本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

スラムドッグ$ミリオネア

2009-04-26 17:07:07 | Weblog
■本
33 99.9%成功するしかけ/藤田 康人
34 クラウド/小池 良次

33 キシリトールやファイバー・デトックスブームの仕掛人の本です。食品素材会社の方なのに、エンドユーザ向けのPRの仕掛けまで考えるなど、自分の仕事に枠をはめない柔軟な思考法と行動力が参考になります。基本的には自慢話なのですが、きちんとした成果が裏付けられているだけに迫力があります。心構え次第で、自分のやりたい仕事はいくらでもできるということ(もちろん本人の素養や努力は必要ですが)に改めて気づかされ、元気が出てくる本です。ものの売れない時代にどうやって生活者と向き合うか、と言う示唆にも溢れたよい本だと思います。

34 少しブームが去った感があるgoogleですが、その最新動向がわかる本です。サービスやアプリケーションレイヤーだけでなく、インフラレイヤー(googleのさまざまな取り組みが通信事業者に与える影響、など)からもアプローチしているところが従来の類似書籍と異なった新しい視点だと思います。ソフトウエア技術力が劣る日本のIT産業がどのように競争していけばよいかについて、筆者自身の見解がきちんと書かれているところも、最新動向を紹介するに留まる本とは一線を画した価値を生んでいると思います。読む意味のある本だと思います。
 
■映画
14 スラムドッグ$ミリオネア/監督 ダニー・ボイル

 前評判どおりのパワー溢れるいい映画です。特に冒頭の子どもたちの凄まじい生命力を見て、うちの子供たちはこういう子どもたちと競争していかないといけないのか、ということを改めて認識し、子育ての責任を感じてしまいました。ストーリー自体はベタなラブストーリーと兄弟の愛憎を描いたもので、欧米や日本を舞台にしていたら、もっと平板なものになっていたと思いますが、活気溢れるインドを舞台にしたことにより、それらのベタさやご都合主義のストーリーも、力技でねじ伏せる説得力を持つから不思議です。映像や音楽も粗野でありながらどこかスタイリッシュで監督のセンスが光ります。
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新平等社会

2009-04-20 06:57:34 | Weblog
■本
31 板谷バカ三代/ゲッツ板谷 西原 理恵子
32 新平等社会―「希望格差」を超えて/山田 昌弘

31 素直に面白いです。親戚の結婚式を無茶苦茶にして訴えられるなど、信じられないような突飛なエピソードが続きます。自分の感情をそのまま表現する家族に清清しさすら感じます。ごちゃごちゃ考えずにシンプルに感情を表現して楽しく生きればよい、という気にさせてくれます。挿入される西原さんの漫画もかなりエグメです。筆者のさりげない家族に対する愛情がほっこりした読後感を与えてくれます。いろいろ大変だけど家族を持つのもいいなあと思わせてくれる本です。

32 一方、家族を持って生きていくのは大変だと深刻に考えさせられる本です。さまざまなデータや実例を用いて、極めて論理的に日本社会におけるさまざまな格差の進展状況が表現されているので、読み進むにつれて逃げ場のないような息苦しさを感じます(ほめてます)。専業主婦の妻と二人の子どもを持つ、いまや崩壊しつつあるかつての標準家庭をかろうじて維持している自分が、とてもラッキーであることと、そのラッキーさがいつ崩壊してもおかしくないこと(リストラされたらその時点で終わり、国なんて何も助けてくれません)が生々しく実感できて暗い気分になると同時に、自己防衛しなければ、という意欲が少しわいてきました。海外の事例と比較しての格差問題に対する、日本政府の無策にも憤りを感じます。


■映画
13 レッドクリフ PartI/監督 ジョン・ウー

 評判ほどは面白いとは思いませんでした。テンポのよいアクション、登場人物のキャラの立て方や二丁拳銃ならぬ二刀流や鳩など、ジョン・ウー印であることは間違いないのですが、この監督の成功作品に見られる、突っ込みどころ満載の欠点を補うだけのパワーが感じられませんでした。劉備があまりに魅力のない、ヘタレキャラとして描かれているところも、漫画の三国志の印象が強い僕にとってはネガティブファクターでした。
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赤めだか

2009-04-12 06:00:42 | Weblog
■本
29 トラウマの国ニッポン/高橋 秀実
30 赤めだか/立川 談春

29 「目から鱗」のいい本です。高橋秀実さんの本では「からくり民主主義」と並ぶ良書だと思います。主要なマスメディアとは違った視点で、日本社会の現状を伝えてくれます。特に、「地域通貨」や「「田舎暮らし」は私がマスメディアから得た認識と正反対(成功事例として取り上げられている草津でも「地域通貨」は使われていない」ということや「田舎暮らしはかえってのんびりできない」という事実)の話だったので、驚きました。強引な例えですが、マスメディアの報道がアンケートなどの定量調査だとすれば、高橋さんのルポは特定の人に焦点を当てたデプスインタビューのような定性調査のように読めばいいのかもしれません。どちらの情報が正しいか、正しくないかではなくて、複数の情報源から立体的に事実の輪郭を把握するのがよいということに改めて気づきました(もちろん一次情報に接触できるのであればそれが最も望ましいのでしょうが)。とはいえ、ゆるいタッチで書かれているので、大上段に構えずに、気楽に読んで、日本という国の奇妙さや矛盾する人間の性質などについてしみじみと考えるのがよいと思います。本の帯にあるように「抱腹絶倒ルポ」という売り方が正しいとは思いませんが、気楽な気づき(それだけに時にやるせなさも感じますが)を与えてくれる本です。

30 面白くて一気に読みました。おそらくあちこちで評価されていると思いますが、落語家らしく、リズム感のある文章が素晴らしいです。師匠の立川談志さんや一緒に修行をした仲間への愛情、怒り、嫉妬などの生々しい感情が巧みに表現されています。多くを犠牲にし、一つのことに集中して取り組み、成し遂げた人だけが得られる濃密な青春時代が描かれていて、うらやましくもあり(僕にはとても真似できませんが)感動的でもあります。それにしても立川談志さんって本当に変人なんですね。しかし、その言葉は妙に説得力があり真理を表しているような気もします。「根多が自分の人生にシンクロ」という言葉に落語の深さと凄みを感じました。


■映画
11 フロスト×ニクソン/監督 ロン・ハワード
12 おくりびと/監督 滝田洋二郎

11 ウォーターゲート事件について知っているようであまり知らないので、お勉強のつもりで観ました。ニクソン役のフランク・ランジェラの圧倒的な演技力を観るための映画ですね。なんとなく、「カポーティ」でのフィリップ・シーモア・ホフマンの演技を思い出しました。アミン大統領を演じたフォレスト・ウィテカーも高評価でしたし、アメリカ人って実在の人物のそっくりさん演技を結構評価しますよね。フロスト役のマイケル・シーンがニクソンとは対称的な軽い演技を巧みにしているところも評価できます。主演二人の安定感からかロン・ハワードのいつものオーバー・プロデュースがあまり見られないところも個人的には好きです。二人の対決は緊迫感がありエンターテインメントとしても成立していると思います。ただ、ニクソンが真実を思わず語るに至った葛藤や、フロストが私財まで投げ打ってこの企画にかけた情熱の背景が今ひとつ伝わってこないので、少し浅い印象は拭えませんでした。

12 よくできた映画ですね。「死」をテーマにしながら重過ぎないところが好きです。山崎努さんを筆頭に本木雅弘さん、広末涼子さんもいい演技をしていますし(あんなに物分りがよくて、自分で収入もある奥さんがいたらいいなあと思いました)。山形の風景やバックに流れる音楽も美しく、また、日本の伝統文化も描かれているので、海外で評価されているのも頷けます。ただ、もう少し人間のいやらしさを生々しく描いてもいいのではと思いました。個人的な経験で恐縮ですが、さすがに一人の人間の存在がなくなるだけあって、引力など人間間のバランスが崩れるのか、葬式前後はあらゆる人間関係がもっと劇的に変化(いい意味でも悪い意味でも)すると思います。本作でもそのあたりは巧みに配慮されていましたが(納棺夫に対する叱責や差別的な発言、家族や被害者とのいざこざ、など)、少し紋切り型過ぎる気がしました。現実はもっと、複雑で残酷でいやらしい、と思います。「赤めだか」を読んでも思ったのですが、「型」ってものごとを美しく見せる上では大切ですね。この映画でも死者を着替えさせ、化粧をし、納棺するにあたっての、納棺夫の立ち居振る舞いがとても美しく見えました。立川談志さんはこのあたりの落語の「型」を完璧に覚えた上で、自分の人生とシンクロさせつつ、独自の芸風を身につけろという指導をしたのだと勝手に解釈しています。僕も普通のサラリーマンではありますが、基本的なビジネスマナーは今一度確認したうえで、自分なりにアレンジする必要があるかなと、少し思いました。

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空は、今日も、青いか?

2009-04-05 06:06:08 | Weblog
■本
27 考える技術/大前 研一
28 空は、今日も、青いか?/石田 衣良

27 問題解決における論理的思考の重要性を実例(と筆者の自慢)を交えてわかりやすく解説してくれる本です。大前先生の本はたまに読むと自分の思考的怠惰さを反省できるので刺激になります。方法論的には目新しいところは少ないので、ノウハウを学ぶと言うよりは自分の意識を変えるための啓蒙書として読むべきかも。他のビジネス書と比較して格段に読みやすいのは、傲慢な文体の割には読者に対する配慮が細やかだからだと思います。

28 時代を読むのが巧みな石田さんらしく、元気のない時代をサバイブするための、癒しと励ましに溢れたエッセー集です。少し格好をつけすぎな気もしますが、それも筆者の個性として楽しむべきなんでしょうね。人生の選択肢が増えるような、マスコミなどの論調とは異なる、もうひとつの視点を提供してくれるので、ポジティブにかつゆるく、したたかに生きて行きたいと考える若い人にお勧めの本です。


■CD
10 LIVE@HOME/藤原ヒロシと曽我部恵一

 ゆるい感じの洋楽カバー曲のライブ盤。お二人のファンの方は楽しめます。一般受けはしないと思いますが。曽我部恵一さんは音楽界で本当にいいポジションを築いたと思います。マイペースに自分の好きなことだけに専念できる状態ではないでしょうか。


■映画
10 スウィングガールズ/監督 矢口史靖

 期待せずに観たのですが、その期待の低さを裏切らない、イマイチな作品でした。「ウォーターボーイズ」の二番煎じという逆風の先入観があることを割り引いても、出来は悪いと思います。主人公たちがジャズに目覚める動機が弱いですし、ビッグバンドジャズを習熟する過程が大事なのに、前半はダラダラとしたコメディシーン(楽器を買うために奮闘するシーン)に費やし、その努力の過程が十分に描かれていません。「ウォーターボーイズ」や「フラガール」と比較するとどうしても浅い気がします。楽器をここまでマスターした出演者の努力は買いますが、それを十分に活かせていない点と、お金の匂い(タイアップ)が強くするところも嫌いです。推測ですが、出演者の努力の過程が映画で描ききれていないのは、テレビの特番などでその部分を描くために残していたのでは、という気もしています。
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