本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

ニコニコ動画が未来をつくる

2009-10-25 07:16:29 | Weblog
■本
84 ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語/佐々木 俊尚
85 大作家“ろくでなし”列伝~/福田和也

84 読み物として凄く面白かったです。ドキュメンタリータッチでドワンゴ社の歩みを振り返る本なので、手っ取り早くニコニコ動画とは何か? やそのビジネスとしての可能性がわかるわけではありません。その点だけは注意が必要ですが、読んで損のない良書だと思います。プログラミングやゲームなど、好きなことにのめりこんだ、天才、奇人、廃人たちが、いろんな偶然により出会い、ビジネスを成功させたり、失敗させたりしていく姿が生々しく伝わってきて、読んでいてわくわくしました。どう考えても従来のビジネスエグゼクティブとは異なる人たちが、次々と大きな仕事を成し遂げていく姿は痛快ですらあります。バランスよりも尖っている方が、成功できる時代なんでしょうね。とはいえ、変人ながらも独特のビジネスセンスをお持ちなところが参考になりました。終身雇用制度が崩壊し、競争が厳しく定職につくことすら厳しい時代ですが、好きなことを自由にやって楽しく生きていける可能性が一部では広がっていることが感じられ、ささやかな希望が持てます(もちろんこの本は希少な成功例で多くの失敗があるとは思いますが、それでも)。息子が中学生になったら是非読ませてみたい本です。

85 福田和也さんお得意の名作の読み方を紹介しつつ、人生の味わい方を教えてくれる本です。84の本にも通じますが、ある種の「過剰さ」を抱えた人たちのエピソードが満載です。チェホフ以外は友達にはしたくない人しか紹介されていませんが、それでもその作品が人を惹きつける魅力は凄いものがあります。読んだことのない作家が大半でしたので、是非読んでみたいと思います。ビジネスや人生の成功にコミュニケーション能力が大事と言われて久しいですが、逆にそのコミュニケーション能力を意識したことが我々の人生を貧しいものにしているのでは、という気が少ししました。もっとわがままに生きてもいいのでは(当然覚悟が必要ですが)と思わせてくれる本です。


■CD

・Kamaal the Abstract/Q-Tip

 最近のnapsterでのお気に入りです。才気迸るとはこのことです。この作品も過剰なまでの尖りが感じられます。
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Heavier Things

2009-10-18 17:07:13 | Weblog
■本
82 2030年 メディアのかたち/坪田 知己
83 ツイッター 140文字が世界を変える/コグレ マサト いしたに まさき

82 あまり目新しい視点はないですが、状況の整理は巧みです。よく言われるように、今後のメディアの方向性としてパーソナライゼーションに注目されているのですが、「多対一のメディア」(これまでの、希少なメディアに多くの利用者が接するというかたちから、たくさんのメディアが希少な利用者のアテンションに合わせて組み合わされる)という整理は説得力があります。タイトルや帯のあおりが刺激的すぎる点が少し不快ですが、読みやすく頭の整理には役にたつ本だと思います。

83 最近注目度が上がっているミニブログ「ツイッター」について知りたい人にお勧めの本です。サービス誕生から日本での盛り上がりの背景がとてもよく理解できます。コンサルタントが書くこういう新メディアの解説本は、変に上から目線で、難解な理論で煙に巻きがちなのに対して(セカンドライフのときはそんな本がたくさんありました-それらの本の筆者の方々は今どう弁明しているのでしょうか?)、本書はヘビーユーザーのお二人が、本当にこのサービスを使いこなし、かつ、サービスに愛情を持って、地に足のついた議論を展開して下さっているので、とても分かりやすく、このメディアの可能性というものを実感することができます。アルファブロガーでもあるお二人が、情報格差の危険性を認識しつつも、「情報を出していく人がより面白いことになっていく社会」とポジティブにとらえられているところは、説得力がありますし、なんとなく未来に対して希望が持てます。この種の本は賞味期限がありますので、早めに読む本だと思います。


■CD
26 Heavier Things/John Mayer

 John Mayerの新作がレコメンドされてきたのでamazonにアクセスしたところ、この旧作が安かったので、衝動買いしました。歳なのかこういう穏やかでセンスのある作品がとても聴いていて心地よいです。秋の夜にしみじみ聴くのに最適の名盤です。
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いじめと不登校

2009-10-11 07:28:15 | Weblog
■本
80 いじめと不登校/河合 隼雄
81 村上春樹の『1Q84』を読み解く/村上春樹研究会

80 いじめや不登校を主なテーマにした、子育てに関する河合隼雄さんの文章と対談を集めた本です。さまざまな雑誌に掲載された文章や各地での講演の内容を集めたものなので、散漫な印象がありますが、逆に繰り返し語られる内容から、河合さんの最も強調したい点が浮かび上がってきます。「『教える』よりも『育てる』ことの方が大事」、「お金よりも心を使わないといけない」、「黙って見守ることが重要」など、自分の子育てにおいても参考になる考え方がたくさんあります。厳しい時代ですが「こんなオモロイ時代はない」と河合さんのように思えるように生きて行きたいものです。

81 今まで読んだ本の中でワースト。こういう解説本は期待はずれに終わることが多いので、かなりハードルを下げたのですが、さらにその下を行きました。特に1章の詩人の方のパートの低劣さは、逆に面白くなるほど。高校生の同人誌でもまだ、好きという情熱だけで読むべき点があるでしょう。知人に借りて読んだので、怒りも少ないですが、自分で買っていたらと思うとかなり怖いです。買ってはいけません。
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Let's Change the World With Music

2009-10-05 06:48:16 | Weblog
■本
78 創価学会/島田 裕巳
79 ビジネス・インサイト/石井 淳蔵

78 土地柄か古い友人に結構学会員がいるので、ふと思いついて読みました。比較的中立的な立場で、書かれているので、知識として興味深い内容も多く、これまでの偏見がかなり解消されたと思います。創価学会が高度成長期に、都市に移住した地方出身者に対する、ある種のセイフティネットとして機能した評価される部分と、その排他性による学会員以外への非寛容さという批判されるべき点、が良く理解できました。

79 「暗黙値」についてのマイケル・ポランニーの著書からの引用など、抽象的な部分は今ひとつ理解できませんでしたが、具体的なケースはとても興味深く面白く読めました。ビジネススクールでケースに基づく学習が重視されている理由もよくわかりました。ビジネスにおいて、過去の事例の分析だけでは大失敗はしない代わりに、ゆるやかな衰退傾向は避けられず、発想の飛躍が必要ということが良く理解できました。その「発想の飛躍」も特定の天才のひらめきにのみ依存するものではなく、そのひらめきが発生する「偶有性」の源となる、人、もの、セオリーなどの関係性を丁寧に理解していく訓練をすれば、誰にでも身につき得るという希望が持てる点もよいです。単純な内容ではないですが、実践的な本だと思います。


■CD
25 Let's Change the World With Music/Prefab Sprout

 「イノセンス」を音にしたような作品です。「I Love Music」、「Music Is A Princess」といった、直球でベタなタイトルの楽曲が並びます。相変わらずのプリファブ節で耳障りのよい、ポップな曲が満載で聴いていてとても心地よいです。本作はブライアン・ウイルソンの「スマイル」に影響を受けたという話ですが、「スマイル」にある微妙な苦悩、狂気性や毒がない点が物足りなくもあり、逆にその毒のなさが、幼児の残虐性のようなものが感じられて怖くもあり、なかなか一筋縄ではいかない作品です。
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