(そのわからない点も含めて)教えて下さる本です。小説だけでなく、児童書や哲学、学術書まで選ばれている本も多岐に渡っていて興味深いです。河合隼雄さんの本を読んでいるといつも感じるのですが、複雑なものを単純化せずに、目先の良し悪しに左右されず、根気強く気長に人生のさまざまな問題に取り組んでいけそうな不思議な勇気がわいてきます。


■映画
42 NANA2/監督 大谷健太郎
43 R100/監督 松本人志

42 1作目と比べてどうしてもキャスト変更によるクオリティの低下が気になります。市川由衣さんは可憐で悪くない女優だと思いますが、宮崎あおいさんが1作目で作ったハチのイメージを上回ったり、覆したりできるほどの演技を期待するのはやはり酷だと思います。クライマックスの新宿ロケにお金を使いすぎたのか、キャストだけでなく全体的につくりの雑さが目立ちます。原作が完結していないので仕方が内面もありますが、結末も取ってつけたような感じで、脚本の安直さも気になりました。

43 これまでの松本人志さんの映画作品をそれなりに評価していた私にとっても、この作品は観ていてつらかったです。100歳を超えた映画監督が撮影した作品の試写会の様子を描く(それが「R100」というタイトルにつながってます)、という二重構造を持つ作品で、作品中の登場人物がこの劇中映画を酷評していることからも、この劇中映画がそれだけでは鑑賞に耐えるものではないということが、松本さんにもわかっていたはずなのに、そのつまらない作品を爆笑に転化させるための工夫と言うか、魔法に欠けていた気がします。発想は相変わらず常人の想像力を超えるすさまじいパワーを持っているのに、それをプラスの方に持ってこれなかったのが残念です。個人的には二作目の作品「シンボル」で好きだった最後の哲学的な展開も、この作品では成功していない気がしました。松本人志さんの大ファンとしては才能の枯渇というよりも、その大きな才能の制御の方に問題あったと理解したい作品です。少なくとも太鼓持ち放送作家の方々とは決別した方がよいような気がしました。
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伸ばす力 レヴィー・クルピ 世界で輝く「日本人選手」育成レシピ

2014-06-22 07:58:34 | Weblog
■本
58 「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方/岩田 松雄
59 伸ばす力 レヴィー・クルピ 世界で輝く「日本人選手」育成レシピ/レヴィー・クルピ

58 オーソドックスないわゆる「リーダーシップ論」について書かれた本ですが、筆者の岩田さんが、「ザ・ボディショップ」や「スターバックス」の日本法人のCEOを勤めたご経験に基づいた発言なので、地に足が着いていて説得力があります。複数の会社で経営に携わり成果を上げてきた方の言葉なので反論のしようもないですが、従来の「リーダーシップ論」のまとめ的な印象が強く、新しい発見があまりなかった点が若干物足りませんでした。でも、リーダーシップに必要なことは意外とシンプルで、だからこそ実行が難しいのだと思います。

59 香川真司選手を見出し、柿谷曜一朗選手をFWとして覚醒させた名伯楽、元セレッソ大阪監督のレヴィー・クルピ監督の育成論兼自伝的な本です。自慢話か選手の裏話中心の本だと読む前は思っていましたが、いい意味で予想に反して真っ当な「育成論」が展開されています。日本サッカー界への提言もあり読み応え抜群です。「夢→規律→成功」という成功するためのプロセスは、サッカー選手だけでなく、あらゆる人に当てはまると思います。子どもにも読ませたいよい本です。


■CD
29 Homecoming/America

 なんといっても1曲目の「Ventura Highway」のイントロが爽やかで印象的な作品です。「A Horse with No Name」や「Sister Golden Hair」といった超ビッグヒット曲はないものの、全体的に佳曲そろいです。美しい夕暮れを思わせるような切ないサウンドが心地よいです。


■映画
40 トゥームレイダー/監督 サイモン・ウェスト
41 トゥームレイダー2/監督 ヤン・デ・ボン

40 若干スケール感に欠ける「インディ・ジョーンズ」といった趣の映画ですが、登場人物のキャラが立っていて、細かい小道具やアクションの見せ場も多く、普通に面白いアドベンチャー映画だと思います。ストーリーは超現実過ぎていくぶん破綻している気がしますが、まあ、許容範囲です。主人公ララ・クロフトを演じるアンジェリーナ・ジョリーは、この頃が瑞々しく一番魅力的だと思います(この作品後どんどんゴージャスな感じになってきますが、なんか人工的な美で個人的には怖いです)。6代目ジェームズ・ボンドでブレイク前の若き日のダニエル・グレイクも出演していて、セクシーな悪役を魅力的に演じています。総じて楽しめました。

41 前作よりいっそうストーリー展開がハチャメチャです。前作は亡き父への思いが主人公の原動力になっていますが、本作はララ・クロフトの行動のモチベーションがあまりよくわからず、行き当たりばったりに行動している印象です。ギリシャ、中国、アフリカと次々と舞台を変えスケール感を出そうとしていますが、そこにもあまり必然性を感じません。前作ではそれなりに活躍したララ・クロフトを支える2人の仲間(執事とハッカー)の存在感が希薄で、代わりに元恋人を登場させていますが、そのためにチープなメロドラマ的展開になっているのも残念です。
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闇の中の男

2014-06-14 16:58:06 | Weblog
■本
56 闇の中の男/ポール・オースター
57 メディアの苦悩/長澤 秀行

56 今年は次々にポール・オースターの作品が翻訳されてうれしいです。前作「写字室の旅」は過去のオースター作品の主要人物が再登場するメタ的要素が強い変化球な作品だっただけに、9.11後のアメリカをテーマにした本作は、久しぶりにまっとうなオースター作品を読んだ気がします。初期から中期のオースター作品は救いのないストーリーは救いのないまま終わることが多かったのですが(そのクールさが魅力的でもあったのですが)、本作は悲惨なエピソードが続く中にもどこかコミカルさや優しさが感じられ、前々作「ブルックリン・フォリーズ」にも通じる、いろんな失敗や失望を繰り返して老いてしまっ人々への共感が伝わってきます。一方で、ブッシュ元大統領やその周辺の人々への批判はすさまじく、オースターの現代作家としての矜持も感じられます。

57 元電通デジタル・ビジネス局長による、各メディア主要人物へのインタビュー集です。インタビューの形式を借りつつも、「ネットメディアはその信頼性を担保する仕組みを構築しないといけない」という筆者の強い主張が伝わってきます。新聞、テレビから、ニコ動やハフィトン・ポストの関係者まで幅広くメディア関係者をインタビューされているので、それぞれのメディアの置かれている状況や課題を俯瞰的に理解するには役に立ちます。その一方で、これだけの魅力的な方々の貴重な発言がつまみ食い的に収録されているので、議論の掘り下げが不十分で、少し物足りなさを感じてしまいます。


■CD
28 Lazaretto/Jack White

 相変わらずの格好良さですが、Jack Whiteの特徴である衝動的な荒々しさに加え、各楽曲のアレンジがとてもよく練りこまれている印象です。シンプルな楽曲が多いですが、印象的な楽器の音が随所に挟み込まれていて、耳にも心地よく聴いていて楽しいです。


■映画
39 舟を編む/監督 石井裕也

 本屋大賞受賞作の映画化作品です。辞書の編纂という地味な題材ですが、膨大な時間をかけて一つのことを成し遂げる人々の尊さが伝わってくるよい作品です。主人公を演じる松田龍平さんとその奥さん役の宮崎あおいさんの演技がやはり素晴らしいです。二人とも抑えた感じの静かな演技に徹していますが、それでも情熱や愛情といった強い感情が画面から伝わってきます。おそらく、原作小説では他のキャラクターも掘り下げて魅力的に描かれていると思いますので、そちらも読んでみたくなりました。
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資本主義の終焉と歴史の危機

2014-06-08 10:07:50 | Weblog
■本
53 ~編集者のように考えよう~ コンテンツマーケティング27の極意/レベッカ・リーブ
54 資本主義の終焉と歴史の危機/水野 和夫
55 広告ビジネス次の10年/横山 隆治、 榮枝 洋文

53 最近バズワードとなりつつある「コンテンツマーケティング」のノウハウが書かれた本です。以前に読んだ同種の本「オウンドメディアで成功するための戦略的コンテンツマーケティング」と比べると事例が豊富な点がよいです。翻訳本の宿命で若干事例が古い点が少し残念ですが、日本の事例でその点は少し補われています。基本的なことから丁寧に書かれているので、デジタルマーケティングの知識のある方はくどい印象を持たれるかもしれませんが、復習も兼ねて読むとよいかもしれません。

54 資本主義は高い利潤を求めて搾取できるフロンティアを求める宿命を持つが、グローバリゼーションの進展により物的空間でフロンティアがなくなりつつあるだけでなく、もう一つのフロンティアと期待された電子・金融空間もリーマンショックに見られるように、バブルが弾け拡大の余地がなくなる状況から、資本主義の終焉を予言した本です。フロンティアとは利潤を得るための格差が存在する空間なので、そのフロンティアが新たに見つからない以上、既存空間で格差を作るしかなく、各国で格差が広がることも資本主義が続く限り必然的とされています。書かれている内容はとてもロジカルで腹落ちします。ただ、資本主義の終焉をソフトランディングさせるために必要な「成長しない世界」を我々が頭では理解できても、感情的に納得できるかが課題なような気がしました。月並みな表現で恐縮ですが我々の「価値観の転換」が先か、「資本主義の終焉」が先かの綱渡り的状態がここ数十年続くと思います。「資本主義で豊かになれる定員は全体の15%」という内容なども衝撃的で、残された時間があまりない中、いかに痛みを分かち合うか、がまずます問われそうです。

55 タイトル通り広告ビジネスの現状を分析し、今後を占う本です。デジタル化と国際化が進展するこの業界で、広告パーソンに今後必要なスキルを問う本は多いですが、それだけでなく、広告業をビジネスとしてとらえ、海外大手広告代理店の戦略や電通の海外展開を分析・評価されている点が新しくて参考になります。「広告マンの8割はいらない」とうセンセーショナルな帯で、アジテーター的なチープな本かという印象を読む前は持っていましたが、意外と骨太な議論がされているよい本だと思います。海外トレンドもとてもよく調査されていて、著者が広告ビジネスに多大な愛を持っていることもよく伝わってきます。
 

■映画
38 ナルニア国物語 第3章: アスラン王と魔法の島/監督 マイケル・アプテッド

 前作、前々作の記憶があまり残っていなかったのですが、それなりに楽しめました。嫌ないとこ役が、典型的な小心者をコミカルに演じよい味を出していました。ストーリー的には、原作で印象的な場面をダイジェスト的に取り上げたかのような、細かいエピソードの積み重ねという感じで、いくぶん盛り上がりには欠けた気がします。世界観を見事に表現したファンタジックな映像は、相変わらず素晴らしいですが、1、2作目ほどの大作感はなくなっています。
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ナマで踊ろう

2014-06-01 10:09:32 | Weblog
■本
51 アルゴリズムが世界を支配する/クリストファー・スタイナー
52 鈍感力/渡辺 淳一

51 アルゴリズム(物事を処理・解決する手順と私は理解しました)が世界に与える影響を解説した本で、抜群に面白いです。裁定取引で効率的に儲けるためにウォールストリートで発達したアルゴリズムが、IT業界だけでなく、音楽業界や医療の世界までその影響範囲を広げていく様子がスリリングにかつ残酷に語られています。個人的にはヒット曲の要素をアルゴリズムにより判定する仕組みが実用化されている、音楽業界のパートが最も興味深かったです。アウトキャストの「ヘイ・ヤ!」のような斬新なヒット曲が、過去のヒット曲を解析したアルゴリズムでは作れない、など人間の能力に敬意を払っているところもよいです。アルゴリズムに何ができて何ができないか、を冷静に分析しているだけに、アルゴリズムができる領域がどんどん拡大していくことの脅威がより実感されます。

52 渡辺 淳一さんの本は小説もエッセイも読んだことがなかったのですが、追悼の意味もこめて、このベストセラー作品を読みました。書かれている内容はさほど目新しくはないですが(健康面でも仕事面でも、細かいことにくよくよしない方がよいという内容です)、医師としての経験や渡辺さんらしい若干のエロティックさが独特の味わいとなっています。頭ではわかっていてもどうしても気にしてしまうのが、鈍感力が備わっていない私のような人間の性ですが、こういう幸せな人もいるということを知る意味では有益だと思います。


■CD
25 Unplugged 1991/2001/R.E.M.
26 ナマで踊ろう/坂本慎太郎
27 Dark Side of the Moon/The Flaming Lips

25 R.E.M. のMTVアンプラグドでの演奏を収録した作品です。1991年と2001年の演奏が収録されています。キラーチューンは少なめでどちらかと言えば地味な曲が多い印象ですが、それだけに、R.E.M. の安定した地力のようなものが実感できます。また、マイケル・スタイプの声の魅力を堪能できます。アコースティックサウンドをバックに、耳元で語りかけられるような彼の歌声が癖になります。

26 ジャケットの印象そのままの世紀末的で退廃的なサウンドです。前作からさらに、不気味さと混沌さが増しています。にもかかわらず、サウンドはコネタも含めてとても軽快で楽しく、独特のネガティブな歌詞と合わさるとますます混乱してしまいます。でも、これらの違和感が不思議と気持ちよいです。聴いていると、どんどん脱力してやる気がなくなってくるのですが、なぜか少しポジティブな気持ちにもなる不思議な作品です。当分はまりそうです。

27  Pink Floydの超名盤「Dark Side of the Moon」をフレーミング・リップスが全コピーした作品です。ピンクフロイド×フレーミング・リップスということで、もう少し難解で癖のある作品をイメージしていましたが、エレクトリックでノイジーな味付けがされているものの、予想以上に聴きやすく仕上がっています。


■映画
37 X-MEN: ファースト・ジェネレーション/監督 マシュー・ヴォーン

 X-MENシリーズの前日譚的位置づけで、マグニートーとプロフェッサーXの友情と対立の背景が描かれています。主要キャラの過去の説明が中心ですが、これまでの作品の空白部分を埋める感じで納得感が高く、このシリーズを観たことがある人には特にお勧めです。かなりご都合主義ですが、キューバ危機とからめたストーリー展開の巧みさもあって楽しめました。ジェニファー・ローレンス演じる若いミスティークがいい感じで場末感があってよかったです。
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