■本
37 世界は経営でできている/岩尾 俊兵
38 ポジティブ・シフト/キャサリン・A・サンダーソン
37 基本的には昔流行った「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のように、ドラッカーの教えをエッセイ形式でわかりやすく教えてくれる本だと思いますが、シニカルな文体も含めて私好みの内容で、多くの気づきが得られた素晴らしい本です。強くお勧めします。経営の「価値創造」(自分だけでなく関係者全体が得をする)の側面を強調し、その目的よりも手段を重んじることにより生じる、日常の様々な局面(家庭、恋愛、就活、職場などなど)での滑稽さを皮肉りつつも、その問題を克服し、それこそ価値創造を行うためのポジティブな示唆を与えてくれます。個人的には、「人間の労力や時間のほとんどは ~ 無意味な『作業』ないし『運動』で費やされている」と喝破されている点が痛快でした。企業としての「顧客」を見誤り、価値創造を阻害するような無駄なルールや手続きに私も日々憤りを感じているので、この種の訴えは職場でも続けていきたいと思いました(なかなか難しいことですが)。結局は価値を生み出すために、何が重要なのかを問い続けることが大切なのだと思います。ふんわりとした「空気」や一時の感情に流されないようにしたいとも思いました。縮みゆく日本で、価値を有限なものと捉えたパイの奪い合いよりも、無限の価値創造に注力すべし、という熱いメッセージにも刺激を受けました。
38 引き続き「ポジティブ心理学」の本を。先週読んだ「ポジティブ心理学の挑戦」よりもはるかにわかりやすく、目標を設定する、良質な人間関係を構築する、感謝をする、他人と比較しない、自然に親しむ、運動をする、十分に睡眠をとる、他人に親切にする、物よりも経験に価値を置く、など幸せで健康的な人生を送るために必要なマインドセットや習慣を、科学的な裏付け(眉唾なものもありますが)を元に教えてくれます。この種の本にありがちな押しつけがましさや自慢話が少ない点も好感が持てました。こうやれば幸福や健康になれるとわかっていても、そうできないのが人間の性ですが、筆者も述べているように「自分に合った具体的な実践法を追求」するのが良いと思います。知っていて損はない知識が学べる、良い本だと思います。
■映画
38 舞妓はレディ/監督 周防 正行
日本のミュージカル映画はどうしても違和感(現実と非現実の切り替えが私はうまくできません)があるのと、周防監督はオリジナリティのある優れた監督だとは思いますが、私の感覚と少し合わないので、可もなく不可もなくといった印象の作品です。それでも、芸舞妓さんの文化をわかりやすく伝えつつ、その優れた技術の背後にある努力が丁寧に描かれている点は評価できると思います。お茶屋は一種のテーマパークなのだと思いました。洗練されたおもてなしの個別カスタマイズの必要性から、「一見さんお断り」にして、あえて敷居を高くしていることや、非日常空間の演出のために京ことば用いているという説明は説得力が高かったです。上白石萌音さんの初々しい演技は素晴らしいですし、脇を固める豪華俳優陣の安定感も抜群です。これといった欠点が見つからないのに、この作品をそれほど好きにはなれないのは、大阪人である私が京文化に今ひとつ好感が持てないのと同様に、周防監督の芸風に過度の「意識の高さ」を感じるためなのかもしれません。そういう意味では、私がお茶屋遊びに魅力を感じないように、この作品を楽しめるレベルにまで成熟していないだけなのかもしれません。
37 世界は経営でできている/岩尾 俊兵
38 ポジティブ・シフト/キャサリン・A・サンダーソン
37 基本的には昔流行った「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のように、ドラッカーの教えをエッセイ形式でわかりやすく教えてくれる本だと思いますが、シニカルな文体も含めて私好みの内容で、多くの気づきが得られた素晴らしい本です。強くお勧めします。経営の「価値創造」(自分だけでなく関係者全体が得をする)の側面を強調し、その目的よりも手段を重んじることにより生じる、日常の様々な局面(家庭、恋愛、就活、職場などなど)での滑稽さを皮肉りつつも、その問題を克服し、それこそ価値創造を行うためのポジティブな示唆を与えてくれます。個人的には、「人間の労力や時間のほとんどは ~ 無意味な『作業』ないし『運動』で費やされている」と喝破されている点が痛快でした。企業としての「顧客」を見誤り、価値創造を阻害するような無駄なルールや手続きに私も日々憤りを感じているので、この種の訴えは職場でも続けていきたいと思いました(なかなか難しいことですが)。結局は価値を生み出すために、何が重要なのかを問い続けることが大切なのだと思います。ふんわりとした「空気」や一時の感情に流されないようにしたいとも思いました。縮みゆく日本で、価値を有限なものと捉えたパイの奪い合いよりも、無限の価値創造に注力すべし、という熱いメッセージにも刺激を受けました。
38 引き続き「ポジティブ心理学」の本を。先週読んだ「ポジティブ心理学の挑戦」よりもはるかにわかりやすく、目標を設定する、良質な人間関係を構築する、感謝をする、他人と比較しない、自然に親しむ、運動をする、十分に睡眠をとる、他人に親切にする、物よりも経験に価値を置く、など幸せで健康的な人生を送るために必要なマインドセットや習慣を、科学的な裏付け(眉唾なものもありますが)を元に教えてくれます。この種の本にありがちな押しつけがましさや自慢話が少ない点も好感が持てました。こうやれば幸福や健康になれるとわかっていても、そうできないのが人間の性ですが、筆者も述べているように「自分に合った具体的な実践法を追求」するのが良いと思います。知っていて損はない知識が学べる、良い本だと思います。
■映画
38 舞妓はレディ/監督 周防 正行
日本のミュージカル映画はどうしても違和感(現実と非現実の切り替えが私はうまくできません)があるのと、周防監督はオリジナリティのある優れた監督だとは思いますが、私の感覚と少し合わないので、可もなく不可もなくといった印象の作品です。それでも、芸舞妓さんの文化をわかりやすく伝えつつ、その優れた技術の背後にある努力が丁寧に描かれている点は評価できると思います。お茶屋は一種のテーマパークなのだと思いました。洗練されたおもてなしの個別カスタマイズの必要性から、「一見さんお断り」にして、あえて敷居を高くしていることや、非日常空間の演出のために京ことば用いているという説明は説得力が高かったです。上白石萌音さんの初々しい演技は素晴らしいですし、脇を固める豪華俳優陣の安定感も抜群です。これといった欠点が見つからないのに、この作品をそれほど好きにはなれないのは、大阪人である私が京文化に今ひとつ好感が持てないのと同様に、周防監督の芸風に過度の「意識の高さ」を感じるためなのかもしれません。そういう意味では、私がお茶屋遊びに魅力を感じないように、この作品を楽しめるレベルにまで成熟していないだけなのかもしれません。